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「ファンタシースター ノヴァ 序章体験版」インプレッション
序章ながら、独自の魅力や高いクオリティを体験できる
(2014/11/14 00:00)
11月27日発売予定のプレイステーション Vita用RPG「ファンタシースターノヴァ(以下、『PS NOVA』)」。この「序盤体験版」がPlayStation Storeにて無料配信中だ。序盤のストーリーを楽しめるほか、キャラクタークリエイトや超巨大エネミー「ギガンテス」とのバトルも楽しめ、製品版へとデータ引き継ぎもできる。
「PS NOVA」は、Windows PC等でサービス中の「PSO2」と同じ世界観を持ちつつも独自の物語とゲーム性を展開する、PSPでのシリーズ作以来の“オフラインでもじっくりと楽しめるもう1つの「ファンタシースター」シリーズ”。11月13日より配信された「序盤体験版」をプレイし、本作がどのような魅力を持つタイトルなのかを探ってみたので、本稿で興味を持ったPS Vita/PS Vita TVユーザーの方はすぐさまダウンロードして頂きたい。
―― Story ――
アークス特殊惑星探査隊オルター所属艦「デルタ・ヴァリアント」は、新たに発見された惑星「マキア」への長期現地調査の際、突如、惑星からの攻撃にさらされ、墜落してしまう。何とか不時着に成功したものの、惑星上では船の動力源が無効化されてしまう。
文明が存在しないはずのその惑星で、主人公達は人工的な重武装を身に着けた超巨大生物兵器「ギガンテス」と遭遇する。驚異的なエネミーの存在に加え、艦のエネルギーが尽きるという絶望的な状況。多くの乗員をコールドスリープすることで、窮地を凌ぐことになる。
残されたメンバーと共に、惑星の調査に乗り出す主人公。目的は、謎の攻撃者の解明と惑星からの脱出、そして帰還。過酷な世界を生き抜くサバイバル生活が今、始まる。
「PSO2」と同じ世界ながら、独自の展開を見せていく新星「PS NOVA」!グラフィックスクオリティの高さも注目ポイント
冒頭シーンは未知の惑星を探索する遙かな旅を続ける大船団「オラクル」、探査部隊「アークス」、そしてその障害となる謎の敵「ダーカー」たちとの戦いが、語られていった。
アークスの隊員たちだけがダーカーを撃退できるフォトンの力を使いこなせる。「PS NOVA」でもこの世界観がベースにあるというわけだ。
そんな船団「オラクル」から一時離れ、惑星マキアの調査に向かっていた先遣隊「オルタ-」の艦船「デルタ・ヴァリアント」。この艦が未知の脅威に襲われるところから「PS NOVA」の物語は始まっていく。
キャラクタークリエイトは「PSO2」でもその詳細な作り込み度合いが話題となったが、「PS NOVA」でもそこは同様だ。顔や体型はもちろんとして、腕や脚の長さや筋肉量や肉付きといったボディバランスから、女性キャラクターであればバストまで、詳細に作り込める。
プレーヤーは、惑星マキアが目前に迫ったところでコールドスリープから目覚めたクルーの1人。「デルタ・ヴァリアント」では長い長い航海のために、1,000名近い船員がコールドスリープしているという。
だが、プレーヤーが目覚めた直後にデルタ・ヴァリアントに異変が発生。フォトン出力が上がらず、謎の攻撃も受けてしまう。からくも惑星マキアへの緊急着陸に成功するものの、デルタ・ヴァリアントはほぼ大破してしまう。最低限の物資も残されていない、生きのびただけでも幸運と言える絶望的な状況から、生き延びるための戦いが始まる。
ストーリーを楽しむことをメインにしているだけに、その後も怒濤の展開が目白押し。サバイバルをテーマにし、そこで傷つき倒れる者、生き延びる者。そうした、これまでの「ファンタシースター」シリーズになかった物語が楽しめる。声優陣も豪華で、この序盤体験版では特に沢城みゆきさんが演じるフィルディアの魅力が印象的。人気が高まりそうだ。
こうした事故があったところから、主人公のパートナーであるルティナや隊長のフィルディアなど、登場人物たちの衣服や装備は破損し、ボロボロに。「PSO2」では装備が常に新品同様に整っているキレイなSFテイストで作られていたが、「PS NOVA」では“破損、汚れ、傷”といったサバイバルをテーマにしたビジュアルになっている。
キャラクターのデザインだけでなく、グラフィックス全体のクオリティも注目したいポイントだ。「PS NOVA」はSF作品等で知られる開発会社トライエースが開発を手がけており、「PS NOVA」のゲームエンジンも同社のものが使用されている。それにより、「PSO2」と比較するとグラフィックスの個性がかなり違っている。コントラスト高めの濃い色味で、シャドウ(陰影)とブルーム(溢れる光の表現)によるくっきりとした緩急も良い味を出している。
キャラクターの表情による感情表現、フェイシェルアニメーションも、ストーリーをドラマティックに魅せるという点で欠かせない。「PS NOVA」のモデリングは、眼を細めたり、眉を動かしたりといった表情の動きが豊かで、眼そのものも意思の感じられる印象的な作りをしている。こうしたところからの“伝わってくるものの違い”も、「PS NOVA」ならではのポイントだ。
本作ではストーリーを主体に、協力プレイはアドホック通信(近距離直接通信)のみに絞っている。オンラインプレイを排除しているぶん、ハードウェアスペックをフルにグラフィックスに注力できているというわけだ。
ユーザーの意見を元に、スピーディー&アグレッシブなバトルに! お馴染みの敵も激しい!
戦闘を見ていくと、「PS NOVA」では以前に配信されたバトル体験版があり、それに対して寄せられた意見をもとに調整を行なったという経緯がある。移動が速く、アクションもよりキビキビとしたスピーディーなものになり、非常に良好だ。キャラクターを大きく写していて迫力もある。ちなみに、この「序盤体験版」でも寄せられた意見は製品版以降に反映していきたいとのこと。
敵は、惑星マキアの原性種らしき、ウーダンをはじめとする獸や、恐竜を思わせる爬虫類っぽさのある種など様々。そうした中に、キュクロナーダやプレディカーダなどなど、「PSO2」をプレイしている人にはお馴染みのダーカーたちも登場する。
敵の動きは「PSO2」でのものよりスピーディーでどんどんと迫ってきて、激しく攻撃してくる。よりアクション性が高くなっているという印象を受ける。そのあたりも通信レスポンスや多人数の参加を意識したオンライン専用ゲームよりも激しくしやすいところがあるのだろう。戦闘のテンポが早めで気持ちいいものになっている。
超巨大な「ギガンテス」との戦い! 破壊する順番が鍵を握る、戦略的なバトル
この序盤体験版では、本作の目玉といっていい超巨大生物兵器ギガンテスの「アグリオス」討伐のクエストも楽しめる。まさに山のような大きな体を揺らしつつ、体のそこかしこにある砲台や機銃で攻撃してくる移動要塞のような強敵だ。
ギガンテス戦は、山下ディレクターが“攻撃する順番、組み立て”にこだわって作ったそうで、闇雲に足下をチクチク攻撃したところでロクなダメージを与えられない。法撃武器「ヘイロウ」や消費アイテム「リングジェネレーター」で足場を作って、装甲の内側から光が漏れている箇所を叩くのがポイントになる。
光の漏れているところを攻撃したくとも、機銃からの射撃や、大きな爆発を起こすミサイルなど、こちらの動きを邪魔してくるものがたくさん存在している。それらを破壊して弱点への攻撃に専念できるようにするのが「アグリオス」戦ではポイントになるようだ。
さすがにアグリオスは最序盤のギガンテスだけに、それらを無視して弱点だけを狙っても倒せることは倒せる。だが、以降のギガンテスはそうはいかないらしい。組み立てが重要になる。
そうして光が漏れている弱点を集中攻撃していくと、装甲内部が傷つきアグリオスが咆哮をあげて崩れ落ちた! 地面にダウンしたことで、最大の弱点である赤く光る頭部も攻撃可能に。ここぞとばかりにラッシュをかけ大ダメージを浴びせ、ついにアグリオス討伐に成功!!
ギガンテス戦は、その巨大さ、攻撃の激しさのなか、戦略的に攻略していく魅力を楽しめる。回避や防御のアクション操作で強引にねじ伏せることもできなくはないかもしれないが、障害になる武装を排除し、弱点をついて、順番にアプローチしていくことが重要だ。アクションが苦手でも、その攻略順をきっちり模索し、レベルアップさせて挑めば、倒せるものになっていた。また、人それぞれに破壊していく順序も個性が出そうで、タイムアタックにも大きな差がついていく予感もあった。
拠点も自分が作っていく! プロミスオーダーをこなしてサバイバルを生き抜く
「PS NOVA」では“クエストで得た素材で拠点を作る”という要素があり、「PSO2」等シリーズ作品での「マイルーム」以上のクラフトが楽しめるところも醍醐味となっている。
ただし、初期の探索拠点は、ほぼ廃墟と言っていい有様だ。雨をとりあえずしのげる程度のテントがちらほらあり、艦内から運び出した物資が積まれている。
この序盤体験版では、フィルディアからの依頼、プロミスオーダー「約束」という形で、拠点に武器・防具ショップ、アイテムショップ、クラスカウンター、食堂、さらにはコスチュームショップやエステ(キャラクターの外観を変更できる)を作れるようになっている。
序盤体験版のなかでは、そうしたショップは露店のような、はっきり言ってショップとも言えないようなみすぼらしい外観程度にしか作れないようだが、製品版では自由にレイアウトでき、本格的な街のように外観も凝ったものにしていけるということだ。
序盤体験版は、ストーリーを追うだけなら1~2時間程度でプレイ範囲が終了になるのだが、フィルディア以外からもプロミスオーダーはたくさんあるし、クラスカウンターで「ハンター」、「レンジャー」、「フォース」のクラスを変更して、適した武器や防具を作ったり、クエストで上限までレベルアップさせたり。さらにはグランアーツ(いわゆる特殊攻撃)の修得レベルを高めたりなどなど、やれる事がたくさんある。それらも追っていくと、相当に遊べるボリュームだ。
新作「PS NOVA」ならではのところ、独自の魅力というのもしっかりと味わえる。サバイバルをテーマにしたストーリー、ギガンテス戦をはじめとした戦闘、さらにはグラフィックスのテイストの違いなど、「PSO2」とも違った魅力をぜひご自身でも楽しんで頂きたい。
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