インタビュー

さらば、セガ3D復刻プロジェクト!

「一撃必殺モード」に潜んでいた罠……「投げると1発で倒せない」!

「一撃必殺モード」に潜んでいた罠……「投げると1発で倒せない」!

海外版に切り替えるとタイトル画面が「STREET OF RAGE」に
2P同時プレイ時の下画面。イラストを使っているのだが、アダムが……
画面の歪みやにじみを再現した「クラシック」画面も

――話は変わりますが、「ベア・ナックル」も今までのギガドライブタイトルと同じく国内版、海外版ともに入っていて……。

奥成氏:ギガドライブタイトルとしては標準的なものはすべて(海外版との切り替えなど)入っています。それと「3D 獣王記」以来の2人同時プレイをローカルプレイで入れています。

堀井氏:小ネタとしては、ホーム画面のアイコンの曲は、古代さんの曲を並木がアレンジして入れています。尺をあわせるためにつないだだけですけれども(笑)。

奥成氏:ホーム画面は尺が決まっているんですよ。いつもそこに合う短い曲を選んだり、SEを入れたりしていたんですけれども、「ベア・ナックル」ではどれを切ってもうまくいかなくて。いろいろやってみたんですが、最終的にアニメ主題歌のTVサイズ的な方法で。

――いわゆる、ジングルを作っちゃったんですね。

堀井氏:そういえば、2人同時プレイしていると、例えアダムを使っていても、下の画面からはアダムが消えちゃうんですよね。そういえば。アダムはこの後「II」から出なくなっちゃいますが……。

――(笑)。

奥成氏:ほかに、追加要素としては、「一撃必殺モード」を入れました。これは、すごくシンプルに、一撃で敵を倒せるようにするもので、爽快感あふれるモードになっています。お手軽に全ステージを堪能したいときに最適かなと。後は例えば、難易度をハーデストとかにして。

堀井氏:ハーデストにして、緊張感を味わいつつ、無双するというのがいいですね。ヘタをするとこちらもすぐにやられてしまうので。難易度を上げると、お手軽に緊張感が味わえる感じで、難易度を下げると、本当に簡単に遊べるゲームになります。

 でも、一撃必殺といっても、作る側は簡単にできたわけではなくて……。プレーヤーがやられると、復活して地面に着地した時に地面が揺れるじゃないですか。その時に画面に出ているキャラにダメージが入るので、それだけで敵が全部やられちゃうんですよ。そのあたりは元のプログラムを改良しながら調整していくんですが、製作途中では、自キャラが敵に触るだけで倒しちゃったりすることもありましたね。「俺は毒霧でもまとってるんじゃないだろうか?」というようなノリで。

――(笑)。

奥成氏:ほかにも、敵を投げるときのダメージ計算が通常時とちょっと違っていたりして、投げると逆に1発で倒せない、というようなことがあってみたり。特定のキャラは、殴るとしゃがむアニメーションが優先されて表示されていたので、そのままではすぐに倒れないとか。そういったものを1つ1つ、一撃で倒せるように地道にエムツーさんが直していって。

堀井氏:「一撃必殺ならすぐできるんじゃね?」みたいな感じで作ってみたら……楽はさせてもらえないというか。

――もともと、「一撃必殺モード」は作るのが楽そうだから入れた、というわけでもないんですよね?

堀井氏:気持ちよさそうで、かつ時間がかからなそう……何ならできるか、何なら面白いかという両面からすり合わせていった結果ですね。地道に殴るのもいいんですが。

奥成氏:「SEGA AGES ONLINE」でも「ゴールデンアックス」などで入れていたので……。

――効率とネタのバランスで採用してみたら、このゲームでは仕様上いろいろあったと。

堀井氏:ほかにも、敵をすぐ倒せてしまうので、敵の出現テーブルの準備ができる前に全部倒せちゃって、出現しない敵が出てきちゃったり。楽をしようと思うと、その後試練が待っている、ということが今回かなりありましたね(笑)。敵生成の部分もいろいろやっていますからね。

――プログラムもどんどん高度化している部分もあったり、キャラクターも大きくなってきてますし、バックグラウンドでいろいろやっていたりするんですね。

奥成氏:そういったところで、先人の苦労をエムツーさんだけが知る、という(笑)。

堀井氏:本当に、人の足跡を見ながら、この人たちはこういう苦労をしたんだな、という推測をするのがうまくなる仕事だと思いますよ。

――同じように泥水をかぶるというか(笑)。

奥成氏:結果的に爽快感あふれるモードになりました。さくっと楽しんでください。オリジナル版では裏技になっていたステージセレクトや初期プレーヤー数設定も標準で選べるようにしました。

――なるほど。

奥成氏:それと、背後攻撃はオリジナルではB+Cボタンの同時押しだったものをRボタンに割り振ってありますので、遊びやすくなっています。

――助かりますね。

(佐伯憲司)