インタビュー
【特別企画】「ROBOT魂 シャア専用ザク ver. A.N.I.M.E.」インタビュー
見せてもらおうか“新次元のアクションフィギュア”の性能とやらを!
2016年3月18日 00:00
バンダイは3月19日に、アクションフィギュア「ROBOT魂
今回の【特別企画】「シャア専用ザク ver. A.N.I.M.E.」インタビューでは、「ver. A.N.I.M.E.」シリーズの担当者である野口勉氏に、「シャア専用ザク ver. A.N.I.M.E.」のこだわりを中心に、今後のシリーズの展開や、ユニークなプランなども聞くことができた。
本シリーズは発表直後から「アニメとそっくりだ!」、「設定画そのままだ!」というファンの声が上がった。確かに、アニメ「機動戦士ガンダム」の様々な場面を再現するというのが商品のコンセプトではあるが、野口氏自身の思いは「究極の可動の実現」にあるという。話を聞き、商品を実際に触ることで野口氏の“挑戦”がわかり、ワクワクさせられた。非常に楽しいチャレンジである。
古今例がない“化け物級”の可動の追求で生まれた「シャア専用ザク」の決定版
今回まず、野口氏が「シャア専用ザク ver. A.N.I.M.E.」をパッケージから取り出し、とらせたポーズに筆者は驚きの声を上げてしまった。シャアザクが“立位体前屈”をしているのである! 足のすね部分に頭がくっつくほどに上半身を折り曲げる、体の柔らかさを測定するために体力測定などで行なうポーズだ。それをシャアザクができるとは!
この可動はシャアザクの腰前部分の装甲のギミックに秘密がある。前部の装甲が独立してスライドすることで腹部部分に隙間ができ、腰をぐいっと折りたためるようになるのだ。もちろん腰部分の驚異的な可動範囲も合わさってのことだが、このように体を折り曲げられるシャアザクが、かつてあっただろうか?
そして野口氏はこの腰の可動の“必然性”を力説する。この腰を深く折り曲げられる姿勢は、アニメの第1話「ガンダム大地に立つ」の冒頭、ザクがサイド7に侵入する際、外壁のハッチを開けるためスイッチを手で回すために前にかがみ込むポーズをする。この腰と前装甲のギミックがあって初めてそれが自然なポーズで可能になるというのだ。さらにシャアザクの活躍として印象的な「ガンダムに蹴りを入れる」ポーズも可能だ。
「ver. A.N.I.M.E.」シリーズの本当のセールスポイントはこの可動だと野口氏は語る。肘の部分も上腕と下腕側にそれぞれ関節が仕込まれ肩に拳がくっつくほどに折り曲げられる。足部分も二重関節に加え膝裏部分が内側に引っ込むことで正座ができるくらいに曲がる。股関節はガンプラでもおなじみの付け根が移動できる関節が仕込まれており、大きく前に突き出せる。
首は付け根を引き出せる構造になっている。襟元にある頭が前に出る機構と合わせることで、上を向かせることができる。「シャアだ、逃げろー」の迫り来るシャアザクのポーズも再現可能だ。この他、胸の両側が可動し、肩を内側に曲げることができる。マシンガンやバズーカを両手で曲げる際に、この可動があることで、ポーズが一層力の入ったものとなる。反対にも動かせるので胸を張るポーズも可能にだ。
そして「シャア専用ザク ver. A.N.I.M.E.」の最大の注目ポイントは胴体部分だろう。先ほどの体を折り曲げられる腰の可動だけでなく、胸を反らしたり、ひねったりと無骨なロボットの胴体がまるで人間のように動く。胸と腰と腹の3つのパーツ、さらに胸部分は2つの軸で接続されており、これらの接続で複雑な動きを可能にしているのだ。
解説され、実際に分解した内部構造を見せてもらって、本当に驚かされた。たくさんのギミックがこの可動を可能にしているのがわかる。実際に手に持っていじってみると、その構造の複雑さ、すごさに感心させられる。野口氏は「ROBOT魂」というアクションフィギュアブランドだからこの“究極可動”ともいえるギミックが盛り込めたという。
また、ネジや、スプリングピンといった金属のパーツで補強し、干渉する部分には軟質素材を仕込み、そして“完成品フィギュア”だからこそ、接着を前提として部品の設計ができた。こういった構造の“強さ”があるからこそ、これだけの可動を実現できたと野口氏は語った。
これまで「ver. A.N.I.M.E.」シリーズはそのフォルムで注目を集めてきた。アニメそのままの彩色や表面処理、モノアイの大きさや、ボディのデザイン。そして各MSの活躍シーンをそのまま再現した写真……。野口氏は“ポリシー”としてアニメそのままのシーンが再現できることを強調し、商品見本の写真を撮って公式ページに掲載したり、イベントでの展示を行なってきた。
しかし、実はそれだけではないのだ。“究極の可動”があるからこそアニメそのままのポーズがとれるのである。野口氏はこれまでの様々なプラモデル、アクションフィギュアを研究し、学んだ上で「ver. A.N.I.M.E.」シリーズに昇華している。実はこのシリーズは「アニメそのままのポーズがとれる」ということを求めて作っただけではなく、これまで出てきた商品以上の可動を実現すべく設計されたシリーズだというのだ。
公式ページやイベントでの展示では、野口氏はあえて原作ではやらないようなポーズはアピールしなかった。このため本商品の可動の優秀さは第1弾である「ROBOT魂
驚異的な可動はあくまで性能の一部!? シリーズを組み合わせて膨らむプレイバリュー
「『ROBOT魂』はユーザーの皆様に“遊んでもらえる”ことを目的としたアクションフィギュアシリーズです。プラモデルのように組み立てるのではないからこそ、手にとってぐりぐりと動かして遊んで欲しい。だからこそ可動にこだわり、耐久性にも注意しています。しかし今回はもう1つチャレンジしています。それが『エフェクトパーツ』です」。
「ver. A.N.I.M.E.」シリーズには様々なエフェクトパーツが同梱されている。「シャア専用ザク ver. A.N.I.M.E.」はマシンガン用のパーツ、爆発パーツ、バーニア用のパーツ、そしてバズーカ用のパーツが用意されている。
これらは動かして遊ぶときよりもポーズをつけて飾る時に活きてくる。特にバーニアパーツは“動き”を生み出すパーツだと野口氏は力を込めて語った。「足の裏につけて、それで足を曲げて飾るとまさにこれから方向転換するように見える。ポーズを固定して飾っていても、見ている人が次の動きを想像する。特にバーニアは急激な方向転換など色々な想像をさせてくれますね」と、野口氏は実際にポーズをつけながら解説してくれた。
今回は「シャア専用ザク ver. A.N.I.M.E.」と共に、「ガンダム ver. A.N.I.M.E.」を借り、実際に触ってみた。やはり各部を動かすのが楽しい。腰の装甲等、今まで見たことのない可動ギミックが盛り込まれており、本当に動かすのが楽しいアクションフィギュアだ。足のスイングや、足首の引き出しなど、「ここも動くのか」という驚きがあり、そしてその動きでどんなポーズがとらせられるのか、試すのが楽しい。
野口氏の話をあらかじめ聞いてなかったら、たとえ商品サンプルを前にしても、普通にポーズをとらせて満足してしまったかもしれない。極端な可動を見せてもらったからこそ、遠慮なくグリグリと動かすことができた。やはりこの商品は動かして遊ぶのが楽しい。またネットでアニメの画像を検索してポーズをとらせるのも楽しかった。「ポーズをとらせるには、結構“熟練”が必要ですよ」と野口氏は言っていたが、手首、足の向きなど、こだわるほど各部を動かしてより原作のポーズに近づけたくなる。
本商品の楽しさは、アニメを見てそれを再現させることだろう。ここは、商品を片手に握りしめながらTVアニメや、映画を観ながら、印象に残ったシーンで画面を止め、その通りのポーズを再現させてみるのが良いと思う。空中でミサイルをかわすポーズとか、「ガルマ散る」での地上を軽やかに進むポーズなど、映像を見た上で再現したい。想像するだけでもワクワクさせられる。練習を重ねることで「こんなポーズもとれるのか」と改めて商品が秘めている潜在力に気がつけそうだ。
「シャア専用ザク ver. A.N.I.M.E.」には腰の後ろやバックパック側面にバズーカを装備できる接続パーツがある。このパーツは実は今後発売されるドムの「ジャイアント・バズ」にも対応している。バックパック側面にバズーカをつけるのは「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」のシャアザクっぽいし、ジャイアント・バズを持つと「機動戦士ガンダム サンダーボルト」っぽい。ちょっとしたサービスの意味も込めているという。
サービスという意味では、「指揮官用のアンテナ」の予備パーツも用意されている。もし折れるようなことがあったら……という時のためのパーツだ。非常に細かいパーツなので、逆になくさないように注意したいところだ。
「ガンダム ver. A.N.I.M.E.」の方も少し触れておこう。本商品で筆者が最も気に入っているのが、弧を描くビームサーベルのエフェクトパーツ。CM時のアイキャッチを再現できるパーツだ。こちらも画像を見て挑戦してみたのだが、胸部分までアレンジが加えられているのがわかった。
商品のガンダムの場合は中央のコクピットハッチ部分が前にずれることでその隙間に胸パーツを押し込み、肩を前に入れ力の入ったポーズがとれる。上半身はかなりアイキャッチの画面に近くなったが……左足はロゴに隠れてよくわからないのだ。かなり極端なパースがかけられているのがわかった。
アニメは演出上、極端なデフォルメを行なっている場合がある。立体物である商品では完全には再現は難しいポーズもあるかもしれない。しかし、「ver. A.N.I.M.E.」シリーズではこれまで以上の可動域、肩を内側に入れられるなど多彩なギミック、そしてエフェクトパーツでアニメの様々な場面への再現にチャレンジしている。「機動戦士ガンダム」は数多くある“ガンダム”のコンテンツの中でも、最も多く、そして濃いファンを獲得している作品である。普段はグッズなども買わない人、最近の様々な考証による現代風アレンジが加えられたMSに違和感を感じてるような人にもオススメしたいアイテムである。
ガンダムとシャアザクは、同じ「ver. A.N.I.M.E.」シリーズでも関節設計が大きく異なっている。野口氏は各MSに関して専用の設計を行ない、そのMSならではのポーズ、アニメでのイメージを再現できるギミックを盛り込むという。ガンダムとシャアザクを比較するだけでもそのこだわりと、挑戦心を強く感じられる。シリーズの展開は本当に楽しみだ。
「なるほどいい作戦だ!」。今後のラインナップに大きく期待させる“仕掛け”の数々
「ver. A.N.I.M.E.」シリーズは、4月には「ROBOT魂
アニメでのMSの登場順とすればザク、グフ、ドムだが、野口氏はあえてザクとは大きくシルエットの異なるドムをグフの先に出し、ユーザーにシリーズの面白さ、今後の展開に期待させるという狙いを持っているとのこと。ザクやグフはシルエットが近く、可動などの設計も近い部分があるように予想される。
しかし、ドムは違う。あえて大きく異なるドムを展開する野口氏の挑戦心、ユーザーを驚かせ、今後のシリーズに期待させようという想いが楽しい。今回ドムの試作品を見て、そのボリューム、ドムならではの大型のフォルムに大きな魅力を感じた。劇中で「スカート付き」と呼ばれたフォルムをきちんと再現するその力のいれ具合にうれしくなってしまう。
ドムのセールスポイントは頭部が上を向くこと。ドムは首もなく頭が回るかどうかも不明なデザインだが、「ver. A.N.I.M.E.」シリーズでは胸ブロックごと可動することで首が上を向くというギミックになっている。こうすることでドムならではのマッシブなシルエットを崩さずに頭部を動かせる。そして今後の「リック・ドム」へ繋がっていくギミックである。
シャアザクでのバズーカのエフェクトパーツはドムのジャイアント・バズでも使用可能だ。またザク・マシンガンのエフェクトは量産型ザクの「マゼラ・トップ砲」でも使用できる。シリーズを持っているほどプレイバリューが上がる。さらにドムには“切断された盾パーツ”が付属しており、一層「ガンダム ver. A.N.I.M.E.」が欲しくなる。野口氏はこのようにシリーズを揃えるとプレイバリューが上がる仕掛を多数盛り込んでいるという。
ちなみにグフは「両腕を切断された状態」を再現できる。ガンダムを向かいに立たせたくなるギミックだ。そしてこの“対決シーン”を盛り上げるのがグフの初回特典に付いてくる“「ジオンの脅威」キャンペーン ~アムロ覚醒~”だ。専用台座のギミックを活用し、アムロとランバ・ラルの顔、そして名台詞のプレートを展示できるのだ。MSとキャラクターが交互に映るアニメの演出を楽しめるセットである。
このセットは2015年10月のイベント「魂ネイション2015」での「ver. A.N.I.M.E.」シリーズの展示で好評だったジオラマ演出を商品ベースに設計し直したものだという。実はこのセットは現在隠されている要素もあり、さらに今後の展開も用意されている。
今後「ver. A.N.I.M.E.」はさらに盛り上がっていく。今後も一年戦争の様々なMSを登場させていく予定だ。「魂ネイション2015」では“ビグ・ザム”まで参考出展されていた。野口氏はシリーズを“1/144スケール”で設計しており、統一スケールで販売していくという。1/144スケールのビグ・ザム! 現在実現できるかは検討中とのことだが、かなり夢が広がるところだ。
さらに「MSV(モビルスーツバリエーション)」へシリーズも展開していく予定だという。実は今回の「シャア専用ザク ver. A.N.I.M.E.」にその情報の一端が隠されているとのことだ。パッケージに入っている“あるもの”で、これは購入した人のお楽しみである。ぜひチェックして欲しい。1/144スケールで1年戦争、そして派生したMSを再現していくという1大プロジェクトに期待したい。
野口氏はファンへのメッセージとして「『ver. A.N.I.M.E.』シリーズにご期待ください。商品、そしてラインナップをユーザーさんと一緒になって楽しんでいけたら良いなと思っています」と語りかけた。
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