インタビュー

カラーレジンキット「THEXDER(テグザー)」インタビュー

BEEP秋葉原店長駒林氏と元ゲームアーツ上坂氏が誕生エピソードを語る

3月末発売予定

価格:19,800円(税別)

 1985年にゲームアーツから発売されたPC向けのアクションゲーム「テグザー」の主人公機「THEXDER(テグザー)」のカラーレジンキットが、BEEP秋葉原より3月末に発売となる。

現在はガジェット通信に勤務する上坂氏(写真左)と、BEEP秋葉原店長の駒林氏
ゲームアーツのページで見ることができる「テグザー」。自動照準のレーザーの美しさが、当時の“パソコン”ユーザーを夢中にさせた

 レトロゲームやそれに関するアイテムを扱うショップBEEP秋葉原の企画・販売、当時ゲームを発売したゲームアーツと開発者の上坂哲氏による監修、そしてゲームキャラクターやメカの立体化に長けたガレージキットメーカーRCベルグによる原型・生産というコラボレーションによって完成したこのキット。公式ライセンス許諾による一般発売は、これが初めてのこととなる。販売は現在、BEEP秋葉原の公式サイトでの事前予約のみとなっている。

 今回このキットを企画したBEEP秋葉原店長の駒林貴行氏と、「テグザー」発売当時ゲームアーツに所属し、同作のディレクションやデザインを担当した「生みの親」とも言える開発スタッフの1人で、このキットの監修も手掛けた上坂哲氏にインタビューを慣行し、32年の時を経ての立体化の経緯や、キットの魅力などについて聞いてみた。

 「テグザー」は1985年にPC-8801mkII SRで発売され、以降多くのPCに移植されたアクションシューティングだ。飛行形態とロボット形態に変形するメカ「テグザー」を操作して、迷路状になった小惑星ネディアムを探索し、敵を退けながらその深部に待ち受ける「磁力線発生装置」を破壊するという内容で、主人公機テグザーの滑らかな変形アニメーションや探索の面白さ、ホーミングレーザーの気持ちよさ、FM音源のゲームミュージックなどが高く評価され、PCゲームとしては異例の大ヒットを記録している。

 今回キット化されたテグザーは、最初に発売されたPC-8801mkIISR版をはじめとするPC版パッケージ及び、当時の販促用に作られた2面図ポスターのデザインを踏襲している。スケールは1/48で、完成した本体は約16cmで、全身13カ所(ねじれ方向まで含むと全19カ所)の可動を実現。キットはカラーレジンにて成形され、塗装をしなくてもパッケージと同等の色味にて完成する仕様だ。このあたりは過去にRCベルグから発売されたレジンキット「1/12SCALE ハリアー」「ゼビウス3機セット」などの完成度を参考にしていただきたい。さらに一部の関節にはポリキャップを採用し、可動のしやすさも実現している。

 キットにはノンスケール/無可動の飛行形態のキットと、「テグザー」開発者へのインタビューやキットの開発プロセスなどを収録した24ページフルカラーの小冊子も付属している。小冊子のインタビューには上坂氏も登場し、本稿では触れていない当時の開発秘話なども収録されているのだとか。当時のファンはこちらにも注目だ。

 またキットの販売を記念して、立体化の図面にもなった販促用ポスターが復刻されて販売されることも決定している。こちらはA2版で3,500円(税別)となり、キットともに予約受付中だ。

【カラーレジンキット 1/48スケール THEXDER(テグザー)】

パッケージとポスターの2面図を元に、RCベルグと原型師ぶぶたそ~氏が立体化

――まずはこのテグザーのキットを企画された経緯からお話いただけますでしょうか。

駒林氏: BEEP秋葉原が2015年に店舗をオープンするにあたり、レトロゲームの買取と販売以外に、レトロゲームにまつわる新しい企画を定期的に進めていくことになりました。これまで本と音楽CDは実現しましたので、その次の企画としてガレージキットの話が持ち上がったんです。そこでじゃあ何を作ろうか、という話になったときに、弊社に飾ってあった「テグザー」の2面図のポスターを見て、「これがあれば立体化できるのでは?」と考えたのが最初のきっかけでした。

1985年発売の名作ロボットアクションの主人公機を立体化
外装の白と関節部分の赤はそれぞれパーツで色分け。頭部クリアパーツを採用
背後のディテールはキット化にあたり新たに設計されたものだ

――駒林さん自身、「テグザー」という作品にどんな思い入れがあったんでしょうか。

駒林氏: 力強いBGM、格好良いメカ、そして綺麗なレーザーと今遊んでも楽しめる作品だと思っています。続編の「ファイアーホーク」も最高ですね。個人的にコレクションもしていて、PC-9801版以外は入手しました。

――おおっ、それは凄いですね! 駒林さんは「テグザー」のどこが好きなんですか?

駒林氏: やっぱりメカデザインが格好いいのと、そのデザインにゲームがマッチしていて面白かったというのが理由ですね。格好いいメカが出てきて、好きな当時のPCゲームは「ブラスティー」や「ザース」、「地球戦士ライーザ」とありますが、「テグザー」は爽快なアクションゲームな所が好きですね。

――そんな「テグザー」の造形を、今回RCベルグさんにお願いしたのはやはり、ゲームキャラクターのガレージキットのノウハウに注目されたんでしょうか。

駒林氏: そうですね。RCベルグさんは「ゼビウス」や「スペースハリアー」のキットなどの完成度が非常に高かったですし、キットを販売させていただいたつてもあったので、他の選択肢はあまり考えられなかったです。

――RCベルグさんとは、どのようなやりとりで進行されたんですか?

駒林氏: 最初に立体化の相談をさせていただいたときは、ポーズ固定のイメージだったんですが、やりとりをしている間にRCベルグさんのほうから「せっかくなので、可動キットにしませんか?」という提案があったんです。私としてはそれは願ってもないことだったので、その提案を採用させていただくことにしたんです。

上坂氏: 実は僕のほうでも、その時点ですでにデザインの監修中だったんですが、急遽可動になったと聞かされて驚いたんです。監修し直しになるのかなと思っていたら、デザイン自体の変更はほとんどなかったんですよね。

駒林氏: 原型師のぶぶたそ~さんの技術のおかげということもありましたね。今回RCベルグさんの紹介で制作を依頼したのですが、可動への仕様変更にも快く応じていただきました。

――上坂さんにはどのタイミングでコンタクトを取ったのでしょうか。

駒林氏: キットの企画のGOが出た昨年夏頃ですね。テグザーの機体デザインをした方ですので、ぜひ参加していただこうと思って、ゲームアーツさんを通して紹介していただきました。

上坂氏: 僕も古巣のゲームアーツからその話を打診されて、BEEPさんで1度話を聞いてきてくれと言われてお店に行ってみたら、今勤めてる会社の目と鼻の先だったので驚いたんですよね(笑)。

――キット化のお話を聞いたときはいかがでした?

上坂氏: やっぱり嬉しかったですね。僕は学生の頃、おもちゃのデザイナーになりたいと思っていたんです。そういう意味では40年近く前の僕の夢だったことが、今回監修という形で叶うことになりました。

――「テグザー」はこれまで立体化されたことはなかったんですか?

上坂氏: 素人レベルではありました。ポスターの2面図を描いた僕の後輩が、当時スクラッチモデルを作るのが好きで、バイト代を払って作らせたことがあるんです(笑)。プラ板を貼り合わせて作ったもので、当時の「ログイン」の記事にしたんですよね。もちろんこのキットみたいなクオリティではなかったですけど(笑)。

――ポスターにあるのは3面図ではなく2面図で、背後のデザインはありませんが、それはどう処理されたんですか?

駒林氏: そちらの設計もぶぶたそ~さんにお願いしました。こちらで用意できる資料はポスターの2面図とパッケージ、それとPC版のマニュアルにあるイラストだけだったんですが、飛行形態の部分に若干の情報があって、それをもとにデザインしていただいて、上坂さんの監修が入って最終的にOKとなったんです。

――完成したデザインに対してゲームアーツさんと上坂さんの監修が入ってOKが出たということは、ある意味オフィシャルのデザインと捉えていいわけですね。

上坂氏: いいと思います。あの2面図は、先ほど話した後輩に、当時僕の下宿に1週間ほど泊まり込んでもらって、ああだこうだと説明しながら描いてもらったんです。その後発売されたMSX版やSierra版のデザインは、僕の知らないところで描かれたものなので、ある意味あの2面図のデザインが僕の意向が一番反映されたもので、それがついに完全な形になったということですね。

――完成したものをご覧になっていかがでしたか?

上坂氏: 僕がイメージしているものがそのまま立体化されたのが特に嬉しかった点でした。他機種のパッケージのデザインなど、人に任せてしまうとどうしてもイメージが違ってしまいますから、ここまで忠実に立体化してもらえたことに感動しましたね。

――駒林さんの印象はいかがでした?

駒林氏: 自分で企画していてなんですが、ここまでちゃんと立体化できるんだなと思いました(笑)。可動にしたことでパッケージのポーズが取れるのがいいですよね。MSX版パッケージのポーズを、オリジナルのデザインで取ってみるのも面白いかもしれません。

――スケールが1/48なのは理由があるんですか?

駒林氏: ノンスケールだと、他のフィギュアやプラモデルと並べてもサイズ感がわからないので、スケールは確実に設定したかったんです。テグザーのサイズ設定が7.1mなので、計算すると1/48スケールなら16cmぐらいになって、立体としてはちょうどいいサイズになったんですよね。1/48なら国際スケールでリアル感も出て、昔のダグラムやパトレイバーのプラモデルなどとも並べられますしね(笑)。

上坂氏の頭に中にあるテグザーに関する全設定がキットに反映された

――上坂さんはこのキットに関して、具体的にどのように監修をされたんでしょう?

こちらはサイドビュー。ポスターの図案と比較してみよう
足の裏や股間のインテークなど、見えない部分のディテールも追加
BEEP秋葉原店頭に展示中の完成見本。PC-8801mkII SR版のパッケージにも注目

上坂氏: CADで作られた3Dデザインを紙に打ち出したものに、ディテールの修正や追記をする作業が主でした。32年前の僕の脳内設定のデザインをできる限り詰め込んで再現していただきました。

駒林氏: エアインテークに穴を開けるとか、胸の中心のラインをまっすぐではなく曲げるとか、かなり細かい指示をいただいて、キットの精度もかなり上がりましたね。

上坂氏: 色がついたサンプルを見させていただいた時点で、ヒザの色が赤だったので、それを直してもらったことでパーツ構成が変わってしまいましたが、あれも対応していただけたんですね。

駒林氏: ええ、パーツ構成としてはちゃんと直りましたね。

上坂氏: デザイン的には、「重戦機エルガイム」のムーバルフレームのようなイメージなんです。白い外装の間に、赤いフレーム部分はチラっと見えるという構造なんですよね。

――ちなみにキットを設定通りに変形させるという案はなかったんですか?

駒林氏: レジンキットで変形させるとなると、どうしても強度とコストの問題が出てきてしまいますからね。バンダイさんが超合金魂あたりで出していただけたりすれば私も嬉しいんですが……(笑)。そもそも始まりは固定ポーズの企画でしたから、それを可動仕様にできただけでも、私としては満足でした。

――その飛行形態については、ミニチュアで付属すると。

駒林氏: はい、こちらはノンスケールでいいので作ってくださいとお願いしました。小さいサイズの飛行形態が付くというのも昔のプラモデルっぽくていいじゃないですか。

上坂氏: この飛行形態があるおかげで、パッケージも再現できましたしね。

――このパッケージにもこだわりが見えますね。

駒林氏: 並べてみるとわかるんですが、PC-8801版のパッケージそのままなんです。デザインを尊重して、ゲームアーツさんのロゴも旧タイプで表示することを許可していただきました。それと箱の横は背表紙の部分をあしらっていて、説明文はパッケージ裏にあったテキストを表記しているので、パッケージをお持ちの方はぜひ比較してみてください。もしお持ちでなければBEEP秋葉原で買って下さい(笑)。FM-7版かMZ-2500版でも同じデザインですよ。

【カラーレジンキット 1/48スケール THEXDER(テグザー)】
変形後の飛行形態はノンスケールのキットとして付属する
無可動サンプルとの比較。ポーズを付けるだけでかなりマッシブな雰囲気となる
パーツ群はこのようになっている。キットはレジンパーツ数74点、ポリパーツ6枚、プラ棒3mmが1本になる

スタッフの中で唯一絵心のあった上坂氏がメカデザインを担当した

――「テグザー」開発当時のお話も伺いたいのですが、上坂さんは当初からテグザーのデザインに関わられていたんですか?

上坂氏: そうですね。ゲームアーツ結成当初のメンバーは誰も絵が描けなくて、僕は学生時代にマンガ研究会に所属していて、それなりに絵心があったので、テグザーのデザインからドットに起こすところまで全部やることになって(笑)。

パッケージは初代PC版をリスペクトしたものだ
店頭に展示中の2面図ポスター。細かな設定もわかる

――それまでメカを描いた経験はあったんですか?

上坂氏: いえ、全くなかったです。メカデザインどころか、ロボットを描くのも初めてでしたし、アニメとかマンガは好きでよく見ていましたが、作るとなってからは当時のロボットのプラモデルを買いまくって、それを片っ端から組み立てて参考にしましたね。

――テグザーのデザインは、イラストが先なんですか? それともドット絵からイラストを起こしたとか?

上坂氏: イラストが先でした。パッケージにあるイラストを僕が線画で描いて、それを知人のつてを頼って、色づけをしてもらって完成したものなんです。

駒林氏: ちょっと高荷義之さんのテイストが入っていますよね。

上坂氏: 当時から僕も高荷さんは大ファンでしたから、かなり意識したイラストになりましたね(笑)。後は先ほど話に出た「エルガイム」や、宮武一貴さんの「宇宙の戦士」のパワードスーツあたりから受けた影響は大きいかもしれません。

――ポスターの2面図の絵柄も、そのタイミングで描かれたものなんですか?

上坂氏: いえ、あれはゲームが出てから半年近く経って、ゲームのイベントの販促用にデザインしたものだと記憶しています。

――今回、キットの発売と同じタイミングで復刻されるそうですね。

駒林氏: はい。あのポスターに関しては、ゲーム保存協会というNPO団体に協力して頂きました。弊社に保存してあったボロボロの当時のポスターをスキャンして、綺麗にレタッチしたものをいただいて店に飾っていたんです。それを今回、ゲーム保存協会さんとゲームアーツさんに許可をいただいて、発売することになりました。

上坂氏: これは貴重ですよね。僕の手元にも原本は残ってないですし。

駒林氏: 販促用なのにスペックや値段が書いていないのが、ポスターとして復刻しやすかったというのもありますね。今回復刻が決まって、試しに印刷したのですが、普通の紙ではあまり綺麗に出なかったので、製品ではいい紙を選んでさらにPP加工も施しているんです。ですので、そのまま飾ってもかなり見栄えのするものになっていると思います。

小冊子には公式の「テグザー100の秘密」が掲載される!?

――キットに同梱される冊子についても伺いたいのですが、かなり充実した内容になっているそうですね。

駒林氏: あれについては、実は関係者からのメッセージを添えたプリントを1枚入れるだけ予定だったんですが、皆さんにお話しを聞くとどうしてもいろいろと伝えたい要素が増えてきて、最終的に24ページフルカラーの冊子になりました。「テグザー」の歴史やキットのメイキングなどもにも可能な限り触れているので、資料的な価値は高いと思います。今のところあの内容を別の形で披露することは全く予定していないので、ぜひキットを買って読んでいただけると嬉しいですね。

――キットの販売ページを見ると、かつて「2ちゃんねる」に書き込まれた伝説の「テグザー100の秘密」についても触れられているとか。

上坂氏: ええ、あれは公式としては僕が書いたのではないとなっているんですが(笑)、この冊子のインタビューでは、駒林さんがあれを元にいろいろ質問をしてくれましたので、それに対してはちゃんと答えています(笑)。

駒林氏: ある意味公式の「テグザー100の秘密 2017年版」と言えるかもしれませんね(笑)。でもあれがなければこのパッケージデザインも無かったですよ。

――楽しみですね。ちなみに今回のキットを買って作るにあたり、どの程度の模型製作の腕や知識が必要ですか?

駒林氏: RCベルグさんのレジンキットはかなり作りやすいので、ちょっと難しめのプラモデルという感覚で認識してもらえば大丈夫だと思います。また「テグザー」というタイトルに惹かれて買っていただくユーザーがいることについてRCベルグさんに念を押したところ、マニュアルもこれまで以上に親切な内容で作っていただいたので、安心して手に取ってみてください。

――カラーレジンで、塗装もしなくていいんですよね。

駒林氏: はい、スミ入れするだけでかなり見栄えするものになりました。

――キットを作るにはどんな道具が必要ですか?

駒林氏: 一般的な模型用の工具としてニッパーとカッター、紙ヤスリ、瞬間接着剤などで、他に穴を開けるための2mmと3mmのピンバイスをご用意ください。

――ところでこのキットの次に、何か立体化したいという構想はあるんですか?

駒林氏: 個人的にやっぱりメカが好きなので「ザース」のMM21(月面に立っているロボ)やライーザとか欲しいですね。店のお客さんからは、続編の「ファイアーホーク」も出してほしいという声もあるんですが、機体のサイズがテグザーの2倍あるんですよ。それを同スケールで作るとなると、30cm以上の大物になってしまいますから悩ましいですね。同スケールで並べられないと嫌じゃないですか(笑)。同スケールって大事だと思っていて、イマイのデストロイドモンスターがバンダイから再販された時に同スケールであるニチモのピタバンをワンフェスで探したりしましたよ(笑)。

上坂氏: テグザーがちょっと小さすぎた印象があったので、あまり深く考えず2倍のサイズにしたんですが、まさかそれがこういう形で影響するとは考えもしませんでしたしね(笑)。

――ちなみに上坂さんの中で、「テグザー」の新作を作りたいという気持ちはあったりするんですか?

上坂氏: 1度「テグザー3」を作ろうという話もあったんですが、それをそのまま作るとメガドライブの「重装機兵レイノス」になってしまうと思って、そのアイデアが「アリシアドラグーン」になったんですよね。しかもあの時は途中でプロジェクトから外れてしまいましたしね。

――それ以降、「テグザー」の遺伝子は絶たれてしまったと……。

上坂氏: でも「アリシアドラグーン」のときに作った、キャラクターの配置と動きのAIを管理するルーチンは、なぜか「LUNAR エターナルブルー」に流用されていたりするので、遺伝子としては別の形で残ったと言えるかもしれません。

――意外ところに遺伝子が受け継がれていたんですね。それでは最後に、このキットの発売にあたり、メッセージをいただきたいのですが。

上坂氏: 先ほどお話しした、おもちゃを作りたいと思っていた学生時代の夢が叶ったのが本当に嬉しいです。黒澤明監督の「生きる」という映画に、余命を宣告されて落ち込んでいる主人公がおもちゃ工場の女性と出会って、彼女が作ったおもちゃによって日本の子供たちが喜ぶということに心を動かされるというシーンがあって、それを思い出しましたね。僕が作ったゲームを楽しんでくれた人がいて、それが32年の時を経て、ゲームとはまた違う形で喜んでくれる人がいるというのは、これ以上ない喜びですね。

駒林氏: 「テグザー」好きが高じてここまで来てしまいましたが、こうして形になったのがよかったです。ムックを入稿した後に88SRで「テグザー」を遊んだのですが感動もひとしおでしたね。

上坂氏: 駒林さんのテグザーへの愛によって、ここまで完成度が高まったと思うんですよね。本当に感謝しています。

駒林氏: 開発者の上坂さんにそう言ってもらえるのは本当に光栄です。決して安いものではありませんが、その価値のあるものに仕上がっていますので、ぜひ購入いただいて、公式に立体化したテグザーの勇姿を作ってもらいたいですね。

――ありがとうございました。