ガレージキット「スペースハリアー」、「アイダ」レビュー

細かい色分けで名作の雰囲気を完全再現

発売日:
7月10日
価格:
10,584円(税込:ハリアー)
9,720円(税込:アイダ)
受注期間:
5月25日~6月25日

 RCベルグは、ガレージキット「1/12SCALE ハリアー」と、「1/24SCALE IDA アイダ」を7月10日に発売する。価格はハリアーが10,584円(税込)、アイダが9,720円(税込)。受注生産の限定販売で、5月25日より、6月25日まで受注を受け付けている。

 RCベルグは様々なガレージキットを制作・販売しており、ゲーム関連のキャラクター商品も多い。弊誌でもこれまで「ゼビウス3機セット」や、「沙羅曼蛇 『ビックバイパー』」を紹介している。今回もサンプルが届いたので、レビューしていきたい。

大きなパーツに精密なディテール表現。組みやすく面白いキット

 「スペースハリアー」は1985年にセガがアーケードゲームとして発売したシューティングゲームだ。拡大縮小による疑似的な3D空間を演出し、画面奥から迫ってくる敵を撃ち倒していく。初期の筐体は戦闘機のコクピットを思わせる大型のもので、主人公ハリアーを操作するレバーも操縦桿型だった。筐体はスティックの操作に合わせ動く。美しいグラフィックスとベースやドラムスまで盛り込まれた豪華なBGMは当時の少年達に強い衝撃を与えた。

「スペースハリアー」。当時の販促用イラストに描かれたハリアーの姿を立体化している
3DS「3D スペースハリアー」のスクリーンショット。グラフィックス、BGM、スピード感、雰囲気……すべてが衝撃的な作品だった
上半身。白いパーツをきれいに溝にはめ込める。ガレージキットとして極めて高い精度を実現しているのがわかる
頭髪パーツは2種類付属。初期のポスターに描かれていた「アフロヘアーのハリアー」も再現できる

 筆者も「スペースハリアー」に夢中になった1人である。豪華な筐体によるリッチなプレイ体験、空を舞うハリアーの独特の浮遊感、メカや多関節の怪物が襲いかかってくる世界観などは多くのユーザーを魅了した。「スペースハリアー」は名作ゲームとして、様々なハードに移植されていった。2012年には3DS向けに「3D スペースハリアー」も制作され、こちらも人気を博した。

 RCベルグが今回販売する「1/12SCALE ハリアー」と、「1/24SCALE IDA アイダ」はゲーム内のキャラクターをモチーフとしたガレージキットである。これまで通りレジン(合成樹脂)を使った組み立て式キットで、組み立てにはニッパーやデザインナイフ、瞬間接着剤などが必要となる。

 ガレージキットはプラモデルに比べ難易度が高い場合が多いが、本商品はこれまでのRCベルグのキット同様、細かい色分けと、シャープな部品により、誰でも組み立てができ、塗装なしでモチーフに近いイメージに組み上がるものになっている。今回がガレージキット初挑戦、という人にもオススメの商品であり、「スペースハリアー」ファン必見のアイテムだ。

 それではまず、「1/12SCALE ハリアー」から見ていこう。これまでレビューしたRCベルグの商品はどちらも戦闘機だったが、今回は人型のフィギュアだ。商品はゲームの販促用ポスターに描かれたハリアーの姿をモチーフとしている。筋肉質な体のラインがはっきり出るスーツに銀色のベルト、目元を隠す大きめのサングラスなど、イラストの雰囲気を再現したデザインとなっている。

 ハリアーは“超能力戦士”であり、空中浮遊能力(レビテーション)を使って高速で飛行し、敵に立ち向かう。武器は自分の身長もあるような巨大な「キャノン」だ。まるでミサイルのような大きなキャノンを抱えた戦士が完成形となる。これまで取り上げた戦闘機に比べ、ハリアーはパーツがかなり大型で、部品数は多くない。組み立ての難易度は低く、非常に組みやすいキットとなっている。

 それでいて出来が大味かというと、そうではない。すさまじいスピードになびく髪の毛、スーツから浮かび上がる筋肉の形、イラストの雰囲気を活かした口元や、しっかり形がわかる耳など、その造形、ディテール表現はとても細かく、密度の濃いものになっている。

 そしてパーツの色分けだ。ハリアーの衣装は赤いシャツに青いズボンと非常にシンプルだが、そこに鮮やかな白い線が入っている。キットではこの白いラインをレジンパーツでかたどっていて、はめ込むだけできれいなラインが入る。プラモデルでもこういったラインは色分けがされてなかったり、シールで貼ることで表現することが多いが、パーツ分けされていると“締まり”が全然違うのだ。

 ガレージキットを作ったことがある人ならば、この白いパーツがきれいに溝にはまるところも驚きだろう。少数生産のレジンキットの場合、どうしても部品の精度が甘くなりがちで、きちんと組み立てるためにユーザーが部品を加工しないとはまらない場合も多い。しかし、「1/12SCALE ハリアー」は、そういった苦労が全くいらず、きちんと組み上げられるのだ。

 ただし、成型時にできる細かいバリや、樹脂をシリコン型に流し込むときに生じる“ゲート”が残ったままになっている部分はあるので、これはニッパーやデザインナイフでできちんと切る必要がある。特にキャノンの格子状になっているところは、隙間となる部分に薄い膜が張ってしまっており、デザインナイフで切っていった。しかしこういった手間こそが“モノを作っている楽しさ”を実感させてくれる部分でもある。

 全体的にとても組みやすく、組んだ後の満足度の高い商品だ。この組みやすさで欲しかった「ハリアーの“ちゃんとしたフィギュア”」を手にできるというのは、ファンとしてかなりうれしい。こだわりのファンはスミ入れなどちょっとした塗装をすることで、さらにクオリティをアップさせられるだろう。ホビー系の知識がある人ほど、RCベルグが本商品で実現している“精度”には感心させられる商品だ。

【組み立て】
顔もディテール表現がしっかりしており、少ないパーツでハンサムなハリアーの頭部が再現できている
比較的パーツ数が多いキャノン砲。色の付いたパーツが良いアクセントになっている
ベルトは黒いプレートを1つ1つつけていく
かなりディテールはしっかりしているが、パーツによってはバリやゲートなどがあるので、きちんと切り取る必要もある
キャノン砲も接着する。せっかくなのでつける前の写真も撮ってみた
イラストのりりしいハリアーをきちんと再現。塗装をしなくてもかなり色分けができている
1/24のハリアーフィギュアも付属。3パーツだが、ディテール表現は細かい

 組み上げた「1/12SCALE ハリアー」を手にしてみたい。本作は、大きなキャノンを持っているだけに、ちょっと自立が難しい。筆者の場合はバンダイのフィギュアスタンド「魂STAGE ACT.4」を使用してみた。

 このスタンドを使うと、ハリアーを空中に持ち上げた状態で飾れる。やっぱり飛んでこそスペースハリアーだ。安定して飾るためにはフィギュアを支えている部分を加工しなくてはいけないとは思うが、やはり空中に浮かぶハリアーを実現できるのはうれしい。色々な角度から眺めてしまう。「ベルトに1個1個プレートを貼るのは、結構手間だったな」など、作っていたときの記憶も思い出す。

 「1/12SCALE ハリアー」には、ボーナスパーツとして1/24のハリアーフィギュアも付属している。これは後述する「1/24SCALE IDA アイダ」と遊ぶためのもので、色分けも少ないが、造形はよくできている。塗装に挑戦するのも楽しいだろう。空を飛ぶハリアーをイメージし、1/12のフィギュアとポーズが違うところもうれしい。

【ハリアー完成!】
キャノン砲が重量があるので、スタンドなしの自立は難しい
スタンドを使い、浮遊するイメージで飾ってみる。やはり飛んでこそのハリアーだ
1/24ハリアー。小さいが、顔の表情や、筋肉、キャノン砲などしっかり造形されている

まさに“塊”! 巨大な人面岩「アイダ」の目を光らせる!

「1/24SCALE IDA アイダ」。ハリアーフィギュアを置けば、ゲーム内の光景が蘇る
内部は空洞、頭頂部がフタになっている。ペン立てにも利用できる
小さなライトを入れて、目を光らせてみた。内部にアルミホイルを敷き詰めるなど、ちょっとした工夫をしてある

 もう1つの商品、「1/24SCALE IDA アイダ」を紹介しよう。「IDA(アイダ)」は2面から登場する敵で、モアイを思わせる巨大な人面岩だ。アイダは破壊できる障害物として高速で迫ってくるだけでなく、空中を飛翔し火炎弾を発射してくるほか、集団で高速飛行した形のボスとしても登場する。画面に迫ってくる巨大な顔に、プレッシャーを感じたプレーヤーも多いだろう。

 「1/24SCALE IDA アイダ」は、この威圧感のあるアイダを結構重みのあるレジンキャストで再現している。全高は12.5cm、重さは430g。机に置いておくとなかなかの存在感を放つアイテムだ。中は空洞で、頭頂部分が外れ、小物入れとしても活用できる。フタを外したまま、ペン立てに使うのも良いかもしれない。

 アイダは赤く光る目が特徴だが、商品では赤いレジンパーツと、クリアレッドのパーツが用意されている。クリアパーツを使う場合、頭の中に小さなライトを仕込めば、目を赤く光らせたアイダを再現できる。説明書では小さなライトスタンドを2つめの位置に光源が来るように加工する例が挙げられている。スタンドは100円ショップで販売されているという。

 筆者も100円ショップに行ったのだが、ぴったりのミニスタンドは入手できなかった。そこで小さなペンライトを買ってきて、内部にアルミホイルを入れて光らせてみた。何とか光らせることはできたが、ホイルとライトの使い方などもう少し工夫したい。フタの裏部分にホイルを入れるなど、試行錯誤を重ねたいところだ。

 こちらには単色ではあるが、「腰掛けたポーズのハリアーフィギュア」が付属している。タイトル画面を意識したポーズのフィギュアだ。さらに「1/12SCALE ハリアー」の1/24ハリアーフィギュアを使うことで、対決シーンを作ることも可能だ。もちろんスケールを考えず、1/12のハリアーと並べて飾るのもアリだろう。正直、アイダ単品だと、「なにこれ、モアイ?」とかいわれそうだが、ハリアーと並べておくことで、「アイダのフィギュアなんて出てるのかよ! すごいな!」とコアなファンは感心してくれるだろう。

 「1/12SCALE ハリアー」、「1/24SCALE IDA アイダ」は「スペースハリアー」ファンにはたまらないアイテムだ。筆者自身、「スペースハリアー」は大好きなゲームであり、このフィギュアを作ることができたのはとてもうれしい。ゲームキャラクターはアニメなどに比べると立体化されることも少ない。このチャンスに、“あの頃の思い出の結晶”を手に入れてみてはいかがだろうか?

【アイダで遊ぶ】
目のパーツは2種類。クリアパーツを使うことでライトを活用できる
今回は100円ショップのミニペンライトを内部に入れてみた
同梱の座った状態のハリアーフィギュア。ゲームのタイトル画面をイメージ
1/24ハリアーを使って、ゲーム内の戦闘シーンを再現してみた。迫ってくるアイダは大迫力だ

(勝田哲也)