「RDR2」短期集中連載「大悪党放浪記」

「RDR2」短期集中連載「大悪党放浪記」

第4回:「RDR2」の魅力はやっぱりストーリー!愉快な仲間たちとの絆の深さを楽しもう

 よぉ、「レッド・デッド・オンライン」もついに始まったけど、「RDR2」はもうクリアしたかい!? 今回は俺もストーリーを最後までクリアしストーリーの終わりを見ることができた。実はラストには大きな秘密があるんだが……それは触れないでおこう。

 俺は実は今回かなり駆け足でストーリーをラストまで進めてみた。そんな中で特にプレイしていて魅力的に感じたのは、やはりダッチ率いるギャングの仲間たちの存在だ。というのも今までのロックスターのゲームといえば、チームで活動するというよりは主人公1人の物語が多かったように思う。「RDR」でも協力者とともに行動することはあっても、主人公のジョンは基本的に1人で活動していた。「GTA」でも「GTAV」は3人の物語だが、基本的には個人の物語だった。

 一方で、「RDR2」ではダッチを中心としたダッチギャングのメンバーたちがメインストーリーの中心にいて、主要メンバーのダッチやホゼア、ジョン以外にもビルやハビア、マイカなど癖がありまくりの仲間たちのストーリーが複雑に絡み合って、メインストーリーを構築していたのは間違いない。今回俺が一番グッときたのは、この“仲間たち”なんだよ。

 そこで今回は「RDR2」のメインストーリーの魅力とともに、ギャングの仲間たちの魅力について語っていきたいと思うぜ。

 そして突然だが、今回が“「RDR2」短期集中連載「大悪党放浪記」”の最終回となる。今俺は「レッド・デッド・オンライン」の生活を始めている。こちらでの仲間達との繋がりもぜひみんなに伝えていきたい。期待して欲しい!

大家族のようなギャング生活、これまでのロックスター作品とは違う“仲間”の楽しさ

 「RDR2」ではメインストーリーを進める上で中心になる主要なキャラクターが何人かいる。それがダッチやホゼアだ。彼らはアーサーより上の立場から、ダッチの立てる“計画”の指示を与えてくるので、それを進めていくのがメインストーリーの中心となる。

 時に突拍子もない計画だったり、シンプルでわかりやすい強盗の計画だったりと、指示される内容は様々だが、彼らの指示でダッチギャングが動く時、物語は大きなうねりとともに、前に進んでいくことになる。そのため、メインストーリーをあまり進めたくない時はあえてダッチやホゼアの元には近付かず、他のキャラクターたちが仕掛けるミッションや他のサブミッションを進めていれば、ストーリーは大きく動かない事が多い。

【愛すべき我がダッチギャング】
ダッチギャングのメンバーは人種、職種、性別、年齢問わずの様々な奴らが集まって構成されている。男女比が均等に近い割に、アビゲイルとジョン以外はほとんど男女の関係性がないのも面白い

 このダッチやホゼア以外のキャラクターとの会話から展開するメインミッションでは、ジョンやビルたちが彼らなりの独自の調査などから得た情報を頼りに様々な儲けの話を持ちかけてくる。ここは「RDR」など従来のロックスターのゲームのように1人で行動していた頃とは大きな違いが1つある。「RDR2」の場合、みんなの目的がギャング全体の利益ということなんだ。みんなで一儲けしてみんなで楽しくやってこうという、みんなのためにみんながそれぞれ頑張るという「One for All」の思いが感じられるんだ。

 例えばジョンが持ちかける列車強盗のミッションでは、結果的には法執行官に追われて大変な目にあうが、客車の金持ちたちから得た多額の利益がギャング団の財布を潤すし、ビルが声をかけてきた馬車強盗のミッションだって、想定外の追っ手が登場することになるが、最終的にはそれなりの金がギャング団に流れてくることになった。

 面白いのはそれぞれ立案するキャラクターの個性が非常に強く出ている点だ。ジョンの場合はかなり慎重に準備を整えたり、メンバーを厳選するなど計画を密に練って行動するのに対して、ビルの場合だと当初の話では楽勝だからということで大した準備もせずにちょっとそこらにおつかいに行くような感覚で馬車を襲撃したりするなど、キャラクターごとの個性が活きたストーリー展開になっているので、こうしたミッションをこなしていくことで他の仲間たちへの愛着も湧いてくる。

【ジョンの立案による列車強盗】
ジョンの列車強盗のアイデアは線路のど真ん中に頑丈な馬車を置いて列車を停止させてから、車内の金持ちどもの金を奪うという作戦だった。アーサーも思わず「妙案だな」と感心する作戦だったが、早い段階で法執行官に追われる事になった

 ダッチギャングの仲間たちはそれぞれに役割がある。例えばピアソンは率先して戦うことはないが、毎日うまい飯を作ってくれる。また、女性陣たちの多くは戦いには参加しなくても、街で情報収拾をして、儲けのチャンスを探ってくれたり、キャンプ内の家事を担当したりしてくれている。こうした普段戦闘に参加しないようなメンバーたちとの行動もメインミッションに絡めてくるところが「RDR2」の面白いところなんだ。

 例えば、キャンプの女性陣たちがギャング団のためにみんなで一緒に街に行って情報収拾しようといって馬車で街に向かうミッションでは、移動中もみんなが陽気に下品な歌を歌いながら移動するし、街に出てみんな別行動で情報収拾するような時も、予定の時間になってもなかなか全員が集合しないと思ったら、カレンだけがホテルで変な男に捕まって乱暴されそうになってるのを助けたりと、ド派手な銃撃戦にはならなくても、驚きの展開が待っている。

【タフな女達】
普段はキャンプから外に出ない女性メンバーのカレン、メアリーベス、キャリーの3人を街に連れていくミッションでは、馬車を使ってアーサーとおじさんの2人が先導し、街で色んな情報を収集してきてくれた
俺は、セイディとピアソンとの喧嘩がきっかけのおつかいミッションが大好きだ。このミッション以降、セイディの服装は今までの女性らしいスカートから男らしいガンマンのようなパンツルックに切り替わる

 特に好きだったのはピアソンとセイディとのキャンプ内での喧嘩がきっかけで、セイディと一緒におつかいにいくミッションだ。目的は買い物のほかに、ピアソンから手紙を出す用事も頼まれるんだが、セイディはなんとそのピアソンが出そうとしていた手紙を勝手に読み始めてしまうんだ。常識外れながらも奔放なセイディの性格が出ていて、好感度が大幅にアップしたな。帰り道では他のギャングたちに襲われて銃撃戦が開始する事になるんだが、そんな危機的な状況であっても、臆さず敵のギャングたちを次々と撃破していく。しかも楽しそうに戦っているのを見ていると、本当にギャング向きの性格なんだな、と感心させられた。

 「RDR」含む「GTA」シリーズなどこれまでのロックスターのゲームと比べると、「RDR2」には“孤独感”が少ないように感じるのも不思議な感覚だった。アーサーがキャンプに帰ると仲間たちはすれ違いざまに様々な声をかけてきてくれるし、時には相談事を持ちかけてきたり、悩みを打ち明けてくることもある。逆にアーサーが望めば悩みを聞いてくれるような場面もあった。

 ダッチは事あるごとに、ギャングの仲間たちを「家族」と呼んでいた。当然ながら血も繋がっていないし、人種すら異なる奴らが集まっているのだが、確かにそこには1つのファミリーがあったんだ。

【何かと突っかかってくるマイカ】
マイカはストロベリーで捕まったり、派手に暴れまわったりでアーサーは最初からずっと気に入らない様子のようだ
【レニーと泥酔】
レニーと酒を飲みに行った時はかなり陽気に飲みまくって、ド派手に暴れまわっていたのが面白かったな。この辺の酔っぱらい描写も、幻覚が見える状態を再現したりと、さらに工夫されていて面白い

最後の最後で悪徳プレイが鈍る苦悩

 こうしたダッチの仲間と共に家族のような生活をしつつゲームを進める楽しさは、本連載で悪徳プレイを続けていた俺をかなり困惑させる事になった。例えば第1回目でも触れたが、キャンプ内ではメンバーたちとの会話を楽しむことができるが、ここでは挨拶するか敵対するという選択肢が出てくる。悪徳プレイのためにと最初のうちは意識して敵対する会話を選択し、メンバーたちの動向を楽しんでいたが、そのうち仲間達との絆を壊すのが怖くなってきて、気がつくと敵対的な会話をすることはほとんどなくなってしまった。

 また、メインストーリーを進めていく上で悪徳プレイが原因でかなり時間がかかってしまうことになった。というのも、後半になるほど目的地が遠くなる事が増えてくるので、どうしても移動中に色んな人に出会ってしまうんだが、偶然出会った見知らぬ人を迂闊に殺したり、脅したりしてしまうと、当然手配される羽目になり、目的地のミッションが閉じてしまう羽目になる。メインストーリを進めている最中にこれが発生するのはかなり厳しい。

【ハビアにぶん殴られる】
悪徳プレイの時にも紹介したが、キャンプメンバーを相手に会話する時に敵対ばかりを選択していると、近くにいるメンバーに殴られて気を失ってしまう。ハビアに殴られるなんて想像もしていなかったぜ。後半はなんか嫌われるのが不安であんまりやらなくなっちまったな

 特に都会であるサンドニの警備はかなり厳しく、手配が解除された後もしばらくは監視の目が残っており、街に入っただけで手配が復活してしまったり、法執行官の数が多かったり、法執行官の移動速度が速かったりでかなり苦戦しまくった。そのため、後半はあまり悪徳せずに進めることになっちまった。

 目的地が遠いため、駅馬車を使いたいところだったんだが、懸賞金がかかった状態では駅馬車は使えない。もちろん懸賞金を払ってチャラにすればいいんだがそこは意地を張って懸賞金を維持したままで進めていたので、余計に時間がかかっちまったんだ。

【悩みを聞いてくれるカレン】
アーサーがカレンに悩みを打ち明けるシーンもあった。自分でもなんでかわからないのに罪もない人を虐殺してる……って正に俺のプレイに対する非難をアーサーがしているって事か!? 他のプレーヤーは気にしないんだろうけど、悪徳プレイをしてた俺はこのセリフでかなりビビったぜ

 そしてなにより、アーサーの行動そのものが、後半になるほど仲間への想いが強く感じられていくんだ。アーサーの仲間への想いを見ていると、どうしても仲間を助けたりなど、悪徳とは正反対の行動ばかりになってしまった事もあり、最後の方は名誉レベルは低めのままだがやってる事は完全に“いいひと”になってしまった。この辺は徹底しきれなかった自分の不甲斐なさを感じるところもあるが、アーサーに感情移入すると、悪漢を貫くことはできなかった。

 もう1つ、実は筆者には心残りがある。ストーリーの進め方についてだが、まだクリアしてない人は焦らず、サブミッションなどのサイドストーリーを進めつつ、メインストーリーをプレイするのがおススメだ。というのも、サブミッションで登場する「見知らぬ人」はどいつも個性的でユニークな連中ばかりだから、こいつらと出会わずにプレイするのはもったいない。

 また、時代背景なども見えやすくなるので、サブミッションを見かけたら迷わずそちらを優先して進めながら、メインミッションを少しずつ進めていくのが、「RDR2」を骨の髄まで楽しむプレイスタイルだと思う。俺はストーリーの最後を早く見届けたいために、途中からサブミッションの一部をスルーしてプレイしてしまった。ここはちょっと後悔しているところだ

【ショーンを救出】
アーサーが仲間の事を何より考えているのはセリフの端々からも感じられる。厳重に指名手配されたブラックウォーターにショーンを救出に出かけた時、救出したショーンに向けたこのセリフは、オチはジョークだが、半分は本心だと感じられる

悲しくも非情な現実を感じさせられる渋いストーリー展開

 「RDR2」のメインストーリーは前述のように仲間たちとのふれあいの場でもあり、各キャラクターの個性が光る場でもあった。だが、やはりストーリーの中心となるのはダッチの進める金儲けの“計画”だ。

 ダッチの“計画”は、時に潜伏して裏で活動して資金を集めたり、保安官の懐に飛び込んで協力したり、ほかにも地元の権力者と繋がることで情報を得たり、資金を提供してもらうなど、バリエーション豊かだ。そして巨大な勢力に協力する場合もあれば、巨大な勢力に喧嘩を売って派手なバトルを展開する事もあるなど、大胆不敵なものばかりだ。そのため、指示を受けて行動していると、こちらがドキドキしてしまうような事も多く、改めてダッチの悪の才能に感心させられる。

【頼もしいダッチ】
チャプター2では潜伏してほとんど表に出てくる事なく、みんなが裏で動いて金を稼ぐ“計画”だったが、チャプター3以降になると、積極的に色んな人と交流して協力者を募ったり、権力のある者に近付いて利用しようとしていく。こうした“計画”の違いもダッチの変化に現われているのだろうか?
ダッチが“計画”だけ、口だけの策士だったら誰も付いてこなかったかもしれないが、ダッチは単独で戦っても2丁拳銃の凄腕ガンマンというのがまたカッコいいんだよな

 だが「RDR2」のストーリーは総じて見ると決して明るいものではない。なぜなら「RDR」シリーズの共通するテーマが、時代の流れとともに段々と勢力が弱まっていく西部の無法者たちの没落だからだ。詳しい内容については言及を避けるが、本作でもそれは例外ではなく、少しずつ勢力が弱まっていく過程をギャングメンバーの中心人物の1人であるアーサーの視点から見届けるのが本作の最大の醍醐味なのだ。

 とはいえこれまでの旅の中で思い入れの深くなった仲間たちがどうなっていくのか、その過程を見届ける事はいわばアーサーの使命とは言え非常に物悲しく切ない。後半に向かうにつれ、容赦なく追い詰められていくギャングたちと、仲間を守りたいと願うアーサーの思いが物語をドラマティックに展開させる。そんな中、アーサーは仲間たちに何を告げるのか、ダッチギャングの行く末は一体どうなるのか、これを最後まで見届けることこそ、「RDR2」最大の魅力だと俺は思う。

 ぜひ、みんなも西部劇の映画を1本見るような感覚でアーサーたちの行く末を見届けてみてほしい。そこには「RDR」シリーズならではのお約束とともに、衝撃の展開が待っているはずだ。

【仲間達とのかけがえのない思い出】
釣りから戻ってきた3人のカットシーンでは、アーサーとホゼアに「お前たち2人がいれば、必ずうまく切り抜けられる」と語っており、これがおそらく本心なんだろうなと感じている。実際ホゼア、アーサー、ダッチの3人で一緒にいる時のダッチの表情には心なしかゆとりがあるように見える
夜のキャンプでは、焚火を囲んでみんなで歌を歌ったり雑談したりと陽気に過ごしているのがわかる。仲間を救出した日の夜はお祝いのパーティも大事な思い出だ