コメディアンBJ Foxの脱サラゲームブログ
連載第13弾
新年明けたからイングランド人の僕がついに「FIFA」を語るよ! ゲームはゲーム、「FIFA」は「FIFA」というのがイングランドのカルチャーなんだよね
2019年1月9日 12:00
年末年始の休暇でイギリスから日本に帰国した後の時差ボケで、翌朝、午前4時に起きて、また寝ようと頑張ったんだけど、無理だと諦めて5時くらいに起き上がった。
そろそろイギリスで夕方から行なわれる試合「マンチェスター・シティ対リヴァプール」が始まるし、マンチェスター・シティとリヴァプールはプレミアリーグの1位と2位だし、登録している配信アプリDAZNでもみちゃおうという思いもあった。
ホームのシティが2−1の勝利に終わったホットで緊張感に満ちた試合を見終えて、サッカー熱心の僕は、もともと観戦したくて時差ボケをただ口実に使っていただけかもしれない。
僕はサッカーが大好きだ。プレイも観戦も。しかもイギリスの場合、年末年始が外が寒いのにサッカーに関しては一番熱い時期だ。他のヨーロッパの国々のリーグがウィンターブレーク(冬の中間休憩)に入るが、イングランドのプレミアリーグは全く逆の方向で、1週間に各チームが4試合ずつプレイするという、とんでもないスケジュールが始まる。
もちろん、ロンドンの冬休みには、僕がサポートしているフルハムの試合を観に行った。1-1で引き分けに終わった残念な結果だった。去年4年ぶりにプレミアリーグに戻って来た、フルハム……そうそうあのフルハム、稲本選手がいたフルハムは、リーグの最終位に陥って厳しい状況にあるわけだ。
プレミアリーグの状況が厳しいかもしれないが、帰りの飛行機でプレイしたNintendo Switch版「FIFA 19」のUEFA Champions Leagueの大会で、フルハムがユベントスと同じグループに入っていたにも関わらず、見事グループステージを突破して無事にベスト16まで進出できた!
「レッド・デッド・リデンプション2」では、西部劇のカウボーイになりきらせてくれる。「スパイダーマン」では、スーパーヒーローになりきらせてくれる。「FIFA」は、サッカー選手になりきれるゲームというよりも、情けない結果ばかりを見せられている好きなチームのリアリティを忘れさせてくれるゲームだよ。
さっき「サッカーが好きだ。プレイも観戦も」と書いたけど、もう1つ「FIFAも」も入れるべきだ。「FIFA」シリーズがあまりにもイングランド人に定着していて、面白いことには、英単語の“FIFA”と言うと、本来の“国際サッカー連盟”よりもゲームのイメージが先に浮かんでくるくらいだ。
イギリスや、もしかしてヨーロッパ全体では、「FIFA」シリーズはゲームとは別の枠に入っていると言っていいくらいの人気だ。ゲーマーでなくても、平気で「『FIFA』はやるよ」と言うし、「FIFA」シリーズのためだけにゲームコンソールを購入する人もいる。僕もこのコラムを書かせていただいて月に2回くらい自分がはまっているゲームを紹介することとなっているのに、これまで1回も「FIFA」を取り上げようと思わなかった。もしかして頭の中で、ゲームはゲームで、「FIFA」は「FIFA」という風に区別されているからもしれない。
僕にとって最初の「FIFA」は、SNES(スーパーファミコン)向けだったが、ニンテンドー64時代からPS2時代にかけてコナミの「International Superstar Soccer (実況ワールドサッカー)」や「ProEvo(ウイイレ)」に移籍した。いま、大学の寮のゲームの「支配率」を思い出したら、N64の「007」かPS2の「ProEvo」が大半だった。でも、Xbox 360/PS3時代と同時に、「FIFA」の時代も始まった。日本では「ウイイレ」が人気だけど、イギリスでは長年完全に「FIFA」が市場を独占してきた。「ウイイレ」は、マンチェスターユナイテッドが強かった時代について語るときと同じ口調で“昔強かったねぇ”と、昔話の中で語られる存在だ。
なぜあんなに強かった「ProEvo」が「FIFA」に追い抜かれてしまったのか? なぜ僕が「ProEvo」から「FIFA」に再移籍したのか、正直、覚えていない。「FIFA」の方が公式ライセンスが多く、友達全員が「FIFA」にして僕もそれに引っ張られただけかも。
今は言い訳となるが、以上の「ゲームはゲームで、『FIFA』は『FIFA』」という感覚で、サッカーゲームに関しては、そこまでレビューを読んだりフィーチャーをチェックしたりせずに、新作が出る度に惰性でプレイしている。とはいえ、ずっと「FIFA」がシリーズを通じて、細かいディテールを再現することで表現しているサッカー愛を、僕はファンとしてリスペクトしている。「開発元がアメリカの会社のカナダスタジオ(編注:Electronic Artsの開発スタジオEA Montreal)のくせに、わかっているね」と「FIFA07」からずっと思ってきた。プレーヤーの動きのリアルさとか、常に追加されているリアルライフアップデートとか本当に良くできている
あと、どのタイミングだったか覚えていないが、試合中の実況解説も、訳のわからない、タイミングが超外れているまったくダメなものから、これがゲームであることが信じられないような自然かつ豊富なものに切り替えたね。
PS4の圧倒的なビジュアルに慣れちゃって野原の美しい夕暮れのリアルタイムライティングが当たり前のようになっている今でも、「FIFA」をプレイして珍しい実況解説が流れると「あの選手のあの組み合わせのあのプレイのためにあの実況のセリフを用意したのか」と驚かされている。
昔のサッカー選手のインタビューポッドキャストを常に聞いているくらいにサッカーファンの僕は、元アーセナルのフォワードのAlan Smith(アラン・スミス)のインタビューを最近聴いた。自伝のプロモーションをやっていたらしい。スミス選手は、イングランドのリーグの歴史の中でも1番有名な、1989年の伝説試合で1得点1アシストで大活躍した選手として知られている。と同時に、英語版(もしかしてイギリス英語版?)の「FIFA」の実況も担当している人物だ。
あの試合は、シーズンの最終日に1位のリヴァプール対2位のアーセナルの間に3点の差があり、偶然にも最後の試合が1位と2位の対決となっていた。アウェイのアーセナルが2点以上の差の勝利を収まらないとリヴァプールが優勝してしまう絶望的な状況だったのに、スミス選手の後半のゴールとロスタイムのアシストのおかげで、アーセナルが2−0で勝った、伝説の展開だった。2回も映画化された試合だよ! が、インタビューでは、スミス選手が、自分の娘が父のことを元イングランドの伝説的なサッカー選手ではなく、「FIFA」の声の人だと、友達に紹介しているという、半分残念な、面白い話を語ってた。「FIFA」の時代だね。
実況の話に戻ると、ちょうどハマってた時期、2002年~2007年の「ProEvo」の英語版の実況していた人が2018年に亡くなった。Peter Brackley(ピーター・ブラックリー)氏は、長年イギリスのテレビで サッカーの解説・実況を担当して、僕が若い頃、数が数えきれないくらいの試合で彼の声を耳にしていただろう。でも、ニュースなどで彼を記念した追悼動画などで彼の声を久しぶりに聞いたら、テレビの試合ではなく、やっぱり友達と「ProEvo」大会で大学の寮生活を満喫していた思い出に襲われた。
僕が「FIFA19」とサッカーゲームに関して言いたいことは以上です。雑だけど、時差ボケをまた口実にさせていただきます!
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