先行レビュー

ディアナとの交流要素などが判明! 「プラグマタ」最新バージョンを先行プレイ【TGS2025】

コミュニケーションを通じて、ディアナのさまざまな一面が見られる!

【プラグマタ】
2026年 発売予定
価格:未定

 2026年にプレイステーション 5/Xbox Series X|S/PCで発売予定のカプコンの完全新規タイトル「プラグマタ」。パズルとアクションが融合した全く新しいバトルシステムが最大の特徴だ。弊誌では8月に本作を先行プレイし、ゲームの基本部分をご紹介した。

 そして今回は、前回とは別の最新バージョンをプレイする機会を得られた。以前のバージョンにはなかった拠点による強化や、ゲームバランスの調整。さらに、共に戦う少女型アンドロイド「ディアナ」との交流なども体験できた。カプコン「プラグマタ」ディレクターの趙 容煕(チョウ ヨンヒ)氏やプロデューサーの大山直人氏へのインタビューも交えながら、新要素を中心にプレイフィールをお届けしたいと思う。

装備やディアナの強化でストレスの無いバトルが楽しめる

 宇宙の月面施設を舞台にしたSF作品となっている本作。カプコン「プラグマタ」ディレクターの趙 容煕(チョウ ヨンヒ)氏によると「プラグマタ」のSF観はハリウッド映画の様なものではなく、ジャパニメーションのSFのカッコ良さを取り入れたと語った。

 そういった理由もあってか、本作の世界観は「マクロス」や「アクエリオン」でお馴染みの河森正治氏に監修を協力してもらったとのことで、リアリティのあるSFの世界観が構築されている。

ディレクターを務める趙 容煕(チョウ ヨンヒ)氏
おじさんと少女のバディというのも、どこか日本的な雰囲気を感じさせる

 先にも少し触れたが、本作のバトルはパズルとアクションを同時並行で行っていくという斬新なシステムこそが最大の売りとなっている。

 主人公「ヒュー」の敵となる「ボット」は基本的に装甲が固く、そのまま銃で攻撃をしても大きなダメージを与えることができない。その厄介な装甲を解除させるにはディアナの「ハッキング」が必要になる。

 このハッキングがこのゲームの肝となっており、戦闘中で敵がリアルタイムでこちらを襲ってくる中、パズルを解くことで敵の装甲が剥がれて守りは弱くなる。ここで攻撃することでしっかりダメージが入り、ボットを撃破可能になる、というのが戦闘の流れになっている。

本作ならではの戦闘システム。パズルとアクションというと一見大変そうだが、慣れてくるとパズルを解く達成感と、装甲を失った敵をサクッと倒せる爽快感の両方を同時に味わえて非常に気持ちが良い

 アクションとパズルが融合した斬新なシステムが生まれた経緯について、趙氏は「ただ銃を撃って敵を倒すだけのアクションシューターにはしたくない」というコンセプトが当初からあり、その中でディアナとヒューという2人のキャラクターで“ハッキング”と“アクション”という2つの要素をゲームに落とし込んだとのこと。

 新しい試みだけに形にするのは難航したようで、開発初期の段階では「新しいゲーム性だけどコレは本当に面白いか?」という疑問の声も開発チーム内では上がっていたそう。純粋なアクションシューターにした方がという意見と、パズル要素は活かすべきという意見に分かれるほどだったと言う。

 初期はパズルとアクションがセパレートされた形だったが、開発を進める中で2つの要素がちょうど良いバランスで融合でき、今のゲーム性に固まったそうだ。

ゲームとして面白い形になるまで、かなりの苦労があったようだ

 戦闘はリアルタイムでパズルとアクションの両方を同時に行う都合上、従来のアクションゲームよりも敵の動きがゆったりしているスローテンポなゲームバランスになっている――と、以前試遊したバージョンでは感じていた。

 しかし最新のバージョンでは敵の耐久力が上がり、のそのそと歩いていたボットは、キビキビとした動きで殺意を持ってこちらに迫ってくるようになっていた。そうとは知らず、初めは呑気に構えてハッキングをしていたら、想像以上の速さで敵がブレードを振り回してきたのには驚かされた。

 試遊版が初出展されたアメリカでのイベント「Summer Game Fest: Play Days」や現在開催されている東京ゲームショウ2025のバージョンはあくまでもハッキングの部分を初見プレイで楽しめる仕様に調整されていたが、今回のものは製品版に近いゲームバランスになっていた。アクションとハッキングという2つの行動を瞬間瞬間で的確に切り替える必要があり、以前にはなかったスリリングなバトルが楽しめた。

パズルを解いていようが容赦なく襲い掛かってくるので、敵に近づかれたらすぐにハッキングを中断して回避という、行動の切り替えが重要

 製品版の難易度に近くなった理由でもあるのが、今回のバージョンでは新たに「拠点」の要素が追加されていた。拠点では、ヒューのスーツや武器の強化、ディアナのハッキング能力を強化でき、これによって戦いを有利に進めることができる。

 強化にはゲーム中で獲得できるポイントや「強化コンポーネント」と呼ばれるアイテムが必要になるので、どの能力を優先的に強化させるかなどは、プレーヤーによって個性が出そうなポイントである。

 この成長要素の導入もしっかりゲームバランスを考慮されたもので、ゲームが進むにつれて敵の動きのテンポが速くなり、さらにパズルの難易度が上がっていくのだが、ただそれだけではプレーヤーがストレスを感じるだけになってしまうので、その分キャラクターの成長要素でストレスを緩和しながら歯応えを感じられるバランスを目指したそうだ。

新たに体験できた拠点。激しい戦いに備えるため、ここでの強化は欠かせない

 探索するステージ中には中間ポイントが点在しており、ディアナのハッキングで解放すればそこから拠点に一瞬で飛ぶことができる。逆に拠点から解放済みの中間ポイントへ飛ぶこともできるので、移動のストレスが無く快適にゲームが楽しめる設計になっているのも非常に良い。

中間ポイントを発見したらとりあえず解放していこう
拠点から中間ポイントにも飛べるので、気軽に拠点と中間ポイントを行き来できる

ディアナの可愛らしいリアクションがいつまでも見ていられる交流要素も

 拠点では強化の他にもう1つ大事な要素がある。クールで無機質な世界観である「プラグマタ」において華を添えているディアナと、交流することができるのだ。

 何気ない会話を交わしたり、ステージ中で手に入れたアイテムをプレゼントできたりと、まるで“親戚の子供を可愛がる叔父さん”のような体験ができる。

タイトルを発表されたときから、こういった要素を望んでいた人も多いのではないだろうか

 ディアナはアンドロイドとは思えないほど感情豊かで、ボットと戦っている最中でもヒューと軽口を叩き合ったりする場面もあり、その様子は見ていてなんとも和まされる。

 そんな頬が緩むやり取りを拠点では存分に楽しむことができ、今回の試遊では地球儀やをクレヨンをプレゼントした。プレゼントするアイテムによって様々なリアクションを返してくれるので、次から次へプレゼントを与えたくなるという沼にハマってしまいそうだ。

プレゼントをもらって、飛び跳ねながら喜んでいる姿はまさに癒し

 プレゼントを贈った瞬間に特定の会話が入るだけではなく、施設内で自由に動き回っているディアナがプレゼントの地球儀を回して遊んでいる姿が確認できたりと、こだわりの作り込みが伺えた。

 送ったプレゼントは施設内に飾られるので、初めは殺風景だった施設がどんどん賑やかになっていく。プレゼントの種類は結構な数が用意されているようなので収集要素などが好きなプレーヤーならステージの探索がかなり楽しめそうだ。

地球儀で無邪気に遊んでいる姿もとても良い

 会話をしたりプレゼントを贈ることで、ディアナの好感度が上がるなどの要素は残念ながら無いようだが、交流を重ねていくことで“何かしらはある”とのことなので、そこも非常に気になるところである。

 今回、拠点による強化要素とディアナとの交流という要素に触れることができ、「プラグマタ」という作品の新たな魅力を感じることができた。

 基本となるゲーム部分も、以前よりも難易度が高くなっていて最初は面食らったが、プレイしているうちにパズルの解くスピードは向上し、そしてパズルを解きながらも敵の攻撃も警戒するということが自然とできるようになり、プレーヤースキルを実感できるゲームとなっている。

 本作を制作するにあたって、カプコン「プラグマタ」プロデューサーの大山直人氏が「コアゲーマーが満足できるゲーム性と難易度にしつつ、カジュアルゲーマーの人でも楽しんでもらえるよう両軸を大事にした」と語っていた通り、パズル×アクションという未体験のゲームながら誰もが楽しめる作りになっているのを感じられた。パズルとアクションの両ジャンルが得意という人でなくてもプレイしてもらいたいタイトルだ。

プロデューサーを務める大山直人氏