レビュー
「プリンセスピーチ Showtime!」レビュー
ピーチの魅力が舞台で輝く! 衣装によってゲームが変わる仕組みが楽しい!
2024年3月21日 00:00
- 【プリンセスピーチ Showtime!】
- 3月22日 発売予定
- 価格:
- パッケージ版 6,578円
- ダウンロード版 6,500円
任天堂はNintendo Switch用アクションゲーム「プリンセスピーチ Showtime!」を3月22日に発売する。
本作はタイトルの通り、「スーパーマリオブラザーズ」シリーズでおなじみのキャラクター、ピーチ姫を主人公に据え、彼女が「キラメキ」の力で様々な姿に変身し、その能力を使いこなして活躍するアクションゲームとなっている。ピーチが主役になるタイトルは、2005年にニンテンドーDSで発売された2Dアクションゲーム「スーパープリンセスピーチ」以来のことだ。
ドラマチックなアクションゲームである本作を実際にプレイしてのレビューをお届けしていこう。
物語の舞台となるのは“劇場の舞台”!? ピーチが舞台の主役となる
物語は、キノピオが持ってきたチラシをピーチが見たところから始まる。チラシに書かれた「キラメキ劇場」の“夢とロマンと大冒険”の舞台公演のことを知った彼女は早速劇場に赴くが、そこに仮面の人物が率いる「グレープ劇団」が現れ、劇場をまるごと乗っ取ってしまう。中に閉じ込められたピーチは、彼女に助けを求めてきた妖精「ステラ」とともに、公演予定だった劇の舞台へと飛び込んでいくのだ。
ピーチはステラから託されたリボンを通じて使えるようになる「キラメキ」の力で、劇場内で元気を失っている「キャストン」達に希望を与え、グレープ劇団の手下の仮面達と戦い、乗っ取られた劇場を元に戻していくこととなる。劇場のフロアには複数の舞台(ステージ)があり、最初以外は自由に選んで挑め、既定の条件を満たすと次のフロアへの行ける仕組みだ。
ピーチの操作は移動とジャンプ、アクション(キラメキの力を使う)のみとシンプルだが、ゲームの本番はここから。キャストンを助けながら特定の場所まで進むと、特別なキラメキがピーチに宿り、彼女が舞台の主人公へと変身し、アクションもそれに合わせたものへと変化するのだ。
一番最初に挑む「剣士といばらの城」の舞台なら、ピーチがそのタイトルにもある「剣士ピーチ」へと変身。アクションボタンで繰り出す剣技で敵を蹴散らしていく。攻撃してくる敵に対してボタンを押すと回避アクションが発生し、その敵を翻弄して一方的に攻撃することも可能だ。ステージにはあらゆる場所に紫のイバラが生えてきて、ピーチの行く手を阻んでくる。触れるとダメージを受けてしまうので、剣でそれを壊しながら進んでいく。
「激流忍法帖」に登場するのは「忍者ピーチ」。アクションはクナイ斬りだが、剣士とは異なり、忍者走りと忍術で敵の目をあざむき、敵の背後などから近寄って倒す隠密スタイル。挟まれた壁は三角跳びで登っていけるなど、身軽な動きができるのも忍者の特徴だ。ステージには草むらや壁、水中など、身を隠せるところが無数にあり、そこを通ることで、敵の死角を突けるようになっている。またステージ後半には強制スクロールのギミックがあり、巻物を取って使える忍術で水の流れとともに大岩を動かして敵を蹴散らしていく様子は実に爽快だ。
面白いのは、アクションをいわゆるジャンプアクションに限定しておらず、趣のまったく異なるプレイフィールを持ったゲームデザインのステージが存在すること。例えば「パティシエピーチ」は、グレープ劇団に奪われたスイーツを作るのだが、そこでプレイするのはパーティーゲーム風のミニゲームである。素材を泡立ててクッキーを焼き、巨大なスポンジの上にクリームを絞ってホールケーキを作って、スイーツフェスタを成功させるのが目的で、敵と戦うシーンが存在しない。
「フィギュアスケーターピーチ」は、ボタンがスケートのジャンプとスピンに割り当てられ、氷上に投影されたスポットライトにピーチを重ねてボタンを押すという、スポーツゲームテイストのルールが展開。ピーチのスケーティングも優雅で、ただ操作するだけでも自然に滑ってくれるのが見ていて楽しくなるほどだ。
この他にも、「カウガールピーチ」は投げ縄を使った西部劇スタイル、「探偵ピーチ」ならアドベンチャーゲーム風の調査、「マーメイドピーチ」なら歌で魚を誘導するスイムアクション、「カンフーピーチ」はコンビネーションで敵を倒していく格闘アクションなど、その内容はバラエティにあふれている。衣装に合わせた個別のアクションとともにステージもしっかり作り込まれているので、新たな衣装を身に着けるたびに新しいゲームを遊ぶような感覚で楽しめるのである。
舞台の主役はピーチ。彼女の魅力を引き立たせる演出にも注目!
ゲームのシーンが“劇場の舞台”という設定を前提とした演出もまた素晴らしいものがあった。背景の遠景は幕に描かれていて、手前にあるものは主に大道具のセットだ。特定の場所でアピールポーズをすると、セリに乗って“奈落”のボーナスエリアに下りていく。シーンによっては舞台全体がぐるっと転換するなど、大がかりな演出に驚かされることも。あえてセットだとわかるような書き割りや照明などで表現された背景も見ていて楽しく、それがゲーム進行のヒントになっていることもある。動くものがマリオネットで登場することもあり、その吊り糸が見えているのもご愛敬だ。
特定のステージには、ストーリーに沿ったボスが登場することも。ボス戦は衣装ごとのアクションやギミックの集大成という感じで、そこまでたどり着くために培ったアクションを使いこなすことで、自ずと攻略法は見えてくるはず。ボスを倒したときのカメラ演出も見どころのひとつなので、お見逃しなく。
またピーチが進む舞台の道中には、「キラメキストーン」という光る石が隠されている。ステラによると「すばらしい活躍をした証」で、劇場の次のフロアへと向かうためのカギとなっている。キラメキストーンは必要な数だけ取っていれば全てを集めなくてもいいが、普通は行かないであろう場所に隠されていたり、条件を満たすと出現したり、カケラを集めることで1個になるようなものがあったりと、初見のプレイでは取り逃してしまうような巧妙に隠されたものもある。クリアしたステージは再度挑戦ができ、全て集めるといいこともあるので、クリア後などにやり込み的に探しに行くのもいいだろう。
もうひとつやり込み的な要素として、各フロアをクリアすると、1フロアに1つ「アクションリハーサル」が登場する。これはステージの特定のシーンを切り取ったチャレンジモードで、ミスなくどこまで進めるかに挑むというルールが展開する。成績によってランクがあり、最高ランクに到達するとご褒美もあるので、フロアクリアのタイミングで挑戦してみていただきたい。
遊んだ誰もが“ピーチ推し”になる、ドラマチックで魅せるゲームデザイン
舞台の“主演”となるピーチのアップになったときの表情やリアクションはかなりこだわって作られているようで、どのシーンも本当に魅力的だ。ゲームのアクションやステージの仕掛け、演出はそれを一層引き立てている。衣装の数だけ違うピーチが登場し、プリンセスのときとは違った“ギャップ萌え”的な活躍を見せてくれる。
その一方で、麗しく優しい本来の彼女が活躍するシーンもあり、両者のバランスも絶妙だ。本作のメインプレイヤーとなるであろうピーチのファンなら一層彼女が好きになることは間違いなく、マリオの繋がりから興味を持って遊んだという人もきっと“ピーチ推し”へと心が傾くはず。
ゲームはハート(5個)によるライフ制で、難易度も適度なところに設定されているのもいいところだ。それでも難しいという人にはハートの数を増やせる「ハートのおまもり」の仕組みもあるので、アクションゲームによほどの苦手意識がない限り、楽しく遊べるのではないだろうか。
映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」でも、主役のマリオを食ってしまうような活躍を見せてファンを魅了したピーチ姫だが、本作では恐らくそれ以上の彼女の新しい魅力を満喫できるので、同時配信中の体験版も含め、ぜひ楽しんでみてほしい。
(C)Nintendo