レビュー

「Fate/Samurai Remnant」レビュー

セイバーと共に駆け抜ける様々なサーヴァントが登場する新たな聖杯戦争

【Fate/Samurai Remnant】

開発・発売元:コーエーテクモゲームス

ジャンル:アクションRPG

プラットフォーム:PS5/PS4/Nintendo Switch/Steam(PC)

発売日:
[PS5/PS4/Nintendo Switch版] 9月28日
[Steam版] 9月29日
価格:
[通常版] 9,680円
[Digital Deluxe Edition] 17,028円
[通常版 + フィギュア DX ver.] 41,680円
[TREASURE BOX] 17,380円
[TREASURE BOX + フィギュア DX ver.] 49,380円

 9月28日発売のアクションRPG「Fate/Samurai Remnant(フェイトサムライレムナント)」は想像以上のボリュームとサプライズに満ちあふれている。

 「Fate/Samurai Remnant」はコーエーテクモゲームスよりPS5/PS4/Nintendo Switch版が9月28日、Steam版が9月29日 発売予定の「Fate」シリーズの最新アクションRPG。江戸時代の日本を舞台に、願いをかなえる願望機“盈月(えいげつ)”を巡る戦い“盈月の儀”を主人公の剣士「宮本伊織」がサーヴァントの「セイバー」と共に戦う姿を描いた作品だ。軽快かつ豪快なアクションによるゲームプレイ、そして魅力あふれるキャラクターたちから「Fate」ファンの注目を集めている。

 今回、発売に先がけてSteam版(PC)の本作をプレイすることができたのだが、内容の濃密さと「Fate」ファンを喜ばせる数々のサプライズに驚かされた。特にストーリー部分はさすが「Fate」シリーズという感じだ。各キャラクターの話や、本作の背景などをじっくり楽しんでいたら、第1章の途中までという物語序盤にも関わらず、気がついたらプレイ時間が5時間を超えていた。また、ゲーム部分についても、マップの探索やミッションなどのコンテンツが豊富に用意されており、長く楽しめるゲームという印象だ。

 本稿では今回のプレイで体験することができた本作の魅力や、新しく知ることができたストーリーや登場キャラクターたちについて紹介していく。基本的なアクションなどは、デモ版のインプレッションでも紹介しているので合わせてご確認いただきたい。

手に現れた謎の痣から始まる物語

 ストーリーの中心となっているのは、浅草の長屋に暮らす主人公の宮本伊織(以下、伊織)。彼はいわゆる浪人で、普段は奉行所の役人・助之進(すけのしん)から無頼退治や、用心棒などの依頼を受けて生計を立てている。そんなある日、かわらず依頼をこなしていた伊織の左手に謎の痣が浮かび上がる。その日から伊織の生活は一変する。

 痣が浮かび上がった晩、伊織は謎の集団に襲撃されて絶体絶命の事態へと追い込まれる。相手の刃が振り下ろされようとした刹那、眩い光と共に古風な装いを纏った人物が突如現れ、伊織は窮地から脱出する。ここから伊織とセイバーの「盈月の儀(えいげつのぎ)」の戦いがはじまる。

「Fate/stay night」で主人公の衛宮士郎とセイバーが出会ったシーンとまったく同じ構図で描かれるこのシーンに旧作ファンの筆者は思わず反応してしまった

 手に突如浮かび上がる謎の痣、自宅に現れる襲撃者、絶体絶命かと思われた瞬間のセイバー召喚など、物語の序盤はまるで「Fate/stay night」をなぞるかのようにストーリーが展開されていく。おそらく何か意味があって過去作になぞった演出をしているのではないかと筆者は勝手に想像している。ストーリーを進めることで、その謎は明らかになっていくだろう。

 今回体験できた物語で伊織たちは、ライダー陣営、ランサー陣営、バーサーカー陣営、そして最後にアサシンのサーヴァントと出会う。簡単にだが、登場した各陣営の人物を紹介していく。

【由井正雪(ゆいしょうせつ)】
ライダー陣営のマスター
伊織を殺害するために奇襲をしかけるも、土壇場でセイバーを召喚されてしまい失敗する。江戸で軍学塾を開いており、多くの浪人に慕われている
【ライダー】
令呪が発現した伊織に夜襲を仕掛けたサーヴァント
全身を黒鎧に身を包み、身の丈ほどもある大太刀を振るう武者
【地右衛門(ちえもん)】
島原の乱の生き残り
顔に幾重にも布を巻き、肌の色も眼光も生気を感じさせない不気味な男
【ランサー】
二本の槍と黒炎を操るサーヴァント
セイバーとライダーの戦闘中に突如乱入し、浅草の町に火を放った
【高尾太夫(たかおだゆう)】
吉原の楼閣・三浦屋の遊女
伊織たちと敵対するように思えたが、情報提供を条件に伊織たちと友好関係を結ぶ。伊織が盈月の儀やサーヴァントについて無知すぎたことに驚き、一から説明してあげるなど、面倒見がいい側面を持つ
高尾太夫がサーヴァントについて説明する場面では、各クラスの絵が日本画風のデザインになっていた
【バーサーカー(宮本武蔵)】
伊織の師匠にして、二天一流の創始者、天下無敵の大剣豪
宮本武蔵が女だった世界からやってきた宮本武蔵。伊織の認識では概ね同一人物だがやや別人
宮本武蔵の宝具「六道五輪・倶利伽羅天像」
作中描写された伊織の師匠(男性の宮本武蔵)
この姿を最初に見ていたため、伊織が女性の武蔵に対して「師匠」と発現した瞬間思わずツッコミをいれたくなってしまった。伊織の理解力とすんなり物事を受け入れる力が凄まじすぎる
【逸れのバーサーカー】
高尾太夫に付き添い、守護している逸れのサーヴァント
高尾太夫曰く「あたしを慕って守ってくれてんのサ」という理由でバーサーカー陣営に協力しているとのこと
【アサシン】
蛇を操るアサシン陣営のサーヴァント
マスターは時計塔に所属する魔術師ドロテア・コイエット
蛇で伊織たちを奇襲するが失敗する

7人のマスターと物語を彩る様々なサーヴァント

 今回の聖杯戦争「盈月の儀」は、今までの過去作で行なわれたものと大きく違う点がある。それはサーヴァントが儀の中心になる7騎以外にも召喚されるということだ。7人のマスターがそれぞれ1騎のサーヴァントを従えて戦うというルールは同じだが、「盈月の儀」ではそれに加えて逸れ(はぐれ)のサーヴァントが召喚される。通常のサーヴァントはマスターとその令呪によって契約が行なわれているため、マスターとは運命共同体として行動する。だが、逸れのサーヴァントは霊脈をエネルギー源としていることから、マスターに依存することなく行動ができる。ただ、霊脈から魔力を補充しているため、召喚されたその地域に行動が制限されてしまう。逸れのサーヴァントが召喚されている理由については未だ謎だが、物語を勧めていくことで判明していくと思われる。今回のプレイでは「ギルガメッシュ」のようなキャラクターが登場していることを確認できた。

【若旦那】
縮緬問屋「巴比論弐屋(ばびろにや)」の若旦那
作中では浅草に縮緬問屋「巴比論弐屋(ばびろにや)」の店舗をかまえており、子供たちに自分を模した飴を振る舞うなど意外な姿をみることができる

 また、作中で流れるオープニング映像では逸れのサーヴァントと思われる7騎のサーヴァントの後ろ姿を確認できた。ここに並んでいない逸れのバーサーカーを入れれば今のところ確認されているのは8騎となる。現在把握できている逸れのサーヴァントは、「ギルガメッシュ」のようなキャラクター、「クー・フーリン」、「タマモアリア」、「アルジュナ」、「キルケー」、「李書文」の6騎。また、逸れのセイバーと逸れのバーサーカーに関しても、SNSなどで様々な真名予想が飛び交っている。筆者も「これなのでは」といった予想も立てているが、今後の展開でどのように判明していくのか実に楽しみだ。

オープニング映像で登場した逸れのサーヴァントたちと思われるシーン

セイバーに振り回される江戸の町

 召喚直後は伊織に対してぶっきらぼうな態度をとるセイバーだが、物語が進み町を歩き始めるとその態度が一変する。町中の動物や出店などに魅了される姿はもちろんかわいいのだが、今回のプレイではストーリーを進めることで様々なシチュエーションで表情豊かに反応するセイバーを垣間見ることができる。セイバーの様々な表情を撮影したので、ぜひ確認してみてほしい。

浅草で買い食いするセイバー
気まずい表情のセイバー
御徒町をエンジョイするセイバー
曲芸小屋が見られなくてふてくされるセイバー
伊織を置いて一人で遊びに行ってしまうセイバー

 セイバーだけでなく、各町も細部までこだわって作られている。例えば浅草では、サーヴァントが戦闘で破壊した家屋などが所々に残されており、それらに住人が集まるなど、そこに暮らしている人々の様子をみることができる。

【浅草】
サーヴァントの戦闘で破壊された家屋
人が集まり、話をするなど細部まで細かい演出が行なわれている
【御徒町】
下級武士が生活費のために朝顔を栽培していたという話があることから、町中には朝顔が多くみられる
【上野】
上野では逸れのライダー「タマモアリア」にも会うことができる

キャラクターの強化

 物語を進め、戦闘や依頼を重ねていくとキャラクターの強化ができるようになる。強化方法には自身のステータスや、特殊能力を追加する「スキル獲得」や、刀の鞘や鍔などのパーツを変更して強化する「拵入替」がある。特に「拵入替」では武器の見た目も変わるので、いろんなパーツを集めてみたくなるはずだ。

【スキル獲得】
スキル習得では新たな魔術の習得やステータスの強化が行える
【拵入替】
攻撃力や防御力の向上だけでなく、武器の見た目を変えたり、特殊な効果を追加することができる

 また、伊織が住んでいる長屋では「魔術工房」の強化や、「霊脈」への接続ができる。「魔術工房」は強化することでも自身のステータスの上昇や、店舗での売買額を増減させるなど、様々な効果を得ることができる。「霊脈」は霊地を広げて力を回収することで、伊織のMAT(魔術)ステータスを上昇することができる。

【魔術工房】
工房の強化には素材となるアイテムを集める必要がある
【霊脈】
霊脈の各マスに伊織を移動させながら自身の陣地を増やしていく

多種多様な敵との戦闘

 サーヴァントをはじめ、本作では様々な敵が登場する。町中では無頼や怪異が蔓延っている場所があり、そこに行くことで戦闘が開始する。こうした敵を倒すことで、依頼の達成やアイテムを入手することができる。

町中の赤い丸が表示された場所には無頼や怪異などがいるため、近づくと戦闘になる

 ストーリーではサーヴァントとの戦闘が頻繁に発生する。今回はライダー、ランサー、バーサーカー、アサシンとの戦闘が行われた。どのサーヴァント戦も気を抜くとあっという間にやられてしまう戦いだ。

 バーサーカー相手に通常の難易度で戦った時、攻撃2発で伊織が倒されてしまい恐ろしさを感じた。なかなかシビアな難易度に感じるが、普通の人間が英霊に立ち向かうとどうなるかをしかと体験することができた。とはいえ、クリアができないわけではない。敵の攻撃を受けないように注意して戦闘を行なえば、セイバーと協力することでいずれは勝つことができる。もちろん、難易度が高いと感じる方用にゲーム難易度の変更も行なえる。戦闘アクションが苦手な人でも安心して楽しめる作りになっている。

サーヴァントの攻撃は強力なので気をつけないとあっという間にやられてしまう
敗北してゲームオーバーになった場合はリトライでその戦闘から再挑戦することができる
難易度変更は設定画面からいつでも変更できる

 今回、「Fate/Samurai Remnant」をプレイして改めて感じた事だが、やはり「Fate」シリーズのストーリーは凄まじい。キャラクターたちはどれも魅力的なうえ、細かいところまでしっかりと考えられている。キャラクターたちの会話はボイスで聞くことができるので、じっくり楽しんでいたら時間があっという間に溶けてしまった。今回、筆者は1章の途中まで体験することができたが、それだけで5時間以上プレイしてしまうほどのボリュームが本作には詰め込まれていた。

 本作は「Fate」シリーズのファンはもちろん、知らない方でもしっかりと楽しめる作品になっている。この機会にぜひ「Fate」の世界に飛び込んでみてはいかがだろうか。