レビュー

「ドラゴンネスト2:エボリューション」レビュー

懐かしさと新しさが垣間見えるシリーズ最新作! 遊びやすくもやり込めるスマホMMORPG

【ドラゴンネスト2:エボリューション】

7月20日 配信開始

価格:基本無料(一部課金制)

 Level Infiniteは7月20日、「ドラゴンネスト」シリーズ最新作となるiOS/Android用アプリゲーム「ドラゴンネスト2:エボリューション」(以下、「ドラゴンネスト2」)の正式サービスを開始した。

 本作はPC用MORPGとして親しまれた「ドラゴンネスト」シリーズの世界を冒険できるオープンワールド型のMMORPG。シリーズではお馴染みの街やキャラクター等が多数登場する作品で、リメイクではなく完全新作となっている。開発元は中国の盛趣遊戯。

 昔ながらの雰囲気を持ったグラフィックスや派手なスキルが飛び交うアクション性等のシリーズらしさは健在しつつ、スマホ向けアプリゲームになった事によるシステムの追加やゲーム性の変化も数多く存在している。今回はそんな本作を早速プレイしてみたのでレビューしていきたい。

【ドラゴンネスト2:エボリューション X 月詠み| グローバルテーマソング [夢と知りせば]】

「ドラゴンネスト」シリーズの世界観で楽しむ新たなMMORPG

 本作では「ドラゴンネスト」の世界観を忠実に引き継いだストーリーが展開されていく。舞台は未曾有の危機が襲いつつあるアルテイア大陸で、プレーヤーは1人の冒険家。様々なキャラクターと交流を深めながら世界各国を渡り歩くことになる。モノリスの扉の解除、征服王フェザーの失踪など、本作ならではの世界観を強く感じられる前日譚が語られた後、新しい冒険の幕が開けるのだ。

 冒険中にはシリーズお馴染みのセントヘイブンやキャデラックに訪れたり、冒険のナビゲートキャラクターには人気NPCだったアイリーンが登場するなど、世界観の繋がりを強く感じとれるポイントが数多く用意されている。

 「ドラゴンネスト」は非常に拘りぬかれた世界設定も魅力の1つとなっている。公式HPでは編年史が掲載されているので、今作から始めるプレーヤーは詳細なキャラクター情報を確認するのも良いだろう。

□「ドラゴンネスト2」公式サイト

冒頭で紡がれる世界設定とストーリー
アイリーンやメイリーと言ったお馴染みのキャラクター達もしっかり登場する。「ドラゴンネスト2:エボリューション」になる事でプラットフォームやシステムが変化しても各所で世界観的繋がりをしっかり感じ取れる作りになっているのは嬉しいポイントだ

 本作では4つの職業から1つを選ぶ。広大なオープンワールドによって再構築された「ドラゴンネスト」の世界を渡り歩きながら、ダンジョンやクエストを達成し、ストーリーを進める事がゲームのメインコンテンツとなる。

 スマホMMOとして見てもかなり広大なマップを自由に探索することができるため、オープンワールドで冒険している感覚は非常に強い。ストーリーを進める中で徐々に解放される所謂ダンジョンの「禁地」では、従来の「ドラゴンネスト」に近いダンジョン探索とバトルアクション、ハクスラ要素等を強く楽しむ事ができる。

 オープンワールドでストーリーを進める壮大感と、「ドラゴンネスト」らしいダンジョン探索要素の両方をしっかり押さえられているのはMMORPGとして安心できるポイントだろう。

プレーヤーが最初に選択できる職業はタンクの役割もこなす近距離アタッカーの「ウォリアー」、遠距離物理アタッカーの「アーチャー」、ヒーラーやサポートを行える「クレリック」、遠距離魔法攻撃が可能な「ソーサラー」の4種。ここからキャラクターを育成する事でより強力なアクションが可能となる上位職へとどんどん転職していく事になり、現状でも初期職業を含めて全28種類の職業がある……!
キャラクターグラフィックを少し懐かしさも感じるようなデフォルメされた可愛らしい等身なのが特徴的。その中でも目の位置や体の膨らみ加減などかなり細かく設定ができる事に加えて、MMOらしい見た目を変化させる装備でのオシャレも存分に楽しむことが可能なため、キャラクリエイト面においても相当楽しめそうである
広大なMAPを乗り物に乗って爽快に駆ける気持ち良さは正にオープンワールドの醍醐味と言っても過言ではない。各所でバトルやクエストを達成してレベリングを行う事で、「禁地」と呼ばれる所謂ダンジョンが次々に解放されていき、強力な敵とのバトルを存分に楽しめる

 バトルアクションは、画面の左側のタッチでキャラクターを移動、右側のタッチでカメラアングルの操作と攻撃アクションやスキルの発動などをできる。スマートフォン向けのMMORPGや3Dアクションゲームをプレイした事があるなら、直感的に理解できるようなスタンダートな作りになっている。

 バトルの基本としては各職業毎の強みとロールを意識しつつ、本作の売りの1つでもあるド派手なスキルを駆使してアクションを行う事になるのだが、本作はMMOの中でもかなりアクション性が強い。タイミングや敵に合わせての攻撃選択、危険な攻撃を察知しての回避アクションは基本として、相手の攻撃をジャストタイミングで回避する事で攻撃力にバフがかかるスキルが存在したり、連続して攻撃を当て続ける事でダメージにコンボボーナスが付くなど、全体的にスタイリッシュなアクションを意識するとでより楽しめる作りになっている。「禁地」で登場するボスやギミックごとにアクションを変化させる必要もあるため、プレイを進めてもかなり歯ごたえのあるゲーム体験が期待できる。

操作は仮想スティックによるアクションが基本。「ドラゴンネスト」らしい派手なスキルを駆使して敵を倒していき、ボスを討伐したりキャラクターを強化したり等、王道なMMO的楽しみ方がしっかりできる
「禁地」の奥地にいるボスモンスターは範囲攻撃や特徴的なギミックを持っていることが多い。攻撃が途切れないようにしてコンボボーナスを稼いだり、ジャスト回避でスキルの攻撃力を上げたりなどアクションの中で意識する事が結構有るのも特徴だ

 そして何よりMMOと言えばマルチプレイ要素だが、本作でもそこはしっかり楽しめるコンテンツが数多く用意されている。多くのプレーヤーと交流できるギルドシステムは勿論ながら、一緒にボス討伐やダンジョン攻略が可能だったり、さらに適当にフィールドマップを歩いているだけでも不意に他プレーヤーとの協力戦闘が楽しめたりなど、オープンワールドならではの良さも出ている。

 基本はソロで一期一会なプレイも良し、ギルドに入ってガッツリ他プレーヤーと関わって友達を増やすも良しと、正にどう遊ぶか自由自在なザ・MMOな遊び方もしっかり可能である。

 他にも生成職業によるアイテム貯蓄と売買、多機能なチャットボードやエモーション等による他プレーヤーとの交流機能、目的地への自動操作ナビゲートや数々のガイド機能など、オープンワールド型MMOに必要なシステムは一通りしっかり押さえられており、ゲームプレイでストレスが貯まる事は殆どなかった印象だ。

フィールドで偶然出会ったプレーヤー同士で協力したり、「アビス」や「ネスト」等の高難易度ダンジョンに挑む際はパーティーを組んだりなどマルチとしての面白さもある。友人同士で一緒に挑んでも良いし、全く知らないプレーヤー同士でパーティーを組んで仲良くなったりなど、楽しみ方は人それぞれだろう

コンテンツ量の多さが何よりの強み!

 全体的に見てMMORPGとしてしっかいした作りが分かった所で、次に筆者が感じた本作の強みについて取り上げたい。まずは何と言ってもその膨大なコンテンツ量だろう。広大なオープンワールドマップの探索にビックリするほど用意された「禁地(ダンジョン)」の数々を進むメインストーリー、PvPを楽しめる「名誉闘技場」や協力推奨の高難易度ダンジョン「アビス」や「ネスト」、NPCキャラクターの好感度上げやそこに伴う多くのサブクエストもある。

 加えて、ギルド限定クエストや時期限定イベントもサービス開始から始まっていたりなど、MMO系ゲームとは言えスタート時点からたっぷり遊べる要素が詰め込まれている。それもかなり序盤から、殆どのコンテンツに触れられるためプレーヤーによっては何をすべきか迷ってしまう人がいるのではと心配になるほどだ。

とにかく遊べるコンテンツが山盛りな印象の今作。当然自分のレベルや実力に見合ったコンテンツを選んでいかないと痛い目を見る事もあるかもしれないが、手探りで色々な遊び方を模索する感じがゲーマーには堪らないだろう。とは言えプレイを強要されるようなコンテンツはないため、ギルドに入ってバリバリコンテンツを巡りまくるのも良し、1人でゆっくりレベリングしながらストーリーを楽しむも良しと、人それぞれ自由に遊ぶ事ができるのも本作の魅力だ

 もう一つは自由度の高すぎるキャラクタービルドだ。まずキャラクターの職業は最終的なゴールとなる2次職業だけで16種類もあるため、その選択からしてプレーヤーによって色が出る部分となる。さらに加えて転職しても進化前のスキルをしっかり引き継ぐため選択できるスキルの数が凄まじい。スキル1つ1つにもレベル設定があるため、自分の戦い方に合わせたカスタマイズをアクション面から可能となっている。さらに各種装備品によるキャラクター強化、竜符による属性ボーナスの強化、翼・アクセサリー・竜珠などの追加装備によるステータス補強などなど、そこそこプレイした筆者もまだ完璧には理解できていないほどビルド要素がたっぷり用意されている。

 その装備品の数々も「禁地」や「アビス」などのダンジョンをクリアーした際にランダムで獲得できる「ドラネス」シリーズならではのハクスラ要素を経てゲットしていく事がメインとなるため、拘りぬいたキャラクターを実現するには(良い意味で)相当沼ってしまうような作りになっているのだ。

どのスキルを重点的に強化していくか、自分が最終的にどの職業になってどのような戦い方をしたいのか等、幅広い選択肢の中から選ぶことが可能となっている
装備のカスタマイズや強化もやり込み要素が満載。「ドラゴンネスト」らしいハクスラ要素で装備品や強化素材である竜符・竜珠を集め、理想的な自分のキャラをビルドしていくのだ

 またストーリー中や各種イベント映像の際に美麗なグラフィックスによるムービーやイラスト等がしっかり作られている事にも注目したい。特にゲーム開始時に流れるムービーは高品質で、世界観に引き込まれる作り。公式YouTubeチャンネルでも公開されているグローバルテーマソングのPVも世界観をしっかり表現できており完成度が高い。

 ゲーム内でもストーリーが進む際にはしっかりムービーが挟まる事もあり、1つのRPG作品としてもしっかりしている。長い歴史を持つシリーズ作品だからこそ世界観に浸りたいというプレーヤーも少なくないかと思うので、随所随所で惹き込むようなムービーを用意してくれている事は強みの1つと言えるだろう。

ゲームムービーやロード画面で表示されるイラストなどは非常に高品質な物で揃っている。ストーリー中に挟まる簡易的なムービーも世界観に引き込むには十分な出来栄えと言える

「ドラネス」知識は予習しておくとさらに楽しめる

 本作独自の強みも分かった所で、逆にプレー中に筆者が気になってしまったポイントも正直に取り上げたいと思う。まずはストーリーが初見だとちょっと分かりづらい点だ。これは強みとも表裏一体なのだが、世界観がとてもしっかりしているため、他作品との繋がりやバックボーンを知っているかどうかでストーリーの印象が変わりそうだと筆者は感じている。

 実際「ドラゴンネスト」を知識ゼロでプレイした筆者は、序盤から所々で「何の事だろう……?」と思う場面があった。ストーリー上起こっている事を理解できないというレベルではないが、前提知識がないと分からない部分もあるため、RPGとしてしっかり世界観に浸りたいプレーヤーや初見プレーヤーにとっては少し悩みのタネになるかもしれない。心配なプレーヤーは、公式HP等に乗っている編年史やキャラクター紹介を読んでおく事をお勧めしたい。かなり細かく世界設定が書かれているため、それだけでも読み物として楽しめるはずだ。

 もう1つはマルチプレイの際のキャラクターボイス問題だ。本作は最初に選んだ4つの基本職業によってボイスが固定なためプレーヤーキャラのボイスは実質4種類しかない。集まったパーティーやフィールドで遭遇したプレーヤー次第では、いたる所から同じボイスが聞こえまくる現象が発生する。隠さずに言うと、場面によってはかなりやかましい状況になる事が多い印象だ。人によっては気にならないポイントだと思うが、今後性別変更や新ジョブなどの要素が増えていく事で解決していく問題でもあるためそこまで心配しなくてもいいだろう。筆者と同じく気になってしまうプレーヤーは音量設定などから効果音を下げる事で調整が可能なため、自分が気持ち良くプレーできる環境を構築するのが良いだろう。

公式HPよりアクセスできる「編年史」
音量意外にもオプション機能でプレー環境を自分好みにカスタマイズ可能!長時間プレーするMMOではここが充実しているかどうかは死活問題だ

 総括すると、MMORPGとしてはかなり高品質な仕上がりかつ、スタートからコンテンツ量もかなり多い事で1つのゲームをとことんやり込むタイプのプレーヤーにはかなりオススメできる作品と言える。

 「ドラゴンネスト」というIPがそもそも強くファンも多い事から、プレーヤーの数も多く見受けられた。まだサービスがスタートしたばかりで周りとのレベル差も気にならない最高のタイミングとなっているため、ガッツリやり込めるMMOに飢えているプレーヤーはぜひこの機会に始めてみてはいかがだろうか。