レビュー
ゲーミングマウス「G502 X」レビュー
2022年11月23日 00:00
どれも良い! 充実の3つのラインナップ
ここまでお読みいただいた方はすでにおわかりの通り、G502 Xは、よっぽどロジクールが嫌いな人か、不運なことについ最近G502を買ってしまった人以外は、勧めない理由が見つからないほど優れたゲーミングマウスだ。ゲーマーが悩むべきは、どのG502 Xにするか。だが、これが実に悩みどころだ。ここからは皆さんが最適なモデルをチョイスできるようにモデル別にオススメポイントを紹介していこう。
史上最高に軽くて快適な有線モデル「G502 X」
無印「G502 X」は、初代「G502」の伝統を引き継ぐ有線モデルだ。無印「G502 X」の特徴は、有線がゆえの軽量さと、ケーブルの進化による有線モデルとは思えない取り回しの楽さ。それでいて第2世代LIGHTSPEED以外のG502 Xのテクノロジーはすべて詰め込まれている。価格は10,890円で、ショッププライスでは1万円を切ってくるだろう。3モデルではエントリーに位置するモデルゆえ軽くみられがちだが、実はダークホース的な存在だ。
軽さについては、無線ユニットがないため当然3モデル中最軽量(G502 X 89g、G502 X LIGHTSPEED 102g、G502 X PLUS 106g)だが、同じ有線モデルのG502 HEROと比較しても30g以上軽い。筆者の計測ではわずか86.6gで、これは先日リリースされた小型マウスG705(85.6g)に並び、最軽量のPRO X SUPERLIGHT(59g)に次ぐ軽さだ。
この光景は往年のG502ユーザーからすれば奇異に映るだろう。G502といえば、“重いマウス”であり、標準で130gありながらさらに18gの重りを加え、最大148gという重量を誇っていた。それが数世代を経て60g近く軽くなったのだから驚きだ。
それにしても89gは軽い。この軽さでG502が使えること自体が素晴らしく、ここに無印G502 Xの最大の価値があると言える。そしてより一層軽く感じさせるギミックが、ケーブルの進化だ。G502は、ケーブルの切断を防ぐために、編み込まれたナイロンで銅線を保護する極太ケーブルが使われていたが、これが硬く、重かった。当事はそれが当たり前だと思っていたし、何より重いマウスだったため、ケーブル重量があまり気にならなかったが、いま改めて持って見ると、ケーブルの重量感を露骨に感じるし、何よりつっかかりを感じ、操作しにくい。当時はマウスバンジーを用いてケーブルの干渉をカットしていたが、それを抜きにしても何の不満も感じずによく使っていたなと思う。
G502 Xのケーブルは、軽くて柔らかく、使っていてまったく気にならない。この点についてはロジクールGの歴代有線ゲーミングマウスの中でももっとも優秀で、マウスバンジーなしでサクサク操作できること請け合いだ。その分ケーブルの耐久性は下がっていることは間違いない。取り回しにはくれぐれも注意したい。
G502 LIGHTSPEEDの正当な後継モデル「G502 X LIGHTSPEED」
G502 X LIGHTSPEEDは、その名が示すとおり、現行のワイヤレスモデルG502 LIGHTSPEEDを、G502 Xにアップグレードしたモデルだ。同じLIGHTSPEEDの名を冠しながら、先述したようにLIGHTSPEEDは第2世代に進化している。G502 Xのデザインと機能を存分に味わえる、迷ったらこれというスタンダードモデルだ。
G502 X LIGHTSPEEDの特徴はバッテリー駆動時間の長さだ。2016年に登場したロジクールGのフラッグシップモデルG900が画期的だったのは、無線テクノロジーのLIGHTSPEEDの導入によりワイヤレスの遅延&混線問題を解消しただけでなく、同時にワイヤレスマウスのバッテリー問題も解決したことだ。
G900登場以前は、ワイヤレスマウスは、遅延や混線といった根本問題以前に、バッテリー問題を抱えていた。長時間連続駆動可能なリチウムイオンバッテリーはマウス向けにはまだ普及しておらず、乾電池駆動に頼らざるを得なかった。G900は、バッテリー駆動でありながら標準で24時間、LEDライトをオフにすることで連続35時間の使用が可能だった。
G502 X LIGHTSPEEDは、LIGHTSPEEDが第2世代にアップグレードしたことで、G502 LIGHTSPEED(約60時間)からさらにバッテリー駆動時間が倍以上延び、なんと140時間に達する。これはG502 X PLUSよりも20時間長い。バッテリー駆動時間は長いに越したことはない。バッテリー駆動時間を延ばすために、RGBライトのギミック自体搭載していない。バッテリーが気になるタイプのゲーマーは、G502 X LIGHTSPEEDがオススメと言えるだろう。
ついにG502に命が宿る!? 究極のハイエンドモデル「G502 X PLUS」
G502 X PLUSは、G502 X LIGHTSPEEDにRGBライトのギミックを導入した最上位モデルだ。RGBライト以外は基本的にはG502 X LIGHTSPEEDと同じと考えて良いが、細かく見ていくとRGBユニットを搭載した分だけわずかに重くなり(102g→106g)、その影響でRGBライトオフでもバッテリー駆動時間も短くなっている(約140時間→約120時間)。当然、最上位グレードとして価格ももっとも高い(19,360円→21,780円)。なお、RGBライト使用時の連続駆動時間は公称37時間まで短くなってしまう。
G502 X PLUSの評価ポイントは、上述した価格を含むいくつかのディスアドバンテージを抱えつつ、最大の特徴であるRGBライトにそれらを上回るメリットを感じられるかどうか、ということになる。その点でいうと、ロジクールは「そのツッコミ待ってました」とばかりに、ゲーミングマウスのRGBライトとしてはかなり工夫を凝らしている。
余談だが、ロジクールGのRGBライトは、他社に比べると地味なものが多く、とりわけマウスは“GロゴがRGBカラーで光るだけ”というあってもなくてもいいレベルのプロダクトが多かった。ワイヤレス全盛となって、バッテリー駆動時間にも悪影響が出る存在として、プログレードのPRO XシリーズではRGBライトが排除されたモデルもある。
RGBライトがゲーマーに歓迎されない存在としてこのまま消えていくのか思いきや、逆にRGBライトを売りにした製品が登場した。2018年に発売されたゲーミングスピーカーのG560だ。スピーカーの背面にLEDを設置し、間接照明でガッツリRGBライトが楽しめるというもので、ゲームの効果音に連動して光で演出するLIGHTSYNC RGBに対応し、ライティングの楽しさを想い出させてくれた名機だ。つい先月リリースされたAURORAコレクションもマウスG705、キーボードG715、ヘッドセットG735、それぞれでRGBライトにこだわっており、ロジクールGはライティングにもこだわりのあるブランドになりつつある。
そうした中で登場したG502 X PLUSのRGBライトは、デザイン変更により新たに設定された、マウスの手のひら部分の三つ叉状の裂け目に設定されている。G502の裂け目と比較すると彫りを深くなっており、その裂け目全体に丁寧にLEDを張り巡らせている。G502は、ゲーミングマウス界の金字塔として、そのデザインはパクられまくっているが、この独創的なLED配置は「これはパクるなよ?」という強い意志を感じさせる。
そして光り方がまた良い。G502 X独自の効果「パルサーポイント」は、まるでマウス自体が息づいているように明滅する。あたかもG502 X自身の鼓動が覗けるような演出となっており、非常に格好良い。個人的に良いなと思うのは、LEDが左側面まで巡っているため、マウスを操作している間にもそのライトを感じられるところだ。総じてG502 X PLUSの魅力は、RGBライトの演出による圧倒的なオリジナリティ。個性的なマウスが欲しいという方にオススメの一台だ。