レビュー
「Age of Empires IV」レビュー
各文明がぶつかり合うリアルタイムストラテジー最新作、基礎からしっかり学べてビギナーも安心
2021年10月29日 00:00
- 【Age of Empires IV】
- ジャンル:リアルタイムストラテジー
- 開発元:Relic Entertainment
- 発売元:Microsoft
- 10月29日発売
- 価格:
- 7,590円(スタンダード)
- 9,680円(デラックス)
10月29日、いよいよMicrosoftのRTS「Age of Empires」シリーズ最新作「Age of Empires IV」がリリースとなる。プラットフォームはPCでXbox Game Pass for PCでも利用可能なほか、STEAMやMicrosoft Storeからでも購入できる。
シミュレーションゲームの中でもフィールド上の時間が絶えず進み続けるため、現場の咄嗟の判断や、巧みなキーボード/マウス操作などが必要となり、最も競技性が強いのがリアルタイムストラテジー(Real-time Strategy、以下RTS)だ。そしてMicrosoftのRTSと言えば、この「AoE」シリーズなのだ。
RTSの魅力と言えば何と言ってもリアルタイムで1つの文明を持つ小さな街を育てて段々と規模を大きくしていき、進化させてさらに国力を増強し、巨大国家にまで育てあげるという育成要素と、同じ条件で育成された他の文明を持つ国とで戦争して優劣を競い合える点だ。
前作「Age of Empires 3」から16年ぶりに発売された最新作「Age of Empires IV」ではグラフィックス表現がさらにリアルに進化した。また、本作の文明はヨーロッパやアジアなど8種類で、再び中世の時代にスポットを当てている。ゲームシステムは街の中心部で町の人を生産し、資源を集めながら建物や施設を建てるなど内政を整え、軍隊を編成して相手を攻め滅ぼすのが目的という昔からのルールはそのままに、初心者向けの機能も充実したRTSタイトルとなっている。
今回のレビューでは「Age of Empires IV」の魅力と各ゲーム要素を紹介していきたい。
より洗練されたシステムとグラフィックスの向上が魅力
「Age of Empires 4」になって先ず一番目を引くのがグラフィックスの進化だろう。4Kディスプレイに接続すると自動で4K解像度に切り替わりより鮮明にビジュアルが表示される。またこれまでのシリーズ以上にカメラでフィールドに寄る事が可能となっており、最大まで寄るとかなり迫力のあるビジュアルが楽しめるようになっているのも最新作ならではの魅力の1つと言える。
システムも洗練された。過去シリーズの中で最も評価の高かった2作目、「Age of Empires II」と同様に中世ヨーロッパの時代を舞台とし、武器としては鉄製の武器や防具から、最終的に火薬を使った鉄砲などの装備まで進化できる時代となる。選択可能な文明はイングランド、中国、フランス、神聖ローマ帝国、モンゴル、ルーシ、デリースルタン国、アッパース朝の8つで、基本システムはそのまま踏襲しながらも、進化のシステムは「Age of Empires III」をベースとしているなど、各シリーズで評価の高かった機能をうまく組み合わせて、より洗練されたシステムに仕上がっている印象だ。
また、時間が絶えず進み続けるため、より効率的な操作が求められる事からうまいプレーヤーとの実力差がつきやすいのが本シリーズの魅力でもあり悩ましい点でもあるのだが、本作「Age of Empires IV」はチュートリアルもわかりやすく、キャンペーンモードは難易度設定に「イージー」より更に簡単な「ストーリー」モードを搭載しており、初心者でものんびりとプレイしやすいゲームに仕上がっている。
さらに提示された目標を達成することでゲームの様々な要素が学べる「孫子の兵法」といったコンテンツもあり、幅広い層が楽しめる作りになっている。また、世界史の勉強になりそうな動画やテキストなど世界史コンテンツにもかなり力を入れており、中高生などが世界史の勉強の一環としても楽しめる。
もちろん「AoE」シリーズ最新作を待ち望んでいた上級プレーヤーにとっても魅力的な1本になっているのは間違いない。マップや文明を自由に選択してAIプレーヤーを相手にPvEで対戦が楽しめる「スカーミッシュ」や、PvPによるマルチプレイも完備しているので、シリーズを今でも遊んでいるようなベテラン勢はいきなりマルチプレイを楽しむのもいいだろう。
チュートリアルの完成度が高い! チャレンジゲーム「孫子の兵法」もユニーク
先ほども紹介したように、本作は丁寧なチュートリアルが用意されている。メインメニューの「学習」タブを開くと、「ビギナー向けチュートリアル」を選べるが、それがまさにRTSをプレイしたことないユーザー向けのチュートリアルだ。
「AoE」シリーズの基本は「文明を次の時代に進化させること」。まず手元にいる人たちで食料や木材、石材などの各種素材を集めて、家を建築して最大人口を増やし、食料にゆとりが出てきたところでまた人を増やし、目標の人口と資源を確保する。こうして一定の条件を満たすことで、次の時代に進化できるようになる。
進化すると技術や学問などを新たに習得することが可能になるため、手に入れた資源を使ってより効率よく国を治めるための技術を学び、それを活かして軍備の増強や、より効率の良い資源の確保ができるようになる。こうして強国に成長して最終的にはフィールド内の他国を撃退するのが本シリーズの主な目的だ。チュートリアルはこういったRTSの基本を学ぶことができる。
もう1つ「孫子の兵法」も面白いので紹介しておきたい。このモードでは、「AoE」シリーズの進化の過程や、戦闘のコツなどを、ミニゲームとしてプレイできるのだ。
例えば最初のチャレンジ「初期経済」はチュートリアル同様、本作の基本となる次の進化までの流れを学べる。こちらはカットシーンで、どのような目的で何が必要か、という目的と手段を明確に解説してくれるため、非常にわかりやすい。
他にも商人を活用した「後期経済」や、戦争時のアクションを時代別にプレイできる「基本戦闘」、「初期の攻囲戦」、「後期の攻囲戦」の5つが用意されている。
「AoE」シリーズでは、街や村を発展させて、経済が回るようにする街作り、いわば"内政"と、敵軍を相手にリアルタイムで攻撃目標を指示して戦う"戦争"の2つの能力が両方必要で、いわば「王の資質」が問われるゲームである。「孫子の兵法」はこれらの要素を切り分けて学ぶことができるので、とてもわかりやすく感じる。
また、「孫子の兵法」モードは上級者プレーヤーも1度プレイして、各種操作や効率化の流れをおさらいするのにも向いていると感じた。本モードにはそれぞれ目標となる指標があり、目標をよりスムーズにクリアする事でメダルが獲得できる。そのため、1度クリアしたチャレンジであってもさらに効率を上げることで、最上級のゴールドメダルを目指したり、より効率的な方法を模索するなど、上級者であっても楽しめるようになっているのが面白い。
例えば「初期経済」でゴールドメダルを獲得するには5分10秒以内で次の時代に進化しなければならない。そのためには初期の町人を食料と木材にうまく配分しつつ、斥候を使って黄金の鉱山を探しておく。食料が増えてきたところで更に町人を増やしてそれを食料と木材、さらに黄金の採掘に割り当てる。こうした人数のバランスがちょうどよくないと目標時間は達成できない。実際筆者も何度かトライしてみたが、1つ下のシルバーメダルまでしか獲得できなかった。このようにチュートリアルの1つとしても役に立つし、基礎トレーニングの一環としても使えるのが「孫子の兵法」なのだ。
難易度「ストーリー」でのんびりプレイも楽しめる「キャンペーンモード」
シングルプレイヤー向けメインコンテンツといえる「キャンペーンモード」では、1,066年からのイギリスの歴史が楽しめる「ノルマン人」、フランスとイングランドによる領土の奪い合い「百年戦争」、モンゴル帝国のルーシ侵攻などを描いた「モンゴル帝国」、そしてモスクワを舞台とした「モスクワの台頭」の4本のキャンペーンシナリオが用意されている。ここでは文明は固定であり、領主などのユニットも用意されており、キャンペーンモードを楽しむための編成となっている。
今回は最初の「ノルマン人」のミッションをプレイしてみた。こちらも冒頭では歴史系教育番組のような動画で時代の背景や、状況などが語られる。映像の作りが本格的なのでかなりの臨場感だ。そして本編が開始するといきなり戦場での大規模戦闘がスタートする。史実のノルマンディー公国とイングランドによる「ヘイスティングズの戦い」を「Age of Empires IV」のシステム上で再現しているのだ。
キャンペーンモードで面白いのはシステムとしては本作のシステムをそのまま使用するが、機能を限定する事で、段階を追って色々な作業が行なえるようになっていることだ。このミッションでの目的はシンプルで、画面下部にいるノルマンディー軍を操作して、画面上部にいるイングランド軍と戦い、史実同様にイングランド軍のリーダーである、アングロサクソン王のハロルドII世を倒すのが目的となっている。
そのため、登場するのは大量の兵士のみで、ここでプレーヤーが行なえるのは兵士たちを操作してイングランド軍を攻撃するアクションのみだ。まだ生産などのアクションは行なえないが、兵が不足すると続々と援軍がやってくるので、安心して戦争時の兵士の扱いについて学びながら遊ぶ事ができる。
初心者がここで学べるのは「兵士の操作」や「兵士の相性」だ。「Age of Empires IV」では「AoE II」から採用された「歩兵は騎兵に強い」、「騎兵は弓兵に強い」、「弓兵は歩兵に強い」といった相性があるが、ゲーム中にガイダンスが提示されるので、この指示通りに戦う事で部隊をうまく率いて敵にぶつける方法が学べるようになっている。
さらに難易度もポイントだ。キャンペーンモードでは、通常の難易度に加えて、「ストーリー」というイージーよりも簡単な難易度が用意されている。この難易度を選択すると、こちらから攻めにいかない限りは向こうから攻め込んでこない。そのため、前線で戦っていた兵士が全滅した場合でも、こちらに追撃することなく、再び元の位置に戻ってしまう。そのため、兵士の相性を理解できなくても、最終的には何とかハロルドII世を撃ち取る事ができる。つまり歴史の物語を楽しみたい人向けのモードとなっているのだ。
キャンペーン「ノルマン人」はチュートリアルの意味合いも強く、この先も比較的シンプルなミッションが続いていく。次の「ヨークへ北上」については、「ヘイスティングズの戦い」と同様に大量の兵士たちが最初から用意され、それらを操作してミドルソープの街を制圧するところからスタートするが、制圧後は住人を増やしたり、農地を増やしたりなどの経済活動が目標として提示される。
その後は敵の街を攻めて奪還したり、不足の兵を補うなど、「AoE」シリーズならではの自軍の強化が行なえるようになっており、段々と本格的な「AoE」のゲームスタイルへと近づいていく。これがストーリーを楽しみながら自然に行なえるのがキャンペーンモードの面白いところなのだ。
画面左上には目標が提示されるほか、マーカー表示などで目的地が示されるので、それに沿ってプレイすればクリアできるようになっている。また、イージーモードでは敵からの襲撃がないため、手持ちの兵が少ない場合などは、じっくりのんびりと兵を補充して、十分な戦力を整えてから出陣することが可能だ。圧倒的な兵力で蹂躙できるように、小一時間かけて自軍をしっかりと整えてから挑むことで、難なくクリアする事ができた。
前述の通り、これまでの「AoE」シリーズでは、のんびり自軍の補強などを行なっている暇はなかった。リアルタイムで時間が過ぎていくため、もたもたしていると敵が戦力を整えて先に攻めてきてしまうからだ。ところがキャンペーンモードの難易度「ストーリー」では、本来なら難しかった、のんびり自軍を整えて万全の態勢で戦いに挑むという初心者向けな戦い方も可能になっているのも魅力の1つであると感じた。
「キャンペーンモード」のストーリーはリアルな世界史の史実が元になっている。次のミッション「バイユーの陥落」では、征服王ウィリアムの名前が出てくるなど、この時代の世界史が好きな人たちには魅力的な内容となっている。ゲーム的にもついに敵の城壁を破壊する「破城槌」を作って歩兵やロングボウ兵とともに、城を攻めて、バイユーを破壊するなど、少しずつ「AoE」の真髄に迫っている感覚も面白い。
如何に早く敵を潰すか!「スカーミッシュ」で「AoE」の真髄を味わう
チュートリアルやキャンペーンモードを一通り遊べば、かなり「AoE」シリーズでやるべき事が身に付く事だろう。そして学んだことをしっかり実践できるのが、PvP/PvEによるRTSバトル「スカーミッシュ」だ。
キャンペーンモードでも学べるが、文明にはそれぞれ特性がある。例えば「モンゴル」は、敵の建物に火を放つことで略奪できる食料や木材、黄金にボーナスが付く。「中国」は化学研究がなくても「帝王の時代」まで進化する事で鉄砲ユニットとテクノロジーが利用できるようになる「火薬学」の恩恵が得られる。スカーミッシュではこういった文明特性と自分のプレイスタイルを考えることで、より有利な戦い方を考えていくのだ。
本シリーズではこうした文明ごとに建物や町人、兵士などのビジュアルも大きく異なるので、「異なる文明がぶつかり合う」という風景を見るだけでも十分に楽しめる。今回は最小マップでPvE、1vs1のバトルを試してみた。こちらは中国で相手はモンゴルを選択。難易度は流石に「ストーリー」は存在しないため、最もゆるい「イージー」で挑戦してみた。
最初はマイペースに斥候を走らせつつ、狩猟や木の実拾い、木を伐採したり、家を建てたりと順風満帆に人口を増加していく。「イージー」モードとのことで、いきなり攻めてくるような事はないだろうと、軍事施設はまだ建てていないし、兵士も雇用せず、ひたすら街作りに邁進していた。
ところが開始7分くらいの段階で敵の襲撃が! 町人たちは建物を建てたり、畑を耕したりとこちらの指示に対して色々器用にこなしてくれるが、戦いだけは不向きのため、攻撃を指示してもあまりうまく戦えず、兵士の一方的な餌食になってしまう。このままでは開始早々にして街は壊滅してしまう。
慌てて兵士を雇用するための「戦士育成所」を建てて兵士を召喚。防衛隊を結成しつつ、破壊された街の復旧活動に努めたが、1度先制の攻撃を食らってしまうと立ち直るのも難しい。結局初回プレイはその後も敵からの襲撃を防ぎきれずに街は半壊。途中でプレイを諦めてしまった。
最小サイズのマップで1vs1の場合、索敵範囲が狭くて済むので楽な面もあるが、一方で敵の本拠地の位置がかなり近くになるため、早い段階で自衛のための兵士を用意しておくべきだった。こうした開始直後の速攻は実際の「Age of Empires」シリーズでも定番の作戦の1つのため、やりこんだプレーヤーは例外なく、素材がある程度揃ったところで兵士も用意するものだが、久しぶりのプレイだった筆者はすっかり忘れてしまっていた。
もちろん、兵士を作るための資材を自国の強化に使う事で、他国よりも先に進化を遂げ、より強力な軍隊を結成して、他国を潰すという戦略もあり、この辺りの駆け引きはPvPだとよりスリリングに楽しめる。
このようにあまりのんびり街作りしていると負けてしまうため、相手の動向も視野に入れて作戦をきっちり考えなければ難易度イージーでも負けてしまう。最初のうちはAIの戦い方から色んな戦略を学んでいくのもシングルプレイのスカーミッシュならではの面白さだろう。
再度同じ条件でリトライしてみた。今度は同じミスはしないように、ある程度街が整ってきたところで、早めに戦士育成所を建てて、防衛隊を組織した。すると案の定、少数の敵兵から採掘現場の町人たちが奇襲を受けてしまう。すかさず自慢の防衛隊を出動させてこれを撃退。こうした襲撃が何度か発生していたが、しばらくすると襲撃がピタリと止んだ。恐らく先方も自国の強化に精を出して、どこかで攻めてくるに違いない。
ここからはどんどんと採掘の場を広げ、あちこちの採石場や黄金の採掘場に働き手を送って、資材をガンガン稼いでいく。基本的にこうした資源は街に持ち帰るのが基本だが、付近に採掘所など施設を設置することで、そこに持ち運ぶだけで資源としてカウントされるようになるので、効率が格段とよくなる。また、文明に「中国」を選ぶことで、「役人」と呼ばれる中国固有の労働者を雇えるようになり、この役人がいることで、建物から自動で税金が徴収できるようになる。そのため、金がより多く稼げるようになるわけだ。
こうして民衆を増やしつつ、軍備も増強し、どんどんと強大になっていく我が国。一方で今回は途中で斥候が殺されてからは特に敵国の様子をチェックせずに自国の強化に専念してしまったため、相手の状況が全くつかめていない。
本来であれば、複数の斥候を用意して、彼らにフィールド内をくまなく走り回らせて、偵察させるのがベストだ。こんな時に役に立つのが、画面右下の全体マップだ。ここにはゲームの全フィールドが縮小状態で表示されており、斥候が確認した後は、特殊な資源などの情報やフィールドの地形などの情報が確認できるようになる。
またこのフィールド内のプレーヤーの視点は白い枠で表示されており、この枠をマウスで動かしたり、マップ上の適当な位置をクリックする事でも指定した場所に視点を瞬時に切り替える事が可能なので、斥候に偵察をさせつつ、この全体マップを使用して、視点を行ったり来たりして、常に無駄なく行動するのが、「Age of Empires」シリーズの基本動作だが、筆者はこのアクションが一番苦手だったりもする。
自軍がある程度強大になっても、相手の戦力が見えないとやはり不安でなかなか戦争に踏み出せない。やはり戦争において最も重要なのは情報だと痛感する。そうこうしている間に、自国の財力はどんどん膨らんでいき、進化も順調に進む。
「AoE」シリーズの特徴の1つとしては、ゲームプレイ中に進化を遂げる事で、より高度な武器や機器などが扱えるようになる事だ。どの文明であっても、スタートは「暗黒の時代」から始まり、それぞれの条件を満たす事で、次の時代への象徴的シンボルが建造できるようになる。そして建造が完了すると「領主の時代」、「城主の時代」、「帝王の時代」と進化する事ができる。過去に筆者がプレイしたPvPでは「帝王の時代」まで進むことはあまりなく、その手前の段階で戦争が起こってしまう事が多かったので、最終進化を見る事はあまりなかった。
進化による違いで分かりやすいのは、戦争で使用する船だ。暗黒の時代では、シンプルに陸上のユニットを運ぶだけで戦闘力のない「輸送船」しか利用できないが、領主の時代に進化することで、弓兵が乗り込み、海上で敵船を攻撃する「ガレー船」が使えるようになる。
城主の時代になると、弓兵より強力な弩砲を搭載した「廃船」や爆薬を積んで特攻して範囲内に大ダメージを与える「爆破工作船」が使えるようになり、帝王の時代になると大砲を搭載し、海上から陸上の建物などに攻撃が可能な「キャラック船」が使えるのだ。
ところが今回はあまりにも敵からの襲撃が少ないため、あっという間に進化は第4段階、最終の「帝国の時代」に突入してしまった。さらには今回の人口上限200人に達してしまい、兵士の増強も町人の増加もできなくなってしまう。そこで、少しずつ様子を見ながら宿敵モンゴルに戦争を仕掛けて見る事にした。
斥候が顔を出したことで、敵の本拠地の位置は把握していた。そのため、まずは遠方から攻撃できる弓兵を用いて建物を攻撃! 本来ならここで敵の兵士が大量に登場し、防衛してくるはずなのだが、今回はなぜかそれがない。
そこで思い切って本拠地を襲撃してみることにした。失敗しても失うものは……色々あるが、まぁ当たって砕けろだ。本拠地に向かって全軍を移動させてみると、いよいよモンゴル軍のお出ましだ! ……と思ったらなぜかそこにいるのは大量の町人ばかりで、軍隊が全く姿を見せない。若干気の毒には思うが、ここは容赦ない王としてこれらモンゴルの民たちを虐殺しまくる事にした。ほぼ全員きれいに片づけたが、それでも軍隊は姿を見せない。結局そのまま勝利条件の1つである、敵国の歴史的建造物を破壊することで、戦いは終結。見事に難易度イージーのAI相手に勝利する事ができたのだった。
勝利後には戦争終結直後の両国の国力のデータや概要、進捗などが確認できる。ここでAIのモンゴルが実はかなり悲惨な状況に陥っていた事がはっきりした。なんとゲーム開始後、わずか17分の段階の小競り合いがきっかけで、おそらく街を強化するのが困難な状況に陥ってしまっていたようだ。タイムラインを見ると、17分を境にこちらの人口は変わらず増加しているのに対して、モンゴルの人口は横ばいになってしまっている。
原因については不明だが、ひょっとしたら黄金の採掘場がモンゴルの近場になく、金がなかなか増やせない状況に陥ってしまった可能性が高そうだ。金は他の資材を売る事で稼ぐ事も可能だが、その辺りの工面がうまくいかず人口が増やせなくなってしまったのかもしれない。
逆に言うと、これはこちらの斥候がもっときちんと仕事をしていれば、開始20分くらいで勝利できた可能性もあったということだ。これは惜しい事をした。
とはいえ、最終進化まで試す事ができたので、実に気持ちよくプレイできた。これもチュートリアルや「孫子の兵法」のおかげかもしれないし、単なるラッキーかもしれない。
ファンは迷わず買いだが、未プレイの人にこそおススメしたい最新作!
本作のメインメニューにはゲームをプレイする「プレイ」タブ以外にも、各種ソーシャル連携や公式情報、ユーザーサポート情報などが確認できる「コミュニティー」タブ、将来的にMODが利用できるようになると思われる「MOD」タブが用意されている。
また、「学習」タブには前述のチュートリアルの他、各文明の時代毎の建造物などの情報が確認できる「テクノロジー系統図」がある。ここには各文明の難易度も掲載されており、よく見ると、中国の難易度は最大の星3だった。前述の敗北はこれが原因かとも思ったが、モンゴルの難易度も星3だったので、やはりこちらの実力不足が原因だ。他にも公式サイトへのリンクとして、キーボードのショートカットが紹介されている「ホットキーガイド」や各文明の詳細情報がテキストで掲載されている各文明の概要が紹介されている。
「プレイ」タブには1人で遊ぶ「シングルプレイヤー」と他のプレーヤーたちとマルチプレイで戦える「マルチプレイヤー」の2つの大メニューがある。シングルプレイヤーを選ぶと、今回紹介した「キャンペーン」や「スカーミッシュ」、「孫子の兵法」のタブがそれぞれ用意されている。
マルチプレイヤーのメニューには、条件を指定して試合をマッチングする「クイックマッチ」と現在は選択できないが、スコアで実力の近いプレーヤー同士で戦えると思われる「レート戦」、自身でマルチプレイのゲームを立てる「カスタム」、他のプレーヤー同士のバトルを閲覧できる「観戦」などがある。クイックマッチにはプレーヤー同士のバトル以外にも協力してAIと戦える「協力 vs.A.I.」バトルも簡単にマッチングできるようになっている。
今回、「Age of Empires IV」を一通り紹介してみたが、初心者からベテランまで幅広いユーザーに向けて丁寧に作られていると感じた。特に今回のキャンペーンモードはちょっとした歴史ドキュメンタリーコンテンツを見るだけでなく、体験しながら楽しめるいわばロールプレイにも近い楽しみ方ができるのが魅力だ。
RTSならではの俯瞰で小さなキャラが動き回るビジュアルや、最近世界史の知識が増えて、この手の世界史をゲームで楽しめるコンテンツに興味を持っている初心者は多いはず。そんな初心者でも手軽にプレイできるように、チュートリアルの完成度を高くし、しっかりしたコンテンツとして作られたキャンペーンを用意、「孫氏の兵法」といったユニークなミニゲームを用意するなど、初心者向けのフォローがこれまで以上に充実してると感じられた。
裾野を広げるための初心者向け機能の充実と、洗練されたシステムの採用、オンライン機能の充実により、本作はこれまでのシリーズ以上にオンラインでの対戦が盛り上がる可能性も高い。eスポーツへの展開も楽しみだ。
筆者は最近世界史を教えてくれるYouTubeチャンネルを多数視聴して、世界史の知識が多く蓄えられていたので、キャンペーンは非常に楽しめた。RTSに興味がなくても世界史に興味があれば楽しめる「Age of Empires IV」は16年待たされた甲斐のある、魅力的な世界史コンテンツの1つとして仕上がっているので、是非世界史が好きならプレイしてみてほしい。
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