レビュー

「ガールズ&パンツァー 最終章」第3話レビュー

知波単との夜戦でついにIV号戦車のライトが灯る! 継続との準決勝では最終章の物語が本格的に動き出す……。

【「ガールズ&パンツァー 最終章」第3話】

製作:ガールズ&パンツァー最終章 制作委員会

配給:ショウゲート

劇場公開日:2021年3月26日

 以前、「World of Tanks」という戦車をモチーフにしたゲームのインタビュー取材で元戦車兵のRichard Cutland氏に実戦とゲームとの違いを尋ねたことがある。本来は複数人で操作する戦車を、ゲームでは1人で操るのだから様々な違いがあって当然だが、元チャレンジャー搭乗員の彼は真っ先に「交戦距離が全然違う」と言っていたのが強く印象に残っている。

 実際に調べてみると、確かに全然異なる。「World of Tanks」では、マップが1km四方のサイズが多くの占め、戦車の主砲弾は700メートル飛ぶと“完全に消えてしまう仕様”になっているため、わずか数百メートルの距離で戦車砲を撃ち合う。これに対して実戦では、第二次世界大戦初期の時点で800メートル、そこから後期になるにつれて徐々に交戦距離が伸び、大戦末期のティーガーIIあたりで2,000メートルに到達する。

 たとえば、VI号戦車 ティーガーIの88mm砲、8.8cm Kwk 36L/56は、2,000メートル時で84mmの装甲を貫通できたとされる。つまり、その当時からその距離で戦うことが想定されていたことが分かる。ちなみにCutland氏が搭乗していたチャレンジャーの有効射程距離は3,000メートルだ。

 余談が長くなったが、「ガールズ&パンツァー 最終章」第3話を鑑賞していて真っ先に思ったのは、交戦距離の違いだ。800メートルどころか、数百メートルなら比較的長い方で、戦車同士の主砲が触れ合うかのような超近接戦闘ばかりだ。1km四方のマップで一定のリアリティを維持しながら戦車戦を実現した「World of Tanks」は一種の発明だと思うが、「ガルパン」はそれより遙かに短い、お互いの顔どころか、車内の声すら届くような距離感で戦車戦を描いているところに戦車アニメとしての凄味があると思う。

【この距離感!】
「ガールズ&パンツァー 最終章」第3話より。この触れ合うような距離感での肉弾戦が「ガルパン」の醍醐味だ

 というわけで、第3話を見届けてきたのでレビューをお届けしたいと思うが、全6話の第3話と言うことで、必然的に過去のエピソードのネタバレを含んでしまうのでその点だけご注意いただきたい。第3話自体のネタバレはできるだけ避けているので、まだ観ていない人でも楽しんでいただけるレビューにしたつもりだ。それでも若干のネタバレはあるので完全にネタバレを避けたいという方はご注意いただきたい。

【『ガールズ&パンツァー 最終章』第3話 劇場本予告】

突撃一辺倒の知波単学園がついに劇場版の汚名をそそぐ!

 さて、「ガールズ&パンツァー 最終章」第3話である。第2話から1年9カ月ぶり、全6話の真ん中に相当し、過去エピソードと同様に、TVアニメ2話分に相当する48分のボリュームとなっている。前半は、第2話からの続きとなる大洗女子学園と知波単学園の2回戦の戦いが描かれ、他校のトーナメントのダイジェストを挟んで、後半ではいよいよ準決勝に突入する。

【ガールズ&パンツァー 最終章】
第1話2017年12月9日公開
第2話2019年6月15日公開
そして第3話2021年3月26日公開

 ネタバレはしないと書いておきながら最初から盛大にネタバレしてしまうが、この最終章は基本的な建て付けとして、桃ちゃん(河嶋 桃)の留年を防ぎ、AO入試で大学に滑り込ませるために「無限軌道杯」で優勝を目指すという内容になっている。このため大洗女子学園が最終的に勝つのが大前提で、大洗女子の戦車部のメンバー達がいかにピンチを凌ぎ、チャンスを掴むのかを見届けるというアニメーションになっている。

【「ガールズ&パンツァー 最終章」ティザーカット】
2016年に公開された「ガールズ&パンツァー 最終章」ティザーカット。何やら深刻な問題が発生したと見せかけて、実は桃ちゃんの進学問題だった

 この構造は、基本的にはTVアニメシリーズと同じだが、オフのエピソードはあえて最小限に留め、ほとんどが戦闘シーンという点では、受ける印象は劇場版のほうに近い。非常にテンポが良く、戦闘描写も濃密、とりわけ他校の戦いのダイジェストシーンは、それぞれがOVAにできそうなクオリティ(ひょっとして今後OVAにする布石なのか!?)だが、各校のテーマ曲とともにあっさり過ぎると思えるほどサクサク勝敗が決まる。あくまで主人公西住みほを擁するあんこうチームと、その仲間たちを中心に物語は描かれていく。

 第2話では、BC自由学園との1回戦を突破し、2回戦の知波単学園との序盤戦が描かれた。対戦相手が知波単に決まるやいなや大洗女子の生徒会長室に漂う楽勝ムード。それを察知した西住みほは「油断は禁物」と諭すが、劇場版冒頭から続く格下意識は拭いようがない。

【1回戦大洗女子学園対BC自由学園】
なんというか「ガルパン」ならではのファニーウォーが繰り広げられた1回戦。BC自由学園は主力として戦後世代のARL44を大量投入したが、自慢の90mm砲はほとんど戦果を挙げられなかった

 2回戦の戦いの場は森林地帯。サメさんチームは意気揚々と旗印を掲げながらマークIVを前進させるが、木々に引っかかり進軍の邪魔で、目立ちすぎた結果、旗印を狙い撃ちにされてしまう。大事な旗印を蜂の巣にされたサメさんチームのマークIVは激昂して西住みほの静止命令も聞かずに突っ込んでしまう。

 一方、快足を活かして序盤から大洗女子の横撃に成功し、見事マークIV撃破の戦果を挙げた知波単は、そのまま得意の突撃に移ろうとするが、福ちゃん(福田はる)が“足踏み突撃”を進言。足踏み突撃とは、そのままの位置から射撃戦に移る戦法で、一時後退する“さよなら突撃”も織り込みながら、堅実な戦法で大洗女子に反撃の隙を与えない。そればかりか夜戦を怖がる福ちゃんを励ますために全軍で「知波単のラバさん」を2番まで歌う余裕まで見せる。その後も様々な“突撃”を繰り出し、奥の手の特二式内火艇まで投入して、大洗女子を追い詰める。第2話は強い日本戦車隊が堪能できる貴重なエピソードだ。

【2回戦大洗女子学園対知波単学園】
2回戦は日中の戦いだけでは決着が付かず、夜戦に突入する

IV号戦車の夜戦用ライトがついに点灯。ちょうちんあんこう作戦が発動!

 そして第3話はそのまま長期戦に突入する。知波単は“機動力による夜戦”という、日本海軍が勝利したルンガ沖夜戦を彷彿とさせる夜襲作戦に移行する一方で、数に劣る大洗女子は、単騎ずつの遊撃戦に突入する。

 ここからはネタバレになるので詳述を避けるが、「打倒あんこう」を旗頭に縦横無尽の夜襲を敢行する知波単の動き、各地で展開される第2話を大幅に凌ぐ超近接戦闘の数々、1人称視点によるダイナミックかつ高速の動きといった描写は第3話のハイライトといっても過言ではなく、何度でも見返したくなるほど素晴らしい。

【攻める知波単学園】
水陸両面からあんこうチームに襲いかかる知波単学園
知波単の秘密兵器 特二式内火艇。縁の下の力持ち的存在で支援する
名参謀役を果たす福ちゃん

 開幕から集中砲火を浴び続けるIV号戦車は、これまでの戦いで両側面のシュルツェンは剥がれ、満身創痍の中、孤軍奮闘を続ける。そうした中、あえて夜戦用のライトを付け、西住みほが“ちょうちんあんこう作戦”を宣言するシーンは、ドイツ戦車ファンとしてはグッとくるものがある。あんこうチーム5人のチームワークや役割変更などにも注目したいところだ。

 あとはぜひ劇場で見届けていただきたいが、それ以外にもTV版や劇場版を見ている方なら思わずニヤリとするようなネタが散りばめられており、笑いあり、感動ありの一戦となっている。ぜひあんこうチームの勇姿を劇場で見届けて欲しい。

【追い詰められるあんこうチーム】
照明弾で位置を捕捉されるあんこうチーム
我らがあんこうチームのIV号戦車H型。知波単の集中攻撃でシュルツェンが剥がれている
西絹代の打倒あんこう作戦は成功するのか!?

大洗女子の準決勝の相手はなんと継続に。残る2回戦の戦いにも注目

 第3話の後半で注目されるのは、準決勝に進む4校がどこになるかだろう。大洗女子は物語の都合上負けるわけにはいかないので、残るは黒森峰とプラウダ、聖グロリアーナとアンツィオ、サンダースと継続から1校ずつ。2回戦からは主要校ばかりの戦いとなり、その戦いの行く末にも注目されるところだ。

 黒森峰とプラウダは、西住まほを欠く黒森峰が、逸見エリカ新隊長のもとで、新たな戦車道を示せるのか。見所はやはり、劇場版ではなぜか持ってこなかったマウス対カチューシャのお気に入りかーべーたん(KV-2)の超重戦車直接対決。両校の勝負はそことはまったく関係ないところで決まるのもおもしろいところだが、ひとつ言えるのは、やはり水島監督は、ドイツ戦車が好きだなあということだ。聖グロリアーナとアンツィオは、ガルパンの王道といえる戦車を極限まで擬人化したドタバタコメディ。トレーラーの時点ですでに車輌が撃破されはじめているアンツィオは、制作チームにもっとも愛されている高校だと言えよう。

【黒森峰女学園】
逸見エリカ新隊長がみせる戦車道とはいかなるものなのか

【プラウダ高校】
ハンドサインにご執心のカチューシャ

【聖グロリアーナ女学院】
まだ優雅に紅茶を飲む余裕があるチャーチル車内

【アンツィオ高校】
再びP40に乗り換えたアンチョビ

 そして尺的に一番長いのが、勝者が大洗女子と当たるサンダースと継続。M4シャーマン一列横隊による一斉射撃と、シャーマンファイアフライによる精密射撃という定石で攻めるサンダースに対して、ミカ率いる継続高校は、はじめてBT-42突撃砲以外の戦車を揃え、チームでゲリラ戦を展開する。この一戦では知波単の水陸両用車 特二式内火艇に続く新型車輌となるT26軽戦車が登場する。T-26は、1930年代にソ連で生み出された軽戦車だが、ミカたちの乗るフラッグ車のBT-42も、BT-7ベースで小さいため、存在感たっぷりに見えるところが不思議だ。

【サンダース大学附属高校】
ケイの明るい指揮の下、美しい隊列で堅調な戦いを展開するサンダースだが……

【継続高校】
劇場版でも独特の指揮で獅子奮迅の活躍を見せたミカ。サンダースに追い詰められてから真骨頂を見せる

【T-26】
戦前世代、45mm砲搭載の軽戦車だが、M4シャーマンを相手に堂々とした戦いぶりをみせる

 サンダースと継続の戦いは予想外の展開で意外な結末を迎える。それはある意味で、「ガルパン最終章」が「ガルパン」の名を冠した1作品として、独自の物語を描き始めた瞬間と言い換えてもいいかもしれない。

 奇しくも本日トレーラーで対戦相手が発表されたが、大洗女子に準決勝で戦うのはなんと継続高校。サンダースのフラッグ車を仕留めたのは、ミカ、アキ、ミッコが搭乗するBT-42ではなく、「白い魔女」と呼ばれる狙撃手。本日公開された公式資料でその名が“ヨウコ”であることが明らかにされた。

【白い魔女】
ついに公開された第3話のキーパーソン。名前がヨウコであることも明らかにされた。ただし、セリフはないためCVは非公開となっている

【「ガールズ&パンツァー 最終章」第3話 上映中PV(継続高校ver.)】

 この白い魔女による、想定外のストーリー展開は、「劇場版」における島田愛里寿と、彼女が搭乗するセンチュリオンを彷彿とさせるもので、あのワクワク感を久々に味わった。準決勝では、早くも大洗女子と継続の主力が交戦を開始しただけでなく、白い魔女も火を噴く。3話目にして最大の盛り上がりを迎える「ガルパン最終章」。ぜひ劇場でその熱戦を見届けよう!

【後半戦チラ見せ】

【「ガールズ&パンツァー最終章」第3話新ビジュアル】

【来場者特典 1週目】
前回劇場版でもお馴染みのミニ色紙

【来場者特典 2週目】
ポストカード

【来場者特典 3週目】
ポケットティッシュ

【来場者特典 4週目】
生コマフィルム

【「ガールズ&パンツァー 最終章」第4話 特報映像(15 秒)】