PCゲーミングデバイスレビュー

XL2720T

120Hzは素晴らしい!──最速クラスの応答速度は残像感の低減にも効果

120Hzは素晴らしい!──最速クラスの応答速度は残像感の低減にも効果

「W2363D」(左)と「XL2720T」(右)

 「XL2720T」のパネル応答速度はGTGで1msと、数あるTNパネルの中でも最速レベル。入力された信号をほぼ直接表示するスルーモードに相当する「インスタントモード」を備えているため、一般的な60Hzモニターとは別次元の低遅延環境でのゲームプレイが可能だ。違いは動くものを見れば一目瞭然、120Hzではヌルヌルの滑らかさであり、これに慣れると60Hz映像がカクカクに見えるようになるほどだ。

 120Hzのゲーミングモニターと言えば、LGエレクトロニクスの「W2363D」抜きには語れない。これは2010年の春に発売されたモデルで、PC向けモニターにおけるネイティブ120Hz対応の先駆的な存在となった製品だ。現在は生産終了品となっているものの、筆者を含めていまだに愛用しているゲーマーは数多い。

 実際的なゲームにおけるネイティブ120Hzモニターのメリットは、メーカーがよくウリにしてきたフレームシーケンシャルの3D立体視対応ではなく、高リフレッシュレートによる操作遅延の低下と残像感の低減にある。これを高いレベルで実現するためにはパネルの応答速度が速いことはもちろん、入力信号が液晶回路に到達するまでの回路遅延の低さも重要となる。

 これを見てみるため、「XL2720T」と「W2363D」に1台のPCから同じ映像を出力し、比較してみた。映像はミリ秒単位でカウントされるタイマーの数字で、PCからはデュアルリンクDVI-Dを通じて120Hzで両モニターにクローン出力する。これをカメラで撮影すると、より高速に映像が出力されているモニターにはより大きな数字が現われるはずだ。結果は以下の画像のようである。

互角のタイミングで表示されているケース
「W2363D」がやや先行しているケース

 撮影タイミングによって多少のバラ付きがあるが、「XL2720T」と「W2363D」の表示タイミングはほぼ互角。しかし数割のケースで「W2363D」のほうが半フレームほど先行していることがあった。

 すなわち、「XL2720T」でフレームNを表示中に、「W2363D」ではフレームN+1の液晶応答が始まっている。または「XL2720T」でフレームNの液晶応答が開始している最中に、「W2363D」ではフレームNの表示を完了しているというケースが見られたということだ。

 撮影画像のおよそ3割程度でこの違いが見られたため、ざっくりと計算して2~3msほど「W2363D」のほうが速いと言えるかもしれない。もちろん両機種ともにスルーモードを適用し、フレーム単位の差はない。PCからの映像出力条件は同等であるため、回路遅延の差にに原因があるのではないかと思われる。

高リフレッシュレートは残像感の少なさに大きく貢献する

 しかし、その差をゲームプレイ中に体感することは不可能だ。実際にゲームを遊んでみて感じられたのは、「W2363D」のGTG 3msというスペックに対し、「XL2720T」のGTG 1msというパネルのスペックからもたらされる、残像感の低減だ。

 応答速度の違いから、「XL2720T」は「W2363D」に比べて平均2msほど中間色のホールド期間が長くなり、これが薄暗いシーンでの表示クオリティに若干の差を生み出す。いずれにして、60Hzモニターとは別次元の低残像だが、「W2363D」ではやや残像が気になるシーンでも「XL2720T」では全く気にならない、ということがしばしばあったことを付け加えておきたい。

 これに加えて「XL2720T」では、独自の映像エンジンでゲーム画面の視認性を格段に向上させることに成功している。続いてこの部分を見ていこう。

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(佐藤カフジ)