(2013/4/25 00:00)
「バイオショック インフィニット」は主人公ブッカーとヒロイン エリザベスの冒険を描くアクションシューティングだ。舞台となるのは天空に浮かぶ都市・コロンビア。エリザベスはコロンビアの鍵を握る少女であり、コロンビアから逃れようという彼女に、都市の支配者カムストックは己の力全てを使って阻止しようとする。
本作は初代「バイオショック」を手がけたIrrational Gamesが開発している。海底都市「ラプチャー」の世界観や、強大な敵であるビッグダディに手持ちの武器や超能力を総動員して立ち向かうという斬新なゲーム性でFPSファンに衝撃を与えた。彼らが今度はどんな新たなゲーム性を見せてくれるかに注目である。
中でも、ヒロインのエリザベスがすばらしい。彼女は足手まといだったり、後ろからついてくるだけの従来のNPCとは全く異なる、可憐で心強い“相棒”としてプレーヤーの心をしっかりとつかむ存在だ。エリザベスとの冒険、彼女と織りなすドラマは、ぜひ体験して欲しい。
従来のゲームの常識を打ち破る“相棒”エリザベスの誕生
「バイオショック インフィニット」の時代設定は1912年。元探偵の主人公・ブッカー・デュイットは荒れた生活で多額の借金を作ってしまう。ブッカーはある人物から「コロンビア」という街にいるエリザベスという少女を連れてくれば、借金を帳消しにしてやると依頼を受ける。ブッカーは仕方なくそれを引き受ける。
依頼主はある灯台からコロンビアに行けると言う。ブッカーが灯台の1番上にあるいすに座るといすの基部から激しい炎が上がり、ブッカーは空に打ち上げられ空中都市コロンビアに到着する。コロンビアは天空に浮かぶ都市だったのだ。
コロンビアは天国のような場所だ。雲の上に浮かび、人々の生活は豊かだ。特にブッカーが訪れたときは何かのお祭りのように華やかだ。しかしブッカーの来訪はあらかじめ街の支配者であり預言者であるカムストックに待ち受けられていた。ブッカーは「偽りの羊飼い」と呼ばれ、街中から追われる存在となってしまう。
ブッカーはカムストックが差し向ける手下達を倒しながら、エリザベスの元に向かう。逃亡するブッカーの前に、コロンビアは裏の顔も見せてくる。極端な人種種差別、資本家と労働者の対立……。コロンビアはかつてアメリカの華やかさを象徴する存在だったが、奴隷制度撤廃などアメリカの進む道と合わず、独立した街なのだ。コロンビアはアメリカの1部の人の理想国家であり、いまはカムストックと彼の預言を神格化した宗教で支配を行なっている。
このコロンビアの鍵を握るのが少女エリザベスだ。彼女は“ティア”というこの世界とは異なる別の世界を開ける力を持っている。彼女はその力のために、塔に閉じ込められ不自由な生活を送っていた。ブッカーが彼女の元に来たとき、「パリに連れて行ってやる」という言葉にエリザベスは1も2もなく賛成する。エリザベスは、自分を再び捕らえるためカムストックが追っ手を差し向けていることを知り、その敵とブッカーが血みどろの戦いを繰り広げていくことに激しく動揺する。しかしエリザベスはその事実を受け止め、自分が危険にさらされることも覚悟して、それでもコロンビアからの逃亡を望むのだ。
本作の“衝撃”はこのエリザベスの存在にある。エリザベスはプレーヤーであるブッカーの前を軽やかに走り、戦闘時には巧みに戦いを避け、ブッカーに様々なアイテムを投げてくれる。このエリザベスの存在のため戦闘は少しきつめのバランスなのだが、だからこそ彼女の存在が頼もしい。また鍵がかかった場所ではエリザベスは錠前破りの技を見せてくれる。足手まといではなく、心強く、それでいながらかわいらしいエリザベスは、従来のFPS・TPSの常識を打ち破る個性的なキャラクターだ。
天空に浮かぶコロンビアは超能力の「ビガー」や、現在の科学を凌駕さえする驚異の技術に満ちているが、基本は1912年のアメリカの理想のような華やかで古い世界である。幻想的な懐かしさと超科学の2つの顔を持つ世界はプレーヤーを強く魅了する。そして“スカイフック”や“ティア”といった独特のシステム、ビガーと銃、何よりもエリザベスの助けを受けながら一緒に危機を乗り越えていくのが気持ちいい。「バイオショック インフィニット」は多彩な魅力を持った新世代のアクションシューティングである。