台湾BenQ、「2012 BenQ Regional Media Meeting」をシンガポールにて開催

ゲーミングモニターメーカーとしての取り組みと世界での実績をアピール


11月23日開催

Singapore Carlton Hotel



 台湾BenQは11月23日、シンガポールにてアジアパシフィックエリアを対象にしたメディアミーティング「2012 BenQ Regional Media Meeting」を開催した。イベントでは、同社が展開しているゲーミングモニターXLシリーズやRHシリーズの特徴が紹介されたほか、こちらでお伝えしたように液晶モニターに次ぐ同社の主力事業であるプロジェクターについて、新製品の発表と共にゲーム利用についてのプレゼンテーションが行なわれた。本稿では、プロジェクター以外の発表内容についてお伝えしたい。

【BenQゲーミングモニター紹介トレーラー】



■ BenQのプロフェッショナルゲーミングへの取り組みを紹介するプライベートイベント「Regional Media Meeting」

現在シンガポールで開催されているIntel Extreme Masters。こちらのレポートも追ってお伝えしたい
ゲーミングモニター体験コーナー
こちらがゲーミングモニターとしては最新機種となるXL2411T

 「BenQ Regional Media Meeting」は、アジア地域のメディアを集め、BenQのゲーミングモニター/プロジェクターへの取り組みを紹介し、その理解を深めて貰おうというもの。開催地にシンガポールが選ばれたのは、同時期にシンガポールにて、BenQがモニターを提供しているIntel主催のゲーミングイベントIntel Extreme Masters(IME)が開催されているためで、メディアイベント後には、IMEのメディアツアーも行なわれた。

 BenQとしても初の試みということで、どのような発表が行なわれるのか注目されたが、意外にもゲーミングモニターの新製品は発表されず、ゲーミングも意識したビデオプロジェクター「W1080ST」の発表に留まった。

 ゲーミングモニターに関しては、すでに日本でも販売され、ゲームイベントでも見る機会が増えたXL2420TとRH2450Hを取り上げ、これらの特徴とBenQのゲーミングモニターの強みを改めてBenQの設計担当者および、スポンサー契約しているプロゲーマーのGrubby選手が紹介した。

 また、新モデルとしてXL2411Tも出展されていた。こちらは欧米では2012年9月より発売されており、XL2410の後継機であり、XL2420Tの下位モデルとなる。XL2420Tと比較すると、S.SwitchやUSBハブ機能、入力端子を減らし(HDMI×2、DPI×1→HDMI×1のみ)、販売価格を抑える一方で、ゲーミングモニターでもっとも重要視される指標である応答速度について、業界最速水準の1ms(GTG)を実現している。

 日本でも発売が注目されるXL2411Tだが、今回の時点では、アジア向けの価格設定はまだ発表せず、日本取り扱いの予定もないという。理由は、低価格帯のフルHDモニターは日本を含むアジアでは超激戦区になっており、利益を確保するのが難しい状況になっているからだという。日本では、当面XL2420TとRH2450Hの販売を継続し、ゲーミングモニターメーカーとしての認知を深め、将来的に発売が予想されるXL2421Tに全力を注ぐというシナリオになりそうだ。

【Intel Extreme Masters紹介トレーラー】



■ プロゲーマーのフィードバックを活かしたゲーミングモニターXLシリーズ、RHシリーズ

ゲーミングモニターの説明を行なったBenQ IT Display Products BU Product ManagerのScread Liao氏
現行のフラッグシップモニターとなるXL2420T

 さて、今回の主題であるXL2420TおよびRL2450Hに話を戻したい。これらモニターの愛用者には言わずもがなの内容ではあるが、今回、BenQ開発担当者や、所属プロゲーマーからその特徴やウリが紹介されたので改めて紹介しておきたい。

 台湾を代表する液晶モニターメーカーのBenQが、ここ数年もっとも力を入れている事業がゲーミング用途に特化したゲーミングモニターである。BenQのゲーミングモニターへの取り組みが始まったのは2009年と最近のことになる。

 BenQのスタッフがとあるe-Sportsイベントに視察に訪れたところ、大会に出場する選手達は、わざわざ重いCRTモニターを会場に持ち込んでいた。理由は、当時大会が採用していた液晶モニターが、彼らが求める水準に達していなかったためだ。当然、液晶モニターの作り手だったBenQとしてもこの問題を真剣に捉え、彼らに利用して貰えるゲーミングモニターの開発に着手することになる。

 プロゲーマーとBenQが重要視したのは、いかにCRTと同等の滑らかな表示を実現しつつ、CRTにはない独自の強みを打ち出せるか。そこでBenQが実現に取り組んだのが、120Hz駆動、ディスプレイモード、そしてBlack eQualizer、快適なビジュアル、ライトフィーリング、e-Sportsデザインの6点となる。

 まず120Hzについては、もはやゲーミングモニターの必須スペックとなりつつあるため多くの説明はいらないかもしれないが、120フレームで表示することで液晶モニター特有の残像感を減らし、しっかり敵を視界に捕らえられるようになる。また、120Hz駆動させることで、3D立体視表示をさせても60Hzを確保することができ、滑らかな描画で3D立体視を楽しむことができる。

 次にディスプレイモードは、16:9、16:10、4:3といった異なる縦横比、そして24インチ、23インチ、19インチ、17インチなど、プレーヤーが求める画面サイズへの出力が可能となり、自宅や練習場とまったく同じフィーリングで試合をすることが可能となる。一般のゲーマーにはあまり求められない機能ではあるが、プロゲーマーのフィードバックを元に設計されたことがよくわかる機能だ。

【120Hz駆動、ディスプレイモード】

 3つ目のBlack eQualizerは、FPSのほか、RTSでも効果を発揮する機能となる。独自の描画エンジンにより、暗がりをクッキリ表示する機能となる。単純にコントラストやブライトネスを調整するだけでは、暗いシーンを明るくすることはできても、今度は明るいシーンで色が飛んでしまうことになる。Black eQualizerでは、基本的な明るさは変えずに、暗い部分や明るすぎる部分に対して、視認性を上げ、輪郭をクッキリさせ、状況把握を容易にしてくれる。

 4点目の快適なビジュアル。ここがある意味、もっともBenQのゲーミングモニターの個性が発揮されているポイントとなる。具体的には特定のゲームタイトルに特化したチューニングを施し、それをFPSモード、RTSモードとして提供している。XL2420Tは「Counter-Strike 1.6」と「Counter-Strike Source」、RL2450Hは「Starcraft II」で、それぞれ元プロゲーマーの協力を得て、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合いについて、長時間、連続でプレイしても疲れにくい、快適にプレイできる調整を行なっている。BenQに言わせれば、120Hz駆動、1桁前半の応答速度を実現しただけでゲーミングモニターと呼ぶのはおこがましいのではないかというわけだ。

【Black eQualizer、快適なビジュアル】

 5点目のライトフィーリングは、モニター設定の容易さ、取り回しの手軽さの実現となる。ゲーム大会では、試合前の選手がナーバスは雰囲気で、モニターの下に本を置いたり、自分の座る位置を変えたりして視点を調節しているが、BenQのゲーミングモニターではそうした心配は不要となる。130mmの範囲で高さを自由に変えることができるほか、左右35度の範囲で向きを変えることができ、XL2420Tでは90度回転させて使用できるピボット機能も搭載している。さらにスタンドの最上部には取っ手も着いており、片手で持ち上げることもできる。

 最後のe-Sportsデザインもおもしろい。ゲーマーからのフィードバックを得て、本体デザインやボタンや機能を決定したということだが、わかりやすい部分としては、OSD(On Screen Display)機能がある。BenQのOSD機能は、モニター右側下部に設置されており、ここでブライトネスやコントラストなどを調整することができるが、ユニークなのは、XL2420Tではその設定をまとめて保存して、ワンタッチで呼び出せるようにしていることだ。しかも、3つのボタンが付いた外部リモコン「S.Switch」で呼び出すことができる。ゲームA、ゲームB、映画用という形で登録しておくことが可能で、いかにもゲーマー好みの機能と言えそうだ。

【ライトフィーリング、e-Sportsデザイン】

 BenQではこうした取り組みを経て、FPSに特化したゲーミングモニターXL2420T、RTSに特化したゲーミングモニターRL2450Hを完成させ、これらを世界中のe-Sports大会やトレーニング用のモニターとして提供している。今回のイベントに合わせて実施されているIntel Extreme MastersにもXL2420Tが全面的に採用されている。BenQでは今後もこうした取り組みを続け、ゲーミングモニターのBenQとしての位置づけをさらに確立させていきたいということだ。


【世界のe-Sports大会に積極的に協賛】


【Grubby選手とJosh氏による解説】
イベントの後半ではBenQ所属のプロゲーマーGrubby選手と、元プロゲーマーで現在はBenQ AustraliaのMarketing SpecialistのJosh Edwards氏が、XL2420TとRH2450Hのゲーミングモニターとしての優秀さについて自ら操作をする形で解説を行なった。基本的には上記説明を丁寧になぞりながら実演する形で解説が行なわれたが、Grubby選手がモニターサイズについて、RTSにおいて瞬間的にモニター全体を把握するには24インチが最適なサイズと語っていたのが印象的だった

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(2012年 11月 25日)

[Reported by 中村聖司]