PCゲーミングデバイスレビュー

XL2720T

ビビッドな色彩と強力な暗部強調機能で抜群の視認性を実現

ビビッドな色彩と強力な暗部強調機能で抜群の視認性を実現

「Senseye 3」映像エンジンの効果
OSDの映像調整メニュー

 「XL2720T」がゲームモニターとして優れている点のひとつは、ゲーム用途に適した映像エンジン「Senseye 3」を搭載している点にある。中でも特筆したいのは色彩の鮮やかさと、暗部表現の豊かさだ。

 まず、これはパネルの特性から来るものと考えられるが、輝度100%設定・高コントラスト設定時でも各色が白薄れすることなく、非常にビビッドな色彩が維持される。10段階のシャープネス回路の搭載により細部の表現力も高い。これらのことから、ゲーム画面を非常にクッキリ表示できる基本性能を備えている。

 さらに視認性を高める上で一役買っているのは「Black eQualizer」という暗部強調機能の存在だ。これは映像内の高輝度成分と黒成分はそのままに、暗色部分のみを輝度向上させる特殊なレベル補正機能だ。20段階で設定でき、ゼロ設定と最大設定時の違いは一目瞭然である。

 単純な輝度アップ機能と異なり、輝度ゼロの本当に暗い部分はそのまま暗いまま残されるため、ゲーム本来の雰囲気を損ねることなく視認性を高められる。これに併せてシャープネス機能を強く設定すれば、薄暗い場所で動き回るキャラクターのシルエットもハッキリと視認可能だ。

 視認性が高まればゲームプレイ上で有利になることはもちろん、暗部を凝視しながらプレイすることによる悪性の3D酔いや、眼精疲労を抑えることにもつながる。長時間ゲームをプレイするゲーマーほど有り難みを実感できる機能だ。

「Black eQualizer」なし
「Black eQualizer」最大

「FPS1」。細部がよく見える
「FPS2」。全体的に白っぽい
「RTS」。明るく色味が強い

 これらの画質調整機能にはあらかじめゲーム向けに用意されたプリセットも用意されている。代表的なものは以下の3種類だ。このほか動画、写真、テキストなどの表示に適した一般用途のプリセットも用意されており、ゲーム以外でも快適に使用することができる。

・FPS1
 「Counter-Strike」に最適化。引き締まった画質で暗部と細部を強調

・FPS2
 「Counter-Strike: Source」に最適化。全体的に明るくフラットな印象に。

・FPS3
 RTS系ゲーム向け。高輝度と彩度の強調で情報の視認性を向上。

 多くのゲームで最適な視認性が得られるのは「FPS1」だ。元映像の印象を損ねることのない範囲で暗部とディティールの強調が行なわれており、非常に見やすい画質でプレイを楽しむことができる。

 「FPS2」は明るさ重視で暗部も白浮きさせるような設定で、彩度とディティール感が損なわれるかわりに、キャラクターのシルエットなど重要な情報だけを取り出すような勝負重視の設定だ。「RTS」もこれに近いが、彩度を高めることでチームカラーの判別を容易にする方向となっている。

 こういった画質モードに加えて、本製品では特殊なスケーリングモードも搭載しており、映像を17インチ4:3や19インチ5:4、16:10といった異なるアスペクト比に変換することもできる。例えば一部のオンラインFPSでいまだに4:3の画面モードのみ対応するものがある都合で、大会でも4:3モニターをすることになった場合に、自宅でその環境を再現して練習することができるわけだ。

 このように本製品は仕様のすべてにおいてハードコアなゲーミングシーンを想定した機能が盛り込まれている。27インチというサイズはデスクトップ上ではかなりの大画面なこともあり、3Dゲームをプレイすればその迫力は抜群だ。ネイティブ120Hzによる滑らかさ、遅延の少なさも踏まえ、ゲーミングモニターの決定版として広くオススメできる製品である。

画面モードを17インチ4:3に変更したところ。このほか19インチ~24インチの4:3、5:4、16:10、16:9モニターのサイズ及びアスペクト比をエミュレートできる。大会で使用するモニターに合わせて自宅練習する際に有効な機能だ
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(佐藤カフジ)