3DSゲームレビュー
シアトリズム ファイナルファンタジー カーテンコール
音質も改善され、全体的なプレイ感も前作とは大幅に変化!
(2014/5/16 00:00)
音質も改善され、全体的なプレイ感も前作とは大幅に変化!
このように「あらゆる面での大幅なボリュームアップ」、「プレイモードの増加によるバリエーションアップ」によって、かなり遊びごたえのあるゲームになった本作だが、実際にプレイしていくと、わかりやすい新要素以外にも、細かなところのパワーアップをたくさん感じ取れる。
本作のような作品は「完全版(前作+α)」として捉えられがちなのだが、実際にプレイしてみるとリファイン(構成し直し)という印象を受けた。前作をたっぷり楽しんだという人こそ、この新作に触れてもらいたいところがある。
「BMS(バトル)とFMS(フィールド)のパワーアップ」も印象的。バトルでは、敵となるモンスターが40体以上増えてよりバリエーションが豊かになっているし、なんと言っても、バーサスバトルの存在によって重要性が増している。
フィールドは移動していく背景が前作よりも凝っていて、それぞれの作品の象徴的な建物もたくさん登場するようになった。それぞれの作品をプレイした人なら「あ、あのエリアだな」と背景から、プレイの記憶が蘇るものになっている。
リズムアクションとして重要な音質についても改善が見られた。前作では曲によっては少々音が割れ気味なところあって気になったのだが、今作はそうしたところがなく美しい響きを存分に楽しめる。なお、イヤフォンやヘッドフォンを使えば、より高音質に楽しめるし、音も聴き取りやすくなるので、内蔵スピーカーではちょっと物足りないという人は、そちらもぜひ試して頂きたい。
全体的なプレイ感においても前作からだいぶ変化した。前作は良い意味でも悪い意味でも、リズムゲームとしてのシンプルさに忠実で、楽曲をひたすらに遊びこむものだった。今作もそこは同じと言えば同じだが、クエストメドレーやバーサスバトルの存在によって、組み合わせを考えたり、RPG的に育成をこだわったりと、リズムゲームよりもRPG的な面白みが増している。要素開放から始まり、クエストをクリアしつつの育成、そこからバーサスでの対戦へと、やりこんでいく道がわかりやすく、バリエーションがついている。このあたりからくる手触りの違いは大きな魅力だ。
「FF」へのこだわりがこれでもかと詰まった、期待以上の作品
前作を十分楽しんだ身としては、本作の発表時には「ようするに、いわゆる完全版でしょ?」と思ったのが正直なところで、同じように感じていた人は少なくないと思う。だが、少なくとも筆者は実際に本作をプレイして、その考えを見事に打ち砕かれた。圧倒されるほどに量の多い収録楽曲数とキャラクター数があり、既存曲もリファインされて大幅に遊びやすくなっているし、プレイモードが増えたことによる全体的な接し方というかプレイ感が変わっているところが大きい。
ただ、欲を言えば、もっと大胆に変わって欲しかった部分もあるにはあるのだが、そのあたりは本作があくまで「カーテンコール」であり、「2」ではないところが示しているのだろう。
全体に満ち満ちている「FF」へのこだわりが自然と伝わってくる作品だ。昨年、プロデューサーの間一朗氏に本作についてお聞きした際に、「開発を手がけるインディーズゼロの社長である鈴井匡伸氏がこだわり、いかんなく実力を発揮して作り込んでいる」と伺っていたのだが、それは期待以上のものとなっていた。
「FF」シリーズに限らず、「楽曲」の魅力はスクウェア・エニックス作品の大きな財産と言えるのではないだろうか。本作をプレイすると「この感じで『FF』以外のシリーズや作品の楽曲も……」と思うのも自然な成り行き。本作は最後のご挨拶である「カーテンコール」の名を冠してはいるが……。今後の展開にも期待したいところだ。
ひとまず先の事は置いておくとして。本作の購入を迷っている人にはやりごたえ満点の本作を安心してオススメできる。そして、本作を存分に楽しむなかで、「FF」楽曲の魅力を(ひいてはゲームミュージックの良さを)再認識してもらえれば幸いだ。
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