(2014/5/22 12:00)
「inFAMOUS Second Son」は、“PS4の能力を実感できるゲーム”である。広大なシアトルの街でド派手な超能力で大暴れできる本作は、PS4ユーザーはもちろん、多くのゲームファンにオススメしたい。PS4のパワーが生む街の実在感と、圧倒的な破壊表現、そして独特の“超能力”の描写がプレーヤーをゲームの世界にのめり込ませてくれるだろう。
本作でプレーヤーは超能力者になれる。しかも銃に撃たれてもすぐ直り、どんなに高いところから飛び下りても平気、さらに空まで飛べるのだ。主人公デルシンは品行方正の正義の味方ではなく、落書きと冗談が大好きな悪ガキだ。街を支配する怪しい奴らを、悪ガキがぶっ飛ばしていく、爽快で楽しい作品である。
悪ガキ・デルシン。軽口を叩き、ノリノリで街を支配する強大な敵に立ち向かう!
「inFAMOUS Second Son」の主人公はデルシン・ロウ。警官の兄を持つ不良少年で、スプレーを使ったストリートアートが得意な悪ガキだ。彼は逃げだしたコンジット(超能力者)に接触したのがきっかけで、能力に目覚める。デルシンはコンジットに触れることで、彼らの能力を自分のものにできる超能力者だったのだ。
世界にコンジットと呼ばれる者達が生まれて7年、人々はコンジットを恐れ、D.U.P.(統一保護局)という政府が台頭し、コンジットを狩り集めていた。そしてD.U.P.の最高責任者ブルック・オーグスティンは逃げたコンジットを追い、デルシン達の元を訪れた。デルシンは能力を隠そうと抵抗し、彼をかばった村人もオーグスティンの能力の犠牲となってしまう。コンジットを狩る彼女自身が、「コンクリート」の能力者であり、村人の身体の1部をコンクリートに変えてしまったのだ。
デルシンは目覚めた能力でコンクリート化を免れるが、村人達はこのままでは助からない。希望は……デルシンがオーグスティンの能力をコピーし、村人の身体からコンクリートを取り除くしかない。彼は警官の兄・レジーと共にD.U.P.の拠点シアトルに向かう……。
「inFAMOUS Second Son」はオープンワールドのアクションアドベンチャー。プレーヤーはデルシンとなり、オーグスティンを引きずり出すためにD.U.P.に戦いを挑んでいく。D.U.P.はシアトルを支配しており、街には住人を監視する施設が作られ、コンジットと疑われる者達は檻に入れられている。デルシンは超能力で建物を破壊し、D.U.P.をぶっ飛ばして街を開放していく。
街はいくつもの区画に分かれていて、D.U.P.の“移動司令部”が設置されている。各区画の拠点である移動司令部を破壊し、さらに様々なサブミッションをクリアすることでD.U.P.の支配率を下げ、そして“決戦ミッション”でその地区のD.U.P.と全面戦争を行ない、区画を解放していくのだ。
ゲームの流れそのものは、前作「inFAMOUS 2」及び、シリーズ最初の「INFAMOUS~悪名高き男~」を受け継ぐが、ゲームとして洗練され、プレイしやすくなっている。なにより街の表現が段違いだ。緻密に、広大になったマップはPS4のパワーをまざまざと見せつけてくれる。高いビルは1つ1つが表情が違うし、行き交う人々も同様だ。次世代機のゲームというのは、ここまで街を作り込めるのかと、改めて感心させられる。
D.U.P.はかなり手強い。彼らは遠距離から容赦なくマシンガンを撃ってきて、手榴弾を投げてくる上、オーグスティンから「コンクリート」の能力を分け与えられており、慣れないプレーヤーはあっという間に倒されてしまうかもしれない。デルシンは最初“煙”の能力を使う。ゲームの初期で射撃や格闘に加え、強力なミサイルや、煙に姿を変えての高速移動なども使えるので、慣れるほど華麗に、かっこよく戦えるようになる。
「inFAMOUS Second Son」はデルシンの“軽さ”がいい。力に対してノリノリで、敵に対しても常に軽口。前作までの主人公コールは重い運命を背負わされていたためストーリーはシリアスだったが、今作はデルシンの軽さがゲームに爽快感を与えている。デルシン役の阪口周平氏の演技がとても楽しい。本作もプレーヤーの選択で、悪と善のストーリーが分岐するが、善のストーリーでも基本的にデルシンは悪ガキであり、いたずら気分で色々なことをしていく。
デルシンの悪ガキぶりが遺憾なく発揮されているのが、「ステンシルアート」のサブミッション。ストリートアートを描くミッションで、デルシンは数枚の“下絵”を使ってスプレーで絵を描いていく。この時プレーヤーはPS4のコントローラーをスプレー缶のように持ってスプレーを吹き付けていく。できる絵は反骨精神を感じさせるもので、自分の主張を世の中に対して叩きつけているようだ。
また、「決戦ミッション」は、D.U.P.をおびき寄せるためデルシンは「D.U.P.ホットライン」に電話するのだが、オペレーターの女性とのやりとりが毎回楽しい。デルシンは最初は声色を使って嘘の報告をする。「イケメンのバイオテロリストが暴れてます!」とか、セリフもいちいちオカシイ。そのうち声を覚えられると、今度はオペレーターを口説こうとする。オペレーターの女性の優しい声が相手がデルシンだと知ると豹変するのも聞き所だ。この会話は、決戦ミッションの大事な楽しさの1つとなっている。
移動司令部への襲撃、決戦ミッションはデルシンにとっても、プレーヤーにとっても“能力を全開に戦う楽しさ”がある。こちらを包囲しようと動いてくる敵にどう立ち向かうか、どの能力を使い、どう戦っていくか……ピンチにはきちんと距離を取り、オブジェクトも活用する。慣れるほど、新たな能力を獲得するほど楽しくなっていく。PS4ならではのグラフィックスのリッチさが、“強大な超能力を振るう実感”を増幅させてくれる。これまでのゲームにはない戦いを体験できるだろう。