PSPゲームレビュー

セブンスドラゴン2020-II

ゲームシステムは前作を踏襲。注目は新職業アイドルと秘奥義!

ゲームシステムは前作を踏襲。注目は新職業アイドルと秘奥義!

 ドラゴンを討伐することで得られる資材(Dz)で新たな施設を開発・改修、エリアジャンプで施設内に瞬時に移動できるなど、基本的なゲームシステムは前作を踏襲。前作のプレーヤーなら説明を読まずともスムーズにゲームを進めることができるはずだ。

ドラゴンから得られた資材で新たな施設を開発・改修することで、ゲームが進行したり、便利な施設が利用できるようになる
探索に欠かせないマップ。非表示、画面右上、中央に拡大表示と3つのマップ表示を切り替えることができる
便利なエリアジャンプも健在。議事堂内の好きな場所へ一瞬で移動できる。また、東京各地のダンジョンへも前作と同様に一瞬で移動でき、ダンジョン内で脱出ポイントを発見すれば、その場所から探索を再開できるようになる

 通常の敵はダンジョンを移動すると画面左上にあるレーダーが赤く変化していき、真っ赤になると敵と遭遇する。ドラゴンはシンボルで表示され、接触すると戦闘へと突入する。後ろから接触すれば先制攻撃となり1ターン有利に、逆に背後から接触されると先手を取られてしまう。

 移動するタイプのシンボルが近くにいる場合、そのドラゴンがバトルに乱入してくることも。乱入までのターンはシンボルとの距離に応じて決定され、乱入までのターンに応じて画面右下のドラゴンメーターが青→緑→黄色→赤と変化していく。ドラゴン戦の最中にさらなるドラゴンが乱入してくることもあるので注意が必要だ。ただ、乱入までのターンを利用し、雑魚との戦いで強化・補助スキルを事前にかけておき、有利な状態でドラゴンと戦うといった使い方もできる。

通常の敵とのエンカウントタイミングは左上のレーダーの色を見ればひと目でわかる
ドラゴンはシンボルで表示され、接触すると戦闘へと突入する。なるべく背後を取り、先制攻撃を仕掛けたいところ。ドラゴンは強敵なので、危ういと思ったら逃走するのも1つの手だ。なお、バトルに敗北した場合、戦闘開始時からリトライするか、タイトル画面に戻るかを選択できる。1度戦闘して行動パターンや弱点を探っておけば、初見よりもずっと有利にバトルが進められる

 バトルに突入したら、ATTACK/GUARD/SKILL/ITEM/EXHAUST/ESCAPEから行動を選択する。SKILLはMANAを消費し、習得しているスキルを発動するコマンド。EXHAUST(エグゾースト)は攻撃成功時やダメージを受けた際にたまるエグゾーストゲージがMAXになると選択できるようになり、EXHAUST後に選んだ行動の効果を上昇させたり、行動順を早くしたりといった効果の得られる、1ターンだけ大幅に行動を強化できるコマンド。また、奥義という特殊なスキルの使用条件にもなっている。

本シリーズのバトルはシンプルなコマンド選択式。コマンドを選んだら敵味方の行動順が早いキャラクターから行動し、全キャラクターの行動が終わると再びコマンド選択画面へと戻る
SKILLは習得しているスキルを使用するコマンド。習得できるスキルは職業毎に異なり、敵撃破時などに得られるスキルポイントを各スキルに割り振ることで習得・強化できる。バリエーション豊かなスキルによる戦闘は本シリーズに欠かせない、バトルを面白くしている要素の1つだ。他のキャラクターの攻撃への追撃など、職業・スキルの組み合わせによって、大きな効果を発揮するスキルもあるので、パーティ3人をどのような職業で構成するか考えるのも楽しい
エグゾーストゲージがMAXになるとEXHAUSTが選択できるようになる。敵に与えるダメージが上昇、回復スキルやアイテムの回復量が増加、ESCAPEが必ず成功するなど、攻防どちらにおいても大きな効果を発揮する
本シリーズの特徴的なシステム「エクストラターン」(キャラクターが行動を終えた後、同じターン内でもう1度行動)も健在。リアクトという再行動スキルの発動条件を満たすとこのターンを迎えることができる。リアクトを上手く使えるかどうかが戦闘の鍵を握ると言ってもいいほど重要なシステムになっている

 職業は前作から引き続き登場となる「サムライ」、「サイキック」、「デストロイヤー」、「ハッカー」、「トリックスター」に加え、新職業の「アイドル」の計6職。「アイドル」の登場により、パーティの組み合わせパターンは格段に広がっている。

 アイドルは仲間を鼓舞し、能力を引き出す、司令塔的な職業。直接的な攻撃スキル、全体回復スキルなどがありつつも、「オーダー」、「フォーメーション」という2タイプの特徴的なスキルが習得できる。

 「オーダー」は仲間に特定の行動をさせるスキル。例えば「突撃グルーヴ」というスキルであれば、自分を含めた仲間全員で通常攻撃を行なう。このとき、仲間の手番は消費されない。つまり、アイドル・A・Bというパーティ構成で、行動速度がアイドル>A>Bの場合に突撃グルーヴを使うと、突撃グルーヴが発動(アイドルの通常攻撃→Aの通常攻撃→Bの通常攻撃)→Aの行動→Bの行動のようになる。通常攻撃だけでなく、スキルやリアクトスキルを指示するオーダースキルも存在する。

 ここでサムライ、サイキックと組み合わせた例を紹介しておきたい。サムライには「風林重ね」(味方の属性攻撃に合わせて、その属性で追撃する)というスキルがある。サイキックと相性のいいスキルで、弱点を突けば大きなダメージが与えられる。

 この2職業にアイドルを加えた場合、

・「進めロックンロール」(フィーバー1。仲間2人が【第一段階スキル】から攻撃スキルをランダムで使用(♪)。
※失敗すると通常攻撃。低確率でフィーバー2へ移行)
・「伝説のロックンロール」(フィーバー3。仲間2人が【第三段階スキル】までの攻撃スキルをランダムで使用(♪)。
※失敗すると通常攻撃。低確率でスーパースター発動)

 といったスキルを使い、サイキックから属性攻撃が出れば、1ターンで2度の「風林重ね」を発動させることができる。

 もちろん、アイドルは他の職業と組み合わせても高いパフォーマンスを発揮してくれるが、サムライとサイキックは使っている人が多いと予想されるため、例として挙げさせてもらった。

「オーダー」タイプのスキルを使えば、仲間の手番を消費することなく、仲間を行動させることができる

 「フォーメーション」は一時的に味方全員の能力を特定の方向性に強化するスキル。例えば「ATK☆フォーム」というスキルであれば、味方全員の攻撃力が上がり、防御力が下がるといった具合。DEF、ATK、SPD、CUREと4つのフォーメーションが存在する。

「フォーメーション」タイプのスキルは、仲間全員の能力を一時的に特定の方向性へと強化する

 さらにアイドルには「フィーバー」という専用システムが用意されている。特定のスキルを発動するとフィーバー状態へと移行し、その後、敵の攻撃を回避したり、特定のスキルによって、最大4段階までフィーバーのレベルを上げることができる。フィーバーのレベルが上がると、より強力なスキルが使えるようになる(逆に言えば、一部のスキルはフィーバーレベルを上げなければ使うことはできない)。4レベル目に突入すると「スーパースター」となり、ステータスが一時的に大幅に上昇、毎ターンライフが回復し、スキルの説明に「♪」のついているスキルの効果が最大になる。

 ちなみにアイドルのリアクトスキル「スルーリアクト」の発動条件は敵の攻撃を回避すること。数ターンの間、自分の回避率が上昇する「ドライアイス」と併用し、発動を狙いたい。アイドルは他にも一定確率で発動し、入手SPが増加する「カラフル・ステージ」、スキル有効中にバトルに勝利すると入手Az(ゲーム内通貨)が増加する「ハイ・ギャランティ」など、キャラクター育成に役立つスキルも習得できる。

 前作からの5職業とは違った性能を持つアイドル。1度は触ってみてもらいたい、魅力的な職業に仕上がっている。

フィーバーレベルに応じて強力なスキルが使えるようになる。さらに4段階までレベルを上げればスーパースターとなり、ステータスが向上し、毎ターン回復効果が得られる。ただし、一定ターンが経過するとスーパースター状態は解除されてしまう

 新職業アイドルと共に新たなバトルシステムとして本作から追加されたのが秘奥義。前作にあった奥義と同様にエグゾースト時のみ使える強力なスキルだ。各職業、奥義と秘奥義を1つずつ習得することができる。習得には特定の条件を満たす必要があるが、かなり強力なので積極的に習得するようにしたい。

アイドルの奥義は「TOKYOアリーナ」(4ターンスーパースター状態+スキル効果アップ)。秘奥義は「TOKYOアリーナ極」(仲間に潜在的に眠る強力スキルを発動させる)。前者は自分を強化するもの、後者は味方に強力な行動をさせるものになっている

最後に

 ゲームシステムは前作と基本的に同じながら、続きとなる物語が描かれ、キャラクターメイクで選択できるボイスが大幅に増え、新職業アイドルや秘奥義が追加された本作。本シリーズならではの多彩なスキルによるバトルの面白さも健在。前作ファンも納得の出来と言えるのではないだろうか。

 本作から始める人やバトルよりも物語を進めることに重きを置く人にとって、「STANDARD」(標準的)と「CASUAL」(初心者向け)の2つから難易度が選べるのは嬉しい点だろう。難易度は新規ゲームスタート時に選択し、1度選択した難易度は変更できない。難易度によって物語の展開に違いはないので、好みの難易度を選択してもらいたい。

 筆者のクリアタイムは、難易度「STANDARD」、クエストや救助を全てこなしつつのプレイで40時間ほど。ボリュームも充分だ。

 前作ファンならもちろん“買い”。やりがいのあるバトルが楽しめるRPGを探している人にもオススメだ。

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(木原卓)