2021年12月16日 00:00
パソコンショップ「ドスパラ」を全国に展開しているサードウェーブは第12世代Coreを搭載した高性能ゲーミングPC「GALLERIA(ガレリア)」ブランドのデスクトップPC 5製品の販売を開始した。
この5製品は、インテルが2021年10月27日(現地時間)に発表した最新の第12世代Coreを搭載していることが特徴だ。第12世代Coreは、インテルが世界最高レベルのゲーミングCPUと謳っている製品であり、最新AAAタイトルを快適にプレイしたいというゲームファン待望のCPUだ。今回発売が開始された5製品の中でもフラッグシップとなる「GALLERIA UA9C-R39 第12世代Core搭載」は、第12世代Coreの最上位モデルとNVIDIAのゲーム向けGPUとして現時点最速の「GeForce RTX 3090」を搭載した、フラッグシップの名に恥じないスペックを誇る超弩級ゲーミングデスクトップPCである。
サードウェーブの新製品発売をまるで狙ったかのように、大型FPSタイトルが登場した。それが2021年11月19にリリースされた「Battlefield 2042(バトルフィールド2042)」である。「Battlefield 2042」は、人気のFPS「Battlefield」シリーズの最新作であり、最大128人対戦に対応し、RTXシリーズ専用機能をサポートするなど、こちらも超弩級FPSであり、最高画質で快適にプレイするにはかなり高いスペックが要求される。「Battlefield 2042」の美しいグラフィックスを余すところなく堪能するには、「GALLERIA UA9C-R39 第12世代Core搭載」のようなハイエンドゲーミングPCが必要なのだ。
そこで今回は、ハイエンドゲーミングデスクトップPC「GALLERIA UA9C-R39 第12世代Core搭載」で最重量級FPS「Battlefield 2042」をプレイするとどうなるのか、じっくり検証していきたい。
最新第12世代CPU「Core i9-12900K」と最新世代GPU「GeForce RTX 3090」を搭載
インテルの最新CPUである第12世代Coreを搭載したGALLERIAブランドのゲーミングPCは全部で5製品あり、上位から「GALLERIA UA9C-R39 第12世代Core搭載」、「GALLERIA UA9C-R38 第12世代Core搭載」、「GALLERIA ZA7C-R39 第12世代Core搭載」、「GALLERIA ZA7C-R38 第12世代Core搭載」、「GALLERIA ZA7C-R37 第12世代Core搭載」となる。上位2製品がGALLERIAのフラッグシップモデルとなるUシリーズ、下位3製品がUシリーズに続くハイエンドモデルであるZシリーズである。今回試用した「GALLERIA UA9C-R39 第12世代Core搭載」(以下、UA9C-R39)は最上位モデルであり、文字通り、GALLERIAの頂点に立つフラッグシップモデルである。
まずは、基本スペックを見ていこう。
【GALLERIA UA9C-R39 第12世代Core搭載】
CPU:インテル Core i9-12900K(16コア/24スレッド、3.20GHz~5.30GHz)
GPU:NVIDIA GeForce RTX 3090(24GB)
チップセット:Z690
メインメモリ:32GB DDR5-4800MHz DIMM(16GB×2)
ストレージ:1TB Gen4 NVMe SSD / 2TB HDD
光学ドライブ:なし
OS:Windows 10 Home
本体サイズ:220×440×480mm(幅×奥行き×高さ)
本体重量:約14㎏
価格:539,980円(税込)
製品ページ:https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?tg=&mc=10598&sn=0
本製品の最大のウリが、インテルが2021年10月に発表したばかりの第12世代CoreであるCore i9-12900Kを搭載していることだ。第12世代Coreは、開発コードネーム「Alder Lake」と呼ばれていた製品であり、その中でも最上位となるCore i9-12900Kは、インテルが世界最高レベルのゲーミングCPUと謳っているモデルだ。第12世代CoreはインテルのCoreシリーズで初めて、2種類のコアを搭載するハイブリッドCPUとなっており、Core i9-12900Kは、Pコアと呼ばれる高性能コアが8コア、Eコアと呼ばれる高効率コアが8コアで、合計16コアを搭載している。Pコアは1つのコアで2つのスレッドを同時実行可能なため、Pコアで16スレッド、Eコアで8スレッドで、合計24スレッドを同時に実行できる。Pコアは従来の第11世代Coreをベースにさらに改良が行われており、デコーダや命令実行ユニットが強化されキャッシュ周りも強化されるなど、さまざまな点が進化している。そのため、第12世代Coreは第11世代Coreに比べて、同じクロック周波数でも平均19%の性能向上を実現している。Core i9-12900Kは、クロック周波数自体も高く、PC用CPUとして現時点最高クラスのパフォーマンスを誇る。
ゲーミングPCでは、CPUに負けず劣らず重視すべきパーツがGPUだ。UA9C-R39では、GPUとしてNVIDIA GeForce RTX 3090が搭載されている。GeForce RTX 3090は、NVIDIAの最新GPU「RTX 30シリーズ」の中でも最上位に位置するGPUであり、10496ものNVIDIA CUDAコアを搭載、ビデオメモリの容量も24GBと大きく、非常に高いパフォーマンスを誇る。また、RTXとして2世代目にあたる製品で、RTXしか利用できないレイトレーシングやNVIDIA DLSSといった機能をサポートしていることも魅力である。最新ゲームを4K解像度かつ高いフレームレートでプレイしたいという人の要求をかなえてくれる。グラフィックボードの出力は、HDMI×1とDisplayPort×3という仕様である。
メインメモリは32GBで、従来のCore iシリーズで採用されていたDDR4よりも高性能なDDR5が採用されている。32GBもあればゲーム用途ならほぼあらゆる環境で快適と言えるが、メモリスロットは4基用意されており、2基空いているので、将来メモリを増設する場合も標準搭載のメモリが無駄になることはない。ストレージは、PCIe 4.0対応の超高速NVMe 1TB SSDと2TB HDDを搭載する、デュアルストレージ仕様となっている。合計3TBという大容量であり、容量の大きなAAAゲームを多数インストールしても余裕がある。また、ゲームプレイの様子を録画して、テロップなどを付けて編集しYouTubeなどにアップロードするといった使い方にも向いている。
サイドパネルがヘアライン加工されたプレミアム仕様のケースを採用
GALLERIAシリーズのデスクトップPCではオリジナルのタワーケースが使われている。これは2020年夏にデザインと設計が一新された新ケースである。新ケースは、使い勝手、デザイン性とも優れたケースとしてユーザーからの支持も高い。サイズは220×440×480mm(幅×奥行き×高さ)で、ミドルタワーとなる。カラーはブラックとシルバーを基調としており、精悍な印象だ。なお、Uシリーズ以外のデスクトップPCではサイドパネルがガンメタリックで塗装されているのだが、本製品を含むフラッグシップモデルのUシリーズでは、プレミアム仕様としてヘアライン加工が施されたアルミ外装を採用しており、さらに美しく洗練された外観を実現している。
フロントパネル中央には、シルバーのGALLERIAエンブレムがあり、高級感を演出している。また、フロントパネル周囲には、新世界への「ゲート」をイメージしたRGB LEDが配置されており、電源を入れると美しく光る。デフォルトの発光色は青色だが、専用のLEDコントロールユーティリティを使うことで、発光色や発光パターンを自由に変更できる。
フロントパネルの上部が斜め45度にカットされたデザインであり、その部分にフロントI/Oポートや電源スイッチが用意されているので、操作しやすい。この斜めの部分も、ヘアライン加工されたアルミ素材が採用されており、サイドパネルとの統一感を実現している。フロントI/OポートとしてUSB 3.2 Gen1 Type-A×4と音声入出力端子を備えている。フロントのUSBポートは、主に頻繁に抜き差しするデバイス(USBメモリなど)に使われるが、4つあれば、まず足りなくなることはないだろう。背面のI/Oポートも充実しており、USB 2.0 Type-A×2 、USB 3.2 Gen1 Type-A×2 、USB 3.2 Gen2 Type-A×1 、USB 3.2 Gen2x2 Type-C ×1の合計6つのUSBポート(うち1つがType-C)を備えるほか、サウンド入出力端子やPS/2キーボード・マウス端子、2.5G LANポートも備えている。
正面から見て左側のサイドパネルは、一部が透明になっており、内部が見えるようになっている。ゲーミングデスクトップPCでは、LEDが搭載されている光物パーツを多数搭載し、内部が鮮やかにライトアップされるものも多いが、UA9C-R39では、装着されているRTX 3090搭載グラフィックボードにRGB LEDが搭載されており、サイドパネルの窓から光る様子を視認できる。
左右のサイドパネルは、手回しが可能なローレットビスで固定されており、ドライバーがなくてもサイドパネルを外せるため、メンテナンスもしやすい。トップパネルはハニカム形状の穴が空いた樹脂パネルとメッシュパネルから構成されており、トップパネルの上にUSBメモリなどの小物を置くことも想定されている。
電源ユニットは80PLUS GOLD認証の850W静音電源を採用しており、高性能CPUとGPUを搭載していても、十分余裕がある。本体の底面には、電源ユニットのファンへのホコリの吸い込みを防ぐフィルタが装着されている。フィルタは引き出せるようになっているので、掃除も楽にできる。光学ドライブは標準では非搭載だが、5インチオープンベイが用意されているため、後付けでBDドライブなどを搭載することもできる。
本製品のケースは、使い勝手やメンテナンス性、拡張性も優れており、高く評価できる。
静音ファンと水冷CPUクーラーで高い静音性を実現
GALLERIAの新タワーケースは、冷却能力が高いことも魅力だ。ケースのリアとトップにそれぞれ直径140mmの大型静音ファンが1基ずつ搭載されており、エアフローがしっかり確保されている。吸気は、両サイドパネルの手前側にあるブルーのメッシュ箇所より行うようになっている。
また、本製品は、一般的な空冷タイプのCPUクーラーではなく、冷却性能と静音性に優れた水冷CPUクーラー「Asetek 670LS」が採用されていることも特筆できる。搭載されているCore i9-12900Kの基本電力は125Wだが、ターボ動作時の最大電力は241Wにも達する。しかし、本製品に採用されている水冷CPUクーラーなら十分な冷却が可能である。水冷CPUクーラーのラジエーター部はフロントパネル裏に配置されており、2基の120mm静音ファンによって冷却されている。
独自の「リジッドカードサポート」で大型グラボも強固に固定
本製品は、NVIDIAのハイエンドグラフィックボード「GeForce RTX 3090」を搭載していることが魅力だが、GeForce RTX 3090に限らず、最近のハイエンドグラフィックボードは、大型化と重量化が進んでおり、PCIeスロットに装着した状態で通常のタワーマシンのようにマザーボードを立てて使うと、PCIeスロットに大きな負荷がかかる。また、本体を輸送中に振動などでグラフィックボードが外れて破損してしまうという事故もときどき耳にする。そこで、RTX 3070以上のグラフィックボードを搭載したGALLERIAシリーズのデスクトップPCでは、グラフィックボードの緩みを防止する「リジッドカードサポート」と呼ばれる新機構が採用されている。リジッドカードサポートは、フロント側に大型ステーを設け、そのステーを利用してグラフィックボードを上下から専用パーツで挟み込んで強固に固定する仕組みである。
まずはベンチでパフォーマンスチェック。「Battlefield 2042」のフルHD最高画質で平均155fpsを達成
このように「UA9C-R39」は、GALLERIAシリーズのフラッグシップモデルとして、非常に高いクオリティを備えているのはご理解いただけたのではないかと思う。続いて肝心のパフォーマンスについて実際のゲームで検証してみたい。
まずは、「Battlefield 2042」を用いて、本製品のパフォーマンスを測ってみた。「Battlefield 2042」は、人気のBattlefieldシリーズの最新タイトルであり、2013年に発売された「Battlefield 4」の直接的な続編となる。タイトル通り、21年後の2042年に戦争が起きたとする架空の物語である。本作では、シングルプレイのキャンペンモードがなくなっており、マルチプレイに特化したタイトルとなっている。また、これまでのシリーズでは、最大64人での戦いであったが、「Battlefield 2042」のPC版では、従来の2倍の最大128人対戦に対応していることがウリの一つだ。
PC版「Battlefield 2042」はDirectX 12対応で、空気感を感じられる美しいグラフィックスが魅力の一つだが、その分、要求する動作環境が高い。必要動作環境は、CPUがCore i5-6600KまたはRyzen 5 1600、メモリ8GB、ビデオメモリ4GB、GPUがGeForce GTX 1050 TiまたはRadeon RX 560、HDD空き容量100GBであり、推奨動作環境は、CPUがCore i7-4790またはRyzen 7 2700X、メモリ16GB、ビデオメモリ8GB、GPUがGeForce RTX 3060またはRadeon RX 6600 XT、SSD空き容量100GBとなっている。推奨動作環境を見ると、CPUは数世代前でも問題はないが、GPUは最新世代の製品を要求しており、特にGPUへの負荷が高いことがわかる。
「Battlefield 2042」には、コンクエスト、ブレークスルー、ハザードゾーンの3つのゲームモードがあるが(さらに過去のステージで遊べるBattlefield Portalもある)、ここでは128人対戦に対応し攻撃側と防衛側に分かれて戦うブレークスルーで、CapFrameXを用いて実際のゲームプレイ中の1分間の平均フレームレート、最高フレームレート(厳密には95パーセンタイル)、最低フレームレート(1パーセンタイル)を5回計測し、その平均を採用した。マップはカレイドスコープで、解像度はフルHD(1,920×1,080)である。
ちなみに画質に関する設定は「グラフィッククオリティー」を「自動」に設定したところ、ハイエンドPCだけあって全ての項目が最高となった。フレームレートの計測結果は、平均フレームレートが155fps、最高フレームレートが189fps、最低フレームレートが101fpsという結果になった。「Battlefield 2042」は現時点でトップクラスの重量級FPSだが、「UA9C-R39」なら最高画質でも快適なパフォーマンスでゲームを楽しむことができると言える。
グラフィックス最高設定で平均フレームレート155fpsという時点で十分快適といえるが、より高いフレームレートでプレイしたければ、画質設定を下げればよい。PC版には豊富なグラフィックスオプションが用意されており、グラフィックス重視か、パフォーマンス重視かを好みに応じて選択することができる。
ちなみに「Battlefield 2042」は、標準でも美しいグラフィックスを実現したタイトルだが、レイトレーシングにも対応しているため、パフォーマンスに余裕のある「UA9C-R39」ならレイトレオンでプレイすることも可能だ。これについては後ほどお伝えしたい。
続いて、人気のバトルロイヤルFPS「Apex Legends」でも、フレームレートを計測してみた。設定はフルHD最高画質である。「Apex Legends」の平均フレームレートは255fps、最高フレームレートが299fps、最低フレームレートが191fpsと、非常に高い値が出た。最速ゲーミングデスクトップPCの性能がいかんなく発揮されているといえる。
さらに、国産MMORPG「ファイナルファンタジーXIV」のベンチマークテスト「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」を実行してみた。1,920×1,080ドット最高品質でのスコアは29,341で「非常に快適」という評価に、1,920×1,080ドット高品質(デスクトップPC)でのスコアは29,409で同じく「非常に快適」という評価になった。「暁月のフィナーレ」では、スコアが15,000を超えると、一番上の評価である「非常に快適」と判定されるのだが、本製品のスコアはその基準の約2倍に達している。このベンチマークでここまで高い数値を見たのは初めてだ。
また、「CrystalDiskMark 8.0.4」を使ってストレージ性能を計測したところ、SSDのシーケンシャルリード(Q8T1)は5,013.0MB/s、シーケンシャルライト(Q8T1)が4,267.77MB/sという非常に高速な結果になった。ロットによって搭載SSDが異なるため、この結果はあくまで参考程度に留めていただきたいが、シーケンシャルリード5,000MB/sというのは、SATA 6Gbps対応SSDの8倍以上の速度であり、OSやゲームの起動も非常に高速で、ストレスを感じることがない。参考のためにHDDについても性能を計測してみたが、SSDとの性能差は非常に大きいことが分かるだろう。
PCで「Battlefield 2042」をプレイする3つのメリット「DLSS」「Reflex」「レイトレ」
さて、「Battlefield 2042」は、PC以外にもPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X/Xbox Series Sでプレイでき、クロスプレイにも対応したタイトルだが、PC版にはコンソール版にはない利点がある。まず、128人対戦ができるのはPC版とPS5/Xbox Series X/Xbox Series Sのみで、前世代機のPS4/Xbox Oneは最大64人対戦となる。また、PC版は、コンソール機よりも高い解像度やフレームレートで遊べるため、「UA9C-R39」のようなマシンを用意することで、より優れた環境でゲームを楽しむことができる。
さらに「Battlefield 2042」PC版ならではのメリットとして挙げられるのが、「DLSS」「NVIDIA Reflex」、「レイトレーシング」への対応だ。このうち、DLSSとレイトレーシングは、NVIDIAのRTXシリーズ搭載PCでのみ利用できる機能であり、NVIDIA Reflexは、GeForce GTX 900以降のNVIDIA製GPUを搭載したPCで利用できる。今回レビューしている「UA9C-R39」は、GPUとしてNVIDIAの最速GPU「GeForce RTX 3090」を搭載しているため、これら3つをすべて利用できる。
DLSSは、Deep Learning Super Samplingの略で、ディープラーニング(深層学習)を利用してスーパーサンプリングを高速に行う技術である。スーパーサンプリングは超解像とも訳され、低解像度の画像を高解像度の画像に変換する技術だ。DLSSは、それをディープラーニングによって行うことが特徴で、RTXシリーズに搭載されているTensorコアを使うことで、高速な変換が可能だ。
ゲームにおいて具体的にどういう効果があるのかというと、DLSSを有効にすることで、映像のギザギザを滑らかにするアンチエイリアス処理が高速化されるため、フレームレートが向上し、さらに細部がシャープになるという利点がある。「Battlefield 2042」の場合、DLSSはデフォルトではオフになっているが、DLSSを有効にすることで(DLSSにはいくつかのモードがあるが、基本的にはオートで良い)、フレームレートの向上が見込める。
実際にDLSSのオンオフを切り替えてテストしたところ、フルHD解像度では、平均フレームレートが2~3fps向上したものの、大きな差はなかった。おそらくGeForce RTX 3090の基本性能が高すぎて、フルHD解像度では大きな差がでないのであろう。4K以上のより高い解像度ではもう少し差が出る可能性がある。ただし、DLSSを有効にすることのデメリットはほとんどないので、基本的にオン(オート)に設定しておけばよいだろう。
NVIDIA Reflexは、ゲームプレイ中のレイテンシ(遅延)を減らすための技術である。レイテンシとは、ボタンが押されてから、それが実際に画面のキャラクターなどに反映されるまでにかかる時間のことだ。描画の際には、CPUとGPUが一緒にパイプラインで分担して作業を行うが、その流れを最適化し、CPUやGPUの無駄な待ち時間を減らそうというのがNVIDIA Reflexである。こちらは、デフォルトで有効になっていたので、無効にしてみたが、特にフレームレートには違いが出なかった(仕組み上、有効にするとレイテンシは減るが、フレームレートも低下する可能性がある)。また、レイテンシの違いにも気付かなかった(こちらももっと性能が低いGPUのほうが差が大きくなる)。こちらはデフォルトの「有効」のままでよいだろう。
レイトレーシングも、RTXシリーズならではの機能である。レイトレーシングとは、光線追跡法と訳されるが、観測者から見える範囲にある光の経路を1本1本追跡することで、反射や屈折などの影響を含む正確な像を得るレンダリング方法だ。レイトレーシングはリアルな像を得ることができるが、計算量が非常に多いため、リアルタイムでゲームに使うのは不可能とされていた。しかし、RTXシリーズにはリアルタイムレイトレーシング処理を行うためのRTコアが搭載されており、リアルタイムレイトレーシングを活用するゲームも登場している。
「Battlefield」シリーズでは、2018年に発売された「Battlefield V」がRTコアを利用したリアルタイムレイトレーシングに対応しており、「Battlefield 2042」でもその対応が期待されていた。しかし、現時点での「Battlefield 2042」のリアルタイムレイトレーシングへの対応は、アンビエントオクルージョンのみと限定的なものになっている。アンビエントオクルージョンとは、形状の凹凸をもとにテクスチャに対してグレースケールの濃淡をマッピングし、陰影を強調する技術である。光学的に正しい影ではないが、環境光が届かない場所にそれらしい影を付けることができるため、よく使われている。
「Battlefield 2042」の設定画面にあるレイトレース アンビエントオクルージョンとは、このアンビエントオクルージョンにレイトレーシングを使うことで、より正確な影を得る技術だ。レイトレーシングは、前述したように非常に負荷が高いため、専用コアを搭載したRTXシリーズとはいえ、すべての処理をレイトレーシングで行うのは現実的ではない。「Battlefield V」では、「Battlefield 2042」よりもレイトレーシングで行う処理が多かったが(ガラスや水面の反射なども)、その分、パフォーマンスへのインパクトが大きく、有効にすると最大4割程度もフレームレートが低下してしまうことがあった。そこで、「Battlefield 2042」では、レイトレースを有効にしても、そこまでパフォーマンスへインパクトを与えないように限定的な対応にしたのであろう。
実際に、DLSSをオートにして、レイトレース アンビエントオクルージョンをオフにした状態とオンにした状態の平均フレームレートを比べて見ると、レイトレースオフでは130fps出ていたのに対し、レイトレースをオンにすると90fpsまで低下した。約33%減であり、決して無視できないインパクトだ。
肝心の画質の差だが、車両や渡り板の影などを比べてみると、明らかに違いがあり、レイトレースをオンにしたほうが、黒が濃く、形状も正しい影がしっかりと出ていた。しかし、影がリアルになったからゲームがより快適になるとか、敵を倒しやすくなるというわけではない。リアルさが増すことは事実だが、やはりフレームレートへの影響が大きいので、オンにする場合は、そのトレードオフをじっくり考慮すべきだ。
ちなみにレイトレースをオンにした状態のほうが、DLSSの効果が大きくなると予想されるので、レイトレースをオンにした状態で、DLSSのオフとオートを切り替えてみたところ、DLSSをオフにすると、DLSSオートのときに比べて平均フレームレートが5fps程度低くなっていた。やはり、先ほどよりも差が多少大きくなっている。レイトレースをオンにするなら、DLSSもセットで有効化すべきだと言えそうだ。
最高性能のゲーミングデスクトップPCが欲しい人におすすめ
今回、レビューしたUA9C-R39は、GALLERIAシリーズの頂点に位置するフラッグシップゲーミングデスクトップPCであり、とにかく絶対的な性能を重視したいという人におすすめの製品だ。価格は流石に安いとはいえないが、RTX 3060搭載製品に比べても、最大2倍程度のベンチマーク結果を出していることを考えると、決して高すぎるというわけではない。
現行のゲームだけをプレイしたいというのなら、少々オーバースペックな気もするが、レイトレーシングのように桁外れに重い処理でも、十分なパフォーマンスでゲームがプレイできるアドバンテージはデカい。現時点でパフォーマンスに余裕があるということは、それだけ長い期間現役として運用することができるため、未来への投資としても悪くないだろう。
ちなみに本製品を試用していて、一番驚いたのはその静粛性の高さだ。水冷CPUクーラーを利用しているためだろうが、CPUやGPUに高い負荷がかかる重量級FPS「Battlefield 2042」のプレイ中であっても、ファンの音はあまり大きくならず、ほとんど気にせずに利用できた。「ゲーミングデスクトップPC=ファンの音が大きい」というイメージがあったが、本当に静かだった。自宅で家族が寝静まった深夜にゲームをプレイしたいが、音が気になるという人も多いことだろう。そうしたユーザーにも、負荷を掛けても静かなUA9C-R39をおすすめしたい。
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※価格・構成については、2021年12月14日時点の情報です。最新情報についてはドスパラにてご確認ください。
※本製品はBTO製品の為注文時期によって内部で使用されているパーツが異なる場合があります。その為計測した結果と実際の数値が異なる場合があります。