【特別企画】

自由度の高いクラスシステムが魅力的なタクティカルRPG!「フェルシール:アービターズマーク」先行プレイレポート

日本の名作にも影響を受けた王道を往く作品

1月28日発売予定

パッケージ版 3,480円(税別、PS4のみ)

DL版 3,100円(税別)

 DMM GAMESはタクティカルRPG「フェルシール:アービターズマーク」(Fell Seal Arbiter's Mark)の日本語版をプレイステーション 4/Nintendo Switch/PC(DMM GAME PLAYER)向けに1月28日に発売する。

 本作は、6 Eyes Studioが開発したクォータービュー型のタクティカルRPGで、「ファイナルファンタジータクティクス」や「タクティクスオウガ」など、日本の同ジャンルのゲームから影響を受けており、ゲームシステム的には「王道」な作品となっている。その一方で、自由度の高いクラスシステムや、素材を使ったアイテムの生産、幅広く難易度を設定できることで様々な遊び方ができる。特にクラスシステムでは、「回復魔法の使える騎士」や「補助魔法も使える暗殺者」のような自由なビルドをすることができ、本作の肝となっている。今回はそんな本作の先行プレイの機会を得たので、プレイレポートをお届けしたい。

【「『フェルシール:アービターズマーク』日本語版公式トレーラー】

オーソドックスなシステム+自由度の高いスキルビルド

 本作はストーリーに沿って展開していくタクティカルRPG。様々な種族が暮らしているファンタジー世界を舞台としており、主人公カイリーと仲間達は陰謀が渦巻く巡礼の旅に出ることになる。

 ゲームはストーリーをクリアすることで次のステージが解禁されていく仕組みだが、一度クリアしたマップは稼ぎに使用することができるようになり、後述するチームの育成や素材の収集に使用することが可能となっている。ストーリーの進行に行き詰ったら、戻ってパーティーを鍛えなおすことができるのだ。

グラフィックスはいかにも"洋ゲー"といった絵柄。ドット絵部分はかなり細かく書き込まれており見ていて楽しい
ストーリーステージをクリアすると、次のマップが解禁されるシステム。一度クリアした場所は戻って経験値やアイテム稼ぎに利用できる

 バトルシステムは古典的なタクティカルRPGのものを継承しており、マス目状のマップでキャラクターをコマのように操作するものだ。本作では、敵味方が交互にターンを消化していくのではなく、全キャラクターがスピードの早い順に行動していく。また、1ターンで移動と攻撃やアビリティの使用を両方行なうことができる。また、マップには高低差があり、移動や攻撃の射程に影響をする。

 他にも通常攻撃は装備している武器によって射程が変わったり、属性による弱点の攻防や、攻撃や回復に用いる魔法なども存在しており、側背面の攻撃に補正が加わる……等々、このジャンルではお馴染みの要素はきっちりと踏襲されているので、この手のゲームをプレイしたことがあれば難なく遊べる。

戦闘画面はタクティカルものではお馴染みの画面構成。キャラクターの行動順は画面上部に表示されている
マップによっては高低差が激しいものもあり、高い場所に行くには移動力の他にジャンプ力などのステータスが参照される

 そんな本作の特徴として挙げられるのが「クラスシステム」。本作では30を超えるクラス(職業)と、クラスによって異なる300種類以上のアビリティが存在し、それを組み合わせることで自由にキャラクターをカスタマイズすることが可能になっている。

 クラスには前衛で敵の攻撃を受ける「騎士」や味方にシールドを張るなどのサポートができる「錬金術師」、遠距離から攻撃できる銃が装備可能な「射撃手」などがおり、それぞれ装備できる武器や移動力、使用できるアビリティが異なっているため、パーティ単位で各ユニットの役割を考えてクラス設定をする必要がある。

 戦闘ではマップの形状や敵の種類によって最適な戦略が異なってくるので、有効なクラスや、編成等を考える楽しみもある。例えば、盾役や回復役は多くのマップで必須級のユニットだが、魔法使いやサポート役は有効かどうかでその戦闘に参加させるかは一考の余地があるだろう。

多種多様なクラスが本作には存在している。一部の専用クラスを除き、キャラクター毎にクラスの縛りはなく、自由に設定が可能だ

 各マップでの戦闘を終えるとアビリティポイント(AP)を得ることができ、これを使用することでアビリティの獲得ができ、クラスレベルが上昇する。特定のクラスのレベルが一定以上になると解禁される職業もいくつか存在する。例えば、「傭兵」のクラスを3レベルにすれば騎士がそのキャラクターで使用できるようになり、さらに騎士と魔法使いをそれぞれ3レベルにすると「堕ちた剣士」が使用できるようになる。といった形だ。

 なお、本作のアビリティの獲得はツリー状となっており、強いスキルを取得するには前提となるスキルを獲得する必要がある。それに加え、1つのクラスのアビリティをコンプリートすることで、恒久的なステータスバフを獲得することもできるため、色々なクラスのスキルに手を出すよりも、一つのクラスを極めてから次のクラスに移行したほうが強いキャラクターを育てることができる。

アビリティ獲得はツリーで行なう。上のアビリティをとらなければ下のものを習得できない
戦闘終了時にMVPとなったユニットはAPボーナスを貰うことができる

 本作のアビリティは「アクションアビリティ」、「パッシブアビリティ」、「カウンターアビリティ」の3種類が用意されている。アクティブアビリティは戦闘で使用できるコマンドで、呪文や特殊な攻撃などがこれに当たる。

 パッシブアビリティはキャラクターを自動的に強化するもので、ステータスをアップさせるものや、状態異常を防ぐものといったもの、武器を2つ装備できるようになるものなど効果は様々。カウンターアビリティは様々な状況で自動的に使用するスキル。敵の攻撃に対し反撃するもだけでなく、特定の攻撃を必ず回避できるようにするものもある。この2つはどちらもユニットの個性をより際立たせるものとなっている。

アクティブスキルは複数の敵を攻撃するものや、状態異常を付与するものなど様々なものが存在する

 また、本作はキャラクターごとに細かくスキルをカスタマイズすることが可能となっている。それぞれメインクラスの他にサブクラスを設定することができ、メインクラスで取得しているアクティブ・パッシブアビリティに加え、サブクラスで取得したアクティブアビリティも使用できる。

 パッシブアビリティはメインクラスのものに加え、他のクラスで習得しているものから自由に2つ選択して、カウンターアビリティはメインサブ関係なく、そのキャラクターで習得しているものの中から1つをそれぞれ設定できる。

 自由にスキル構成をカスタムできるので「回復魔法の撃てる騎士」や「2丁拳銃の射撃手」など、様々なスキルビルドを実現可能。装備と合わせて様々なユニットを作ることができるので、パーティーに足りない役割のユニットを作ったり、強力なコンボなどを探してみるのもいいだろう。

 余談だが、筆者が強力だと感じたのが、騎士のアクティブアビリティ「一人は皆のために」と暗殺者のパッシブアビリティ「二刀流」の組み合わせで銃を装備するビルド。「一人は皆のために」は味方の攻撃に合わせて自身も攻撃するスキルで、「二刀流」は武器を2つ装備することのできるスキル。この組み合わせでは追加攻撃を射程の長い2丁拳銃で行なうことができる。こんな風に、コンボとなる組み合わせも存在するので是非探してみて欲しい。

メインクラスとサブクラス、パッシブ・カウンタースキルの組み合わせで独自のアビリティビルドのキャラクターをつくることができる

 本作はギルドで雇うことでオリジナルユニットをつくることが可能。顔や肌の色など、細かく設定ができるほか、特定のアイテムを使用することで、クリエイトキャラクター限定のクラスに転職することができる。さらにこうした限定クラスでしか習得できないアビリティも存在している。特定のビルドを目指すに当たって、そのビルドのイメージに合った見た目のキャラをつくるのもいいだろう。

キャラクタークリエイトでは性別や服装、ポートレート画像などを細かく設定することができる。思い入れもひとしおだ
ストーリーキャラ以外のユニットは特定のアイテムを使用することで特殊なクラスに転職ができる

幅広く設定可能な難易度。素材収集やアイテムの生産も

 また、幅広い難易度設定が可能となっているのも本作の特徴のひとつ。「カジュアル」から「ベリーハード」まで、5段階で難易度は調整できるほか、個別のカスタム設定も可能となっている。難易度を下げればタクティカルゲーム初心者でも多少クリアし易くなるが、高難易度ではこのジャンルに慣れたプレーヤーであってもかなり苦戦させられる。

難易度は細かい設定を、戦闘中でなければいつでも変更可能となっている。自分の腕に合わせて難易度を上下させるのもアリだ

 ちなみに、本作は初期設定の難易度でもそれなりに難しく、苦戦をしいられることがたびたびあった。敵ユニットも自軍と同じように強力なスキルコンボを使用してくるほか、「負傷システム」の存在や、こちらのレベルに合わせて稼ぎ場の敵も強くなることなどがその理由だ。

 負傷システムは戦闘で倒れたユニットの能力が低下するというもの。初期設定では負傷1につき、1回戦闘に出さずに休息させればステータスが元に戻るが、メインで育てていたユニットが負傷した場合、次の戦闘ではそのキャラクターの代わりに弱いユニットを出さなければならない。通常の難易度では負傷の解消のため、序盤のマップまで戻って戦闘を行なうのがいいだろう。また、高難易度では負傷は永久的なデバフやキャラクターロストに繋がるが、難易度を下げればそのリスクの存在自体をなくすことができる。

 加えてこちらのユニットのレベルに合わせて、敵ユニットも強化されるので、常に緊張感を持ってプレイすることになる。筆者はお金やアイテムを稼ぐために雑魚を狩るつもりが、返り討ちにあってしまったことが何回かあったことを告白しておく。

 アイテム周りのシステムも本作は独自で、アイテムは使用しても消費されず、各ステージごとの使用上限が決まっており、戦闘終了後に無償で補充される。各種アイテムを渋ることなく、大胆に使用することができる。

 さらに、アイテムは材料を使用して生産することもできる。材料は敵を倒した時に手に入るほか、マップにあるオブジェクトから採取することも可能。生産ではポーションなどのアイテムを強化できたり、生産でしか手に入らないアイテムも多くある。進行に行き詰まったら、アイテムを生産してみるのも状況を打開する手立てとなるはずだ。

アイテムは1度の戦闘で使用できる上限が決まっているだけで、毎戦闘ごとに補充される
アイテムを生産することでしか手に入らない装備もある。前述した特殊なクラスへの転職に必要なアイテムも生産で手に入る

 筆者は既に本作のストーリーはクリアしているが、プレイ時間はストーリーで40時間弱。クリア後のコンテンツも含めて50時間ほどのプレイとなっている。クラスシステムの自由度の高さから色々試してみたくなるし、難易度も自分好みに高くできるので、周回プレイがとても楽しいゲーム性だ。

 難点を挙げるとしたらマップが回転できないところだろうか。立体的なマップということもあり、状況確認のために画面を回転したいシーンが何度もあった。また、”洋ゲー”特有のグラフィックや、簡素な演出には賛否が分かれるところかもしれない。せっかちな筆者としては、簡素な演出はサクサクプレイできるので寧ろ好感が持てた。

 総評として本作「フェルシール:アービターズマーク」はオーソドックスなタクティカルRPGに自由度を高くするシステムの一味が加わり、様々な遊び方を許容してくれる作品だ。細かい部分で気になる点はあるが、このジャンルが好きなプレーヤーにはぜひプレイして欲しい。ちなみに、海外版ではなんとモンスターを味方に加えたり、新たなクラスなどが追加されるDLC「Missions and Monsters」が配信されている。プレイの楽しみが更に広がるという意味で、こちらの日本語版への適用も期待したい。