BenQ「ZOWIE XL2546K」レビュー
ZOWIE XL2546K
eスポーツ界の“スタンダードモニター”がより使い勝手を増してリニューアル!
- ジャンル:
- ゲーミングモニター
- 発売元:
- BenQ
- 開発元:
- BenQ
- プラットフォーム:
- Windows PC
- 価格:
- 65,000円前後(税込、想定売価)
- 発売日:
- 2020年10月9日
2020年10月8日 15:00
BenQが10月9日に発売するゲーミングモニター「ZOWIE XL2546K」(以下、XL2546K)。この製品はeスポーツ向けのベストセラー商品となった「ZOWIE XL2546」のスペックをさらに強化した製品で、もともと業界最高速だった応答速度をさらに短縮したほか、ティルトおよび高さ調節の範囲拡大、スタンドの省スペース化などが図られている。
XL254xシリーズといえば、eスポーツ界では知らぬものはいないと言い切れるほど著名なeスポーツモニターだ。240Hzにいち早く対応し、応答速度は1ms。その振り切った性能は、多くのeスポーツアスリートに愛され、ZOWIEブランドの象徴と言えるシリーズだ。ちなみに日本ではXL2546Sは、数量限定でしかリリースされなかったため、XL2546Kは、2017年にリリースされた現行モデルXL2546以来、約3年振りの新モデルとなる。
本稿では、XL2546Kのハード面がどのように進化したのかをご紹介しつつ、最新eスポーツタイトルである「VALORANT」、そしてGeForce RTXシリーズのレイトレーシングモードに対応した「フォートナイト」でその性能を確かめていこう。
スペックから見るXL2546K
公表されているXL2546Kの主なスペックは以下の通りとなる。
【ZOWIE XL2546Kの主なスペック】
画面サイズ 24.5インチ
アスペクト比 16:9
最大解像度 1,920×1,080ピクセル(HDMI 2.0、DisplayPort)
リフレッシュレート 240Hz
輝度 320cd/㎡
コントラスト比 1000:1
パネルタイプ TN
入出力端子 HDMI 2.0×3 / DisplayPort 1.2 / ヘッドホンジャック
本体サイズ 521~443×571×200mm(高さ×幅×奥行き)
本体重量 9.5kg
付属品:アイシールド、S.Switch
https://zowie.benq.com/ja/product/monitor/xl-k/xl2546k.html
XL2546Kは画面サイズ24.5インチで、およそ544×303mm(幅×高さ)のモニター。これにスタンドの高さ調節とベゼル(ふち)が加わり、スタンドで奥行きが200mとなっている。アスペクト比16:9、解像度1,920×1,080ピクセルは現在主流となっているフルHD画質と同一だ。XL254xシリーズの伝統であるアイシールドはそのままで、モニターのみに集中したい際はアイシールドを装着することで没入感を高めることができる。
1秒間に何回映像を切り替えられるかの値を示すリフレッシュレートは従来モデルと同一の240Hz。つまり、1秒あたり240回映像を切り替えられ、一般的な60Hzのモニターやテレビと比較して4倍滑らかな映像表示が可能となる。現在は、300Hzや360Hzのモニターも発表され、ZOWIEも今後それらのスペックに対応したモニターをリリースするはずだが、重要なのはそのリフレッシュレートをフルに活かすためには、その分だけハイスペックのPCが必要になるということだ。また、現在eスポーツ界では、まさにXL2546が筋道を作った240Hz/1msが1つのスタンダードになっており、大会の環境がそのまま自宅に常設できるという点でもプレミアムなモニターだ。
続いて、輝度とコントラスト比は、どれだけ画面が明るくなるか、また最大輝度である白と最小輝度である黒の比率を表している。本製品では最大輝度が320カンデラ毎平方メートルなので、一般的なディスプレイの200~350 cd/㎡と比べて輝度が高い部類に入る。
そしてパネルタイプだが、XL2546Kは「TNパネル」となっている。今の液晶モニターでは絵柄作りに優位な「IPSパネル」やコストパフォーマンスのよい「VAパネル」などの種類があるが、TNパネルは白から黒へ色を変える速度が速いのが持ち味。応答速度が速く残像が残りにくいことが魅力だ。
出力端子はメインにDisplayPort 1.2を備え、HDMI 2.0を3ポート備えるのも魅力だ。PCをDisplayPortに繋ぐのはもちろん、PS4とNintendo Switch両方をつなげていたとしてもあと1ポートの余裕があり、ほかのデバイスも気軽に繋げられる。
速い応答速度と「DyAc+ Technology」でeスポーツファンも満足
本製品の魅力は何と言っても、前モデルのXL2546が応等速度が1msであったのに対して、0.5msとさらに高速になっていることだ。この応答速度は一般的にモニターの色が黒から白、そして黒へ変わる際にかかる時間のこと。これが早ければ早いほど、残像が浮かびにくく、くっきりと映像が表示されるようになる。
筆者はプロゲーマーに匹敵するような反応速度を持っていないので、XL2546とXL2546Kでの応答速度の違いは正直な所よくわからない。今回レビュー用に、現行モデルであるXL2546もお借りして両方試してみたが、「両方凄く速い!」としか言いようが無い。
ただ、筆者が日頃使っている60Hzモニターとの違いは一目瞭然だ。肉眼での違いをシミュレーションするため、XL2546Kと、リフレッシュレート60Hz、応答速度5msのフルHDモニターの見え方の違いを、60fpsで動画に収めてみた。実際には、XL2546Kはもっと高いフレームレートが出ており、その滑らかさまではお伝えしきれないが、見え方の違いは伝わるはずだ。
プレイシーンでその差が明らかになるのは「VALORANT」のほうだろうか。自前の60Hzモニターでは左右に視点を振るとティアリングが起きており、動きについて行けていないのがわかる。これに対してXL2546Kはティアリングがほぼ発生していないのがわかる。60fpsでキャプチャしているため、実際より荒く見えてしまっているが、「VALORANT」のようなFPSでは、こうした動きが致命的ともなりかねないので、XL2546Kならば、プロゲーマーも文句なしの応答速度でプレイできるわけだ。
また本製品に搭載されている機能「DyAc+ Technology」は、残像がほとんどないCRT(ブラウン管)の表示方式になるべく近づける技術。これを利用することで、バックライトのオンオフを切り替えながら映像を表示して残留する光をなくし、モーションブラーを大きく低減できる。
こちらも「VALORANT」のプレイ映像を比較してみるとわかりやすい。映像の切り替わりと同時に画面を表示し直す、というとややこしいが、そういった処理を加えているためモーションブラーが低減されている。この機能は映像自体の表示を改変することはないため、色味などを気にする必要がないのが強みだ。
つまりここまで見てきたように、XL2546Kの映像が残像も残りにくく、滑らかに表示されている。ここへさらに「DyAc+ Technology」を利用してより加えて残像を抑えられるため、最終的な映像表示の強さはこちらに分があるだろう。
スタンドの省スペース化でデスク周りが広く使える
XL2546Kの進化ポイントはパネルだけではない。実はかなり大きいのがスタンドの変化だ。具体的には前モデルであるXL2546からスタンドベースが奥行き、幅ともに小型で省スペースとなった。このためモニターの前にフルサイズのキーボードやマウスパッドを置いても邪魔になりにくくなった。ベースの後ろ側がななめにカットされたこともあり、レイアウトの幅が広がっている。
XL2546Kでは高さ調節の範囲が広くなったり、ティルト角が若干向上したことも評価ポイントだろう。前モデルのXL2546では上下スライドが42~515mm、ティルト角が20度だったのに対し、XL2546Kでは上下スライドが33~521mm、ティルト角が23度となっている。特に上下スライドの調整幅が広がったおかげで、デスク上での調整もやりやすくなった。
OSDメニューが文字ベースになってわかりやすく
モニターのボタンを操作した際に表示されるOSDメニューだが、XL2546Kでは文字ベースのものとなり、視覚的にわかりやすくなった。方向キーを兼ねるボタンで表示されるクイックメニューや、2つあるファンクションキーで選択するメニューはそれぞれカスタマイズ可能で、モニターの表示モードや入力端子をワンボタンで切り替えられる。クイックメニューには、標準でモニターモードや輝度、「DyAc+」、「Black eQualizer」の設定項目が割り当てられている。
なおこのメニューは、これまでのシリーズと同様に付属する「S.Switch」でも操作可能だ。中央部のホイールで上下左右に移動でき、決定や戻る操作もできる。さらに下部には3つのファンクションキーが配されていて、これを設定することで様々な操作が簡単になる。
OSDメニューを操作するボタンはモニター下部にあったり、背面にあったりと、画面を調整しようと思った時にアクセスしづらいと感じている人は多いだろう。筆者もその1人だが、S.Switchの便利さはこの上なく、これを使えるだけでもXL2546シリーズはベストチョイス! と言いたくなった。
なお、OSDメニューで設定した項目は、BenQが配信しているソフトウェア「XL Setting to Share」で保存できる。データはエクスポートして誰かとシェアすることも可能で、たとえばチームで本製品を使用する際に最適な設定を作り上げて全員でシェア、といった使い方もできるのがうれしい。
暗所を照らす「Black eQualizer」
主に黒い部分を明るくし、影が落ちた部分や暗所のような部分を見やすくする機能「Black eQualizer」。低めに設定すると黒が強調されるが、高くすると黒が明るくなって見やすくなる。明るい平原のようなフィールドで対戦するなら低めに、暗所で対戦するのであれば高めに設定するとよいだろう。
色を鮮明にする「Color Vibrance」
OSDメニューで「色の鮮明さ」と表示されるこの機能だが、通常のコントラストや色温度の設定に加えて、この機能を使えばさらに色を鮮やかに表示させられる。
赤色はさらに赤く、地面の土色もさらに鮮やかになるので、対戦時に敵の姿や建物のエッジを見やすくする効果がある。
Color Vibranceを使えば、「フォートナイト」のようなリアルタイムレイトレーシングに対応したタイトルであれば、鮮やかな画面でプレイできると思う。加えてXL2546Kはリフレッシュレートが240Hzであるため、よりリアルな画面を見ることができるだろう。
プロゲーマーだけでなく誰もが納得する多機能ゲーミングモニター
本製品は、本体のリフレッシュレート240Hzで応答速度0.5msと、プロも含めたeスポーツユーザーを納得させる性能を備えつつ、なおかつゲームプレイに適したBlack eQualizerやColor Vibrance、そして映像視聴にも有用なDyAc+ Technologyといった機能も搭載し、プロゲーマーからライトなゲームファンまで誰でも使いやすいモニターとなっている。
個人的に体験してみて特に有用だと思ったのは「Color Vibrance」だ。色表示をさらに鮮やかにしてくれるおかげで、狙うべきターゲットが見やすくなる。これはとくにFPSゲームで対戦する際に便利な機能だと感じた。
これらの機能をフルに使うことで敵を的確に捉えることができ、安心して対戦に臨める。こうした点がXL2546Kの強みなのだ。eスポーツを楽しみたいのであればマストバイの液晶モニターであることは間違いない。
XL2546Kの進化ポイントは、応答速度が1msから0.5msに高速化したり、スタンドが進化したり、モニター設定のシェアが可能になった部分など、一件地味な要素が多いが、これらはすべて実際に使い出すとジワジワその良さが分かってくるものばかりだ。
XL2546Kは、XL2546を3年使い倒していてそろそろガタが来ているというゲームファンにはもちろんのこと、eスポーツに興味があり、「VALORANT」や「League of Legends」といったPC向けeスポーツにチャレンジしてみようと考えているeスポーツファンまで、幅広いゲームファンにお勧めできる1台だ。