ASUSの薄型高性能ゲーミングノートPC「ROG Zephyrus S GX502GV」レビュー

ROG Zephyrus S GX502GV

240Hz駆動する最高峰な画質で「ROG Zephyrus S GX502GV」の配信を楽しむ!

ジャンル:
  • ゲーミングPC
発売元:
  • ASUS JAPAN
開発元:
  • ASUS
プラットフォーム:
  • Windows PC
価格:
299,800円(税別)
発売日:
2019年9月20日

 これまでゲーミングPCといえば、CPUやGPUがハイスペックで、リフレッシュレートも高めな環境でプレイできることを目指して作られていた。そのためデスクトップPCであればミドルタワークラスの筐体が主流で、サイズも大きいため、家の中でも幅を利かせるものがほとんどだった。ゲーミングノートPCも同じで、そのサイズは大きく、厚みや重量もかなり大きく、持ち運ぶには厳しいマシンが多かった。

 しかしこの流れは、ここのところ変わってきている。大手メーカーでも。これまで発売されていたようなゴテゴテとした黒い筐体ではなく、ホワイトを基調としたスタイリッシュなPCが用意されたり、15.6インチサイズで薄型、軽量なマシンが登場するなど、スペック+αの要素を持ち合わせたPCが増えてきた。

GX502GVはブラックメタルにグレーシアブルー、2色のスタイリッシュなデザイン

 今回レビューするASUSゲーミングノートPCの「ROG Zephyrus S GX502GV」(以下、GX502GV)もこの流れに沿った最新のスタイルだ。ASUS ROG Zenphyrusシリーズはパワフルなスペックでありながらそれだけにとどまらず、スタイリッシュでファッション性の高いデザインを採用し、ゲームを遊ぶことも好きなコンテンツクリエイターなどにもアピールするモデルだ。

 スペック的にはCPUにCore i7-9750H、GPUにGeForce RTX 2060を採用したハイエンドマシンであることはもちろん、厚さも最薄部で18.9mmと薄いほか、重量も約2.0kgと、モバイルとして持ち運ぶにもある程度耐える仕様となっている。また本体色もこれまでの“ブラックメタル”以外に“グレーシアブルー”と呼ばれる、明るい色を基調とした製品も用意されるなど、次世代のゲーミングノートPCを思わせるスペックだ。“グレーシアブルー”の筐体を持ち歩き、eスポーツの会場に足を運べば、注目の的となること間違いない。

 まずは「GX502GV」の細かなスペックを見ていこう。

【ROG Zephyrus S GX502GV】

CPU: インテルCore i7-9750H(2.6GHz [ターボ・ブースト・テクノロジー2.0利用時は最大4.5GHz/キャッシュ12MB])
GPU:  NVIDIA GeForce RTX 2060 GDDR6 6GB
メモリ:  32GB DDR4 SDRAM(16GB×2 PC4-21300)
ストレージ:  1TB M.2 NVMe PCIe SSD
ディスプレイ:  15.6インチワイドTFTカラー液晶 FHD 144Hz ノングレア
有線LAN:  1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T(RJ45)
Wi-Fi:  IEEE802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.0
USBポート:  USB 3.1 Gen 2 Type-C(USB PD対応)×1、USB 3.1 Gen 1タイプA×1、USB 3.0×2
その他:  HDMI 2.0×1、3.5 mmヘッドホン出力×1、マイク入力×1
キーボード:  88キー英語キーボード (オールキー RGB イルミネートキーボード)
オーディオ:  ハイ・デフィニション・オーディオ準拠、ステレオスピーカー内蔵 (1W×2)
電池:  リチウムポリマーバッテリー (4セル)
ACアダプター:  230W ACアダプター
OS:  Windows 10 Pro 64ビット
サイズ:  360×252×18.9mm(幅×奥行×高さ)
重量:  2.05kg
価格:  299,800円
https://www.asus.com/jp/ROG-Republic-Of-Gamers/ROG-Zephyrus-S-GX502/

 CPUにはCore i7-9750Hを搭載しており、これはハイエンドのゲーミングノートPCではよく採用されているCPUだ。動作クロックは2.6GHzだが、ターボブースト時には4.5GHzまで周波数を上げるので、重いアプリケーションでも動作に問題はない。またGPUとして採用されているのはGeForce RTX 2060。リアルタイムレイトレーシングやDLSSにも対応するRTXシリーズなので、将来的な利用を考えても十分対応できる。

 メインメモリは16GB×2の合計32GBを搭載。PC4-21300のDDR4 SDRAMなので理論値の最大転送速度は21.3GB/sであるほか、ゲーミングノートPCとしてはメモリ搭載量は多い方なので、ゲームで使う以外に動画編集などもこなすことができる仕様だ。ストレージは1TBのM.2 NVMe SSD。試用したマシンではインテル製のSSDが搭載されていたが、1TBの容量があればゲームを複数タイトルインストールしたとしても問題はないはずだ。

 参考にCPU-ZとGPU-Zによる測定結果を以下に示しておく。

【CPU-Zによる測定結果】
【GPU-Zによる測定結果】

厚さ18.9mmのスタイリッシュなボディに詰め込んだハイパフォーマンスモデル

 では本体回りを見ていこう。

 本体右側面にはUSB 3.1 Gen 2 Type-CとUSB 3.0×2のポートが用意されている。なおUSB 3.1 Gen 2 Type-CポートはUSB Power Deliveryに対応しており、ここに外部電源をつないで利用できる。大容量のモバイルバッテリーを使えば、長時間での使用も可能だ。

 本体左側面だが、AC電源ジャックのほか有線LAN用のRJ45ジャック、HDMI2.0対応ポート、USB 3.1 Gen 1タイプA×1、マイク端子、ヘッドフォン端子が配置されている。

右側面の端子類。左からUSB 3.1 Gen 2 Type-CとUSB 3.0×2
左側面の端子類。左からAC電源ジャック、RJ45ジャック、HDMI2.0対応ポート、USB 3.1 Gen 1タイプA、マイク端子、ヘッドフォン端子
1円玉と一緒に撮ってみた。この薄さにすべてが詰まっている!

 「GX502GV」には、本体の右側面と左側面のほか、背面に2個、排気用のスロットが配置されており、高負荷時にはファンが勢いよく回転して排熱をする「アクティブエアロダイナミックシステム」が採用されている。「GX502GV」には通常のノートPCで採用されているファンよりも強力に冷却してくれるシステムが採用されている。一般的なノートPCでは5Vのファンが使われているが、「GX502GV」では12Vのものが使われている。このため、より効率のよい冷却システムが構築されている。

 この冷却のために使われているファンは83枚のフィンで構成されているほか、ハウジング部はアンチダストクーリングデザインによって設計されており、フィンにホコリが付着しにくくなっているのも特徴だ。

「GX502GV」に採用されている冷却システム

 なお、マシン起動時やベンチマークテスト時には高負荷がかかるためか、ファンによる「サーッ」というかなり激しい音がする。音が気になる場合は、デフォルトでインストールされている「Armoury Crate」で「サイレント」にするとよい。

 ゲームをプレイするときはCPUの設定を「Turbo」に設定しておいた方がよいため、ファンの音はそれなりに大きくなってしまうが、しっかりと冷やしてくれる。なおその場合でも、キーボード部分は熱を帯びることなくまったく問題なく使える。そのあたりは熱をうまくコントロールしているのだろう。

 Armoury Crateではこのほか、キーボードが光るRGBについてもコントロールできる。「AURA Sync」の項目から「AURAエフェクト」を選択すると、デフォルトで用意されている「スタティック」、「ストロボ」など9種類のプリセットから光り方を選ぶことが可能だ。これにより特定の色を発光させたり、「レインボー」という設定では七色のウェーブでキーボードが明滅するが、その感覚までコントロールすることができる。もちろん、「各キー」で細かく光り方を設定することも可能だ。

 キーボードだが、実測でキーピッチは19mm、キーストロークは2mm。1つ1つのキーは大きいのでとても打ちやすい。ただしこのモデルは88キー英語キーボードのみで、日本語キーは選べないので注意しておこう。気になる人はゲーミングキーボードを接続して使用してもいいだろう。

Armoury Crateの起動画面
AURA Syncの画面。左の「基本エフェクト」で光り方を変えられる
RGBに対応するキーボード。「各キー」それぞれ光り方を設定することができる

 液晶ディスプレイは、リフレッシュレート240Hzに対応するハイエンド仕様。たいていのゲームは60fpsでも十分に遊べるが、FPSタイトルなどでは素早い反応をするためにも、高いリフレッシュレートでプレイしたいところ。その分、240Hzであればよりなめらかで反応のよいプレイが可能となる。ノートPCの液晶ディスプレイは交換ができないだけに、これだけのハイスペック仕様はうれしいところだ。なお最近はゲーミングノートPCでも240Hzに対応するモデルが増えてきており、これからのスタンダードとなるだろう。

 また、液晶ディスプレイはProArt TruColorテクノロジーによって工場でキャリブレーションされているので、フルsRGBカラースペースに対するPantone認証のパレットが保証されている。このためゲーム以外の、グラフィックスに関わるクリエイターでも「GX502GV」は十分に使い勝手のあるマシンとなっている。

背面のROGロゴも光る仕様
ちなみに暗闇ではこんな風に光る
本体背面には大きな排気口が左右に用意されている
本体の裏側。下にある2つのスリットはスピーカー

 そしてもう1つ言及しておきたいのはWi-Fiに関することだ。「GX502GV」は「ROG レンジブーストテクノロジー」が採用されており、4本のアンテナで通信をしている。この技術によって、環境に応じたベストなアンテナを選択し、接続を維持するようになっているのだ。

 またマルチユーザーMIMO(MU-MIMO)にも対応しているので、MU-MIMO対応ルータを使用すれば、複数の端末を接続しているときでも速度低下を防いでくれる。「GX502GV」は160MHzのチャンネルバンド幅で、1,733Mbpsという高速なネット接続が可能だ。

Core i7 + GeForce RTX 2060のパフォーマンスは満足いく結果!

 ここからはベンチマークテストの結果を見ながら「GX502GV」を評価していくことにしたい。まずはゲームのベンチマークテストとして有名な「3DMark」の値からだ。ここでは比較対象として、同じCore i7-9750Hを採用し、GPUにGeForce GTX 1660 Tiを搭載したマシンと比較することにした。結果は以下の通りだ。

 グラフを見てわかるが、GPUの性能に比例してきっちりといい値が出ているのがわかる。DirectX 12環境下でのテストとなる「Time Spy」や「Night Raid」での結果や、DirectX 11環境でのテストである「Fire Strike Extreme」、「Fire Strike」の両方でいい結果となっており、ゲーミングノートPCとしての性能を改めて示した。

 なお、ビジネス関係のアプリを利用したベンチマークテストである「PCMark10」でもよいスコアを残しており、ゲームはもちろん、オフィスユースにも使えるPCであることがわかる。

【3DMarkによるベンチマークテスト結果】
Time Spy
Fire Strike Extreme
Fire Strike
Sky Diver
Night Raid
【PCMark 10によるベンチマークテスト結果】

 ではここからは「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下、FFXIVベンチ)と「ファイナルファンタジーXV Windows Editionベンチマーク」(以下、FFXVベンチ)でのテスト結果を見ていこう。

 まず「FFXIVベンチ」だが、ビデオカードの差がストレートに結果として表れている印象だ。最高品質から標準品質まで、GeForce GTX 1660 Tiを搭載したマシンよりも高い値を示しており、GeForce RTX 2060の優位性を証明した形だ。この傾向は「FFXVベンチ」の結果にも表れており、GeForce GTX 1660 Tiでは高品質のプレイが「やや快適」だが、「GX502GV」であれば「快適」なプレイが可能であることがわかる。

【「FFXIVベンチ」のスクリーンショット】
【「FFXIVベンチ」によるテスト結果】
【「FFXVベンチ」のスクリーンショット】
【FFXVベンチによるテスト結果】

 なお余談だが、ベンチマークテストを実行していたとき、値の整合性が取れていないデータを吐き出すことがままあった。これはサーマルスロットリングによる影響なのではと思い、「FFXVベンチ」の設定を「高品質」にして、十分冷えた状態からファンの回転を「Turbo」、「パフォーマンス」、「サイレント」に変えて測定してみた。サーマルスロットリングとは、CPUが自身の暴走による破壊を防ぐために、高温になったときに自ら駆動周波数を下げ、温度を下げるという現象を言う。

 予想したとおり、このファン設定によって「FFXVベンチ」の結果が変わった。実際にテスト中の画面を見ていても、サイレントモードでは画面がカク付くときもあり、CPUの駆動周波数が下がっていると思われる現象が起きた。

 ただしいろいろと調べてみると、サーマルスロットリングが原因と言うよりも、ASUS独自の「Performance Limit」がかかって駆動周波数が下がったためのようだ。実際にHWiNFOでCore 0の駆動周波数の変化を測定したのが下のグラフだ。サイレントモードでは明らかに周波数が下がっており、パフォーマンスを維持できていないことがわかる。

 これら「FFXVベンチ」による測定結果からもわかるとおり、ファンの回転数によってパフォーマンスが異なるので、重いゲームをプレイするときにはTurboモードに設定した方が性能を発揮するし安心だ。なおArmoury Crateだが、デフォルトではパフォーマンスモードに設定されているので、Turboモードに変更しておこう。

【ファンの回転数よる結果の違い】
【ベンチマークテスト中のCore 0の駆動周波数変化】

「レインボーシックス シージ」で快適にプレイ可能

 最後にゲームソフトを実際にプレイし、フレームレートを測定した結果から性能を見ていきたい。今回プレイするのは「レインボーシックス シージ」(以下、R6S)だ。「R6S」は人気のFPSタイトルで、eスポーツの大会も多数開催されている。今回は「GX502GV」でプレイし、どの程度のパフォーマンスが出ているのかを見ていきたい。

「GX502GV」でゲームをプレイしながらゲーム配信も行なってみた

 「R6S」は、対テロ攻撃部隊「レインボー」の活躍を描くFPSシリーズ「レインボーシックス」の最新作だ。テクノスリラーと呼ばれる、軍事や諜報活動等を描いた小説などで有名なトム・クランシーの小説をバックグラウンドに持ち、プレーヤーは実在するさまざまな特殊部隊の隊員を「オペレーター」として操作する。その1人1人は独自の技術や装備を持っており、その中から選んで5人チームを結成して、ミッションに挑むことになる。

【「レインボーシックス シージ」のスクリーンショット】

 まずはフレームレートだ。「R6S」の「ニューカマー」をプレイし、設定を「超高」、「高」、「中」、「低」にしてフレームレートの違いを測定した結果は以下の通りだ。マシンに負荷のかかる「超高」や「最高」でも平均で150fps以上を出しており、「GX502GV」なら美しくなめらかなグラフィックスでプレイできることがわかる。

【「レインボーシックス シージ」のフレームレート測定結果】

 また自分のプレイしたいゲームを配信する人も増えてきているので、その際のフレームレートを測定してみた。配信に使ったのは「OBS Studio」。無料で使えるので、このソフトを使って配信している人も多いかと思う。設定だが、基本解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)として、出力解像度が1,152×648ドットとなるデフォルトのものを使用した。

 グラフを見るとわかるのだが、単純にゲームのフレームレートを測定したときよりも値が下がっているものの、「最高」画質でも平均146fpsとなっており、「GX502GV」だけでプレイしながらゲーム配信を行なった場合でも、特に問題なく配信できることがわかる。

【配信時のフレームレート測定結果】

ゲームも配信もビジネスユースもマルチに使えるゲーミングノートPC

 これまで見てきたように、「GX502GV」は重い処理もこなせるパワーを持つゲーミングノートPCだ。リアルタイムレイトレーシングに対応するGeForce RTX 2060も搭載しており、これから発売されるゲームであっても十分に対応できるマシンだ。もちろんビジネスで使うようなOfficeソフトは軽快に動作するので、オンとオフ両方のシーンで活躍する。重量も約2.0kgと、ギリギリだがモバイルに耐えうる重さだ。こうしたことを総合的に考えると、価格は30万円弱だがそれだけの価値があるPCであると言える。

 今後長く使用するゲーミングノートPCを欲しいと思うのであれば、「GX502GV」はベストチョイスと言えるだろう。

□「GX502GV」の製品サイト
https://www.asus.com/jp/ROG-Republic-Of-Gamers/ROG-Zephyrus-S-GX502/
□「GX502GV」のストア購入ページ
https://jp.store.asus.com/store/asusjp/ja_JP/pd/productID.5349377100