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【特別企画】「スーパーロボット超合金 ジェネシックガオガイガー ヘルアンドヘブン発動Ver.」担当者インタビュー
クリア素材、塗装での質感と光の描写、“ロボット表現”の可能性とは?
2015年6月17日 00:00
バンダイコレクターズ事業部が9月に発送を予定しているアクションフィギュア「スーパーロボット超合金 ジェネシックガオガイガー ヘルアンドヘブン発動Ver.」。劇中“最強の破壊神”としてアニメのクライマックスで活躍したジェネシックガオガイガーが緑色に発光しパワーアップした姿を再現した、魅力的な商品だ。プレミアムバンダイにて、6月22日23時まで注文を受け付けている。注文は下記リンクで。
この商品は発売中の「スーパーロボット超合金 ジェネシックガオガイガー」の“リペイントバージョン”だが、企画・開発者のこだわりの元、現在のバンダイの技術を結集し、素材選別と塗装技術が盛り込まれている。そして、これからの「スーパーロボット超合金」シリーズの新しい方向性を示すものとなるという。
今回、本商品の企画担当であるオレスカ・ジュリアン氏に話を聞き、「スーパーロボット超合金 ジェネシックガオガイガー ヘルアンドヘブン発動Ver.」へのこだわり、そして提示するこれからのシリーズの方向性の話を聞いた。「スーパーロボット超合金 ジェネシックガオガイガー」のギミックそのものもチェックしてみた。
Gストーンそのもののように緑に光り輝く「ジェネシックガオガイガー」
この超合金のモチーフとなった「ジェネシックガオガイガー」は、アニメ「勇者王ガオガイガーFINAL」の後半の主役ロボットである。宇宙ライオン「ギャレオン」をコアに、「ブロウクンガオー」、「プロテクトガオー」、「スパイラルガオー」、「ストレイトガオー」、「ガジェットガオー」の5体の“ジェネシックマシン”がファイナルフュージョン(合体)して誕生する。
地球の技術で作られた“ガオーマシン”とギャレオンが合体して誕生する「ガオガイガー」はギャレオンに残されていたデータを可能な限り再現したものであり、不完全なコピーとも言える。ジェネシックガオガイガーこそ、“本来の姿”であり、その力はガオガイガーはもちろん、その改良型のガオファイガーすら大きく上回る。ジェネシックガオガイガーは、獅子王凱の勇気と共に、強大な力を持つ“ソール11遊星主”に立ち向かう。
「ジェネシックガオガイガー」はガオガイガーを強化したデザインだが、鳥の翼のように広がる「ガジェットフェザー」、鋭い足の爪、大きく逆立つ髪の毛など、生物的な要素が強くなっている。「スーパーロボット超合金 ジェネシックガオガイガー」はその力強く凶暴さを感じさせる雰囲気を見事に再現している。
そして、「ヘルアンドヘブン発動Ver.」は、全身が緑色に輝いている。これはアニメのクライマックスシーン、パルパレーパ・プラジュナーとの対決シーンの時、“ジェネシックオーラ”に輝く姿を再現したものとなる。今回の商品の注目点は、単純に緑に塗装したのではなく、素材までこだわり抜いているとオレスカ氏は語った。最大の特徴は胸部のギャレオンも含め、ほとんどのパーツを“クリア素材”で成形しているところだ。
そう言われて改めて商品をチェックして驚かされた。肩部分や腕部分、腰の装甲などが緑色の透明パーツで、腕や足の付け根などが透けて見えるのだ。ギャレオンの顔の部分や太ももなどは彩色されているものの、やはりクリアパーツだという。足や股関節の金属パーツ、腕や膝の関節パーツ以外のほとんどのパーツはクリア素材で成形されている。クリア素材は堅く耐久度が低くなりがちだが、開発者達は設計や素材を吟味していったという。
クリア素材と同様に力を入れているのが“塗装”だとオレスカ氏は語った。光沢のある“パール塗装”により、光り輝くギャレオンのたてがみや、ドリル部分の輝き、上腕と太ももの金属感も塗装でもたらされている。塗装は“グラデーション”が施されており、中心部分が光を放っているように強めになり、逆に末端部分は透明度が強調されている。特に髪の毛の塗装処理はオレスカ氏がこだわった部分であり、ぜひチェックしてもらいたいという。
クリア表現、グラデーションのあるパール塗装は、アニメでは見られない特徴である。何故こういったアレンジにしたか? オレスカ氏は「Gストーン」をイメージしたと語った。Gストーンはガオガイガーをはじめとしたすべての「勇者ロボ」達の力の源であり、作品を象徴するアイテムだ。勇気の高まりに応じて、無限の出力を発揮するこのGストーンそのものの姿をオーバーラップさせ、「スーパーロボット超合金 ジェネシックガオガイガー ヘルアンドヘブン発動Ver.」はデザインされているのだ。
ジェネシックガオガイガーの全身がGストーンになったような姿、だからこそ全身が緑のクリア素材で作られ、そして内部からの輝きを再現するためにグラデーションのかかったパール塗装をしているというのだ。デザインコンセプトを聞くと、また違った印象が生まれ、クリア素材の処理や、塗装の面白さに改めて感心させられた。
今回触れてみて感心させられたのだが、「スーパーロボット超合金 ジェネシックガオガイガー」のギミックそのものもきちんと楽しむことができた。翼端を展開すると他のパーツがきちんと連動し開くガジェットフェザーのギミックは、思わず笑みが浮かんでしまうほどカッコイイ。すねの部分がスライドし、少しだけ足が長くなることで、ヘルアンドヘブンのポーズがより派手にできるのも面白い。
本商品はウィルナイフ、ボルティングドライバーなどの武器や、ジェネシックガオガオガーならではの人差し指を伸ばした手などの豊富なハンドパーツもきちんとクリア素材とパール塗装で作られている。面白いアレンジを楽しむだけでなく、機能が充実したアクションフィギュアとしてきちんと遊べる商品なのだ。
質感、素材感にこだわる方向性は、これからのシリーズのアプローチ
今回はオレスカ氏の来歴や、「スーパーロボット超合金 ジェネシックガオガイガー ヘルアンドヘブン発動Ver.」が生まれた背景の話も聞くことができた。オレスカ氏は子供の時に見た「トランスフォーマー」で初めて“変形ロボット”に触れ、その魅力に夢中になったという。その後「ロボテック(マクロスなどのアメリカでの放映タイトル)」などを見ていき、日本語を学び、日本のアニメを積極的に見るようになった。そして日本のロボットや特撮ものへの想いをかなえるべく、バンダイへと就職したという。
オレスカ氏は入社当初はボーイズトイ事業部で主に「仮面ライダー」シリーズの低年齢向けアクションフィギュアを手がけていた。その後、“変形ロボット”や“ハイターゲット向けアクションフィギュア”といった方向での仕事を希望し、コレクターズ事業部に異動し、「スーパーロボット超合金」の企画担当となったという。
オレスカ氏が個人的に好きなロボットは「ビッグオー」で、重量感のある演出、パンチの迫力などが好きだという。ガンダムでは「GP02」と、こちらも重量級の機体だ。他にも「鉄人28号FX」、マクロスシリーズなら「YF-19」がお気に入りだ。もちろん子供の時からずっと「トランスフォーマー」の「オプティマスプライム(コンボイ)」も好きだという。
そんなオレスカ氏が「スーパーロボット超合金 ジェネシックガオガイガー」と同時期に取り組んでいたのが8月に発売される「スーパーロボット超合金 マジンガーZ~鉄(くろがね)仕上げ~」だ。こちらの商品の特徴も“塗装”にある。実際に鉄を使っているわけではないが、塗装と表面処理により、むき出しの鋼鉄のような質感を再現、マジンガーZならではの“金属の表現”にこだわっているのだという。
マジンガーZは主題歌で「空にそびえる鉄(くろがね)の城」と歌われ、設定的に「超合金Z」という特殊金属を使っている。だからこそダイキャストを使用した玩具「超合金 マジンガーZ」は当時の子供達を強くした魅了したのである。そして現在、金属の質感にこだわった超合金が誕生するのである。
オレスカ氏は塗装や素材の技術に注力し、モチーフの魅力をさらに引き出すという方向性は、今後の「スーパーロボット超合金」シリーズの大きな柱になると語った。Gストーンそのもののように緑に光り輝く「ジェネシックガオガイガー ヘルアンドヘブン発動Ver.」、鋼鉄の質感に注力した「マジンガーZ~鉄(くろがね)仕上げ~」、この2つの商品が見せた、素材感にこだわったアレンジは、「ロボットの表現」として、とても魅力的な手法だろう。
例えばガソリンエンジンで動く作業機械そのものの「ザブングル」のウォーカーマシンと、生物の外骨格を利用した「ダンバイン」のオーラ・バトラーは、使用している素材の上では全く異なるはずだ。金属の塊のような無骨なロボットから、特殊プラスチックで出来ている軽量型ロボ、エネルギーで光り輝く描写や、“異世界の謎の金属”、“純金で作られた”といった特殊なシチュエーションへのアプローチも面白い。可能性は無限大だ。これから「スーパーロボット超合金」シリーズがどのようなロボットをモチーフに、どう表現していくかに注目したい。
オレスカ氏はファンへのメッセージとして、「これからさらに『スーパーロボット超合金』は進化していきます。素材感、より豪華な見た目といった新しい技法によって表現されるロボットに期待してください」と語った。
(C)サンライズ ダイナミック企画