2017年9月20日 13:26
ベセスダ・ソフトワークスは、ステルスアクションゲーム「Dishonored: Death of the Outsider(ディスオナード デス オブ ジ アウトサイダー」を9月15日に発売した。プラットフォームはプレイステーション 4/Xbox One/Windowsで、現状国内ではXbox One版がパッケージ版を発売しており、他の他プラットフォームではダウンロードの販売のみとなる。
フランスのArkane Studiosが手掛ける「Dishonored」シリーズの最新作となる本作は、前作「Dishonored 2」に“ミーガン船長”という名で主人公に協力していた人物、「ビリー・ラーク」を主人公に据え、同作のその後の物語を描いている。世界観や物語が繋がっているだけでなく、ゲームシステムなども踏襲していて、過去作品を通してプレイしているプレーヤー向きの内容となっている。
今回本作のプレイステーション 4版を実際にプレイし、その内容などについお届けしていこう。なお本稿には過去シリーズの用語やネタバレが一部含まれることをご了承いただきたい。本作に興味がありつつも、まだシリーズをプレイしたことがないという人は、過去に弊誌にてお届けした連載記事「『Dishonored 2』ステルス連載 ダンウォールに忍ぶ影」も参考にしてもらえればと思う。
前作の重要人物ミーガンが、暗殺者ビリー・ラークとして復活
本作の主人公ビリーは、「Dishonored」で女王を殺害したダウドの片腕とも言える暗殺者であり、「Dishonored 2」では貨物船ドレッドフル・ウェールの船長「ミーガン・フォスター」として身を隠し、知人の王室医師ソコロフの依頼で王座を奪われた主人公エミリーをサポートしていた。彼女の隻眼と隻腕は過去にその身を追われたときに受けた傷で、本作では義眼と義手を着けて登場している。
暗殺者として復活した彼女の目的は、師であるダウドを救出すること。そして過去の過ちに苛まれるダウドの最後のターゲットであるアウトサイダーを、彼に代わって殺すことである。シリーズを通して多くの登場人物に影響を与え、世界に混沌をもたらしてきた神とも悪魔とも呼べる存在を殺すという展開には大いに興味をそそられる。
舞台となるのは前作と同じ、サーコノス島の街カルナカだ。王立博物館など、一部前作に登場した場所もあるが、基本的には新たにおもむく地域となる。ボクシングクラブや会員制の酒場、競売会場、銀行などかなり変わったシチュエーションがあり、これらの場所も含めた街への潜入はどこもかなり面白いものとなっていた。
例えば中盤のヤマ場となるミッション03の銀行は、中枢の金庫に隠された重要アイテムを入手するために潜入するのだが、「ペンキ塗り用リフト」、「ゴミ捨て場」、「下水道」などといった複数の潜入手段が用意されていて、どこから入るかで手間や潜入後のルートも大きく変わっている。また前述の競売に競り勝って特別なアイテムを入手していれば、銀行内の従業員を全員眠らせることができるといったオプション的な要素もあり、これまでのシリーズ同様にクリアまでの道のりは多彩だ。
なおゲーム画面などで確認した限りは、敵の致死/非致死によってゲームの展開が変化する「カオスレベル」の概念は、本作には存在しないようだ。
これまでの主人公とは一味違う能力を身に付けて戦うビリー
ベースとなるゲームシステムは「Dishonored 2」を踏襲した、FPSのような一人称視点で進行するステルスアクションであり、同作をプレイした経験があるならすんなり入っていけるだろう。本作を最初にプレイする人は少ないだろうが、動画を交えたチュートリアルもあるので、プレイ感覚を忘れてしまったという人にも安心の仕様だ。
主人公のビリーは、前作の主人公達と同等の暗殺術を身に付けていて、戦い方によって攻撃対象を殺すか気絶させるかといった選択も可能だ。また左手には「ボルタガン」という磁力で様々なものを発射できる武器を装備し、単独での射撃はもちろん、剣での戦闘中に撃つなどといった戦術も行なえる。ステルスアクションで敵に気付かれないように1人ずつ始末していくことで、その後の探索が楽になるといったバランスも健在だ。
アウトサイダーは自身を殺そうと目論むビリーにも「超常能力」と「黒い欠片の腕」を与え、彼女の運命を弄ぼうとする。しかしその力は、これまでの主人公達が与えられた力とは少し趣が異なっていた。
彼女が使えるようになる超常能力は6種で、これらはストーリー展開の中で修得していくこととなるが、前作までの能力を得るための「ルーン」は存在せず、能力の取得に迷うこともない、ある意味質実剛健な仕様だ。
超常能力は前作の「マナ」とは異なる「虚無エネルギー」を消費して使用する。このエネルギーは一定時間で回復するため、薬などに頼る必要はないが、瞬間的にエネルギーを回復する手段は存在しないという欠点もある。ゲーム中で使用するアクティブな超常能力は3つで、それらについても説明しておきたい。
「ディスプレイス」は、前作までの主人公も使えた瞬間移動で、移動先にマーカーを置き、その場所へ移動するというものだ。移動時はフェンスやガラスなど特定の障害物を通り抜けられるが、マーカー自体は通り抜けられないので、移動時にちょっとした工夫が必要になることもある。またマーカーを置いた場所に敵が来たときに瞬間移動すると、その敵を木っ端微塵に吹き飛ばすという力もある(自身もダメージを受ける)。
「フォアサイト」は独自の索敵能力で、時間を止めて幽体離脱し、周囲を空中から探索できるというもの。使用中の視点の周囲に存在するアイテムや人物は透けて見え、それらにマーキングをすることで、行動時でも常に視認できるようになる。
特に敵のマーキングは重要で、視線の向きや移動経路などから戦略を考えていくのが定石となる。また使用中は細い通路などを通り抜けられるので、通り抜けられる場所を上手く見つけてディスプレイスのマーカーを置いておくと、普段は通れない場所をディスプレイスで移動できる。
そして「センブランス」は、生きた人間、または気絶している人間に変装し、敵をあざむくという、本作独自の能力だ。変装した人間本人は顔が黒く焼けて気絶状態となり、その人間には二度と変装できなくなり、さらに変装中にその人間が発見されると正体を見破られてしまうという特性を持っている。また使用中は、移動時のみ虚無エネルギーが減少していく。
アクティブな超常能力が決まっているため、これまでのように強力な能力を集中的に身に付けてごり押しができないというのも本作の特徴となっている。また能力自体を直接強化することはできないが、装備することで自身を強化できるお守り「ボーンチャーム」によって効果時間を伸ばしたり、追加効果を得たりすることは可能だ。
「Dishonored」のストーリーは、ついに本作で完結するのか!?
本作は完全新作ではあるもののフルプライスではないため、全体のプレイ時間は過去作品の半分程度といったところだろうか。それでも各ミッションはこれまで同様、複数の攻略ルートが存在する繰り返しやり込める内容で、さらにミッションクリアには直接関係ない「依頼書」によるサイドミッションもあるので、ボリューム不足という印象はなかった。
繰り返しとなるが、内容的には前作をプレイしていることが前提なので、できればまず「Dishonored」(DLCまで入った「Dishonored HD」を推奨)と「Dishonored 2」をプレイしてから挑むことをオススメする。
特にPS4版は、9月27日までTOKYO GAME SHOW 2017開催記念セール対象に両作品が含まれているので、ぜひこの機会にプレイして、本作の世界観にどっぷりと浸かってもらえればと思う。