2017年9月20日 07:00
「NBA 2K18」がついに発売された。本作は2Kによる世界的な人気を誇るバスケットボールゲームであり、毎年NBAファンが心待ちにしているタイトルだ。本作の特徴はハンズオンレポートでも紹介した通りだが、今回、製品版を発売前にプレイできたので、その感触を改めてレポートしたい。
「NBA 2K18」の最大の魅力はそのリアルなグラフィックスと試合の感触にある。プレーヤーはまるで自分がプロバスケットボール選手になったかのように選手達に混じりプレイを進めることができるのだ。
そして今回は「MyCAREER(マイキャリア)」モードがオンラインとなった「RUN THE NEIGHBORHOOD(ラン ザ ネイバーフッド)」が搭載され、他のプレーヤーと同じ空間でゲームプレイを進めることができる。一緒に練習したり、対戦が楽しめるのが新鮮だ。
最新データ、リアルなグラフィックスで楽しめるNBAの世界
「NBA 2K18」は2016から2017と最新の選手データでプレイできるところが最大の魅力だ。特に本作は前作以上に選手のグラフィックス描写に力が入っており、選手達の描写、動き、試合の雰囲気など実写そのままで、リアルさは本当に感心させられる。
そして本作で人気なのは「MyCAREER」モードだ。自分だけの選手を作り、NBAプロプレーヤーとしてデビュー、栄光の道を駆け上がっていくというモードである。「MyCAREER」の最初はプレーヤーキャラクター作り。外見の設定は細かく、頬骨や顎の幅、眉など顔かたちを細かく設定できる上、ポジションに合わせた身長体重を設定していける。
肩幅や、身長、体重などでスピードやパワーが違ってくる。ポジションで求められる身体能力も大きく変わる。NBAの世界では190cmの身長があってもかなり小柄な選手になってしまう。スキルなども組み合わせ、自分の思い描く選手を作っていく。
キャラクターを作るといよいよスタートとなる。プレーヤーキャラクターはストリートバスケットの大会に出場する。ここでプレーヤーキャラクターは、スカウトの目にとまりプロチームへ参加できるようになる。その道は平坦では無い。ドラフトという正当な道ではない、ストリートでチャンスを掴んだプレーヤーキャラクターは、練習を積み、評価を上げ、地道にスターへの道を目指していくのだ。
最初のストリートバスケ大会が終わり、プロへの道が開けると「RUN THE NEIGHBORHOOD(以下、ネイバーフッド)」という空間に行くことができるようになる。ここはオープンワールドのMMO空間で、様々なことができる。この空間には世界中からのプレーヤーが参加しており、町を闊歩している。
言ってみればこの空間はプロプレーヤーを目指す“バーチャルな合宿所”の様なもので、様々な施設がある。他のプレーヤーとひたすらバスケットを楽しむこともできるし、プロとしての評価を上げるために練習を積むこともできる。トレーニングをすることも可能だ。
ネイバーフッドはオンラインであることに魅力が詰まっている。ストリートコートはプレーヤー達が思い思い集まってゲームを楽しんでいるし、トレーニングでは何人もがマシンなどを使ってトレーニングしている。混んでるときはマシンが空くまで待たなければいけなかったりする。進行度が違うプレーヤー達が闊歩していて、レベルが高く凝ったファッションを身につけてるプレーヤーとすれ違ったりする。
シューズ、服、髪型などはコレクションするのも楽しい。購入したアイテムは自室に飾ることができるのだが、空いた棚がコレクション欲を刺激する。様々なシューズを買いそろえてこの棚をいっぱいにしたい、という気持ちもとてもよくわかる。
そして試合である。最初はベンチを温めることしかできないが、評価を上げ、チャンスを待っていれば試合に出場することもできる……のだが、ちょっとやはり本作はNBAファン、バスケットボールファンの作品であり、知識のない筆者にはちょっと難しかった。どう動けば良いのかが、ちょっとわからなかったため、低評価ばかりになってしまった。
本作はもちろん初心者向けに様々な要素が充実しているが、やはり「バスケットボールファン」にオススメだ。選手をどう動かせば良いか、ポジションで選手達はどう動くのが正しいか、そういう「基礎知識」と、「イメージ」をあらかじめ持っていない人には奥深いNBAの駆け引きがわからないところがある。
一方で、バスケがわかる人には、本作は強くオススメできる。簡単で、直感的な操作で選手を思い通り動かし、プロ選手としてスターダムを駆け上がる気持ちが味わえるのだ。実際のバスケットは身体的に恵まれ、血のにじむような努力の末、選ばれた天才だけがプロ選手になれるのだが、ゲームは違う。NBAが、バスケが好きな人、基礎を学び、「理想の試合運び」に自分ありの哲学がある人、そういう人にこそオススメである。そういう人のために、本作は充実したチュートリアルモードを搭載しているのだ。
選手を思い通りに動かせる充実したチュートリアル
今回筆者が一番プレイしたのが「2KU」。チュートリアルモードだ。ここではパスやドリブル、シュートなど非常に基礎的な操作から、様々なオフェンス、ディフェンステクニックを学べる。
今回はPS4版をプレイした。基本的な操作はLスティックとボタンだが、Rスティックを併用することでドリブルやフェイントさらにシュートまでスティック操作で行なうことができる。ディフェンスポジションで相手に向かってスティックを倒すなど様々な場所で使う。
簡単な操作で多彩なテクニックを直感的にできる。ドリブルの利き腕から反対側にしたり、シュートのフェイントをしたり、相手の進路を防いだり、相手を体で押してポジションを争うなどまさに何でもできる。チュートリアルをプレイすることで、ポジションの重要さなどバスケットの基本も学べる。
しかし、実際にゲームをプレイするとやはりバスケット、NBAの知識のなさを痛感してしまう。選手がどう動けば良いのか、どう選手を動かすのが“正解”なのかがわからないのがもどかしい。ディフェンスはどう動くのが効果的なのか、そういった“知識”はそれこそ試合を見たり、実際にプレイしないとわからない。「何でもできる」ゲームなだけに、「何をすればいいか」を求められる方向性となっている。
それでもこのゲームを通じて学べることは多い。1on1、2on2など選手を減らすことで基本的なディフェンスやオフェンス、多彩なコンビネーションが学べる。「2KU」内の「プレイの練習」では、相手を翻弄しシュートを決める選手達の動きを学ぶことができるのだ。
「MyCAREER」モードでの他のプレーヤーの動きもそうなのだが、今回「NBA 2K18」に触れることで改めて奥深さがわかった。いきなり走り出し相手の虚を突く、1人が選手の動きをブロックすることで仲間が動く空間を作る、チームプレイの面白さ、作戦のうまさには本当に感心させられる。だからこそそのルールがわからない自分がもどかしかった。特に大変なのが「ターンオーバー」というルール。オフェンス時にプレーヤーの動きがチームの攻撃の流れを切っていると、敵にボールが渡り評価が大きく下がってしまうのだ。
「2KU」はゲームの操作がわからない人向けに様々なやり方を教えてくれるが、バスケットの基礎がわからない人には応えてくれないところがある。例えばオプションや、DLCでもいいので、超初心者向けの“講義”も欲しかったところだ。どうしてターンオーバーになってしまうのか、求められる動きは何なのか、そういう解説があっても良いかもと感じた。もちろん、そういうことは「プレイする前に知っている当たり前なこと」なのだろうが本作でNBA、そしてバスケットを学ぶ、という方向性もありではないかとも感じた。
「NBA 2K18」はバスケットの奥深さを学べる非常に奥深いツールだ。ネットや、それこそ初心者が読むような「教科書」でバスケを学び、ポジションの重要さやるべき仕事、動き方を学ぶことで、AIはそれに応え気持ちよくド派手なプレイを可能にするフォローもしてくれる。本作をスタートにこの奥深い世界に足を踏み入れるのもとても楽しいと思う。$$clear
お気に入りのチームの未来を背負う「MyGM」などゲームモードもたっぷり
「NBA 2K18」は「MyCAREER」や様々なチュートリアル、自由にチームを選べ対戦できるモードなど多彩なゲームモードを搭載している。「Play Now」モードは手軽に様々なチームでの対戦を行なうことができる。
「MyCAREER」に並ぶ目玉モードとしては、「MyTEAM」と「MyGM」がある。「MyTEAM」はトレーディングカード形式で選手を集め理想のチーム作りを目指していくモード。パックを購入し選手を揃えていくのだが、コーチカードやシューズカードなど選手以外にも様々なカードがある。
これらを使ってデッキを組んでいくのだが、対戦は通常のゲーム形式なところが面白い。戦いそのものは終盤間近のクライマックスシーンから始まる。デッキの選手を使ってその試合を勝利に導いていく。デッキの選手や戦略によってプレイ感は大きく変わってきそうだ。他のモードよりカジュアルに試合が楽しめるところも面白い。
「MyGM」は、「MyCAREER」での選手が怪我で引退し、今度は“監督”としてチームを率いるモードとなる。もちろんチームデータは最新のものが使われているので、監督就任時には現在の体勢が不満か、そうでないかも聞かれる。プレーヤーは現在のチームの方針を継続していくか、大改造していくかを決めていくのだ。
「MyGM」では練習のメニューや、引き抜きなどチームの管理を行なっていくことでチームを運営していく。プレーヤーは好きなNBAチームの「未来」を託されたこととなる。チムの実力をアップし、今以上の人気を得るためにはチームをどう変えていくか、監督の腕が試されるのだ。
「NBA 2K18」はNBAのファンの希望を具現化したようなゲームと言える。NBAの“今”を再現しつつ、プレーヤーという「新人」が登場したとき、世界はどう変わるか、その想像を可能にする。スポーツ漫画のようなストーリーを自分の手で想像していく楽しさがある。そしてスポーツファンの多くが持つ「俺が監督だったら、今の時代のチームはこう補強する」といった夢も叶えることができるのだ。
しかも今作は、ネイバーフッドによってファンで同じ空間を共有できるのだ。国内や海外のファン交流の「バーチャルオフ会会場」としても活用できそうだ。ゲームが苦手な人もいるかもしれないが、本作はNBAファンならばより深く楽しめる作品である。本作が多くのファンの手に届いて欲しい。
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