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「S.T.A.L.K.E.R. 2」体験レポート!よりリアルに驚異の世界「ZONE」が描かれる

恐ろしいミュータント、謎に満ちたアノマリー、危険な世界で生き残れ!

【S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl】

11月21日 発売予定

価格:
通常版 7,950円
Deluxe Edition 10,499円
Ultimate Edition 14,499円
※デジタル版のみ

 ウクライナのゲームスタジオGSC Game Worldが開発する「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl(以下、S.T.A.L.K.E.R. 2)」は、独特の雰囲気を持ったサバイバルホラーFPSだ。

 ゲームではチョルノービリ(チェルノブイリ)原発を中心とした地域が舞台となる。チョルノービリは試験運転の事故からずさんな管理、対応の遅れなどが重なり1986年に事故を起こした。ウクライナ周辺のみならずヨーロッパの広い範囲、そして北半球全体に影響を及ぼした歴史的な事故をとなった。「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズではこの事故に加え、2006年再び謎の大爆発が起き、原発を中心とした半径30kmの地域は不思議な空間へと変貌してしまう。その結果、ミュータントが闊歩し、不思議な現象の起こる「ゾーン」と呼ばれる地域となった。

 ゾーン内ではアノマリーという不思議な場所が存在する。強い放射能があったり、火が噴き出したり、場所によって性質はまちまちだが、そこには不思議な物質「アーティファクト」が存在する。アーティファクトは希少な物質で、これを求め人々はゾーンに向かうこととなる。ゾーン内では幾つもの勢力が争っており、ゾーンの秘密を解き明かそうという動きもある。プレーヤーはゾーンの探索者「S.T.A.L.K.E.R.」としてこの世界に赴くのだ。

 今回、本シリーズの最新作である「S.T.A.L.K.E.R. 2」の体験会が行われた。本作は「Unreal Engine 5.1」で世界を描写、凶暴なミュータントが闊歩し、不思議な現象が起こるアノマリー、すべてを破壊する嵐「エミッション」など超常現象を目の前にしているかのような臨場感で体験できる。まるで自分がゾーンを探索しているような気持ちになれる。体験会では物語最序盤を描いた"第1部"、そしてゲーム本編のシステムが見えてくる"第2部"をプレイできたが、本稿では第1部の体験レポートを送りたい。

【『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl(ストーカー2:ハート・オブ・チョルノービリ)』Trailer 「The Time of Opportunities」】

油断が死を生む過酷な世界。「S.T.A.L.K.E.R.」のゾーンがよりリアルになって登場

 「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズは第1作「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl」が2007年に、2作目「S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky」が2008年、3作目「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Prypiat」が2009年に発売された。その独特の世界観と歯ごたえのあるゲームバランスで人気を博した。「S.T.A.L.K.E.R. 2」は15年近くの時を経た続編となる。舞台となるのはこれまで同様、チョルノービリを中心とした謎の地域「ゾーン」だ。ゲームでも現実と同じだけの時間がたっており、プレーヤーは15年近くの時を経た"現代のゾーン"を探索することとなる。

日本語版スクリーンショット、音声はウクライナ語でメッセージなどは字幕で日本語が表示される

 なお、体験会ではPC版を使用したが、プレイ環境はASUSのゲーミングブランド ROG製品を中心に組み上げたデスクトップPCだった。IntelのCPU「Core i7」とNVIDIAのGPU「GeForce RTX 4090 / RTX 4080 Super」というハイスペックな構成に加え、ゲーミングモニター「ROG Strix XG256Q」という非常にリッチな環境でプレイできた。

非常にリッチな環境でプレイできた

 「S.T.A.L.K.E.R.2」は主人公が"依頼"を受けるところから始まる。相棒と共にトラックに乗っていた主人公は封鎖されていたゾーンに接近、トラックの荷台から"装置"を受け取り、壁を乗り越えゾーンに侵入する。これまでの主人公はシリーズごとに異なっていたが、今作も新しい主人公のようだ。ちなみに各勢力のキャラクターなど、シリーズをプレイした人には印象的なキャラクターとの再会があるとのこと。

 装置は設置することでその場のエネルギーを吸収する働きがある。ゾーンでの指定ポイントに装置を設置、作動させた後回収する。数カ所での回収が今回の任務だ。しかしゾーンの上空にはヘリが飛び、侵入者に警戒している。

明確な目的が提示され、クリアしていくのが第1部の展開だ
インベントリー画面。右のインベントリーの左上にあるのが"装置"だ。第1部ではこれを様々な場所に設置していく

 指定ポイントは危険な場所ばかり、装置を設置する場所は放射能が強く、いるだけで放射能ダメージで被曝量が増え、体力が削られる。しかも設置した装置は作動している間は周囲に電撃を発するのだ。プレーヤーは装置を設置後すぐ離れなくてはいけないのだが、体力回復や放射能除去剤を使っておかないと、離れることもできず倒れてしまうことも多い。

 筆者はシリーズをプレイしていたのでこの厳しめのゲームバランスは「これが『S.T.A.L.K.E.R.』だよな」とワクワクした。この危険なフィールドを探索し生き抜いていく。どんどんリソースは減っていく中、それでも懸命に前に進むヒリヒリした感覚は今作でより臨場感を増していると感じた。

 これまでのシリーズもそうだったが、体験プレイ中は何度も死んでセーブ地点からやり直すことを繰り返すプレイとなった。ゲームバランスとしては厳しいが、どう生き残るか試行錯誤するのが楽しい。早めに回復アイテムを使ったり、進むルートを変えたり、うまくいったときほっとしてセーブする。ソウルライクのゲームとはまた違う、ちょっと懐かしい感じのバランスの取り方は本作のウリだ。

 このバランスの厳しさを強く感じたのは"姿が消えるミュータント"ブラッドサッカー"と遭遇したとき。このミュータントは「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズの顔とも言える存在で、これまでは中ボス的な存在として戦っていたのだが、今回は序盤でいきなり遭遇する。BGMがはっきり変わり、敵がまず叫び声を上げて襲いかかってくるので身構えることができたが、こちらは機械を回収し、放射能とダメージでボロボロの状態なのだ。何とか倒そうと数回挑んでみたが、結局逃げに徹することが有効だった。

一体は弱い犬のミュータントも数で襲いかかってくるので注意が必要だ
姿を消す強敵"ブラッドサッカー"

 しかもその先にはこちらに敵対する追い剥ぎ集団がいて、こちらを見かけたら即撃ってくる。敵は複数だ。勝つためには先制攻撃。茂みに潜んで機会をうかがい、敵の場所を把握したら一気に攻撃する。障害物に隠れたり、敵が隠れているところを強襲したり、"攻め"の姿勢が有効だ。戦いはほんの数十秒程度で決着がつくが、敵の攻撃力は高く、油断をすればすぐ倒されてしまう。短いながらも緊張感のある戦いをくぐり抜けなければいけない。

 第1部はシリーズを始めてプレイする人にも「ゾーンはこんなに不思議で危険な世界だ」ということが実感できる。プレーヤーは襲いかかってくるミュータントや他の派閥と戦いつつ、指定されたポイントに装置を設置し、作動させていく。不思議な空間「アノマリー」の中にも飛び込んでいく。アノマリーは「放射能が強い」、「一定時間で床から炎を吹き上げる」、「電撃を数カ所で発生する」というように性格はまちまちで、これらに対処する必要があり、さらに探知機を使ってアノマリーに存在する貴重な「アーティファクト」を回収するのも体験できた。

奇怪な現象が起こる「アノマリー」で、探知器を片手にアーティファクトを探す

 そして「エミッション」だ。すべてを破壊する嵐、ゾーンはこのエミッションが様々な場所で発生する。この嵐から逃れるためには建物の中に避難するしかない。繰り返すがこれこそが「S.T.A.L.K.E.R. 2」の面白さだ。「Unreal Engine 5.1」でその臨場感はさらに増している。こちらに近づいてくるミュータント、射撃しながら包囲してくる追い剥ぎ達、恐ろしい超常現象、壊れた廃墟……これらがリアルに目の前にあり、絶体絶命の状況を生き抜く、この感覚が楽しいのである。最新のゲームエンジンを使うことで開発スタッフは「我々が思い描く要素がようやくしっかりと表現できた」とコメントしている。その表現力は最大の見所だ。

 厳しいゲームバランスと言えば理不尽に強い怪物に追われる「サイコブレイク」、特別な敵をテクニックで撃破していく「エルデンリング」などのソウルライクのアクションゲーム、また環境で言えば呼吸ができない地上を走破する「メトロ」シリーズなどもあるが、これらの危機は目の前の避けられない障害物としてあるが、「S.T.A.L.K.E.R. 2」は大量にリソースを使うことで危機を乗り切れる。だからこそ積極的に探索を行い、倒した敵の体をしっかりあさって回復薬や、放射能除去剤、弾丸などを確保し、そして使うときには惜しげもなく使う。このギリギリの戦いを乗り切る楽しさは本作ならではと言えるだろう。

 その厳しい戦いを何故するのか? と問われれば「それだけゾーンが魅力的だから」と筆者は答える。謎の現象で変わってしまった世界、そこに生まれる希少なアーティファクト、これらを巡って様々な集団が争う中、危機をくぐり抜け、アーティファクトを集め、自分の技量で生き抜いていく。「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズはそんな破滅的だが魅力的なストーカーとしての自分になりきれる。危険な世界のプロフェッショナル気分に浸れる。それは、高い山に登った満足感に似ているかもしれない。そしてよりリアルで臨場感のある世界を実現した「S.T.A.L.K.E.R. 2」は、これまで以上に「冒険者」として自分に酔える作品だということが実感できた。

ZONEの奇怪な現象を、「Unreal Engine 5.1」でリアルに描き出す。「S.T.A.L.K.E.R. 2」はその世界を探索できることそのものが大きな楽しみだ

 今回は最後の設置ポイントで機械を回収した後、軍隊に強襲され、なすすべもなく倒され、装置を奪われてしまうところで幕を閉じた。この後主人公は装置も、装備の大半も失った状態でゾーンに放り出され、本当の「S.T.A.L.K.E.R. 2」の始まりと言える第2部がスタートするのだが、こちらは次の機会でレポートしたい。