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「3D ギャラクシーフォースII」インタビュー

「環境音」収録の発案者、登場!

「環境音」収録の発案者、登場!

並木学氏

――それではここからは、サウンド担当の並木さんをお迎えして、さらに「3D GFII」のサウンド周りのお話をお伺いしていきたいと思います。以前「3D スペハリ」のインタビュー時に教えていただいたのですが、「環境音」の収録は並木さん発案なんですよね? 「3D GFII」でも収録されていますね。

並木氏:「3D スペハリ」の時に導入した「環境音」は自分が発案したもので、当然「GFII」の再現においても必須だな、ということで録音したのですが、「スペハリ」の筐体に比べると、モーターの種類というか、音質が「スペハリ」と違って特徴のある音で。

 ゲーム中の音と合わせたとき、当時ゲームセンターの筐体でプレイしていたときに聞こえていたモーターの音の鳴り方と、果たしてどこまで近づけられるのかなというところが……資料も当然あまりなくて。

 実機からのロケは、セガさんの倉庫に奥成さん、(堀井)社長と、レコーディングエンジニアとして弊社サウンド担当のChibi-Techにお任せして録音してもらった波形を元に調整して、追い込んで搭載することができました。

倉庫において行なわれた筐体駆動音の収録の様子。最後の写真で筐体が布団をかぶっているのは、周囲の反響音を吸収するための手法だとのこと

奥成氏も知らなかった「新規にBGMを録音したわけ」

――今までの「3D復刻プロジェクト」シリーズでは、基本的にサウンドもエミュレーションによる内蔵音源での再現でしたが、今回「3D GFII」ではBGM部分はストリーミング、SEは内蔵音源によるエミュレーションとなりました。BGMをエミュレーションで再現する場合、同時発音数を超えた時は、BGMを1音削ってSEを鳴らすといったことができ、より実機に近いサウンド環境が実現できるわけですが、ストリーミングでの再現はいかがでしたか?

並木氏:まず、「3D GFII」では今回、ストリーミング用のBGMは新たに弊社で録音し直したものを使用しました。

奥成氏:PS2版ではストリーミング用にセガ側で録音しましたが、今回別に録音したんですか?

並木氏:新規に録音しました。僕はPS2版の時にはエムツーにいなかったので、PS2版のストリーミングデータがどういう形で録音されたのかは把握していなかったんですが、この仕事を進めるにあたって、ディレクターの方から「基板から再録音しましょう」という話が挙がりまして、「我々に任せてもらえるなら、新たに録音させていただくのがベストだろう」と。

 新録を選んだのには理由が2つありました。1つは、「TAKE BACK」というシーンCの曲で、昔サイトロンさんから発売されていたCD「ギャラクシーフォース-GSM SEGA1-」に収録されていたバージョンには、アーケード版には含まれていなかったイントロが入っているロングバージョンがありまして、それが実機の基板のROMデータの中にあるかないか、というのをまず調査したくて。基板のROMを僕がすべて解析して、ドライバーのデータ部分の中の「TAKE BACK」の譜面データにロングバージョンのものがないかを改めてすべて洗ったんですね。結果として残念ながら、その譜面データは製品版のROMの中には存在しないことが判明しました。まずはそれを調べたかったので、ROMデータが欲しかった、というのが1つの理由に繋がります。

 あわよくばそれが見つかった場合、ROMを焼き直して、つまりROMの中に演奏できる形で含めたROMを焼き直して、録音できればいいな、という思惑があったんですけれども、残念ながらそれはかなわなかった。

奥成氏:結局、「TAKE BACK」はPS2版のものを使ったんですか?

並木氏:いえ。今回はイントロ部分のみを抽出して、基板から録音しなおした「TAKE BACK」の本体の部分とを編集してつないであります。

 これはなぜか? というと、PS2版と同じ過去の録音の音源を使うと、当時のサウンドトラックで主流だったエフェクター、例えばリバーブといったものが加味されているんですね。エフェクトが加味されたものと、基板から録音した別のシーンのBGMとの間に音質的なギャップが生まれてしまうことをなるべく回避するために、編集が必要だったわけです。

 ですので、できるだけ違和感がないように、僕のほうで、いじり過ぎない程度の編集を加えて、リバーブ感を少々抑えるということをやりました。それと、基板録音した曲の音圧と音質となじむように調整を加えました。

(佐伯憲司)