NHN Japan、PCゲームポータルサイト「ハンゲーム」をリニューアル
「心躍るゲームがここにある」。NHN執行役員稲積氏に企画経緯を聞く
NHN Japanは10月31日、PC向けのゲームポータルサイト「ハンゲーム」の全面リニューアルを実施した。トップページのレイアウトの全面刷新を行なったほか、ゲームポータルサイトとしての方向性を量より質へと転換を図っている。新しいキャッチコピーは「心躍るゲームがここにある」。ハンゲームは今後、2013年上半期までにかけて機能強化を図っていく予定としている。今回は、「ハンゲーム」の全面リニューアルの企画経緯についてNHN Japan執行役員 経営企画室長 ハンゲームプラットフォーム室長 クリエイティブマーケティングセンター担当の稲積憲氏に話を伺ったのでまとめておきたい。
NHN Japan執行役員 経営企画室長 ハンゲームプラットフォーム室長 クリエイティブマーケティングセンター担当の稲積憲氏 |
2012年11月1日で、運営開始から12周年を迎える「ハンゲーム」。2000年にアパートの一室でスタートした直後は、わずか10種類のカジュアルゲームしか提供していなかったが、現在は自社製、他社製、共同開発を含め、273タイトルを提供するまでに至っている(10月24日現在)。
NHNでは、12年一巡りする間に、市場環境やユーザーニーズが変化したことから、従来の可能な限りゲームの選択肢を増やすことによって「多様な遊びを提供するポータル」から、PC向けに特化したゲームポータルサイトとして、「ハイクオリティのゲームコンテンツやサービスを提供するポータル」へと方向転換を果たすことにしたという。これまで質より量、来るモノは拒まずどんどんチャネリングしていったことを考えると、これは明確な方向転換となる。
この背景には、近年、ソーシャルゲームやモバイルゲームなどの荒波に揉まれながらも、PCオンラインゲーム市場は一貫して成長を維持している事が挙げられる。NHNでは今後もPCオンラインゲーム市場は成長分野のひとつと見込み、しっかり投資していくことを内外に示すためにも、こうしたわかりやすい形でリニューアルを実施したのだという。
【「ハンゲーム」新旧比較】 |
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こちらが昨日までの「ハンゲーム」 |
こちらが新デザインの「ハンゲーム」 |
ユニークなのは、NHNの新たな事業の柱として急成長しているコミュニケーションサービス「LINE」とは、あくまで別事業というスタンスを今後も貫くことだ。「ハンゲーム」は今回リニューアルの対象となっているPC版のほかにもフィーチャーフォン版とスマートフォン版が存在し、ゲームプラットフォームとしての側面もある「LINE」は競合関係となるが、「ハンゲーム」のスマートフォン版/フィーチャーフォン版は、PCとの連携を主軸に置きながら今後も運営していくという。
また、今後市場拡大が予想されるタブレット向けのコンテンツ提供については、まだ社内でどこが主導するかについて明確な取り決めがないという。ともかくも今回はまずPC版「ハンゲーム」の全面リニューアルということになる。新「ハンゲーム」の新たなサービス方針は以下の通り。
【新「ハンゲーム」の新たなサービス方針】 |
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1、高クオリティのゲームコンテンツをご提供します。 ・新作タイトルにおいては、「面白い」、「楽しい」といった感覚を当社独自の指標に基づいて定量的に評価し、一定の評価基準を超えたタイトルのみをリリースします。 2、「ハンゲーム」をより使いやすく。ポータルを全面的にリニューアルします。 ・本日実装した新トップページに加え、今年末から来年にかけて「ハンゲーム」の全面的なリニューアルを実施します。コミュニティサービス、ポータル内の様々な機能等も改善・改修しクオリティを重視したサービスを提供します。 3、安全・安心なサービス運営を実施。ゲームを通じたオフラインの楽しさも提供します。 ・時節に応じたハンゲーム横断イベントを強化するほか、オンラインの楽しみをオフラインにも展開し、オフ会の開催サポートやハンゲームフェスティバル(10月7日開催)のような大型イベントを実施するなど、お客さま同士が交流できる場を設けます。 |
1つずつ補足していくと、まず1については、オンラインゲームチャネリングサイトから、オンラインゲームプラットフォーマーへの転換を意味する。今後、NHNは、自社、他社を問わず、社内に一定の指標を設け、基準に達したタイトルのみを提供していくことになる。また、サービス開始後も、ユーザーの反応や評価、それからユーザーの継続率や課金転換率といったKPI(重要業績評価指標)を見ながら、一定基準を下回った場合はNHNサイドから自社を含むゲームの開発元に対して適切な提案を行なっていく。
稲積氏によれば、これはタイトルの絞り込みを意味するのではなく、全体的なクオリティの底上げが狙いということで、どのゲームをプレイしても「おもしろい」、「楽しい」といった感覚が味わって貰えるようにしていきたいとしている。
2のデザインリニューアルについては、まさに見ての通りで、高い密度で様々な情報が掲示されていたこれまでのトップページデザインを廃棄し、シンプルさを突き詰めたデザインに刷新されている。複雑さの元となっていた「かんたんゲーム」、「じっくりゲーム」の区分けを撤廃し、テキストメッセージは最小限とし、収益源のひとつであった広告枠すら全面撤廃する徹底ぶりで、トップページを訪れたユーザーが余計な情報に惑わされることなく簡単に希望通りのゲームにたどり着けるように設計されている。
新デザインの特徴としては、中央にどっかりと、ローテーション式のタイトル表示枠を設け、その下に5つのボタンを設置しているところ。このボタンは「マイゲーム」、「オススメ」、「人気ランキング」、「イベント」、「新作/アップデート」に分かれており、まずは好みのボタンを押すことで、より素早く自分のフィーリングに合ったタイトルが探し出すことができる。
NHNのMMORPG「TERA」の公式サイト。将来的な目標としては、今後タイトル毎の公式サイトのデザインも変えていきたいとしている |
このPC版「ハンゲーム」サイトのデザインリニューアルは、これで第1弾で、今後、ユーザーによるレコメンド機能、新たなアバターサービスやマイページ機能、そして友人を手軽に誘える友達招待機能などが、2013年上半期いっぱいまでかけて順次実装されていくことになる。
3点目については、内部的な取り組みとなるが、顧客満足度の向上を目的にCS活動を強化し、具体的にはCSスタッフによるパトロールや啓発活動、オンラインイベント、オフラインイベントの強化、継続などを挙げてくれた。
稲積氏によれば、10月7日に実施した大規模なオフラインイベント「ハンゲームフェスティバル」は今後も継続して実施する予定であるほか、ユーザー主体のオフ会も積極的に支援していきたいという。具体的なプランや申し込みについては今後公式サイト等を通じて紹介していくという。
NHNのいう、一定水準以上の「おもしろさ」、「楽しさ」とはどのようなものなのか、「安心」、「安全」なサービス運営とは何なのか。これらについては今後の運営状況を見ていくしかない部分ではあるが、「LINE」ばかりが話題に上がることの多いNHNが、「ハンゲーム」を今後もしっかりやっていくと宣言してくれたことは、日夜ハンゲームでオンラインゲームを楽しんでいるPCゲームファンには朗報だろう。引き続き、今後の拡張にも注目していきたいところだ。
【新ハンゲーム】 | |
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左がログイン前で、右がログイン後の「ハンゲーム」のデザイン。下部にはジャンル別にタイトルが並ぶが、スクロールしなければ見えない位置まで下げられている |
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(2012年 10月 31日)