日本エイサー、10万円を切る3D立体視対応ノートPCをNVIDIAと共同発表
GeForce GT 425Mを搭載。店頭予想価格99,800円で12月3日発売 「AS5745DG-A54E/L」


【AS5745DG-A54E/L】

12月3日 発売予定

店頭予想価格 99,800円


 PCベンダーの日本エイサーは、11月19日、3D立体視に対応するノートPC「AS5745DG-A54E/L」を12月3日に発売することをNVIDIAと共同で発表した。本製品はNVIDIAの「3D Vision」3D立体視テクノロジーに対応する15.6インチのノートPCで、本体内部に3Dメガネを同期させるためのIRエミッターを内蔵。グラフィックスチップにNVIDIA GeForce GT 425Mを採用、店頭予想価格は99,800円となっている。

 東京・六本木の東京ミッドタウンで開かれた共同発表会では、日本エイサーの代表取締役社長ボブ・セン氏、NVIDIAエイサーグローバルアカウントマネジメントセールスディレクターのトム・リン氏を始め両社のスタッフが登壇し、エイサーおよびNVIDIAの3D立体視普及に向けた戦略を語った。




■ 「本気で普及する価格」を実現した3D対応ノートPC「AS5745DG-A54E/L」

「AS5745DG-A54E/L」。NVIDIAの「3D Vision」一式が付属する
日本エイサー代表取締役社長ボブ・セン氏(写真左)とNVIDIAでエイサー製品を担当するトム・リン氏(写真右)
日本エイサーの瀬戸和信氏は本製品の特徴や戦略的意図について語った
本製品と他社製3D対応ノートPCとのスペック比較。本製品は比較的GPUに比重を置いた構成になっている

 発表会の冒頭で日本エイサーのボブ・セン氏は「新しい技術をいちはやく、リーズナブルに提供することが使命であると考えており、今回、10万円を切るノートPCを発表できることを嬉しく思います」と挨拶。コストパフォーマンスのエイサーというキーワードも飛び出し、本製品「AS5745DG-A54E/L」が普及価格帯を目指した3DノートPCであることを強調した。

 続いて登壇したNVIDIAのトム・リン氏は、NVIDIAでエイサー関連製品の世界展開に協力する立場から、今回の新製品を「低価格で高品質な3D体験を提供できるユニークな製品」としてコストパフォーマンスを高く評価。また、そのコストパフォーマンスからNVIDIAの3D立体視が日本全国に普及することに期待を寄せた。

 「AS5745DG-A54E/L」の具体的なスペックや製品戦略を語ったのは、日本エイサーのマーケティングコミュニケーション課マネージャーを務める瀬戸和信氏。瀬戸市は「エイサーほど本気で3D立体視の普及に取り組もうとしているPCメーカーは他にないのではないか」と自社の姿勢を明かし、説明の前提としていくつかの調査結果を紹介した。

 それによれば、国内で3D立体視のコンテンツを実際に体験したことのある人は、「6割しかいない」という。3D元年といわれ、何かと3Dコンテンツがもてはやされる風潮の中で、この数字はちょっと寂しいという評価だ。その上で瀬戸氏は3D立体視に対して「限られた人の物というイメージ」があると指摘。現状を突破するためには「コンテンツ」、「適正価格」、「製品構成」の3点が重要だと語った。

 その中で本製品「AS5745DG-A54E/L」の最大の特徴となるのは、3D立体視を充分に楽しめるGPUを搭載しつつ価格を10万円以下という水準に抑えた点だという。瀬戸氏はこの価格を「本気で普及させるための価格帯」と定義し、その実現のためにGPU以外の部分は敢えて「プレミアムスペックを避けた」と言明した。

 具体的には、GPUには3D立体視表示にも充分な性能を持つGeForce GT 425Mを採用しつつ、CPUにはCore i5-460M、光学ドライブにはブルーレイ読み出しのみに対応したDVDスーパーマルチ機能搭載型のドライブを採用し、3D立体視コンテンツの視聴性能以外の部分でコストを圧縮している格好だ。また、映像出力端子としてHDMIポート(バージョン1.4)を搭載し、「NVIDIA 3D Play」機能を通じて3D対応テレビに3D立体視映像を出力することが可能だ。

 また本製品には、ネット上にある3Dモデルコンテンツを手軽に3D立体視で楽しめる、オリジナルの3Dモデルブラウザ「Shade 3Dブラウザ」がバンドルされる。これは3Dコンテンツ作成ツールを手がけるソフトメーカーのイーフロンティアによる協力で実現したソフトで、Maya、Max、XSIを始めとする様々なフォーマットの3Dモデルデータを読み込み、3D立体視で自由なアングルからモデルを眺めることができる。

 この「Shade 3D ブラウザ」のデモを行なったイーフロンティアの坂口秀之氏は、本製品にはいくつかのデモ用3Dモデルも付属するものの、ネット上には100万を超える3Dモデルがあり、発表会の場で見せられないものを含めて「本当に色々なものがあります!」と強調。イーフロンティアとしては3Dコンテンツクリエイターの活躍を広げる場として3D立体視環境の一般ユーザーへの普及に期待しており、本ソフトもその戦略的な一環として位置づけられるもののようだ。

 その他、本製品の主なスペックは以下の通り。12月3日より店頭販売が開始される予定だ。


【主なスペック】
画面サイズ15.6インチ HD グレアタイプ
画面解像度1,366×768ドット
画面周波数120Hz(ネイティブ)
OSWindows 7 Home Premium 64ビット 正規版
CPUインテル Core i5-460M
GPUNVIDIA GeForce GT 425M (1GB)
メインメモリ4GB(2GB×2、DDR3-1066 SDRAM/soDIMM) / 最大8GB
HDD640GB SATA 5400rpm
メモリーカードスロットマルチカードリーダー: SD、MMC、MS、MS PRO、xD
光学ドライブブルーレイディスクドライブ / DVDスーパーマルチドライブ機能搭載
映像出力端子HDMI 1.4×1、D-sub×1
バッテリー駆動時間約4時間(9セル)
寸法(幅×奥行×高さ)約379×250×31.9/57.7mm
重量約3.0kg(バッテリー含む)
その他「3D Vision」IRエミッター内蔵、3Dグラス付属 / Webカメラ内蔵 / Bluetooth 3.0+HS / IEEE802.11b/g/n準拠無線LAN / 1000Mbps GigabitEthernet端子

 


バンドルソフト「Shade 3Dブラウザ」のイメージ。この画像に描かれているロボットをはじめいくつかの3Dモデルもバンドルされるほか、別途様々な形式の3Dデータを立体視表示できるという
エヌビディアジャパンのマーケティング本部からは平柳太一氏が登壇し、NVIDIAの「3D Vision」展開戦略が語られた。その中で、NVIDIAの3Dビデオ配信サイト「3D Vision Live」ベータ版についての紹介が行なわれ、2011年初旬にはこのサイトを通じて3D写真をアップロード・共有するサービスも実施されることなどが説明された
3D漫画の実現を推進する業界団体、デジタルマンガ協会の事務局長を務める立野康一氏は、本製品のような普及価格帯の3D立体視対応ノートについて、「これがはずみとなって色々と広がっていくのではないか」と期待感をあらわに。最近では背景データを3Dモデルとして作成している作品も多く、すぐにでも3D化可能な漫画作品が少なくないことを語った




(2010年 11月 19日)

[Reported by 佐藤カフジ]