ASUS/NVIDIA、3D立体視に対応するゲーミングノートPCを発表
「手軽に楽しめる立体視」へ、あのモンキー・パンチ氏も絶賛

4月13日 発表

 

 グラフィックスチップメーカーのNVIDIAと、PCメーカーのアスース・ジャパンは、4月14日、共同でプレス発表会を開催し、3D立体視に対応するゲーミングノートPCとして初の製品「G51Jx 3D」および、NVIDIAのOptimusテクノロジーを搭載したパフォーマンスモバイルノート「U30Jc」の2機種を発表した。

 ASUS製品が主役となった今回の発表会では、披露された両機種ともにNVIDIAのコアテクノロジーを採用しているため、NVIDIAとの共同発表となった。両社は特に「NVIDIA 3D Vision」と120Hz液晶パネルによって実現されるアクティブシャッター方式の3D立体視ソリューションをアピールするため、シアターにて様々な3D映像を披露するという重厚なデモンストレーションが行なわれた。

 また、スペシャルゲストとして、米国ステレオD社の共同設立者にして最高技術責任者であり、業界団体3Dコンソーシアムの事務局長を勤める泉邦昭氏と、「ルパン三世」などの人気漫画作品でおなじみの漫画家、モンキー・パンチ氏が登場。それぞれの立場から、「NVIDIA 3D Vision」や「G51Jx 3D」がもたらす「手軽で高品質の立体視」に対する想いを述べた。

【ゲーミングノート G51Jx 3D】

【モバイルノート U30Jc】



■ ノートPCで実現する「オール・イン・ワン 3D」。ASUSとNVIDIAが提案する2機種を紹介

冒頭挨拶を行ったNVIDIA日本代表 Steve Furney-Howe氏
ASUSの企業戦略について説明した、アスース・ジャパン Emilie Lu氏

 本発表会の最初に登壇したNVIDIAの日本代表兼米国本社バイスプレジデントのSteve Furney-Howe氏は、「NVIDIAは、単により多くの三角形を描画するためではなく、最高の映像コンピューティング体験をお届けするために最新のテクノロジーを提供して参ります」と挨拶。続いて登壇したアスース・ジャパン株式会社、システムビジネスグループ ビジネスデベロップメントマネージャーのEmilie Lu氏は、ASUSグループの掲げる企業戦略を紹介した。

 ASUSは2008年に「Eee PC」ブランドを立ち上げ、ネットブック分野で業界をリード。2009年にはモバイルノート分野にも参入し、業績を順調に伸ばしてきた。そしてLu氏によれば、2010年にはネットブックからハイエンドノートPCに至るまで幅広いブランドを確立することで、モバイルコンピューティングの分野で50万台を販売するという目標にチャレンジするという。

 その中で重要なファクターとなるのがブランディング。まず、2008年に立ち上げた「Eee」ブランド、次に、2009年に本格化したパフォーマンスノートPC分野を示す「ASUS」ブランド。そして我々ゲーマーにとって関心を引くのが、このたび立ち上げたばかりという「Republic of Gamers」ブランドだ。

 「Republic of Gamers」ブランドでは、ASUSは顧客に最高のゲーミング体験を届けることをミッションとする。そのための第1号製品となるのが、今回発表された「G51Jx 3D」だ。続いて登壇したアスース・ジャパンのノートパソコンアカウントマネージャー、Ray Wu氏より、製品の詳細な説明がなされているので、以下に重要なトピックをまとめよう。



・ノートPCとして初めて両眼立体視に標準対応する「G51Jx 3D」

「G51Jx 3D」

 本発表会でメインプロダクトとして紹介されたのがゲーミングノートPC「G51Jx 3D」。本機種の最大の特徴は、メインモニターに120Hz出力対応の液晶パネルを搭載し、アクティブシャッター方式の両眼立体視に対応することだ。この仕様を生かすため、NVIDIAのシャッターグラス「NVIDIA 3D Vision」を標準装備するほか、3D対応のブルーレイドライブおよび再生ソフトウェアなど、一通りのソリューションがプリインストールされた状態で提供される。

 アクティブシャッター方式の両眼立体視をサポートする日本初のゲーミングノートPCということになるが、海外販売されたモデルを含めると、本機は実はASUSにとって2作目の立体視対応機種となる。そのため、パフォーマンス面など非常に洗練された製品になっていることが特徴だ。秒間120Hzの画面書き換えを必要とするアクティブシャッター方式の立体視に対応するため、本機種ではCPUにIntel Core i7-720QM、GPUにNVIDIA Geforce GTS 360Mを搭載。ASUS独自のOC技術により、CPUは最大2.9GHzでの稼働をサポートするという。

 また、立体視を楽しむため部屋を暗くしても操作性を損なわない、イルミネーションキーボードを搭載。さらに、側面にHDMI Ver.1.4規格の映像出力端子を備えることにより、3D対応家電TVへの立体視映像出力を可能とし、活用の場を広げている。また、初回出荷限定300台には、両眼立体視に万全の対応を果たしたPCゲーム「Avatar the Game」を同梱するという。

 その他、メインメモリは4GB、500GBの7,200RPM HDDを標準搭載し、モニターは最大表示解像度1,366×768ドットの15.6ワイドLEDバックライト式TFTカラー液晶となっている。標準搭載されるOSはWindows 7 Home Premiu 64ビット版。これだけのものを搭載しながら、標準希望小売価格は209,800円とリーズナブルな範囲に収められている。

 本機種「G51Jx 3D」は、PCゲームや映画による3D体験をオール・イン・ワンで提供できる初めてのノートPC製品であり、これまでPCリテラシーの高い人だけのものだった「NVIDIA 3D Vision」などによる両眼立体視体験を、より一般的に幅広く提供できるきっかけとなりそうだ。その点で、単にパフォーマンスが高いだけではない革命的な製品であると考えられる。




・NVIDIA Optimusテクノロジーを搭載したハイパフォーマンスモバイルノート「U30Jc」

「U30Jc」

 「U30Jc」もNVIDIAのテクノロジーを搭載するノートPCだ。こちらはゲーミング用途ではなく、一般のモバイルコンピューティング用途に設計された製品で、カテゴリーとしてはモバイルノートに属する。キーとなるのは、NVIDIA Optimusというテクノロジーを搭載する日本初のノートPCであることだ。

 NVIDIA Optimusテクノロジーは、PCの電力消費を最小限に抑えるためのNVIDIA独自技術。本機種にはNVIDIA製GPUのほかに、別途統合タイプのグラフィックスプロセッサーが搭載されており、通常のウィンドウアプリケーション操作など、低負荷の処理には統合グラフィックスプロセッサが使われる。そして、ゲームやHD動画の再生など、高い計算能力が必要となった場合に、瞬間的にNVIDIA GPUへグラフィックス処理が移行する仕組みだ。

 このテクノロジーにより、本製品では最大約9.1時間のバッテリー駆動という長寿命が達成されていながら、マシンパワーの必要な作業もこなすポテンシャルを獲得しているという。CPUにはIntel Core i5-430Mを、GPUにはNVIDIA GeForce 310Mを搭載。メモリー容量は2GB、320GB HDD、DVDスーパーマルチドライブを搭載するなど、一般用途としては十分に高いスペックだ。モニターの表示解像度は1,366×768ドット。販売希望小売価格は99,800円。




■ 「今度の3Dはブームに終わらない」。立体視に取り組んできた2人の先駆者からの講演

【泉邦昭氏 講演】
米国ステレオD社の共同設立者にして最高技術責任者であり、業界団体3Dコンソーシアムの事務局長を勤める泉邦昭氏。長年にわたって3D立体視の研究・発展・普及に尽力してきた立場から、NVIDIAの「3D Vision」、ASUSの「G51Jx 3D」といった消費者向け製品の登場を高く評価。また、かつての実験的な立体視ブームとは本質的に異なる点として、テクノロジーの進歩によりハイクオリティな体験を提供できるようになったことや、3D映像製作技術の一般化により膨大なコンテンツを供給できる状況が整ったことなどを上げ、「3D表現は人類の文化・文明に転機をもたらす」と論じた

【モンキー・パンチ氏 講演】
「ルパン三世」で有名な大御所漫画家モンキー・パンチ氏も立体視のファンであることをカミングアウト。数十年も前に初期の立体視映画を見て、それに感動してからというもの「立体で見える漫画を作れないだろうか」と長年にわたって試行錯誤してきたという。そのこともあって、モンキー・パンチ氏の自宅にはアナログ・デジタルを問わず様々な立体視デバイスがあるといい、しかし、これまで家族みんなで楽しめる、使い易いものがなかったという。そこに登場したオール・イン・ワンで3Dを楽しめるASUSのノートPCについて、「これなら手軽に皆で楽しめますね」と絶賛した。講演ではモンキー・パンチ氏がこれまで試行錯誤の末製作してきた3D漫画の貴重なサンプルも公開され、3Dメガネを通して見ることができた



(2010年 4月 14日)

[Reported by 佐藤カフジ ]