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「なんばeスポーツウィーク」が大阪にて開催

「VALORANT Challengers Japan 2023 Split 2 Playoff Finals」に合わせて、eスポーツでミナミを盛り上げる

【なんばeスポーツウィーク】

5月26日~6月4日 開催

 南海電気鉄道(以下南海電鉄)とeスタジアムは、5月26日から6月4日まで、開場近辺で「なんばeスポーツウィーク」を行なっている。

 期間中、eスタジアムなんばでの限定グッズ販売、南海難波駅をはじめとしたなんばエリアに、eスポーツスタジアムや、「VALORANT Challengers Japan 2023 Split 2 Playoff Finals」のポスターやサイネージ掲示が行なわれた。また、大会前日6月2日には、大会の実況アナウンサーOooDa氏のeスポーツ公式アンバサダー就任式が、大会当日にはジャングルなんばに大会公式コミュニティエリアが開催された。

ますますeスポーツに力を入れる南海電鉄

 南海電鉄は2025年の大阪万博に向けて、eスポーツを通じた街づくりをMICE(国際会議など集客力のある大規模なビジネスイベントの総称)として位置づけており、力を入れている。

 「VALORANT」の日本選手権「VALORANT Challengers Japan 2023」では、関西特別パートナーとして大会を応援しており、「なんばeスポーツウィーク」は6月3日・4日に開催される「Split 2 Playoff Finals」に合わせて、会場となるエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)周辺でeスポーツの機運を盛り上げることを目的としている。

 3月にインテックス大阪で開催された「Split 1 Playoff Finals」は満員の盛り上がりだった。今回は、南海電鉄の本拠地ミナミで、さらに大きなハコを使っての大会だけに、前回以上に力をいれたプロモーションが展開された。

 期間中には、南海駅の構内でサイネージや吊り広告でのイベント告知や、eスタジアムなんばでの限定グッズ販売をはじめとしたたくさんのイベントが予定されており、6月2日には、大会の実況アナウンサーを務めているOooDa氏を南海電鉄のeスポーツアンバサダーに任命する就任式が行なわれた。

 この日はさらに、OooDa氏のファンミーティングやeスタジアム1日店長などで、いよいよ翌日に開催が迫る大会のムードを盛り上げていく予定だった。

 だが、その盛り上がりは予期せぬ不運に見舞われた。6月2日から翌3日にかけて、台風2号と梅雨前線が生み出した雨雲が日本を襲った。2日金曜には近畿地方が大荒れとなり、洪水警報が発令され堺を流れる大和川が反乱危険水位を超えて大阪の交通に打撃を与えた。この地域は南海電鉄の本線や支線が多く通る場所で、昼過ぎからほぼ全線で大規模な運転見合わせと遅延が発生した。

【鉄道の運行停止を告げる看板】

 2日に予定されていたファンミーティングイベントは中止、大会初日には東京からの参加チームが動けず、大会の開始時間が3時間後ろにずれることとなった。

 自然に文句を言っても仕方がないとはいえ、多くの人が準備に搬送し、ファンが心待ちにしていたイベントだけに、取材をしている身としても歯がゆい思いだった。

 このレポートでは、大会周辺のイベントや前日に開催された、OooDa氏のeスポーツアンバサダー就任式の様子や、当日の会場の様子などをお届けしたい。試合のレポートは別途お届けする予定だ。

ミナミという街全体をeスポーツで盛り上げる

 近づく大阪万博に向けて、大阪は今、街がどんどん生まれ変わっている。大会会場の周辺では、歩行者を優先するウォーカブルな街づくりのために、あちこちで車道を歩道に改修する工事が行なわれている。コロナの間寂しかった心斎橋や道頓堀には、再び外国人観光客がひしめき合う姿が戻り、街が息を吹き返してきたと感じる。南海電鉄とeスタジアムは、大阪万博に向けた施策の1つとして、「eスポーツ×まちづくり」という取り組みを行なっている。

【南海駅前の歩道化工事】
万博に向けて工事が進んでいる

 OooDa氏は大阪府高石市の出身で、かつてはラッパーを目指していた時代もあった。PCのFPSゲーム「Counter-Strike: Online」に出会ってeスポーツの面白さにのめりこむようになり、DetonatioN Gamingの設立メンバーとして参加するなど草分け的存在として、最初は選手として、運営する側に回った後は実況アナウンサーとしてシーンを盛り上げてきた。「VALORANT Challengers Japan 2023」でもMCとして活躍している。

 そんな南海電鉄とOooDa氏がさらなるタッグを組むために、OooDa氏が、南海電鉄のeスポーツ公式アンバサダーに就任することを発表する就任式が、6月2日、関西地方に大雨や洪水の警報が出ている中、オフィスや商業施設が集まる高層ビルなんばスカイオで開催された。

【なんばパークス】
大阪球場の跡地に建設されている、都会にある森をイメージした商業施設

 OooDa氏、南海電鉄の執行役員でeスポーツ事業部部長の和田真治氏、eスタジアムの代表取締役中川和幸氏がそれぞれの思いを語り、和田氏がOooDa氏に就任状を手渡した。

 電車会社は例えば西部鉄道とベルーナドーム、阪急電鉄と宝塚歌劇のように、沿線に人を集めるためのコンテンツ事業に力を入れている。南海電鉄も、かつては南海ホークス(現福岡ソフトバンクホークス)のオーナーとして、南海駅前で大阪スタヂアム(通称、大阪球場)を運営していた。

 大阪球場は現在なんばパークスとなっている場所に昭和25年に作られた。関西では初となるナイター設備を備えており、まだまだ戦後の復興が続くバラックの中にそびえる真新しいコンクリート建築は、戦争で傷ついた大人に復興の夢を与えたのだそうだ。南海電鉄はこの球場で「日本少年野球連盟」に繋がる青少年の育成事業を行なっていた。そんな地域貢献の遺伝子をeスポーツが受け継いでいるのだと、南海電鉄の執行役員でeスポーツ事業部部長の和田真治氏は語った。

 取材に集まった在阪メディアからはかつて南海太郎の芸名でナイター中継のアナウンサーとして人気を博した生田博巳さんにちなんで、OooDa氏に2代目南海太郎になって欲しいという声が出ていた。

 OooDa氏は、お客さんに対しては、難しいゲーム用語をなるべくシンプルな言葉で、シーンのすごさを伝えていきたい。日本はeスポーツが盛り上がっている他の国に比べると、PCでゲームをする文化が弱いと感じるが、それでも少しずつ成績を残していっている。この状態がいい形で続いてい欲しいとと抱負を語った。

【eスポーツアンバサダー就任式】
南海電鉄の執行役員、eスポーツ事業部部長の和田真治氏がOooDa氏にアンバサダーを委任した

 この日には、午後からOooDa氏を囲んでのファンミーティングと、なんばスカイオの2階にあるeスタジアムなんばで「1日店長」として来店客と交流する予定だったが、前述したように大雨ですべての予定がキャンセルになってしまった。

 16時からのファンミーティングには開場前から50名近いファンが並んでおり、Twitterで中止の発表があった後も、あきらめきれずに会場まで確認しに来ている人もいた。OooDa氏は「来てくださった方には本当に申し訳なかったです。でも朝からずっと天気が心配だったので、万が一を考えると中止になるのは仕方がないと思っています。明日は晴れるということなので、前向きに明日と明後日の試合を盛り上げていきます。またこういった機会は必ず作りますので、その時にはまた笑顔で応援に来てください」と語っていた。

【中止のお知らせ】
eスポーツなんばに掲げられていた中止のお知らせ

南海なんば駅の周辺でeスポーツ関連のイベントを開催

 「なんばeスポーツウィーク」ではほかにも、eスタジアムなんばでは、ここでしか手に入らない大会ロゴ入り限定Tシャツや、プレイオフに出場する「FENNEL」をはじめ、「Sengoku Gaming」、「IGZIST」、「CREST GAMING」など4チームの公式グッズの販売が行なわれた。

【eスタジアムなんば】

 大会のある3日と4日には、会場のすぐ近くにある都心型アウトドア・パーク・オアシス「ジャングルなんば」が公式コミュニティエリアとして、出場チームの公式ショップやフォトスポットなどが設置された。

 すでに開始延長が発表されていた11時ごろに訪れたところ、すでに大勢のファンがお目当てのショップに行列していた。だが、ここでもいくつかのチームは商品もスタッフも届いておらず、それがお目当てのファンを残念がらせていた。

【ジャングルなんば】
都会の真ん中にあるアウトドアパーク
チームの公式ショップがテント村として出現
取材した時点ではまだIGZISTの商品やスタッフは間に合っていなかった
Jediteの売り子さん
SCARZの売り子さん

 また、なんばパークスでは大会チケットを見せると割引やお得なサービスが受けられる「チケット提示割引サービス」が、駅構内ではサイネージや吊り広告で大会のプロモーションが行なわれていた。

【南海なんば駅のサイネージ】

会場にたどり着けない人も多い中、何とか開催

 「VALORANT Challengers Japan 2023 Split 2 Playoff Finals」の大会当日、大阪は台風一過の快晴。だが、早朝にとんでもない連絡が入ってきた。雨で新幹線が止まっているために、東京から参加する予定のチームが足止めを食らっている。そのため、試合の開始時間は急遽13時から16時へと変更するという。

 本来の開場時間だった11時過ぎにはすでに会場の周りには多くのファンが集まっていた。幸い大都会の真ん中なので、時間をつぶす場所とネタには困らない。会場内には南海電鉄をはじめ、大会のスポンサー企業がブースを出展しており、ゲーミングマウスやキーボード、モニターなどを触って試すことができた。

【エディオンアリーナ大阪】
【南海電鉄のブース】
鉄道会社らしく観光パンフレットや近くの飲食店マップも置かれていた
【GALLERIAとNosh】
【ZOWIE】
リフレッシュレート360Hzのゲーミングモニター「XL2566K」や3サイズから自分の手にあったサイズが選べる軽量ワイヤレスゲーミングマウス「EC-CW」シリーズ、置くだけで充電ができるゲーミングパッドなどを出展
【ふもっふのおみせ】
色鮮やかな海外製ゲーミングキーボードや自社開発の開放型ゲーミングヘッドホン「fumo TRUTH」を出展
【YAMAHA】
大会でも使用されているゲーム・配信用オーディオミキサー「ZG01」などが展示されていた
【ケータリングゾーン】
キッチンカーに交じって、レッドブルのコーナーもお目見え

 会場のエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育館)は、収容人数が約8000人。座席はアリーナがS席、周囲のスタンドがA席で、中央に4面の巨大モニターに囲まれた選手席が設けられている。

 様々な理由で現地での観戦をあきらめた人が多かったのか、座席はやや空き気味で、収容人数の6割程度という印象で少し寂しい感じ。だが、レーザービームが空間を彩るオープニングが始まると、eスポーツのショーアップされた演出に感動した「かっこいい!」という連呼と歓声、拍手が沸き起こった。

【会場の様子】

 会場のファンは、スマートフォンに応援メッセージを表示して掲げていたり、選手の名前を切り抜いた手作りの応援グッズでアピールしている人、エージェントのコスプレをしている人、OooDa氏の顔を切り抜いて張り付けたスマホを振っている人など、個性的なスタイルでチームを推していた。

【応援メッセージボードとファンアート】

 もちろん商業イベントである以上、万難を排して開催するのは当然だと思うかもしれない。しかし、もしギリギリで耐えた大和川が氾濫して大きな被害が出ていたら、新幹線が動き出すのがもう少し遅かったら、大会は開催することができなかっただろう。本来は13時に始まり、21時に終了予定だった大会。だが、そのまま3時間後ろ倒しにすると日をまたいでしまう。どうするのか尋ねた時には、まだなんとかスケジュール調整を頑張っているという答えしかもらえない状態だった。

 度重なるスケジュール変更に翻弄されたオーガナイザー、動かない新幹線にじりじりと神経をすり減らしたであろう選手やチームスタッフ、悪天候をものともせずファンミーティングや試合会場に集まり、惜しみない声援を送るファン。その全員の頑張りが、大会のオープニングという瞬間を作り出した。その熱に、改めて、日本のeゲームシーンが持つ潜在力を感じずにはいられなかった。

 「SCARZ」、「FENNEL」、「Jadeite」の3チームがAscensionの出場権をかけて戦うプレイオフは、この原稿を書いている今もまだ継続中で、最終結果は明日にならなければわからない。日本人が世界の舞台の中央に立つ日を夢見て、大阪発のこのムーブメントを応援していきたい。

【オープニングの様子】