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脳波を測るとeスポーツの才能がわかる!? 部品メーカーのNOK、eスポーツ向けの脳波計測器を開発中

【eスポーツメンタルトレーニング用脳波測定機】

発売日、価格:未定

 東京ゲームショウ会場の隅っこで、何やら怪しい脳波測定が行なわれていた。出展していたのは、部品メーカーとして知られるNOKで、自社開発したゴム製の電極を活用した脳波測定器を参考出展していた。なんと“eスポーツの潜在能力”を計測できるという。さっそくトライしてみたのでレポートをお届けしたい。

 NOKがブースで実施していたのは、現在開発中の脳波測定器を使った潜在能力の測定、被験者からのフィードバックの収集だった。おでこに2つ、耳の後ろに2つ、計4カ所に電極が付けられた脳波測定器を被った状態で「ぷよぷよeスポーツ」をプレイ。その間の脳波を検出し、その波形によって潜在能力を測定する。

【脳波測定】
eスポーツの能力が脳波で判定できる
これが脳波測定器
これが電極

 筆者は、東京ゲームショウ2日目ということで疲れている。正直眠いし、注意力も散漫。おでこの電極による物理的な痛さと耳の後ろあたりの締め付けを感じながら、「ぷよぷよeスポーツ」をプレイした。結果は4段階の3段階目。最低の一歩手前で、パフォーマンスは低め。適度な休息を取った方が良いという判定だ。能力測定は、★2つ。能力はやや高いが、得点は低いと言うことで、潜在能力が高いと判定された。

電極をピタッと頭部に密着させないといけない

 続いて、2度目の計測にもチャレンジした。今度は事前に特殊な香水の匂いを嗅いでからプレイするというもの。香りはラベンダー系で、短時間ながらリラックスできた。ただ、プレイの方はさっぱりで、希望のぷよがいつまでも来てくれず、思うように連鎖を作れなかった(下手くその言い訳)。先ほどよりヒドい散々な内容だった。

香りを嗅いでからプレイする

 しかし結果は4段階の1段階目。能力判定も★3つで、能力は高いが、得点は低いため、鍛える価値のある人材だと判定された。最高に潜在能力を備えた人物ということだ。ちなみに、最初に疑ったのは、そもそもこれは接待モードではないのかということだが、弊誌の別のスタッフが体験したところ、まったく別の結果が出ていたため、接待をしているわけではないらしい。

【脳波測定モニター】

 で、重要なのは、これで何がどうするのか、ということだ。NOKでは、どういう可能性があるのか今回の出展を通じて模索中ということだったが、いくつかのアプローチがあり、1つは今やったように選手の能力測定に使う方法。学校やプロチームに導入し、有為の人材を見つけ、育成するために用いる。脳波の計測、結果の分析、そしてその分析結果から改善していくためのコーチング。スポーツ医学の分野とも連携しながら、科学的なエビデンスを集めながら、取り組んでいきたいという。

 ただ、被験者として感じたのは、私にeスポーツの潜在能力があると判定するのは間違っているのではないかということだ。eスポーツにメディアとして長年関わり、いかにプロアスリートが精神的にタフで凄い存在なのか、翻って筆者がどうしようもなくヘタで、しょうもないミスですぐ苛立ちを露わにするちっぽけな存在なのかは、自分が一番よく分かっている。どういううぬぼれ方をしても、自分にeスポーツの才能があるという結論はひねり出せない。

【能力判定】
1回目が★2つ、2回目が★3つというかなり良い結果となった。これは信じて良いのか!?

 その一方で正しいのは、疲れており、注意散漫で、パフォーマンスが低いという結果だ。緊張ゼロ、疲労感50%、眠気50%ぐらいの状況で、実に正しい結果が出ている。実はこれこそがこの脳波測定器のもう1つのアプローチで、トレーニングや試合の合間に脳波を測定、そこから選手の心身の状態を分析し、必要に応じて筆者が体験した香りを嗅がせてリラックスさせたり、休息を取らせたりといった具合に、状態を改善するための指針にするという。

 今回使った脳波計測器は、まだ開発中のもので、うまく脳波が取れなかったり、そもそも自分1人で装着するのが難しかったり、実用化にはまだ時間が必要だと感じたが、仮にプロダクトとしてうまく完成したところで、どのようにして科学的なエビデンスを積み上げていくのかという課題は残る。すでに学校との連携はスタートしているということで、うまくいけばおもしろい成果が出るかも知れない。脳波測定は、実はeスポーツの分野で昔から試されていることだが、単に「脳波が分かる」という域を出ていないように思う。NOKがどのような形で回答を出すのか注目したいところだ。

【脳波測定器】
何度かバージョンアップしている脳波測定機