ニュース
“フェニックス年”でさらなる飛躍を目指す! 「Hearthstone Summit 2020」開催
新クラス「デーモンハンター」登場。パック開けのダブり排除など魅力的な施策も
2020年3月18日 02:15
- 2月18~21日開催
- 会場:AV Irvine
Blizzard Enterteinmentは米国時間の2月18日~21日に、本社のある米国アーバイン(カリフォルニア州)のイベントスペース「AV Irvine」にて、全世界のメディアおよびコミュニティリーダーを集めて、デジタルカードゲーム「ハースストーン」の2020年の計画を発表するプライベートイベント「Hearthstone Summit 2020」を開催した。
Hearthstone Summitは、昨年に引き続き2回目の開催となるが、昨年はメディア向けとコミュニティリーダー向けで日程を分けていたのに対し、今年はリージョンごとに分けて説明が行なわれた。Hearthstone Summit 2020では、今後の戦略や新しいシーズンの名称、新拡張版などについてのプレゼンテーションが行なわれたほか、新拡張版環境でのフリープレイや開発者インタビューをすることができた。新拡張版での試遊レポートやインタビューについては、別途記事化する予定であり、ここではプレゼンテーションで明らかにされた内容について紹介する。
2020年は「フェニックス年」に。新拡張版からはカードがダブらなくなる
まず、「ハースストーン」のゲームディレクターを務めるBen Lee氏が登場し、参加者への感謝の意を表明した。続いて、開発担当者が交代で登場し、2020年の「ハースストーン」の変革についてのプレゼンテーションを行なった。
最初に発表されたのが新たな年の名称だ。「ハースストーン」では、「World of Warcraft」に出てくる星座時計から、春から始まるシーズンの名称をとっている。2018年の「ワタリガラス年」、2019年の「ドラゴン年」に続く2020年は「フェニックス年」となる。また、次の新拡張版から「Duplicate Protection」という概念が加わる。これは要するにパックを開けた際に、カードのダブりが出ないようにするというものだ。今も、レジェンドカードについては重複しないのだが、これがすべてのレア度に適用され、エピック、レア、コモンのカードにおいても3枚目が出なくなる。この変更により、より少ないパックでカードコレクションを充実できるようになる。プレーヤーにとっては大歓迎であろう。
また、復帰プレーヤーや新規プレーヤー向けの新たな施策として、復帰プレーヤーや新規プレーヤーには、ラダーでも十分戦えるレベルのデッキが1つ無料で提供される。デッキは各クラスに用意され、プレーヤーはその中から自分の好きなクラスのデッキを選べる。
6年にわたる「ハースストーン」の歴史で初めて新クラス「デーモンハンター」が追加
フェニックス年は、3つの拡張版から構成されるが、4月8日に登場する最初の拡張版「Ashes of Outland」(日本語訳:灰に舞う降魔の狩人)では、新しいクラス「デーモンハンター」が追加される。「ハースストーン」は約6年の歴史があるが、新しくクラスが追加されるのは、このデーモンハンターが初めてだ。そのデーモンハンターのヒーローが「イリダン・ストームレイジ」である。
イリダン・ストームレイジは、ドルイドのヒーローであるマルフュリオン・ストームレイジの双子の弟であり、中立のレジェンド・ミニオンカードとして、すでに「ハースストーン」には登場していたのだが、今回、新たなクラスのヒーローとして、再度登場する。イリダン・ストームレイジは、Warcraftシリーズに登場しているキャラクターの中でも、特に有名で人気のあるキャラクターの1人であり、最初のデーモンハンターである。イリダン・ストームレイジがデーモンハンターとして「ハースストーン」の世界に再び登場することは、Warcraftシリーズの熱心なプレーヤーにとって、とても嬉しい出来事となるだろう。
イリダン・ストームレイジは、アグレッシブな攻撃者という、デーモンハンターの特性を体現したヒーローであり、ヒーローパワーとして「悪魔の爪」を使うことができる。悪魔の爪は、現在利用できるヒーローパワーの中で唯一マナコストが1である(他のヒーローパワーは2マナ必要)。その効果は、そのターン中、ヒーローの攻撃力を+1するというものだ。1マナだけでヒーローパワーが使えるというのは、デッキ構築やプレイングにも大きく影響するだろう。
新キーワード「異端」が強くて面白い
デーモンハンターのカードでは、味方のミニオンが死んだときに、強化されるものが多い。また、デーモンハンター専用の新しいキーワードとして「異端」が追加される。異端は、手札の右端または左端からカードを使ったときに、追加で有効になる能力だ。異端持ちのカードは、使う順序が重要になり、よりプレイングの幅が広がる。
「ハースストーン」は、山札から引いたカードが手札の一番右側に置かれるため、トップで異端持ちのカードを引いてこれれば、劣勢を覆せるかもしれない。異端持ちカードの詳細や使用感については、試遊記にて詳しく紹介するつもりだが、ここでは、次の新拡張版「灰に舞う降魔の狩人」に収録されるカードから1枚、異端持ちのカード「イリダン党のフェルブレード」を紹介する。
「イリダン党のフェルブレード」は4マナ5/3の急襲と異端持ちのミニオンであり、手札の右端か左端から使うと、異端の効果が追加され、そのターンの間無敵を獲得する。
このように、異端が発動するとミニオンや呪文がより強力になり、マナレシオ的にも得になるので、異端持ちのカードはできるだけ異端が発動するように順番を考えて使うとよい。
デーモンハンターの新ヒーローはプレーヤー全員に無料で提供される
デーモンハンターの新ヒーロー「イリダン・ストームレイジ」およびデーモンハンターの基本カード全10種類、スターターセットのカード全20種類は、全プレーヤーに無料で提供されるのも嬉しい。新拡張版「灰に舞う降魔の狩人」は全部で135種類のカードが収録されているが、そのうち15種類がデーモンハンタークラスに属するカードとなる。なお、フェニックス年では、従来と同じく3つの拡張版が登場するが、それぞれの拡張版で15種類ずつ、デーモンハンタークラスのカードが追加される。
イリダンは兄マルフュリオンとエルフのティランダを裏切ったことで、長らく地下に投獄されていたのだが、1万年後に解放され、姿をデーモンへ変えてしまう。イリダンが、ドルイドからデーモンハンターとなるまでのストーリーを追体験できる4部構成の1人プレイ用ミッションが「序章」として、4月3日に追加される(デーモンハンターが使えるようになるのは4月8日の新拡張版リリースから)。
ランク戦システムもアップデート
また、ランク戦システムもアップデートされる。これまでは50のランクとレジェンドから構成されていたが、新しいランク戦では、50のランクを上から、Diamond、Platinum、Gold、Silver、Bronzeの5つに分けて、それぞれ10から1のランクをつけることになる。つまり、一番下がBronze 10で、一番上がDiamond 1となる(その上がレジェンドになるのは同じ)。また、すべてのランクにおいて、星を3つ集めるごとにランクが1つ上がる。
新しい月になると、すべてのプレーヤーのランクが最下位のBronze 10となる。しかし、前のランクに応じて、もらえる星の数にかける倍数が異なる。倍数は最高で11倍まであり、連勝ボーナスもあるので、前月高ランクだった人はすぐに元のランクに戻れるだろう。また、マッチングも改善され、過去の戦績から算出されるMMR(Match Making Rate)に基づき、マッチングがおこなわれるようになる。これによって、上位者もランクリセット時は最下位ランクになるといっても、上位者と初心者がいきなりマッチングされるようなことはなくなるとのことだ。さらに、ランク戦の賞品も、従来よりもらえる機会が増える。
殿堂入りは中立から5枚、プリーストは6枚。代わりに6枚のカードが新登場
「栄誉の殿堂」入りとなるカードも発表された。まず、中立のクラシックセットからは、「リロイ・ジェンキンス」、「山の巨人」、「精神支配技士」、「苦痛の侍祭」、「スペルブレイカー」が殿堂入りする。
また、プリースト関連のカードが大きくアップデートされ、基本セットから「神授の霊力」「ノースシャイアの聖職者」の2枚、クラシックセットから「オウケナイのソウルプリースト」、「聖なる炎」、「預言者ヴェレン」、「影なる姿」の4枚のカードが殿堂入りする。
ただし、プリーストのカードについては、基本セットから新たに「読心術師」、「聖力入魂」の2枚、クラシックから「スカーレット・サブジュゲーター」、「クルラティスの従軍司祭」、「密言・崩」、「ナタリー・セリーン」の4枚が追加され、入れ替わる形となる。
また、「ハースストーン」の慣例に従い、フェニックス年のスタートに合わせてワタリガラス年に公開された拡張パックはすべてワイルド入りすることになる。
【スタン落ちする拡張パック】
「妖の森ウィッチウッド/The WitchWood」
「博士のメカメカ大作戦/The Boomsday Project」
「天下一ヴドゥ祭/Rastakhan's Rumble」
なお、今回、多人数戦のバトルグラウンドに関してもアップデートされることが発表された。新ヒーローが7人追加され、新拡張版に先駆けて、イリダンを使えるようになる。バトルグラウンドは、その他いろいろなアップデートを予定しており、フェニックス年に進化を続けていく。
新拡張版「灰に舞う降魔の狩人」の舞台はアウトランド
新拡張版「灰に舞う降魔の狩人」は、アウトランドを舞台とする。アウトランドは、戦火によって荒廃した世界であり、アウトランドの王を自称するイリダンが、デーモンハンターとしてこの破壊された世界の脅威に立ち向かっていく。灰に舞う降魔の狩人では、レジェンドの「転生」ミニオンが参戦する。
転生を持つミニオンは、盤面で死亡したときに、自信を大幅に強化した転生後の姿をデッキに混ぜられるという、非常に強力なものだ。デーモンハンターのみ転生ミニオンはいないが、それ以外のクラスには転生ミニオンが1種類ずつ登場する。例えば、ウォリアーの「刃拳のカーガス」は、最初に手札から使った場合は、4マナ4/4、「急襲」持ちのミニオンだが、盤面で死ぬと、「転生カーガス」を自分のデッキに混ぜる。転生カーガスは、8マナ10/10で、急襲を持ち、このミニオンの攻撃でミニオンが死ぬたびに装甲10を獲得するという超強力なミニオンだ。
さらに「灰に舞う降魔の狩人」では、「封印されし悪魔」群が登場する。封印されし悪魔は、盤面に登場してから2ターンの間は休眠状態となっており、攻撃できない代わりに、あらゆる種類の脅威の影響を受けない。2ターン後、封印が解けると、強力な効果が発揮されるというものだ。例えば、「封印されし監視者」は、盤面に出てから2ターンの間は休眠状態となるが、目覚めると敵のミニオンすべてに2ダメージを与える。
また、新拡張版からレジェンドの中立ミニオン「ケルサス・サンストライダー」が3月18日に一足先に登場する。ケルサスは、全員に無料で配られ、盤面にいるときには、各ターン3回目に使う呪文のコストが0になるという強力な能力を持つ。
システムの進化と深化により、復帰・新規プレーヤーにも魅力的なタイトルに
その他、詳細は明らかにされなかったが、PS4やXbox Oneでお馴染みの「トロフィー/実績」システムが実装されることも発表された。実績は、数多く用意される予定で、やりこみ派のモチベーションアップに繋がりそうだ。
簡単ではあるが、フェニックス年のロードマップも公開された。フェニックス年では、これまでと同様、3つの拡張版が登場する。それぞれの拡張版のリリースにあわせて、第1フェイズ、第2フェイズ、第3フェイズと進化していく。最初の拡張版「灰に舞う降魔の狩人」が第1フェイズであり、これまでに紹介した内容だけでなく、酒場の喧嘩なども強化される。
今年のHearthstone Summitは、「ゲン」と「バク」が異例の殿堂入りを果たしたり、eスポーツの枠組みが大きく変わることがアナウンスされた昨年のHearthstone Summitに比べると、衝撃的なニュースは少なかったが、リリース7年目を迎えた「ハースストーン」を、より進化・深化させていきたいというメッセージが強く感じられた。
「ハースストーン」のリリース後初となる新クラス「デーモンハンター」の追加や「転生」ミニオン、「封印されし悪魔」群の登場によって、Hearthstoneの戦略やデッキ構築、プレイングがさらに奥深いものとなる。また、カードがダブらなくなるシステムや復帰プレーヤーや新規プレーヤーに対する施策も魅力的である。以前、「ハースストーン」をプレイしていた人はもちろん、これまでプレイしたことがないという人も、是非プレイしてみてはいかがだろうか。