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Vtuberが自らプレゼン! 目線を合わせるVtuberのための技術がCEDEC 2019に出展

2層モニターで「誰を見ているかわからない」問題を解決

【CEDEC 2019】

9月4日~6日開催

会場:パシフィコ横浜

 毎年CEDCEではホールを使ってのセッションとは別に、フロアに設置された常設展示で展示者に直接話を聞けるコーナーがある。

 その中で、Vtuberのための最新技術をVtuber自らがプレゼンしているという不思議なブースがあった。

研究成果をプレゼンするVtuberに話を聞いた

 このブース、東京工業大学による出展で、研究名は「選んだ相手だけに目が合う平面ディスプレイ」。その名の通り、Vtuberの目線に着目した研究となる。

 今のVtuberの悩みとして、モニターの前にいる複数人に語りかける際に上手く目線を制御できないために「誰を見ているかわからない」という問題があるという。Vtuberが特定の人と話していても、それ以外の人が「こちらを見ている」と視線を感じるからだそうだ。

 そう聞くと、人と目線をいかに合わせるかの研究なのかと思いきや、むしろ逆で、「いかに話している以外の人と目線を外せるか」と表現する方が近い。

 仕組みは、モニターを2枚重ねて、前の層には目だけ、後ろの層には目以外を表示する。こうすると目だけが前にある状態になり、すると少し左右に回り込むだけで白目のバランスが変わり、視線が外れているように見える。トリックアートなどで目の部分だけが少し凹んでいて、どう移動しても目線が追ってくる絵がよくあるが、あの逆の発想である。

仕組みを説明する簡易モデル。目だけ描かれたシートを被せているだけだが、白目のバランスにより、目線が明らかに外れているように見える

 目線はよく外れるが、アイトラッキングで目を動かせるので、話したい相手に目線を向ければ、「話したい相手に目を向けて話す」というコミュニケーションが成立する。

 Vtuberと話していると、新たにブースにやってきた人に目線を向け、「こんにちはー!」と言う。そしてまた目線が帰ってきて、会話が再開する。ブースで取材しているとよくある、何気ない光景なのだが、そのこと自体が研究成果となっている。

目線が外れた状態。少なくともこちらは見ていないなと認識できる

 なおこのVtuberだが、東京工業大学助教授の三武裕玄氏が自らCGキャラクターとなって研究内容と成果をプレゼンしている。目線をふと外して声をかけると、多くの人が見事にそちらを向いてくれるので、成果を確かに感じているそうだ。内容としても、プレゼンとしてもとても興味深いコーナーだった。

東京工業大学チームは隣で自立型AIの発表も行なっていた。手を近づけると合わせてくれる健気なAI