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CEDEC 2019で往年の名作ドライブゲーム「アウトラン」、「チェイスH.Q.」、「ファイナルラップ」の開発資料が一挙公開!

【CEDEC2019】

9月4日~6日開催

会場:パシフィコ横浜

 バンダイナムコ研究所と、遊びと学び研究所は、9月4日より「CEDEC2019」の会場にてインタラクティブセッション「セガ/タイトー/ナムコ  ビデオゲーム黎明期を切り拓いた各社の開発資料展示」を開催している。

 本セッションは、セガゲームスとタイトー両社の協力のもと、1986年にセガ・エンタープライゼス(現:セガ・インタラクティブ)が発売した「アウトラン」、1988年にタイトーが発売した「チェイスH.Q.」、1987年にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)が発売した「ファイナルラップ」の3タイトルの開発資料を展示するというもの。1980年代のゲームセンターを彩った、大手3社の大型筐体を使用したドライブゲームの開発資料を、メーカーの垣根を越えて一挙に展示するという試みを初めて実現させた。

CEDEC 2019
「セガ/タイトー/ナムコ  ビデオゲーム黎明期を切り拓いた各社の開発資料展示」の展示スペース

将来はゲーム業界・国を挙げての開発資料アーカイブ化も視野に 「東京ゲームショウ2019」への出展も急きょ決定!

 出展を担当したバンダイナムコ研究所で「ナムコ開発資料アーカイブプロジェクト」を手掛ける兵藤岳史氏は、本セッションの実施にあたり、旧ナムコ以外の他社タイトルの開発資料も展示する機会を実現すべく、多くのメーカーに過去のゲーム開発資料の保存状況をヒアリングして回っていたという。兵藤氏は「古いゲーム開発資料を保存することによって、文化的にも産業的な資料の価値としても、各社で当時どのように開発していたのかがわかって役に立つ側面は確実にあると思います。もうひとつは、今回のような展示をすることで、今のゲーム開発者に対して昔の資料を見ていただいて、何かの参考になる情報などを与えることができる価値があります」と本展示の意義を説明していた。

 同じく出展を手掛けた、元ナムコで現在は「遊びと学び研究所」を主宰する岸本好弘氏にもお話を伺ったところ、「かつてゲームを遊んだことがある人が、ただ懐かしいと思うだけでなく、今の若いゲーム開発者にとっても、当時の開発資料を見ることで勉強になります。今回出展した3タイトルは、開発者が上司に“ダメ出し”をされても、それぞれの企画のコンセプトを貫いたうえで作られたことで成功しました。まだ手書きで企画書を書いていた頃の開発者たちも、今のみなさんと同じような悩みや問題を抱えながら仕事をしていたことがきっとわかると思います」と、古いゲーム開発資料を展示することの有用性を唱えていた。

 旧ナムコ1社だけでなく、今回新たにセガ、タイトーブランドのゲーム開発資料も展示できたことを機に、将来はみんなの共通の財産として、ありとあらゆる開発資料のアーカイブ化を実現させることも両氏は視野に入れている。「今回は3社分の展示ですが、次回はもっと展示を増やせるようにしたいですね。やがて多くのメーカーが参加するようになり、業界全体でアーカイブ化を進めようという流れになれば、それに合わせて業界団体や国が動く可能性も出てくると思います。その実現に向けて、これからも我々は地道に活動を続けていきます」(岸本氏)

出展を担当した、バンダイナムコ研究所の兵藤岳史氏(左)と、遊びと学び研究所の岸本好弘氏(右)。
80年代のゲーム開発事情を熟知したご両名が、来場者に当時の様子を解説してくれるという意味でも貴重なセッションとなった。

 ショーケース内には、「アウトラン」「チェイスH.Q.」「ファイナルラップ」の本物の開発資料が並べられ、設置されたノートPCでそれぞれの開発資料のスキャンデータを自由に閲覧できるようにもなっていた。ほぼ同じ時代に登場し、アーケード用ドライブゲームというジャンルにおいて、3社ごとの開発コンセプトやデザインの変遷、あるいは社内での打ち合わせやロケテストのレポートなど、各社の仕事の進め方や社風などを比較しつつ、ゲーム開発の歴史が学べる画期的な展示となっていた。

 開発資料とともに、上記3タイトルの開発者インタビュー動画も公開され、それぞれの証言を通じてゲームの歴史を学ぶことができるのもまた素晴らしい。例えば「アウトラン」の開発者インタビューでは、鈴木裕氏らがヨーロッパに出掛けてドライブしながら撮影をした体験をゲームデザインに落とし込んでいたという証言とともに、当時撮影した貴重なフィルム映像も見ることができたので大いに驚かされた。また、「チェイスH.Q.」開発者のインタビューを拝見したところ、企画の発端はアメリカの現地法人から、「パトカーが犯人を追い掛けるゲームを作ってほしい」というオーダーで、そこから警察役と犯人役とを演じられるゲームとして開発を進めていたことを説明していた。

 さらに「ファイナルラップ」開発者のインタビューでは、最大8人まで通信対戦ができる技術を初めて導入するとともに、プレーヤー同士で対戦しながら楽しんでもらえるよう、あえて1人プレイで遊ぶとつまらなくなるようにしたという証言が聞けるなど、面白いエピソードが盛りだくさんの内容だった。これからCEDECに参加される予定の方は、インタビュー動画もぜひご覧になっていただきたい。

【ノートPCでも開発資料が閲覧可能!】
3タイトルすべての開発資料を、1ページずつPDF形式で取り込まれて読めるようになっていたのも画期的な試みだ。

【「アウトラン」(セガ・エンタープライゼス:1986年)】
初期の資料を見ると、当初は複数のプレーヤーでレースができる企画で、イメージイラストではオープンカーではなく、フォーミュラカー型の車を描いていたことが明らかに。

【「チェイスH.Q.」(タイトー:1988年)】
「アウトラン」との競合を避けていたことを説明するパネルや、社内からの改善案をまとめた書類など、本邦初公開の資料を多数見ることができた。

【「ファイナルラップ」(ナムコ:1987年)】
「ポールポジション」シリーズの大ヒットを受け、当初は「ポールポジション3」として企画・開発を進め、ロケテストの数字も入念にチェックしていた。

【緊急速報!】「東京ゲームショウ2019」への出展が急きょ決定、レトロゲームファンならずとも要注目!!

 「CEDEC」は、「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス」の略称であり、ゲームなどの開発者が知見を得ることを目的とする場であることから、たとえこれらのタイトルに興味があったとしても、一般のゲームファンにとって「CEDEC」は縁がなく、また平日開催のため行く機会にもなかなか恵まれない場所であると言えるだろう。

 しかし、ここで兵藤・岸本両氏から思わぬ朗報が! なんと、来週から開催となる「東京ゲームショウ2019」の会場においても、本展示の実施が決定したとのこと。「CEDEC」に行く機会に恵まれなかった人は、3タイトルの貴重な資料が見られるまたとないチャンスを逃さないよう、ぜひ足を運んでいただきたい。

【開発者インタビュー動画も必見!】
元セガ・エンタープライゼスの石井洋児氏。「アウトラン」の開発中に、鈴木裕氏らがヨーロッパ中を撮影しながらドライブして回っいていたエピソードなどを明かしていた。
「チェイスH.Q.」を開発した元タイトーの酒匂弘幸氏。インカムを上げるため、ゲームオーバー後に早くコインを投入するほど、相手の車に追いつきやすくするアイデアなどを説明していた。
「ファイナルラップ」の企画を手掛けた、元ナムコの岡本達郎氏。ロケテスト中は、何と開発スタッフがプレーヤーと対戦するサクラ役を演じていたと証言していた。