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話題のオートチェスに「LoL」が参入! 「チームファイト タクティクス」プレイレポート

より洗練されたシステムと高い競技性が魅力

6月25日配信予定

価格:無料(アイテム課金制)

 今、最も話題になっているゲームジャンルといえば”オートチェス系”。「Dota2」のMOD(有志による改造ツールのようなもの。「Dota2」では新たなゲームモードの追加などもできる)である「Dota Auto Chess」に始まったブームに乗るかのように、既にいくつかのゲームがリリースされており、シンプルながらに奥深いシステムは瞬く間に多くのゲーマーを虜にしている。

 そんなオートチェスに新たに参入するのがライアットゲームズだ。同社が提供するPC用MOBA「Legue of Legends(以下、LoL)」において、新ゲームモード「チームファイト タクティクス(以下、TFT)」6月25日以降に配信する。

 「TFT」は「Dota Auto Chess」にインスピレーションを受けたというオートチェス系ゲームで、「LoL」をインストールしていれば、だれでも無料で遊ぶことが可能。本実装はまだ先だが、既にPBEクライアント(テスト環境)ではプレイすることが可能ということで、筆者も早速プレイしてみた。

 ちなみに、「LoL」のキャラクターでオートチェスが遊べるというだけでも注目度が高いようで、PBEにログインできない人も続出している。そんな人のためにも、プレイレポートをお届けしたい。

PBEはサーバー規模が小さいということもあってログイン待ちが続出しており、筆者は25時間以上の待ち時間が表示された。それだけ注目度が高いタイトルだ

基本的な流れはオートチェス系を踏襲。資金のやりくりが勝敗を左右

 「TFT」の多くの部分は他のオートチェス系と共通する部分が多い。ゲームは8人のプレーヤーによるバトルロイヤルかつラウンド形式のストラテジーゲームで、プレーヤーは駒(本作ではチャンピオン)を購入・編成をして対戦フィ―ルドに配置。他のプレーヤーと対戦していく。戦闘はフルオートで行なわれ、負けたプレーヤーはダメージを受けライフが0になると脱落。最後まで生き残ったプレーヤーが勝者となる。

 戦闘がフルオートで行なわれるため、プレイの中心は各ラウンドの開始時に入手できるゴールドを使用して、シナジーを持ったチャンピオンの部隊を作ることだ。いかに資金をキープしながら強力な駒を揃えていくかがプレーヤーには求められる。

チャンピオンを購入して配置していくのがプレーヤーの主な仕事。資金だけでなく持てるコマの数には限りがあるため、先を見据えながら購入していく必要がある

 チャンピオンにはそれぞれ「地域」と「クラス」が設定されており、これらを特定の数揃えれば特性ボーナスを得ることができる。また、同じチャンピオンを3体組み合わせることでアップグレードすることができ、ステータスやスキルが強化される。

「ダリウス」は地域「インペリアル」とクラス「ナイト」に所属している。ナイトはフィールドに2体のナイトを並べることでシナジーが発動。確率で通常攻撃をブロックすることが可能になる

 また、チャンピオンにはそれぞれ前衛、後衛や攻撃役、守備役といった単純な役割があるほか、固有のスキルを持っている。チャンピオンのレアリティ(購入金額が高いほどレアリティが高い)が上がるほど、強力なスキルを有していたり、ステータスが高くなる。

 高レアリティのチャンピオンは、プレーヤーレベルが高いほど出現しやすくなる。このプレーヤーレベルは毎試合1からスタートし、ラウンド毎に入る固定の経験値の他に、ゴールドを使用して購入した経験値でも上げることができる。プレーヤーレベルが上がればフィールドに置けるチャンピオンの上限も増えるため、戦力を整えるためにはレベル上昇が必須となる。中盤以降になると固定の経験値だけではレベルが上がらなくなるので、どこかで経験値を購入しなければならない。

後半に登場した最高レアリティのチャンピオン「ミス・フォーチュン」は、強力な範囲スキルを有している

 また、ラウンド毎に手に入るゴールドは、連勝・連敗で増加する。重要なのは「利子」で、前ラウンドから多くのゴールドを持ち越しているほど利子として追加のゴールドを入手できる。逆に無駄遣いを続けていくほど得られる利子も減ってしまう。

 チャンピオンを購入するか、あるいは経験値を入手するか、それともそのゴールドを持ち越して利子を増やすかなど、どこでどのようにゴールドを使うかの判断を的確に行なわなければ、序盤に勝ち続けていても資金不足に陥り終盤で息切れしてしまうことになる。

 また、勝利に必要なのは資金のやりくりだけでなはい。ゲーム中に挟まるNPC戦で手に入るアイテムを装備させたり、チャンピオンの配置を調整することでも試合を有利に進められる。的確な位置にチャンピオンを配置し、効果を最大限発生させられるようにアイテムを装備させることも重要だ。とはいえ、これらの要素は資金面以上に重要になることは殆どないので、まずは効率的なゴールドの使い方を身につけるといいだろう。

「TFT」最大の注目ポイントはぐるぐる回るチャンピオン!?

 さて、上記の内容は多くのオートチェス系ゲームに共通する部分だが、「TFT」ではいくつか異なる部分も存在する。まず、既存のオートチェス系では戦場が全プレーヤー分存在し、自分のチームが自分のフィールドで戦闘をしながらも、他の1人のプレーヤーのフィールドにも攻撃しに向かっていた。自分のフィールドでの対戦相手と、出張先での対戦相手は同じとは限らないため、一方で勝利し、一方では負けということが頻繁に起こっていたのだが、「TFT」では純粋な他のプレーヤーとの1vs1となっている。完全な1vs1になったことで、戦闘の様子や自軍の強さ、全体のゲームの流れが把握しやすくなった印象だ。また、脱落者がでて人数が減ってからの展開はスムーズになったように感じた。

「LoL」で使用できるエモート機能は「TFT」でも使用可能。フィィ―ルド上で他のプレーヤーとの簡易的なコミュニケーションが取れるようになったのもシンプルな1vs1制の利点で、より相手と対戦している感覚が得られた

 「TFT」最大の特徴となるのが「ドラフトラウンド」だ。このラウンドはゲームの合間合間で挟まり、すべてのプレーヤーがマップ中央の島に集められる。島には回転する円と、その上を回るチャンピオンがおり、下位のプレーヤーから好きなチャンピオンを選んで無料で入手できる。下位のプレーヤーは強力なチャンピオンや自軍に必要なチャンピオンを入手できるので、逆転の糸口を探ることができる。また、誰がどのチャンピオンを選択したかは一目で分かるため、他のプレーヤーは何を狙っていて、自分はどう動くべきかを判断する材料にもなる。

ぐるぐる回るチャンピオンは見た目も面白い。余談だが、ドラフトラウンドは国内では「チャンピオン回転寿司」海外では「回転木馬」と呼ばれているようだ。

 プレイを通して、「TFT」も含めたオートチェス系ジャンルは運要素が強いと思われがちだが、やはり資金面での戦略が重要であり、実力と経験によって差が出るゲームデザインだ。もちろん、運が悪すぎて下位で終わってしまう試合はあるにはあるし、常に優勝し続けるのは難しい。しかし、極端に運が悪くない限り安定して上位4人(半分以上)に入ることは可能に思える。運を実力でカバーできる点がオートチェス系の魅力であり、「TFT」でもその面白さは存分に味わうことができた。

PBEでは10戦ほどして全試合4位以上。優勝も何回かできた!

 総評として、「TFT」はゲームシステム自体には、従来のオートチェス系からほとんど変更を加えてはいないが、付け足した要素によってより洗練され、戦況を掴むための情報が捉えやすくなり、他のプレーヤーと対戦している感覚が強まった。まだテスト段階でのプレイではあったが十分に楽しめた。ただ、一部のチャンピオンやアイテムが強すぎると感じることもあったが、そこは「LoL」を長年運営してきたライアットゲームズ。しっかりとした調整を施し、正式リリース版では更に洗練されたものになっていると期待できる。

 また、「TFT」ではプレーヤーの分身として「リトルレジェンド」が登場。ダンスなどのアニメーションなどで試合を盛り上げてくれる。尚、リトルレジェンドは最初の1体だけ無料で手に入り、以降は課金により手に入るRPなどで購入することができるとのこと。こちらは「LoL」コミュニティで人気だったキャラクターも一部登場していおり、既存プレーヤーにとっては魅力的だ。

「LoL」ではエモートなどに登場するキャラクター「ペング」が「TFT」では リトルレジェンドとして登場

 リリース後にはランク戦も実装されるとのことで、実力にあった戦場で腕を磨き、上位を目指すことが可能になるとのことだ。また、新チャンピオンの実装や、バランス調整なども随時行なっていく予定とのこと。

 なにより、愛着のある「LoL」のキャラクターでオートチェスがプレイできるだけで十分に楽しむことができるので「LoL」プレーヤーならマストプレイだ。筆者も「LoL」のランクと並行して、「TFT」でも上位を目指したいと思う。

 もちろん、オートチェス系未経験者でも十分に楽しめるだけでなく、本作はゲーム内容が理解しやすく、初心者にお勧めできる作品だ。この機会に、是非プレイして欲しい。