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「ウイイレ2019」アジア最強決定戦、「PES LEAGUE 2019 ASIA REGIONAL FINALS」レポート
インドネシア、香港勢が大躍進! 16歳の超新星が1v1、CO-OP部門同時制覇の快挙を達成!!
2019年4月22日 07:34
- 4月20~21日開催
- 会場:日本サッカーミュージアム
KONAMIは4月20~21日の2日間にかけて、サッカーゲーム「ウイニングイレブン2019」を使用したeスポーツ選手権「PES LEAGUE 2019 ASIA REGIONAL FINALS」を、東京都文京区の日本サッカーミュージアムで開催した。
本大会には、日本を含むアジア各国から集まった20名のプレーヤーが参加。個人戦の1v1部門において、初日のグループステージを勝ち抜き、2日目の決勝トーナメントを制してアジア王者に輝いたのは、決勝でMayageka選手(日本)に3-2の逆転勝利を収めた16歳のZEUS_FAIDAN(インドネシア)選手。両選手と、ベスト4に進出したKalok.c(香港)、Verysutton(香港)両選手を加えた4名が、6月下旬に開催される世界一決定戦、「PES LEAGUE 2019 WORLD FINALS」の参加権を獲得した。
1チーム3名のチーム戦によるCO-OP部門も、初日に行なわれたグループステージを1位で通過し、2日目の決勝でも勝利して優勝したのはインドネシアのWANI(インドネシア:RIO_ds、Luckymaarif、ZEUS_FAIDAN選手)チームだった。WANIと、グループステージを2位で通過し、決勝ではWANIに敗れて準優勝となったBeginners(日本:Chip、Qu、Masachu選手)チームも、同じく「PES LEAGUE 2019 WORLD FINALS」行きの切符を手に入れた。
インドネシア勢が一気に台頭。恐るべき16歳、ZEUS_FAIDAN選手からは今後も目が離せない!
アジア最強決定戦ということもあり、どの選手も鮮やかなパスワークやドリブル、インターセプトを随所で披露し、CO-OP部門でも3人の息が合った流れるような連携プレーを連発するなど、競技レベルの高さには何度も驚かされた。だが、筆者が今大会でそれ以上に衝撃を受けたのは海外勢、とりわけインドネシアと香港のプレーヤーたちの躍進だった。
とりわけ、2部門を制した驚異の16歳、ZEUS_FAIDAN選手の活躍には度肝を抜かれた。グループステージでは、昨年のアジア競技大会の金メダリストであるレバ選手と同居したが、同選手を4-0で粉砕し、2勝1分の無敗で堂々の首位通過。準々決勝では、同じインドネシアのPAUDIE II BADUT ESPORT選手(彼も17歳の若手だ)に、一時は1-4と3点差をつけられながら、その後は怒涛のゴールラッシュを披露し、終わってみれば7-4の大逆転で勝利。筆者はずっと間近で観戦していたが、表情をまったく変えずに淡々とフルタイムを戦い抜き、苦しい状況から試合を見事にひっくり返したそのプレイ、度胸には本当に恐れ入った。
CO-OP部門の決勝戦でも、巧みなドリブルで次々と相手をかわしたり、年上のチームメイトとの見事なパスワークを何度となく見せつけた。後半には試合を決める3点目を決め、チームメイトとインカムを通じて笑顔で会話する姿を時折見せるなど、余裕や貫禄すら感じさせるプレイぶり。大会終了後、なぜ緊張せずに落ち着いてプレイできるのかと尋ねたら、「特に秘密などはありません。しっかり試合に集中して、相手に対して敬意を払っていれば、緊張するようなことはないと思います」と答えた、その落ち着きぶり内容も大人顔負けだった。まだ表情にはあどけなさが残りまくりの16歳だが、まったくもって末恐ろしい若者が現われた。
気になる日本人選手の活躍については、1v1部門では、2日目のベスト8に日本人選手は3名進出したものの、世界大会に進出できたのは準優勝のMayageka選手だけで、udi選手とかっぴーや選手は、それぞれ準々決勝で香港のVerysutton、Kalok.c選手に敗れた。またレバ選手は、グループステージでZEUS_FAIDAN選手に完敗したのが響き、1勝2敗でグループ3位となり、ベスト8に進むことなく敗退してしまった。
udi選手は、2-3のビハインドから終了直前に追いつき、延長線へ持ち込む見事な粘りを見せたものの、Verysutton選手のコーナーキックからの得点パターンに対応できず、コーナーキックからの流れで3失点を許したのが負けにつながった。かっぴーや選手も、グループステージを全勝で通過し、勢いに乗るKalok.c選手のキックオフ直後からの猛攻を止め切れず、3-1で敗れ去った。実はKalok.c選手も、対かっぴーや戦ではCKからの流れで1ゴールを決めており、一発勝負の決勝トーナメントに備え、両選手とも周到な準備をしていたことが伺えた。
大会終了後、Mayageka選手にもZEUS_FAIDAN選手について伺ったところ、「ドリブルがうまいし、周りの状況もすごくよく見えていて、こっちの仕掛けを先読みするのがうまいと感じました」と話してくれた。「最初に見たときから絶対に強いと思ったので、ぜひ対戦したいと思っていました。負けたのは悔しいですが、彼のような強くて若い選手が出てきたことはうれしいです」とも言っていたので、相手が若いからという理由で侮ったわけでもないし、もちろん臆したわけでもなかった。
ちなみにMayageka選手は、「CO-OPの決勝戦を間に挟まずに、1v1の決勝戦をすぐにやってほしかったですね。相手はCO-OPもプレーしていたので、ずっと集中できていましたし……」とも話しており、間ができたことで自身が集中を欠いてしまった無念さをにじませていた。とはいえ、負けた悔しさを相手にぶつけずに握手やハグを交わし、3年連続で世界大会への出場を決めた活躍ぶりは見事だった。
また、「ウイイレ」の公式大会のほうも長年ご覧になっている北澤豪さんからは、以下のような熱いメッセージをいただいたのでお伝えしよう。
「地元である日本の選手が優勝できなくて残念でした。今大会は、アジア勢からの突き上げを感じたので、もう怖かった。(インドネシアの選手たちは)インフラがまだ日本ほど整っていないのに、あれだけのサッカーができるということは、これからインフラがもっと整備されればさらに伸びるポテンシャルがあるわけですし。サッカーでもeスポーツでも、すでに整った状態にある日本は、今後は何かしらの解決策を考えないといけないですね。今度は国体でもeスポーツが行なわれますが、サッカーと同様に地域で競うような大会をやっていけば、強化につながるのではないでしょうか? このままではヤバイですよ」(北澤さん)
インドネシア躍進のキーマンに話を聞いてみた
インドネシア勢が、今大会でこれだけ躍進を遂げた理由はいったい何だったのだろうか? そのキーマンとなった人物が会場にいるとの情報を得たので、早速お話を聞いてみた。
その人の名はVALENT。インドネシアの「ウイイレ」プレーヤー同士をつなげるためのコミュニティ、その名も「LIGA1PES」を立ち上げた人物で、今大会に参加したメンバーは、みんな本コミュニティを活用しているというのだ。
そもそもコミュニティを作った動機は、「インドネシアでは、ゲーム自体にまだネガティブな印象を持つ人が多いんです。そこで、たくさん人を集めていろいろな実績・業績を作り、きちんと活動していることを伝えていこうと思って作りました」とのことだ。
今大会で、まさに待望の大きな成果を上げたことについては、「本当に選手たちはすごかったですし、誇らしいですね。インドネシアチームの選手は、これまでに世界大会に出たことがなかったので、出場できるだけでもうれしかったのに、1v1とCO-OPの両部門で優勝したのは本当に驚きましたし、うれしかったですね」と熱く語ってくれた。
CO-OP部門で優勝したWANIチームの3選手は、自宅がそれぞれ遠く離れているため、普段はあまり会う機会がないと話していた。しかし、本コミュティを通じて、ひんぱんにコミュニケーションを取ることができているという。また、今大会で優勝したZEUS_FAIDAN選手は、3年前に本コミュニティが主催した大会で優勝したことがきっかけで、インドネシア代表チームに加わったそうだ。インドネシア勢の人材発掘と強化に、本コミュニティが果たした役割は殊の外大きかったようだ。
しかもVALENT氏によると、「インドネシア国内の大会で、ベスト8まで進んだ12歳のプレーヤーもいますよ。うれしいことに、代表になるためにわざわざ両親が子供を連れて、(遠い所からでも)ジャカルタまで来てくれるようになったんですよ。ゲームをするのはいいことなんだと伝えるという、コミュニティを作った当初の目的を実現できたのもよかったですね」というのだから驚きだ。もしかしたら、そう遠くない将来にZEUS_FAIDAN選手と同等か、あるいはそれ以上の新たなるダイヤの原石が輩出されることになるかもしれない。今後も「LIGA1PES」出身の選手たちの活躍ぶりには大いに注目したい。
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