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インテル、「インテル デベロッパー・カンファレンス2018」eスポーツをアピール
eスポーツパートナーとしてPUBG Corp井上洋一郎氏が登壇。新たな大会を企画中!
2018年10月10日 20:36
インテルは10月10日、国内のソフトウェア開発者やITエンジニアを対象としたカンファレンス「インテル デベロッパー・カンファレンス2018」を東京ミッドタウンホールにて開催した。今年はゲームトラックとしてeスポーツに関するセッションが行なわれたため、そのセッションを中心にレポートしたい。
「インテル デベロッパー・カンファレンス」は、CPUをはじめとしたインテルの最新テクノロジーや、関連テクノロジーを、ソフトウェア開発者やエンジニア向けに解説する開発者向けのカンファレンス。完全にビジネス寄りの内容だが、今年はインテル自身のトレンドを反映させて、「インテル デベロッパー・カンファレンス」としては初めてeスポーツ関連のセッションが行なわれた。
1つはインテル自身のeスポーツとPCゲーミングへの取り組みを紹介するセッション「インテルのeスポーツへの取り組みとゲーミングPCを支える技術」、もう1つはインテルが関係を深めているPUBG CorpからTOKYO OFFICE室長の井上洋一郎氏をゲストスピーカーに招いたセッション「日本におけるPUBGのeSports展開について」。
前者は、eスポーツを長年に渡って牽引するIntelのグローバルでの取り組みを紹介するもの、ではなく、東京オリンピックに向けてeスポーツへの取り組みを急ピッチで深めているインテルジャパンが、2018年5月にオーストラリアシドニーで開催された「Intel Extreme Masters Sydney 2018(IEM Sydney 2018)」の現地視察を通じて学んだ内容を開発者に共有するという不思議な内容になっていた。
というのも、Intel Extreme Masters(IEM)を筆頭としたインテルのeスポーツビジネスは、あくまでIntel米国本社主導で行なわれているイベントであり、インテルジャパンをはじめとした各地現地法人には担当者がいないため、「同じインテルのビジネスでもよくわからない」というのが実態だからだ。
スピーチを行なったインテル技術本部部長の安生健一郎氏は、eスポーツの基本情報として、世界に20億人のゲーマーが存在し、そのうちeスポーツ観戦を楽しんでいる数は3億8,600万人、IEM規模の世界大会では延べ1億人が観戦し、人数で言えばすでにNBAを超える規模にまで成長している。オーディエンスの平均年齢は27歳、そのうち35歳以下が8割を占めるという、“若者達の新たなカルチャー”としてeスポーツが世界で定着しつつある現状を報告した。
安生氏自身、「IEM Sydney 2018」の視察が、初のeスポーツ国際大会の観戦経験となったようで、メジャー大会に盛り上がりについて「事前に聞いていたことやオンラインで観ることとまったく意味が違う」と力強く語り、IEMの模様を映像で披露した。
安生氏は「IEM Sydney 2018」での観戦経験はとにかくカルチャーショックだったようで、「一番前で観るチケットがだいたい1,000ドルぐらいで、食べ放題、飲み放題で、飲食をしながら最前列で観戦する。後ろの方は30ドル、40ドルぐらいで買える。コンサートのような興行として、1万人以上を集めてビジネスとして成り立つ規模で開催されている」と完全に一般参加者の視点で、海外のeスポーツのインパクトを赤裸々に語った。
続けて安生氏はIEM全体の概要について解説し、11月には、5月のシドニー、8月の上海に続いて、11月にシカゴで1万人規模で開催すること、シーズンファイナルとして2019年3月にポーランドカトヴィツェで開催されることなどを報告。安生氏は、IEMは自社単独で成功したものではなく、ゲーム開発者をはじめ、PCメーカー、PCユーザー、大会運営者などのパートナーの存在によって成長してきたことを強調し、今後もインテルは日本のみならず、世界全体でeスポーツをどう盛り上げていくかという視点で注力していきたいと語った。
そしてもう1つのセッション「日本におけるPUBGのeSports展開について」は、東京ゲームショウのPUBG Corpで行なわれたプレスカンファレンスの内容とまったく同じもので、発表内容そのものより、インテルとPUBG Corpのリレーションの深さを国内外にアピールするという意味合いの方が強いセッションだと感じた。
両社は、2017年にIEM Oaklandで、「PUBG」のエキシビションマッチを行なった経緯がある(参考記事)。そのパートナーシップは現在も継続しており、TOKYO OFFICEではその全体像は把握していないものの、何かできないか両社で協議している段階だという。
今回、井上氏のセッションで、「PUBG」関連で特に新たな発表は行なわれなかったが、「PJS」について最新情報を聞くことができたのでまとめておきたい。
まず、「PUBG」の日本リーグ「PUBG JAPAN SERIES(PJS)」のシーズンファイナルは、11月にオフラインイベントとして企画されており、10月中にも会場やチケット情報などがアナウンスされる見込みだ。ついにPJSも「League of Legends Japan League(LJL)」のように、シーズンファイナルが一般観戦可能なオフラインイベントとして開催されるのだ。
井上氏といえば、ゲームオンの「AVA」プロデューサー時代に立ち上げたオフラインイベント「AVAれ祭り」の仕掛け人として知られるが、初回からそこまで大規模にするつもりはなく、まだイベント会場を選定中の段階ということだが、キャパシティは数百人規模に留める代わりに、全国各地でのパブリックビューイングを充実させ、地方の「PUBG」ファンでも気軽にオフライン観戦を楽しめる環境を整備していくことに力を注いでいく考えだ。
またPJSは11月のシーズン1終了後は、3月のシーズン2まで4カ月近くのインターバルが確保されているが、プロ選手やプロ志望者を遊ばせておくつもりはなく、現在、国際大会に繋がる大会や各種イベントなどをパートナー各社と調整しており、正式発表を楽しみにしてほしいとのことだ。
PJSに参戦している選手達にとっては、PJSそのものが大事であり、その先の話はまだ考えられないかもしれないが、我々観戦者にとって、PJS以外にも公式大会の観戦機会が与えられるのは嬉しいニュース。正式発表が楽しみだ。