インタビュー
国内最強の「CS:GO」プロチーム SCARZ Absoluteインタビュー
国際大会で大金星を連発中! GALLERIA GAMEMASTER CUP 2連覇なるか!?
2018年8月17日 12:39
- 8月収録
- 会場:LFS池袋
世界を目指すeスポーツプレーヤーの育成支援を目的に開催されているeスポーツ大会「GALLERIA GAMEMASTER CUP(GGC)」が今年も開催される。競技種目はプロeスポーツとして最も長い歴史と伝統を持つ「Counter-Strike: Global Offensive」1種目のみで、優勝チームは昨年同様、「CS:GO」のアジア大会eXTREMESLANDへの出場権を獲得できるほか、さらに今年は国際eスポーツ連盟(IeSF)が主催する「IeSF KAOHSIUNG 2018」にも出場できるなど、さらに“国際色”が強くなっている。
「GGC 2018」で楽しみなのは、前大会のディフェンディングチャンピオンSCARZ Absoluteが2連覇を果たすか、それを阻む新興勢力が現われるのかどうかだ。SCARZ Absoluteと言えば、「CS:GO」の国際大会に恒常的に出場し続けている日本でほぼ唯一のプロチームだ。「CS:GO」ファンにとっては釈迦に説法だが、今年はオーストラリアRenegades、中国VG.Flash、韓国MVPと、アジアを代表する強豪を次々に打ち破り、世界の強豪入りを果たしている。GGCでは圧倒的な強さを見せつけて順当に勝つのか、大波乱が起きるのか、8月25日からスタートするグループ予選から目が離せないところだ。
今回はそのSCARZ Absoluteに単独インタビューを実施した。彼らと直接会うのは、昨年10月のeXTREMESLAND上海会場以来。なぜ今年に入ってそんなに勝てるようになったのか、コーチの存在はどう影響しているのか、専用のゲーミングハウスやフルタイム給与制はチームに何をもたらしたのかなど、ひとりの「CS:GO」ファンとしてSCARZ Absoluteファンとして聞きたかった質問をぶつけてきた。
今回インタビューに参加してくれたのは、SCARZ AbsoluteのLaz選手、crow選手、barce選手、takej選手。poem選手は残念ながら病気で欠席で、コーチ兼選手のReita選手が代わりに参加してくれた。インタビューの会場に使わせて頂いたのは、GGC 2018プレイオフ会場として使われるLFS池袋。
SCARZ Absoluteがアジアの強豪に勝てるようになった理由とは!?
――SCARZ Absoluteの皆さんと直接会うのは昨年10月のeXTREMESLANDの決勝会場以来ですが、皆さんの試合はTwitch等を通じていつも観ていて、影ながら応援しています。FACEITのアジア予選でも大金星を上げましたし、DREAMHACKでも存在感を示していました。昨年と比較すると本当に強くなっているなと感じています。今回は、SCARZ Absoluteが昨年優勝したGALLERIA GAMEMASTER CUPの開催に先立ち、大会に向けての抱負や、強さの理由、今後の目標などについて話を伺おうと思っています。まずは、個人的にもっとも印象に残っているWESG 2017のfnatic戦。世界王者を14対16とあと一歩の所まで追い詰めましたが、そのあたりから振り返っていただきましょうか。
Laz選手:もう大分前の試合なのであまり覚えていないんですけど(笑)、あれはラッキーだったんだと思っています。相手がうまくいっていないというのはわかっていて、僕らは良くもなく悪くもなく普段通りでした。
――あと一歩まで追い詰めてどのような手応えを得られましたか?
crow選手:嬉しかった、ですかね。負けたけど、自分たちも戦えるということがわかったんで、それが収穫ですかね。もうかなり忘れてますけど、7:1になって「あれ、自分たちいけんじゃね?」と会話したような記憶がありますね。
――韓国MVPに対しても、ZOTAC CUPのアジア予選では負けてしまいましたが、その後に行なわれたDREAMHACKの予選では見事リベンジを果たしましたよね。格上チームに勝てる、ここが今年のSCARZの大きな違いですが、何が変わったんでしょう?
Laz選手:そうですね。チーム内で色んな変更がありました。まずインゲームリーダー(IGL)が変わりました。それまでは僕だったんですけど、今はcrowがIGLになって、彼がオーダーを出す体制に変わりました。僕はフリーな立場で戦えるようになりました。
――なぜそういった変更を行なったんですか?
Laz選手:crowがIGLをやりたいと言い出したのもあるんですけど、コーチにReitaさんが就任して、Reitaさんの意見をcrowが聞いた方が作戦に反映しやすいので、僕もその方がいいと思ってすんなり決まりました。
――では、crow選手は真ん中のリーダーポジションに座っているんですか?
crow選手:いえ、席は端っこのままです(笑)。そこは変えていません。
――今はヘッドセットを通じて、crow選手がガンガンオーダーを出しているわけですか?
crow選手:ガンガン出すこともあります。やっぱり自分がいないポジションの情報が欲しいときは、周りに情報を求めて、その情報からこうしようああしようと指示を出しています。
――SCARZ Absoluteが強くなった要因のひとつはリーダー変更ですか?
Laz選手:それもありますし、やっぱりコーチが入ったのも大きいです。その2つだと思いますね。
――Reita選手はコーチに就任されて3カ月ぐらいということですが、どういった経緯でコーチに就任されることになったんですか? ニュースリリースで知りましたが、それまではGALLERIA GAMEMASTER CUPで決勝戦を戦ったALTERNATIVに所属していたということですが。
Reita選手:僕はもともとAbsoluteで、現在のメンバーのうち3人とはSCARZに入る前に一緒に戦っていました。SCARZになってからも仲が良かったので、それでコーチにという話になりました。
crow選手:チーム内で誰ともなく「コーチ探そう!」みたいな話になったんですね。「League of Legends」とか他のゲームでは普通にいるじゃないですか?
Laz選手:プロチームの事情に詳しい方と食事をしたときに、「『LoL』ではコーチがとても重要なポジションになっていて、SCARZもそろそろ入れた方がいいんじゃない?」と言われて、僕もコーチ入れたほうがいいなと思い始めて。
――なるほど。Reitaさんはコーチとして実際にSCARZに加入してみて、まずチーム内の状況を把握したときにどのような印象を持ちましたか?
Reita選手:割とやっていることは他のチームと変わらなかったですね。「あぁ、こんなんでも強くなれるんだな」と思いました(笑)。
――コーチとして何から着手していったんですか?
Reita選手:最初は“意味のある動き”をして貰おうと思って、行動に意味を持たせるようにしたかったんです。次に個人技ですね。個人技は海外の選手と比較して足りない部分なので、それらの点を重点的に伸ばしていこうかなと。Lazからは「ミスの指摘をして貰えるのがありがたい」と言ってくれたので、そこも重点的にやっています。
Laz選手:Reitaさんがコーチに入ってくれたことで、チームのミスを自分たちで見つけるんじゃなくて、コーチが指摘してくれるようになったので、ある意味、自分のプレイに集中できるようになりました。そこが個人技を高めることに繋がったんじゃないかと思っています。
――Reitaさんは、SCARZの練習にはずっと付き添って後ろから指導していく感じなんですか?
Reita選手:はい、ほとんど見てますね。
――Reitaさんがコーチに就任されて数カ月後に行なわれたFACEITのアジア予選では、オーストラリアのRenegades、中国のVG.Flashというアジアの強豪を立て続けに撃破しました。この快挙には私だけでなく、日本の「CS」コミュニティが大喝采したわけですが、皆さんはどういう感想をお持ちですか?
crow選手:僕らは大会前に割と研究っぽいことをして、こうしたらこう来る、こう来たらこうすれば良いということをわかった上で試合に臨んだんですね。
――RenegadesとVG.Flashの2チームを研究していたということですか?
crow選手:そうですね。作戦がハマるところはハマったんですけど、やっぱり個人技が高くてパワーで負けてしまうところもありました。ただ、劣勢にはならなかったですね。
――明らかに格上の相手に勝つ、しかも立て続けに勝つというのはそう簡単にできることではないですが、自信になりましたか?
crow選手:相当デカかったですね。
――ただ、その後に行なわれた決勝トーナメントの再戦では1:2で負けてしまいました。何が足らなかったのでしょう?
Reita選手:マップの熟練度の差、ですね。自分たちが得意としているマップ、それが何かというのは言えませんけど、そこでは互角に戦えたんですけど、あまり練習できていない習熟度が低いマップでは、明らかにその差が出て負けちゃったなというのが正直な感想ですね。
――なるほど、それは明確な課題ですね。現在はその克服に向けて得意でなかったマップのトレーニングに力を入れているんですか?
Reita選手:そうですね。
――ちなみにトッププロのチームはいくつのマップに習熟しているんですか?
Reita選手:トッププロは最低6マップです。7マップ中6マップ。1マップはバンできるのでそれ以外の6マップですね。
――対するSCARZは何マップぐらい習熟してるんですか?
barce選手:3?(笑)
Reita選手:完璧と言えるのはまだ2マップですね。
crow選手:自信がある、勝てるかなと言えるのは3マップぐらいですね。
――こうした金星によって、昨年10月はHLTVの世界ランクは130位ぐらいでしたが、現在は65位まで上がっています。このランクについてどのように感じていますか?
crow選手:ちょっと高すぎるかなと(笑)。FACEITでRenegadesに勝ったから一気に上がったんだと思いますが、それ以降、国際大会がないので、徐々に下がっていくかなと思っています。
――自己評価では世界で何位ぐらいだと思っていますか?
crow選手:うーん(笑)。たとえば、アジアでも、僕らよりも強いのに、国際大会に出ていないのでランクがないチームというのが結構あるんですね。
――確かに、中国のチームは、無茶苦茶強いのにランクなしというチームも多いですもんね。
crow選手:そうなんです。アジアだと比較的わかりやすくて、一応アジアで5位ということになってますが、実力的にはアジア10位というところだと思います。
――これまでのお話で、新生SCARZ Absoluteといえる体制になっていることがわかりましたが、今のチームの強みというのはどのあたりにあると自覚していますか?
Reita選手:強みは攻撃的なオーダーだと思います。明確な指揮のもとにハマったらハマる態勢になっています。
――逆にウィークポイントは?
Reita選手:攻撃的なオーダーがハマらなかったときですね。そういうときに周りから意見を出せるか、敵の弱点や何が有効かなどを指摘してリーダーをサポートできるか。そこが自然に出来てくればもっと強くなれると思います。
――ピンチの時に、リーダーをどう支えるかという話ですが、皆さんから見てcrow選手はどのようなリーダーですか?
takej選手:crowさんのテロリストの時の指揮に従っていれば、とりあえずハマるなという感じです。
barce選手:わかんないな(笑)。評価はしてます。
Laz選手:自分の時よりも遙かに攻撃的だなと。相手の動きを読むことに比重を置いていて、ハマれば強いけど、ハマらないとヤバいというそんな感じです。ただ、現に今取れているんで、凄いなと思います。ただ、このスタイルは僕は嫌いです(笑)。
crow選手:Lazとはタイプが全然違うんですよ(笑)。
――Laz選手がリーダーだった時代は、保守的というか防衛重視のオーダーだったわけですか?
Laz選手:そうですね。できるだけ全員が安全に撃ち合えるようなオーダーでした。相手の穴を突くというよりは、もちろん突けるときは突きますけど、みんなができるだけまともに撃ち合える状況を作ることに力を注いでいました。真逆なんですよ、考え方が。
――それはそれで良さそうですが、crow選手からすると、それじゃ手ぬるいだろうと?
crow選手:でもそのスタイルがハマるときはそれを選んでいますし、逆に多少のリスクを負ってでもやったほうがいい場合は、危なくてもやるようにしています。
――私は皆さんの試合を見ていて、1対1で撃ち負けない、競り勝てるという点で、個人技が上がったなという印象を持っていたんですが、オーダーの変化の影響も大きいんですね。
Reita選手:オーダーの変化はあると思います。
Laz選手:Reitaさんが入ってくれたのも大きいんですが、俺はリーダーではなくなって自由な立場になっていたのでスコアが上がりました。
――リーダーの重責から解放されて伸び伸びとプレイできているということですか?
Laz選手:重圧というか、オーダーは考えなければいけないことが多くて、大変なんだと思います。
――Laz選手はスナイパーを担うシーンも多いですが、スコープを覗きながら同時に指揮するのは大変だろうなと思いながら見てましたが、やっぱり大変だったわけですね。
Laz選手:そうですね。キツかったですね(笑)。少し前までトップチームでもスナイパーがオーダーをやっていたので僕もできるかなと思ってやっていたんですが、オーダーを変わった後に、以前がいかにキツい状況だったかというのは実感していますね。前よりも確実に良い環境でプレイできていると思います。
――話は変わりますが、昨年と比較すると、確実に国際大会の予選への出場機会が増えていますよね? これは誘われる機会が増えたということですか? それともチームの方で積極的に参加登録するようになったんですか?
crow選手:今年は、中国とオーストラリアで、出場予定チームが出られなくなって代わりに出たということがあったのと、世界大会に繋がる大会はマネージャーが見つけてきて、自分たちで登録して参加するということも増えましたね。
Laz選手:強くなったこともあって招待試合も増えましたね。
――国際大会ではまずはアジア予選から始まるわけですが、目下のライバルはどこですか? もうTylooが射程圏内に入って来ているのか、まだまだなのか。
Laz選手:Tylooはまだ明らかに格上ですね。
crow選手:5POWERかな?
Laz選手:5POWERだね。中国の5POWERがライバルですね。彼らは国際大会では勝てていないのですが、あそこは相当強いチームです。アジアで見ると、僕らが5位で、5POWERが6位になっています。
――今年5月にIEM Sydney 2018を取材しましたが、Tylooのリーダーを務めているインドネシア人のBNTET選手の強さがとても印象に残っています。彼はアジアのスターだなと思ったのですが、皆さんから見て彼のパフォーマンスは如何ですか?
Laz選手:彼はアジアで1番のプレーヤーだと思います。僕と同じ年で、ひたすら凄いなと思います。
――皆さんと比較して何が違いますか?
Laz選手:頭が良いなと思いますね。技術的なことじゃなくて、説明がちょっと難しいですけど、判断力が違いますよね。彼の動きは参考にしています。
ゲーミングハウスとゲーミングギアについて
――SCARZは今年に入って国際大会で勝てるようになってきましたが、ただ、いずれも本戦への出場は逃しています。何が足らないと思いますか?
Reita選手:それはもう実力ですよね。
Laz選手:もちろん実力も何ですけど、少し前までは5人で一緒に練習できる環境も足りないと思ってました。ゲーミングハウスなどの環境ですよね。
――そのゲーミングハウスですが、現在はSCARZ Absolute専用のゲーミングハウスが完備されたということですが、すでに皆さんはゲーミングハウスで生活しているんですか?
Laz選手:はい、住んでいます。まだ4日ですけど、大きな一軒家のリビングに机を並べて5人で練習できる環境があって、練習が終わったら各自の部屋に戻る、みたいな感じです。
――そこで何人が暮らしているんですか?
Laz選手:今5人です。メンバーの1人のpoemが事情があってまだ参加できていないので、選手4人とコーチのReitaさんの5人です。
――ゲーミングハウスについては、昨年10月の時点で、世界で勝つためには必要不可欠だということを言っていましたよね。実際にその環境が整備されて手応えは如何ですか?
Reita選手:引っ越ししたばかりなので、まだガッツリ練習出来てないんですよ。
crow選手:雰囲気的には、練習試合後のフィードバックなどを迅速に行なえそうで、確実に以前よりは良くなったかなと思います。
――ゲーミングハウスでの生活はどのような内容ですか?
Laz選手:だいたい午後2時から10時までで、練習試合が長引いても12時ぐらいまでで、個人練習は2時前に済ませておくという感じですね。
crow選手:練習相手がいたらぶっ続けでやる感じです。居なくてもだいたい個人やチームで何かやっていますね。
――練習メニューは?
Laz選手:まだ引っ越したばかりで決めていないんですけど、できるだけ多くの練習試合をこなすという感じです。
――日本で最初のプロ「CS」チームである4dimensioNの時代からそうですが、日本でトップになってしまうと、練習相手を見つけるのに苦労するようになりますよね。比較的近い韓国や中国のチームに連絡して練習するわけですが、なかなか都合が合わなかったり、人数が足りなかったり、なかなか思うような練習ができないみたいな。SCARZの皆さんは練習相手には困らない環境ができているんですか?
Laz選手:そこは変わってません。ただ、同じような境遇のチームが多いので、試合できる回数自体は増えていると思いますが、やっぱり試合できない時間ができてしまうこともあります。
――SCARZはどういったチームと練習しているんですか?
Laz選手:中国、韓国、フィリピンの割と強いチームと練習させて貰っています。
――練習試合は、どのようなルールで、何回ぐらい行なうんですか?
Laz選手:公式試合と同じです。
crow選手:多いときで5、6試合とか。少ないときで2,3試合ぐらいです。
――練習後のフィードバック、反省会はいつどのようなタイミングで行なうんですか?
Laz選手:割とバラバラですね。途中でわかりやすい問題が見つかったらその場でやりますし、慢性的に勝ててないなということになったら練習試合が終わった後に話し合ったりしています。
――日々の練習において、何か特定の課題を用意して、そこに向けて取り組んで行くということはありますか?
Laz選手:さっきの話と繋がるんですけど、わかりやすい問題が見付かったら、それを課題にして取り組んでいったりしますし、マップの習熟などもそうですね。
――お休みというのはあるんですか?
Laz選手:一応、日曜がお休みです。
――一応と言うのは何ですか、休みの日もゲームしてますか?
crow選手:なんだかんだ言って「CS:GO」やってますね(笑)。
Reita選手:まだゲーミングハウスで暮らし始めて休みが1回だけなので、まだ荷物の整頓をしたぐらいですが、落ち着いてきたら……、やっぱりゲームするんだと思いますけど(笑)。
――ゲーミングハウスの整備と共にフルタイム給与制が採用されました。これによって名実共にプロゲーマー、“ゲームでご飯を食べている人”になったわけですが、感想は如何ですか?
Laz選手:まだそうなって1カ月ぐらいなんですけど、「ああ、なっちゃったなあ」という感じですね(笑)。それまでも一応プロゲーマーではあったんですけど、僕には別の仕事があって、他のメンバーは学生だったりしたんですけど、今は給料制なので、本当にプロゲーマーになっちゃったなという感じです。
――やはり気分が違うというか、プロとして身の引き締まる思いがありますか?
Laz選手:そうですね、他のメンバーがどうかわかりませんが、僕は今後はちゃんとプロゲーマーらしいことをしていかないといけないなという気持ちになりましたね。それまでは、意図的にゲームを生活の1番上にはしていなかったんですね。というのはゲームを1番上にしてしまうと、生活できなくなってしまいますから。それが今回給与制になってゲームが生活の1番上になって、プロゲーマーとしてちゃんとしていかないといけないなという気持ちです。
――ちなみにSCARZの公式サイトで、「CS:GO」の新チームを募集したり、女性選手を募集していたりしましたが、これはSCARZ Absoluteと何か関連があるのですか?
Laz選手:まったく関係ないですね(笑)。
zyoutan選手(SCARZ Absoluteマネージャー):あれはSCARZとして新しい試みというか、世界を見ると「CS:GO」で女性プレーヤーは世界で活躍しているので、我々も女性チームを作ろうと募集を掛けているところで、まだ選考中という段階です。もうひとつのチームの募集の方は、未来のある選手を育成して、「CS:GO」界を盛り上げる目的で募集を掛けているもので、そちらもまだ選考中です。いずれもまだ現在進行形の企画です。
――SCARZのTwitterを覗いたら、ZOWIEの選手名入りマウスパッドを手にしている写真を見ました。ZOWIE好きが多い印象ですが、皆さんが使っているゲーミングギアを教えて下さい。
Laz選手:全員自分が使いたいものを使っていますね。メーカーさんから「使ってくれませんか?」というお話は頂くんですけど、ギアに関しては、実力第一、結果第一ですので、自分が使いたいものを使わせていただいています。僕はマウスは「Logicool G Pro」、マウスパッドはZOWIEの「G-SR-SE」です。キーボードはCORSAIRの「RAPIDFIRE」、ヘッドセットはKingstonの「Cloud Revolver」です。
crow選手:マウスはZOWIEの「EC2-B」、マウスパッドはZOWIEの「G-SR-SE」、キーボードはCORSAIRの「RAPIDFIRE」、ヘッドセットはKingstonの「Cloud Alpha」です。
takej選手:マウスはZOWIEの「EC2-A」、マウスパッドはSteelSeriesの「QCK Heavy」、キーボードはみんなと同じCORSAIR「RAPIDFIRE」、ヘッドセットはKingstonの「Cloud Alpha」です。
Reita選手:マウスはZOWIEの「FK1」、マウスパッドはこの間いただいたZOWIEの「G-SR-SE」で、キーボードはZOWIEの最新モデル「CELERITAS II」、ヘッドセットはKingstonの「Cloud Alpha」です。
barce選手:マウスはZOWIEの「EC2-A」で、マウスパッドはZOWIEの「G-SR-SE」で、キーボードはZOWIEの最新モデル「CELERITAS II」、ヘッドセットはKingstonの「Cloud Alpha」です。
――ほー、本当にZOWIE率が高いですね。使いやすいですか?
Laz選手:使いやすいですし、安心感もありますし、世界中のトッププロが使っているという信頼感もありますね。
――ちなみに名前入りのマウスパッドはどういう経緯から作られることになったんですか?
Reita選手:僕がSCARZに入る前の話なんですけど、ZOWIEの開発の方と連絡を取り合うようになって、もしかしたら作って貰えるかなと思ってお願いしたら作ってくれました(笑)。
――居住スペースも備えたゲーミングハウスチームと、フルタイムの給与制ということで、日本のプロゲーミングチームとしては非常に恵まれた環境にありますが、チームの基本方針、目標は何ですか?
Laz選手:チームの目標は去年と同じで、アジア1位です。非常に恵まれた環境にあるので、結果を出していきたいですね。
――そのアジア1位の目標はいつまでに達成するつもりですか?
barce選手:1年以内?
Reita選手:1年以内でしょ!
crow選手:1年以内はキツくない?
Laz選手:いや、年内ですね。
crow選手:ちょっと待って、アジア1位は世界10位だよ?
――意見の一致を見ないようですが(笑)。
Laz選手:正直、期間はまだ決めてなかったんですよね(笑)。
――現在アジア5位ですから、もう少しで届きそう?
takej選手:いえ、近いようでまだ離れていますね。
Laz選手:中国のTylooと、オーストラリアのOrderが飛び抜けて強いんですが、アジア1位を目指すというところは、チーム内でも意見の一致を見ているので、なりたいなという想いがあります。
GALLERIA GAMEMASTER CUPへの意気込みについて
――今年も昨年に続いてGALLERIA GAMEMASTER CUP(GGC)が開催されます。昨年皆さんはGGCで優勝し、中国上海で行なわれたAPAC大会ZOWIE eXTREMESLANDにコマを進めました。現在の準備状況と、今年の意気込みを聞かせて下さい。
Laz選手:もちろん、予選を勝ち抜くことを第一目標に掲げています。
Reita選手:優勝したいと思っていますけど、今回は僕が出る可能性が高いと思うので、実力的には普段よりも落ちてしまうことになると思います。
――なるほど、ディフェンディングチャンピオンであるSCARZとしては、ピンチを迎えているわけですね。Reita選手は、選手として全盛期の何割ぐらいまで戻してきていますか?
Reita選手:ピンチです(笑)。まだ5割ぐらいですね。
Laz選手:ウソ?(笑)。
――何割ぐらいまで戻してGGCを迎えたいですか?
Reita選手:全体的にもうちょっと強かったかなあと思うので、まだまだですね。大会までに10割に戻したいですが、わからないですね。
――「CS:GO」ファンにとって、第2回GGCの見所は、SCARZ Absoluteが2連覇するか否かだと思います。如何ですか?
barce選手:できるね!
――そういえば国内で負けるところを見た記憶がないのですが、今何連勝中ですか?
Laz選手:12~13勝ぐらいだと思います。2年ぐらい負けてませんね。
crow選手:SCARZ Absoluteになってから負けていません。
――となると当然2連覇が義務という感じですね。
Laz選手:その辺のプレッシャーはあまり考えないようにしています。如何に試合に勝てるようにするかに集中しています。
――国際大会ではたまにありますが、特定のチームへの対策を徹底的に練ったチームが番狂わせを起こしたりします。国内の有力チームはどこも“打倒SCARZ”で挑んでくると思いますが、不安はないですか?
crow選手:正直、ヤバいと思いますよ。僕たちは色々な国際大会に出て、たくさんのデモを残していますから、研究材料に絶対されるわけです。逆に僕たちは、相手の研究材料がまったくないわけです。国内大会は毎回危ないなと思っています。
――国内で注目しているチーム、選手はいますか?
crow選手:Ignisですね。以前から有力チームのひとつでしたが、最近メンバーも替わってさらに強くなりました。
Laz選手:たぶん、僕らを除くと、日本で1番強いですよ。
――SCARZ Absoluteは、“国内最強”の呼び名を欲しいままにしている存在ですが、そう呼ばれることをどう感じていますか?
crow選手:プレッシャーといえばプレッシャーですが、でもまあ、僕ら最強なので(笑)。
全員:(笑)。
――第2回GGCは優勝すると、2つの国際大会に出場できますが、これについてはどのように感じていますか?
Laz選手:それもあるのでGGCは大事な大会だと思っていますし、絶対勝ちたいですね。
――少し気が早いですが、2つの国際大会に仮に出場できたとすれば、何位を目標にしていますか?
Laz選手:出場チームもまだ決まっていない段階なので、何位というはまだ決められないんですけど、アジアの大会なので当然優勝を狙っていきます。
――最後にeスポーツファン、「CS:GO」ファンに向けてメッセージをお願いします。barce選手は「頑張ります」以外の言葉を。
barce選手:よろしくお願いします。大会2連覇頑張りまーす。
Reita選手:GGCのような機会は貴重なので、「CS」やっている人はみんな出場して貰いたいですね。頑張りましょう一緒に。
crow選手:大会に出るような人はみんな知っていることですけど、大会に出てみたら凄く楽しいことがわかって、それでガチになっちゃう人も多いんですね。ぜひこちらの世界に来ませんか? 競技シーンに足を踏み入れてみてはいかがですか? と言いたいです。
――今思い出したのですが、そういえばtakej選手は、前回大会は年齢制限で出場できなかったんですよね?
takej選手:そうです。前回はとても残念でした。今回も16歳の選手は出られませんが、個人的には年齢制限無しにして欲しいなと思っています。あと、僕の場合、大会に出ると緊張もするんですけど、興奮のほうが凄くて(笑)。大会に参加すると楽しくて何回でもやりたくなっちゃうと思うので、ぜひチームを作って挑戦してみて下さい。
Laz選手:まず、自分たちに興味関心を持って、応援してくれる方に感謝しています。ちょっと質問の趣旨とはズレてしまうかもしれませんが、「CS:GO」って最近、ああしなきゃいけない、こうしなきゃいけないということが多くて、「面倒くさいな」と感じている人もいると思うんですけど、僕は適当で良いと思っています。ビギナーにもボイスチャットを強要するようなところがあると思うんですが、そんなことはないので、適当に遊んだ方が楽しいと思いますし、長続きすると思います。
GGCには、Reitaさんが出場することになると思いますが、Reitaさんがどの程度活躍するのか、そこに注目してくれれば楽しいんじゃないかと思います(笑)。試合には全力で取り組んで勝ちたいと思います。応援よろしくお願いします。
――皆さん、「CS:GO」を盛り上げようという気持ちが伝わってきて、ファンの1人として嬉しくなりましたね。SCARZ Absoluteの活躍期待しています。頑張って下さい。ありがとうございました。