ニュース
【夏休み特別企画】ゲーミングPCはこう作れ! 自作PC初心者講座
女子ゲーマーが陥りがちなワナと解決方法をプロに聞いてきたよ!
2018年8月9日 12:12
自作PCの道は実は長く険しい。日々新たなトレンド、テクノロジー、プロダクトが生まれ、ある程度詳しいつもりでも、ついつい大小様々な失敗を繰り返してしまう。
その大きな原因がスペックの読み方がわからないことだ。ショップに並ぶPCの値札にたくさん書かれたアレ、我々がPCの記事を書くときにも間違えないよう最新の注意を払っているアレだ。CPUは何々、GPUは何々、チップセットは何々。そしてそのパーツがお互いにどういう相関関係にあるのか。そういった知識があれば、そのPCが何に向いているのか、何ができるのかもおおむね知ることができ、自分が欲しい性能にもっとも近い1台を見つけ出すことができる。
そこで今回、夏休み特集として基本的なスペックの読み方を筆者が見かけた失敗談や、筆者の若かりし頃の自作失敗談などをもとにケーススタディの形でまとめてみた。今回はパーツを紹介するために自作というくくりにしているが、BTO PC(Build to Order PC、受注生産PC)やメーカーPCを買う時にも参考になるはずだ。
また今回、ドスパラ事業部広報の勝亦健太さんとドスパラ本店パーツ売り場担当の凄腕スタッフ浅野将史さんに取材をして、プロのリテーラーからみたパーツ選びのコツや、人気の商品、おすすめなどを聞いてきた。ケーススタディの対応策としてまとめた文章には、取材で得た知識をふんだんに盛り込んである。
PC購入初心者はもちろん、普段自作をしている人にとっても役立つ知識があれば幸いだ。
低価格PCならCPUの種類とメモリ容量がポイント
【事例1:PC買うのは初めてなんですさん】
Aさんはこれまでコンソールでしかゲームを遊んだことがなく、家にPCもなかった。だが、ネトゲのフレンドがPCでプレイしていると知ってPCに興味を持つ。ある日、何の気なしに訪れた家電量販店で、セール中という札の付いた2万円台のPCを見つけた。
「こんなに安いPCもあるんだ!」
PCは高いものだと思っていたAさんは、衝動買いでそのPCを購入。早速家に持ち帰って、いつも遊んでいるゲームをインストールした。ワクワクしながら起動する。ところが、見慣れたフィールド画面が出た瞬間、なぜかゲームが落ちてしまった。不思議に思いつつもう一度起動したが、またシャットダウン。
「あれれ?」
何度か同じことを繰り返してみるが、毎回挙動は同じ。ゲームは起動しかけるのだが、長いローディングが終わってプレイ画面に切り替わるとすぐに落ちてしまう。
「もしかして、このPC、初期不良かな?」
心配になったAさんはフレンドに相談してみた。すると「もしかしてスペックが足りないんじゃないの?」という答え。「え、スペックって何……? もしかして、このPCじゃダメなの?」
その後も、何度試しても落ちてしまうので、Aさんは新品のPCを閉じて、ゲームコンソールの起動ボタンを押した……。
Aさんは何がいけなかったのか?
AさんはPCのスペックに関する知識がなかったために、単純に値段だけでPCを選んで失敗した。PCを選ぶ時の大前提として、高性能で超お買い得なPCというのはほぼ存在しないと思っていい。PCはパーツの組み合わせであり、パーツの性能と価格は相関関係にある。それなりのゲームが動くPCは値段もそれなりになる。
とはいえ、Aさんの場合は優れた性能のPCが欲しいのではなく、ゲームが遊べるPCが欲しいわけなので、そのゲームが快適に動くなるべく安い構成を考えればいい。Aさんが遊んでいるゲームはCPUだけでも動くカジュアルなタイトルだったが、それでもAさんが購入したPCでは性能が不足していた。この場合気を付けたいのはCPUの種類とメモリの容量だ。
CPU(中央演算処理装置)はPCの頭脳ともいえる最も重要なパーツ。その名前の通り、PCの頭脳にあたる存在で、プログラムの処理速度に大きく関係する。
Aさんが購入したPCに使われていたのはインテルのエントリー向けCPUであるCeleron。ブラウザゲームなどCeleronでも問題なく遊べるゲームはある。だが、3Dのオンラインゲームを快適に遊ぶには、やはり力不足は否めない。
自分が遊びたいゲームにどの程度の性能が必要なのかは、ゲームの公式サイトに「動作環境」として書かれている。「必須動作環境」はゲームが起動する最低限のスペック、「推奨動作環境」はゲームを快適に遊ぶためのおすすめ構成だ。Aさんが遊びたいと思っていたゲームの推奨環境はCore i3以上。CPUの能力が足りていなかったために、CPUに高負荷がかかり熱で壊れるのを防ぐために自動的にシャットダウンしていたようだ。
ではAさんはどんなPCを選べばよかったのか? 答えはAさんが遊びたいゲームの必須動作環境を満たしたPCだ。
Aさんのようにできるだけ安く抑えたいというゲームファンがとりわけ重視すべきなのはCPUだ。インテルは世代ごとに通称を使っており、現在は第8世代、通称Coffee-Lake-Sが販売されている。型番ではCore i7 8700のように最後の4桁の最初が「8」になっているものを差す。またAMDのCPUであるRyzenは現在第2世代、Ryzen 7 2700が最新のラインナップになっている。
CPUで性能の指針となるのが、コア数・スレッド数とクロック周波数だ。Core i7などの記事で、「6コア/12スレッド」というような売り文句を目にすることがあるはずだ。これはCPUの中が6つに分かれていて、その中が更に2つずつに分かれており、12の作業を平行して行なうことができるという意味だ。当然コア数とスレッド数が多いほど性能が高いということになる。クロック周波数は、3.2GHzなどの数字で表わされる。この数字が大きいほど1コアの動作が早いことになる。
第8世代からは低価格向けのCore i3も従来の2コアから4コアへと進化した。クロック周波数も3.6GHzと高く、1代前のCore i5に匹敵する性能を持っている。AさんがこのあたりのCPUを選んでいれば、結果は違っていたはずだ。
CPUと共に重要なのがメモリ容量だ。メモリはPCの動作中、一時的にデータを格納しておくRAM(ランダム アクセス メモリ)の通称。ゲームでロードされたデータはRAM上に展開されるため、リッチなゲームはより多くのメモリ容量を必要とする。実はAさんのPCはメモリも不足していた。搭載されたメモリが少なく、使用率が100%近くになると、動作が遅くなったりフリーズしたりといった不具合が出る。
メモリの種類は「DDR4-2400」といった数字であらわされる。「DDR4」はメモリの規格で、現在はDDR3とDDR4が主に使われている。「2400」は転送速度でこの数字が大きいほど早いという意味。ただしメモリの性能はマザーボードの設定に準拠するので、メモリを買う時にはマザーボードがどのメモリをサポートしているかしっかり調べて欲しい。
Windows 10は公式発表で64bit版だと2GBのメモリを使用する。そのためゲームが3GB必要なら合わせて5GB必要になる。アンチウイルスソフトなどの常駐アプリもメモリを消費するため、ゲームをするなら最低でも8GBは欲しいところ。デスクトップPCは、8GBはだいたい搭載されている印象だが、ノートPCだと4GBのみというのも少なくないので注意したい。
今回は、それ以前のトラブルで止まってしまったので問題にならなかったが、ハードディスク(HDD)の容量も余力があれば増やしておきたい。HDDは内蔵の容量にこだわらなくても、後で外付けHDDでいくらでも増やすことができる。
現在は3TB、4TBのHDDでも1万円を切る価格に落ちており、できるだけ余裕のある容量を確保しておきたい。何しろ動画の編集などでは、あっという間に数GBを使ってしまう。筆者も昔は1TBなんて一生使いきれないのではと思っていたが、今では1TBの空き容量を心配しながらキャプチャーするようになっている。ぜひゆとりのある容量を目指して欲しい。
【ドスパラ本店パーツ担当 浅野さんのおすすめパーツ】
予算が限られている場合、光学ドライブを付けないとかHDDの容量を削るという方向で調整したりします。CPUはCore i3かi5にして、ビデオカードは妥協しないという方もいますね。大切なのは何がしたいかという目的をしっかり決めることです。そうでなければオーバースペックになったり、逆にスペックが足りなくなったりしちゃいます。
お店で人気のCPUはCore i7-8700KとCore i5-8400です。オーバークロックをしないなら、コスパのいいCore i5-8400がおすすめです。現在主流のメモリはDDR4-2666で、サイズは8GB×2枚というものが多いですね。色々な種類がありますが、メモリは優先度が高くないので、値段の安いものでも構わないと思います。
バランスの取れたパーツ選びで安定したPC作り
【事例2:GPUこそ我が正義さん】
Bさんは今回初めてPCを自作してみることにした。予算は15万円。PCにものすごく詳しいわけではないが、良くゲームをするのでGPUの性能が、プレイ環境に大きな影響を与えるということは理解している。だから今回もそこだけは妥協しないつもりだ。
BさんはGPUにNVIDIA GeForce GTX 1080 Tiを選択、だがそれだけで予算の3分の2近くが消えるため、予算内に納めるために他のパーツはかなり妥協せねばならなかった。いわゆる一点豪華主義。オーバークロックはする予定がなかったのでCPUはCore i5でマザーボードや電源もなるべく安いものを選んだ。
「憧れのGTX 1080 Ti! わが人生に悔いなし!」
だがBさんは思わぬトラブルに見舞われることになる。最初のトラブルはGTX 1080 Tiのサイズにあった。大きすぎて既存のケースに入らないのだ。
「ケースを買い替えるしかない……」
幸い使っていたケースは古いものだったのでUSB3.0が少なかったりと不満もあった。この機会に最新のケースにするのも悪くはないと自分に言い聞かせつつ、ようやくPCは完成した。だがトラブルは続いた。なぜかシステムがシャットダウンと再起動を繰り返すのだ。電源を消したいのに終了してもしても起動してくる。トラブルの原因を色々と調べていくうちに、ようやくこれだという原因にたどり着いた.
それは、電源の供給量不足。
「電源の容量が足りないのか……!」
CPU、GPUにお金をかけたくて、電源をけちったせいで必要な電力が足りなかったことが不測のシャットダウンに繋がっていたのだ。
さらに予算内に収めるために、240GBのSSDを付けていたのだが、最近の容量の大きなゲームはこのサイズには収まりきらず、せっかくSSDを付けてデュアルストレージにしたのにゲームをHDDにインストールせざるを得なくなってしまい、せっかくのスピードを実感することができなくなってしまった。
「もう少しバランスを考えて買えばよかった……」
Bさんはなにがいけなかったのか?
自作派ゲーマーの中にはBさんのようなミスをした方は多いのではないだろうか。実は筆者も同じようなミスをしたことがある。筆者の場合は電源をそのままに、マザーボードやCPU、メモリ、GPUを更新した。純粋なパワーアップを狙ってのことだったのに、その後シャットダウン後に再起動を繰り返すようになった。最初はマザーボードの初期不良を疑ったりもしたが、結局電源を450Wから600Wに変えることで解決した。
PC全体に電力を供給する電源は、地味だが非常に重要なパーツだ。電源を選ぶ時のポイントは容量と、電気変換効率の2つ。電源は「STANDARD」から「TITANIUM」まで、電気変換効率によって6段階のランクに分かれている。電源の多くは電源の容量のうち50%を使用している時にもっとも効率よく変換するよう作られている。例えば600Wの電源なら、「STANDARD」では80%が電流として使われ、残り20%は熱や電磁波になる。これが「TITANIUM」なら94%が電流になり、熱などになるのは6%なので、より熱くなりにくくエコなPCとなるわけだ。
ではどのくらいの容量の電源を買えばいいのかということだが、例えばGTX 1060(6GB)なら120W、GTX 1080 Tiなら250W、CPUではCore i7-8700kが95W、Core i5-8500なら65Wが消費電力の目安となる。これらを足し算して、さらにマザーボードやメモリなどその他のパーツの電力をざっくり100Wくらい足して計算すれば全体の消費電力が見えてくる。GTX 1060(6GB)とCore i5-8500の構成なら285Wなので余裕をみて550~600Wぐらい。GTX 1080 TiとCore i7-8700kなら800W以上の電源が理想ということになる。
現在の売れ筋は600Wから800Wということなので、多くの人がこのレンジのパーツを組み合わせていることが想像できる。実際は消費電力は使い方にも大きく左右されるので、自分の使い方や、今後の拡張性なども考えつつ選ぶといいだろう。
Bさんの構成であれば余裕をもって800Wの電源をチョイスしてもいいだろう。変換効率は値段に直結してくるが、「GOLD」あたりを選んでおけば満足度の高いPCが出来上がるはずだ。
ちなみにBさんはSSDの容量にも問題がある。240GBはゲームを遊ぶには小さすぎる。最近は1タイトルで50GBを超えることも珍しくなく、100GBに達するゲームも出始めている。これでは毎回新しいゲームを入れる度に、何かをアンインストールしなければならなくなるだろう。最近はSSDの価格が下落傾向にあるので、500GB以上のSSDを選択しておくと容量不足で泣く心配も軽減されるだろう。
実はBさんのマシンにはさらに不安要因がある。1つはGPUとCPUの性能差が大きいことで、GPUの性能をフルに生かしきれない可能性があることだ。一般的にGPUの交換は、PCのゲーム性能を底上げするもっともお手軽で確実な方法だ。だが、GPUとCPUの性能差が大きいと、GPUが処理した画像をCPUが処理しきれないせいでGPUの性能を十分に引き出せない「ボトルネック」という現象が発生する可能性がある。こうなってはせっかくのGTX 1080 Tiも宝の持ち腐れになってしまいかねない。
今回の事例では、GPUのランクを少し落として、そこでできた余分をCPUや電源、SSDの容量などに充てることで、より安定した効率の良いPCを組むことができる。ボトルネックを起こさない組み合わせについては、ぜひショップのスタッフに聞いてみて欲しい。
【ドスパラ本店パーツ担当 浅野さんのおすすめパーツ】
PCを組むうえで絶対妥協したくないのはGPUですが、実は、絶対に妥協してはいけないのは電源です。容量は値段に比例しているので妥協したくなるポイントですが、W数を下げてぎりぎりになってしまうことは、将来の拡張性も考えると避けたいですね。
容量は600W~800Wが人気です。長時間使用される方は安定性を重視した1000Wを選ばれることもありますね。変換効率はGOLDとそれより上では僅差なので、GOLDがコスパ的にもおすすめです。電源は重要なので妥協しないほうがいいと思いますよ。ドスパラとENERMAXが共同開発したオリジナル電源には、電源を入れた時にファンが逆回りしてホコリを落とすダストフリーローテーションが付いています。モジュール式なのでコードもスッキリ配線できますよ。
GPUはNVIDIA GeForce GTX 1060(6GB)やGTX 1070 Tiあたりが価格と性能のバランスが良く人気です。お店のオススメGPUは、ドスパラで独占販売しているPalit製のビデオカードです。メーカーから直に仕入れているのでコスパに優れており、面積の広いヒートシンクを使っているので冷却性能も高いです。
SSDは値段が下がってきてTBモデルにも手が届くようになってきました。予算に余裕があるならより高速なNVMe M.2 SSDも下がってきていますよ。
マザーボードやケースにこだわってワンランク上のPCに
【事例3:光ってるのがいいんだよさん】
Cさんはそこそこの自作歴を持っており、定期的にゲーミングPCを組んで快適なPCゲームライフを送っている。
そんなCさんは今回新しいPCを組むことにした。というのも、重量級のハイエンドビデオカードを差していたマザーボードが、ビデオカードの重量に負けてスロット部分がバッキリ折れてしまったのだ。マザーボードを買い替えることになるので、この際PC自体を一新しようと、ボーナス30万円を持って、数年ぶりにショップへ赴いた。
ゲーマーのCさんは基本的にスペック重視で、PCの見た目にはさしてこだわりはなかった。しかし久しぶりに訪れたショップには、強化ガラスのシースルーケースや、ずらりと並ぶ七色に輝くファンや光るメモリなど、装飾的なパーツがたくさん並んでいた。特に、店内の目立つ部分に飾られた水冷システムを組み込んだ輝くPCには、ひときわ興味をそそられた。
「光るパーツが増えたなあ」
やってみたいと思わなくもないが、なんとなく敷居が高いような気もして、結局Cさんは、当初予定していたハイグレードパーツだけを購入して帰宅した。だが、家に戻ってからいろいろ検索してみると、今は予想以上にお手軽に光るPCを楽しめるようになっていることがわかった。人が作ったPCを紹介する動画を見ていると、やっぱり挑戦したくなってきた。
「次に作るのはまた何年後になるかもしれないし、せっかくだから挑戦してみようかな……」
C さんはなにがいけなかったのか?
一見、問題なさそうなCさんだが、潜在的な問題を抱えている。ひとつは、パフォーマンスを重視するあまり、クオリティや耐久性への関心がおろそかになっているところだ。
Cさんが壊してしまったマザーボードは、ビデオカードを差すためのPCI Expressスロットがプラスチック製だった。普通サイズのビデオカードなら何の問題も起きないが、GTX 1080 Tiのように大きくて重いものを使うなら、重量に負けてねじれたり、端子がとれてしまったりというトラブルは十分に考えられる。そういうビデオカードを使う予定があるなら、マザーボードにも気を使いたい。
マザーボードは全てのパーツを取り付ける基盤、いわばキャンバスのような存在だ。サイズによってATX、Micro-ATX、Mini-ITXという3つに分類されているが、現在はATXが主流で様々な性能のものが出ている。
マザーボードの性能を決めるのは、上に乗っているチップセットだ。チップセットとは、CPUやメモリ、ビデオカードなどのデータの受け渡しを管理する集積回路。インテル第8世代CPU用のチップセットには、ハイエンドの「Z370」から「Q370」、「H370」、「B360」、「H310」という5種類がある。チップセットによってサポートしているPCIスロットやUSBの数が違う。
オーバークロックにこだわりがないならH370でも性能的には十分だが、Z370のゲーミング用マザーボードにはPCI Expressスロットが金属で補強されているものがある。今回のCさんのように重量級のGPUを使うのであれば、故障を避けるためにこういった部分も重要視したいところだ。
そしてもう1つは、Cさんも後で気づいたように、自作PCには性能以外にも様々な楽しさ、こだわりポイントがあることだ。
自作に慣れてくると、最初は気にする余裕がなかった部分にだんだんと気が回るようになる。例えば、ごちゃごちゃする配線を裏側に隠してしまう通称「裏配線」はその第一歩だ。そしてスッキリすると、今度は物寂しさが気になる。そこで光るPCの登場だ。
今は光るパーツが多く発売されているが、それらをコントロールするためのハブスイッチなど周辺機器も充実してきている。マザーボードの中にはLEDをコントロールできるものもある。例えばASUSのマザーボードには、各パーツの発光タイミングを制御できる「Aura Sync」という機能がある。この機能に対応したパーツであれば、光り方を一元的に管理することができる。
さらにスペックにこだわるなら、同じレベルでこだわりたいのがエアフローだ。CPUやGPUは時に50度以上の熱を持つため、常に冷却していなければ壊れてしまう。Cさんが興味を示した水冷も、そういうエアフローへのこだわりから生まれたユニットだ。空冷よりも冷却性能が高いため、高性能でより静かなPCを作ることができる。さらに水冷の副産物的な良さは、冷却液にLEDライトを当てることで、未来的な美しさを演出してくれるところだ。
水冷には一体型の簡易水冷と、パイプの配置などを自分でデザインしてすべてのユニットを水冷にする本格水冷の2種類がある。本格水冷のPCはまさにアート作品ともいうべきスタイリッシュさがあるが、価格的にも難易度的にも素人にはハードルが高いので、まずは簡易水冷を試してみることをおすすめしたい。
世の中には光らせるだけではなく、自作のシートで痛PCを作ったり、古いゲーム機をPCに改造したり、油の中に基盤を付けこんで冷却する油没PCを作ったり、段ボールをケースにしたり、壁掛けPCを作ったりしている人もいる。もはやゲームをする箱というよりも、自己表現の1つと言ってもいい自由なPCが日々生み出されている。
Cさんも、きっと資金力を活かしてゴージャスな光るPCを作りあげるだろう。この記事を読んだ人も、ぜひ、組み立てるだけではない自作の楽しさをどこかの機会で味わってみて欲しい。
【ドスパラ本店パーツ担当 浅野さんのおすすめパーツ】
マザーボードではASUSやASROCKのゲーミング用が人気です。Z370はM.2端子の数やPCI Expressの数などオーバークロック以外にも有利な部分があります。
本格水冷はかなり玄人向けですので、興味があるなら簡易水冷から初めてみるといいでしょう。ケースは実は中が見えるものよりも、スタンダードなもののほうがよく出ます。一番値段的に妥協できる部分でもありますので、予算が厳しいなら3,000円代のものでいいと思いますよ。
おしまいに。どのようなPCが欲しいか、何をしたいのか。しっかりとした目標を立てよう
今回、3つのケーススタディで、PCを構築している一通りのパーツを解説した。PCは“無限の可能性を秘めた箱”だが、それだけにどんなPCにしたいかという製作者の目的がはっきりしている必要がある。
ショップに買いに行くときにも、「このゲームを遊ぶPCを、このくらいの予算で作りたいと具体的に言っていただければ、最適なパーツをおすすめします」と浅野氏。妥協してパーツを買ったとしても、結局性能に不満がでてまた買い替えたくなってしまうので、あまり妥協しすぎるのもよくないとか。
パーツ同士の相性など、最近はあまり気にしなくても大丈夫だが、メモリなど一部のパーツにはまだ相性があるのでそこはショップのスタッフに聞いて欲しいということだ。ドスパラでは商品や特価情報をお知らせする生放送「週刊ドスパラTV」を毎週木曜20時からニコニコ生放送とFresh!で放送している。こういった番組を見て知識を蓄えていくことで、自分にピッタリあったPCを作れるようになっていくだろう。楽しいPC自作ライフを送って欲しい。