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ウエスタンデジタル、ゲーミンググレードのNVMe規格SSDを発表

3,400/2,800MB/sの爆速読み書きで、PCゲーミングを次の領域へ

5月18日発売予定

価格:14,000円前後(税別、市場想定売価)より

 ウエスタンデジタルは5月17日、ゲーミンググレードのNVMe SSD「Western Digital Black 3D NVMe SSD」を正式発表した。250GB、500GB、1TBの3モデル構成で、価格は250GBモデルで14,000円(税別)前後より。

一回りコンパクトになった「Western Digital Black 3D NVMe SSD」のパッケージ

 「Western Digital Black 3D NVMe SSD」は、グリーン、ブルー、ブラックという3段階あるSSDのラインナップの最上位に位置する「WD Black」の最新モデル。ウエスタンデジタルのNVMe SSDとしては第2世代モデルとなり、同社初のゲーミング向けSSDということで、PCメディアのみならず、ゲームメディアも対象にした事前説明会が行なわれた。

 “最速ストレージ”として呼び声が高いSSD。近年では内蔵、外付け、大容量と用途に合わせて選択が可能となり、PC、コンソールを問わず、わずかな投資で劇的な変化が期待できるアップグレードのひとつとして、年々ゲーマーの利用率も高まっている。

【WDも本格的にゲーミンググレードを投入へ】
メディア向けの説明資料にも「PCゲーム」という言葉を繰り返し使ってアピールしている

「WD Black」シリーズの現行モデルと新モデルの違い
主なコンペティターとなるサムスンの現行モデルとの性能比較

 今回発表されたNVMe SSDは、正確には「NVM Express規格のソリッドステートドライブ(SSD)」の略で、“次世代SSD”として注目を集めているストレージだ。従来のSSDが、接続規格にHDDと同じSATAを採用しているのに対し、NVMeはPCI Expressを採用。これによりSATAの600MB/sのボトルネックの制限を受けず、SSD本来の性能を発揮することができる。その結果どれぐらい速くなったかというと、プレイステーション 4やXbox One、ノートPC等に採用されているSATA接続の2.5インチHDDと比較して“数十倍”速い。

 もう少し具体的に見ていこう。速さの指標となる読み取り速度を比較すると、SATA接続の2.5インチHDDが100MB/s前後、3.5インチHDDが200MB/s前後、そしてSSDが600MB弱なのに対して、NVMe SSDは数年前に登場した第1世代の時点で1,500MB/sとぶっ飛んで速い。しかもNVMe SSDには、前述したようにSATA接続のSSDのように600MB/sの制限がないため、テクノロジーの進化に合わせてどんどん速くなっており、WDの現行モデル「WD BLACK PCIE SSD」で2,050MB/sに達し、そして今回発表された「WD Black 3D NVMe SSD」では3,400MB/s(500MB/1TBモデル)を誇る。SATA HDD比で34倍、SATA SSD比で5倍超、いずれにしてもとんでもない速さなのがわかると思う。

 ポイントなのは、そのとんでもなく速いNVMe SSDが、現実的な価格まで下りてきているということだ。NVMe SSD自体は2013年から徐々に市場に登場してきていたが、10万円を超えるような価格が長らく続き、高嶺の花だった。「WD Black 3D NVMe SSD」の市場想定売価は、250GBで14,000円前後、500GBで26,000円前後、1TBで48,000円前後(いずれも税別)と、かなり現実的な価格帯となっている。この価格設定は、NVMe SSDの分野ではトップシェアを誇るサムスンの「970 EVO」を強くしたものとなっており、ストレージ界のジャイアントが“ゲーミンググレード”を武器にNVMe SSDの分野に本格攻勢を掛けた格好となっている。

【コンペティターとの比較】
読み書きスピード
低電力性と電力効率性

「WD Black 3D NVMe SSD」の説明を行なってくれたウエスタンデジタルジャパン ジャパンセールスストラテジックビジネスデベロップメントシニアマネージャーの牛島学氏

 「WD Black 3D NVMe SSD」の技術面での強みは、SSDアーキテクチャの構成要素であるコントローラー、NAND(フラッシュメモリ)、ファームウェアのすべてを自社開発しているところだ。前モデル「WD BLACK PCIE SSD」がコントローラーがMarvell製だったのに対し、コントローラーを自社開発した上で、SSDアーキテクチャを一から再構築。その結果、PCでは嫌われる発熱と電力消費を極限まで減らし、コンペティターと同等のパフォーマンスを実現しながら、それを上回る低消費電力と低発熱を実現した、としている。この自社開発のSSDアーキテクチャーは、今後、ブルーやグリーンといった他のラインナップにも適用される予定で、「コンペティターに並ぶパフォーマンスと、それを上回る低消費電力と低発熱」がWD SSDのセールスポイントになりそうだ。

 今回、説明を担当して頂いた牛島氏は、「1TBまで用意しているので、ゲーミングPCのブートドライブとして、高速なCドライブとして使って欲しい」と語ってくれた。なお、将来的には2TBモデルを追加する計画もあるという。価格的にはかなり高くなりそうだが、“究極のゲーミングPC”のためには欠かせないパーツとなりそうだ。

【新設計されたSSDアーキテクチャ】

【「WD Black 3D NVMe SSD」価格と仕様一覧】
最上位となる1TBがもっとも高速で耐久性も高い