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【特別企画】「World of Tanks」2018年アップデートプラン詳報

ついにイタリアのP40実装か!? 新エンジン、新マップ、新国家など全面進化の年に

2018年実装予定

 Wargaming.netは12月23日、ロシアモスクワで開催したプライベートイベント「WG Fest」において、PC版「World of Tanks」の2018年のアップデートプランを発表した。新エンジンからボンズの新たな使い道まで多岐にわたるので、本稿ではアップデート内容を要点をまとめてお届けしたい。

【WG Fest 2017: Summary】

 WG Festは、「WoT」がもっとも人気の高い国であるロシアの首都モスクワを会場に、「World of Tanks」の様々な催しが行なわれるオフラインイベント。今年は、Wargaming.net League(WGL)のグランドファイナルや、山岡晃氏が参加した「WoT」サウンドのリミックスコンテスト「Tank Factor」の表彰式およびステージ、そして「WoT」ファン待望の2018年のアップデートプランの発表などが行なわれた。

 2018年でもっとも大きいアップデートは既報のように「World of Tanks 1.0」の導入に伴い、ゲームエンジンが刷新されるところだ。Bigworld TechnologyのBigworld Engineから、自社開発のCore Engineに入れ替わる。Bigworld Engineは、「WoT」初期から使われ、姉妹作である「World of Warships」にも採用されている実績のあるゲームエンジンだが、Wargamingが求める次世代「WoT」を実現するためには、ゲームエンジンをフルスクラッチで開発する必要があると判断し、長年に渡ってミンスクで開発が進められてきた。ここ数年、グラフィックス 2.0、ミュージック 2.0、HDマップといったネーミングでWargamingが発表してきたものは、すべて「WoT 1.0」に収斂させる形ですべて一気に実装される。

 Core Engineは、現行のゲームグラフィックスでは標準となりつつある4K/HDRに対応し、オブジェクトはHavok処理で破壊可能、ブルーム、ゴッドレイ、スクリーン空間の反射処理など多彩なポストエフェクトに対応。より現実世界に近いビジュアル表現が可能となった。その一端は、ゲームプレイトレーラーや、「WoT 1.0」のベンチマークソフト「World of Tanks enCore」で確認することができる。

【World of Tanks 1.0. March 2018. Gameplay Trailer】

 マップもすべてHDクオリティに刷新され、25種類以上を一気に実装する。長年の課題としてきたマップごとのゲームバランスについても調整を行ない、具体的には「猟師の港 (Fisherman's Bay)」、「ルインベルク (Ruinberg)」、「ピルゼン (Pilsen)」、「エーレンベルク (Erlenberg)」、「ステップ (Steppes)」、「ハリコフ (Kharkov)」については、HD化に加えて、基本デザインも修正を行ない、よりバランスの取れた戦いを実現する。

 すべてのマップに共通していることだが、グラフィックスが大幅に強化されただけでなく、マップ外の描写も強化されたため、どのマップも雰囲気が劇的に進化している。湖の村などは、マップ東側に山岳の描写が追加され、ヨーロッパの湖畔の雰囲気が見事に表現されている。

【修道院での新旧エンジン比較】
上が現行「WoT」の修道院、下が「WoT 1.0」の修道院。中央の修道院から西ラインと中央ラインの間にある浅い水域を写したものだが、ディテールの描写が格段に進化しているのと、遠景が丸々追加されているのがわかる

【HDマップ】
マリノフカ
ヒメルズドルフ
プロホロフカ
湖の村
ルインベルク
ヒルズ
ムロヴァンカ
エーレンベルク
修道院
デザート
エル・ハルフ
フィヨルド
レッドシャイア
ステップ
猟師の港
コーカサス
マンネルハイムライン

 サウンドについても刷新される。「WoT 1.0」からは各マップの立地条件を反映させたものとなり、「ゴーストタウン」ではカザフスタンの伝統的な楽器を使ったBGMとなり、「砂の川 (Sand River)」、「飛行場 (Airfield)」、「エル・ハルフ (El Halluf)」といったデザートマップでは、アラブの音楽が採用される。「山岳路 (Mountain Pass)」では、グレゴリオ聖歌、「聖なる谷 (Sacred Valley)」では牙箏や笛子、太鼓といった韓国の伝統音楽が採用され、山岡晃氏が手がけた日本向けのマップも盛り込まれる見込みとなっている。

 この「WoT 1.0」では、グラフィックスの向上により、ハードウェアへの負荷が高まるため、既存のPCでも動作するようにプログラムの最適化が図られている。基本設計としては、現在「WoT」が動いているPCなら、同等以上のグラフィックスで「WoT 1.0」も楽しめるようにする、というもの。もちろん、最高設定かつ4Kで動作させるためには、今以上のPCが必要となる。手持ちのPCが、「WoT 1.0」でどの程度のパフォーマンスが出せるかは、「World of Tanks enCore」で確認するのが一番速い方法だ。

 「WoT 1.0」以外の発表では、ロシアのイベントらしくソ連技術ツリーの見直しが発表された。Tier VIII~X帯の駆逐戦車、中戦車、重戦車のツリー構成を再調整、もしくは追加するというもので、Object 268 Variant 4(駆逐戦車)、Object 430U(中戦車)、Object 705A(重戦車)といったTier X戦車が新たにお目見えする。

【ソ連新Tier X車輌】
Object 268 Variant 4(駆逐戦車)
Object 430U(中戦車)
Object 705A(重戦車)

 そのほかの車輌の調整では、マッチング優遇を備えたプレミアム車輌の見直しが発表されている。マッチング優遇を備えたプレミアム車輌は、マッチングに優遇措置を付けることでそのバランスを維持してきたが、同Tier帯車輌との性能格差が大きくなってきたため、“複合的な解決案”を検討中としている。

 新モードについては、グランドバトルに続く、新たな30対30バトルとなるフロントラインを2018年に実装する計画を明らかにし、ランク戦にさらなる調整を加える方針を発表している。

 「WoT」ファンが気になる新規ツリーについては、ヨーロッパの2つの国家の技術ツリーを実装するとアナウンス。どの国かについては明らかにしていないが、上記「WG Fest 2017: Summary」トレーラーには、イタリアの戦車メーカーフィアット・アンサルドの車輌が確認できる。さらに「まったく新しいゲームメカニクスを搭載する」としており、イタリアツリーに合わせて、スウェーデン駆逐戦車のモード切替のような新基軸が盛り込まれる模様だ。もうひとつの新国家は、Gamescomインタビューでも「WoT」マーケティングディレクターMaxim Chuvalov氏が語っていたように、ポーランドになる可能性が濃厚だ。

 そのほかにもボンズ周りの仕様拡張や、カスタマイズシステム、イベントアクティビティについて紹介されている。詳細については公式ページを確認して欲しい。

【イタリアのP40?】
ボギー式のサスペンションが特徴的なイタリア車輌