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【特別企画】楽しく遊ぶための「World of Tanks Console」ビギナーガイド

5,000戦を突破した筆者が、初心者/復帰者がつまずくポイントと“モノの考え方”を解説

 GAME Watchでは、「World of Tanks」の短期集中連載「突撃!戦車道」(第1回第2回第3回)や、現在も不定期で「『ガールズ&パンツァー』好きなら「World of Tanks」に来い!」(連載バックナンバー)をお届けしている。前者は純粋な戦術論で、敵を撃破するための具体的なテクニックの紹介、後者は大人気戦車アニメ「ガルパン」ファンに向けたゲームガイドとなっている。「World of Tanks」ビギナーにとっては、いずれも大変有用でためになる内容になっていると思うので、ぜひそちらも合わせて参照していただきたいが、筆者自身、“仕事”と称して5,000戦ほどやりこんでみて見えてきた別の風景がある。それは勝ち負け以外の、撃破した撃破されたを超越した、純粋な戦術論やファン向けのガイドでは書かれてこなかった、「あ、こういうことなんだ」という“ものの考え方”というべきものだ。

 「World of Tanks Console」もサービス開始から3年、PC版から数えると実に7年が経過しているため、攻略情報そのものは、WEBで調べれば幾らでも載っているし、優れたWikiや、熱心な個人ブログも多数存在する。そもそも筆者は「俺と一緒に、トップランカーを目指そうぜ!」と、偉そうに戦術を語れるほど腕達者でもない。ただ、がっつきもせず、離れもせず、マイペースで1年遊び続けてきた筆者だからこそ伝えられる情報もあると思っている。

 そこで本稿では、5,000戦を経てようやくたどり着いた“ものの考え方”にフォーカスしてビギナーガイドをお届けしたい。このビギナーガイドは、文字通り、始めたばかりのビギナーさんだけでなく、「よし、そこまで言うなら久々に再開してみようか!」というカムバックした方も対象にしている。ゲームの紹介そのものは、レビュー記事にまとめているので、ぜひ合わせて最後まで読み進めてみて欲しい。

始めるならアメリカもしくはソ連がオススメ! Tier帯によって異なるプレミアム車両の効能

 このゲームでは、まず始める国を決める必要がある。搭乗員やパーツの研究開発は国単位で共通となっているため、基本的には同じ国のツリーを伸ばしていくのがセオリーだ。

 その上でまず始める国の選び方だが、アメリカかソ連をオススメしておきたい。それぞれの車種にクセが少なく、乗りやすいため、各車種の本来の役目を果たしやすいからだ。筆者が大好きなドイツは、素敵性能(見た目の格好良さ)はダントツ1位、狙った位置に射撃する命中精度もダントツ1位だが、性能にクセがありすぎる。

 重戦車は同Tier比で肝心の火力がいまいちだったり、ティーガーIのように同Tier重戦車比で装甲が薄かったり、中戦車は、単発ダメージが低かったり、隠蔽率が低かったり、駆逐戦車も主砲も装甲も中途半端で、とにかく戦いづらい。逆にドイツで修行を積んでおくと、他国に移ったときに楽々乗れていきなり勝ちまくれるというメリット(筆者の場合そうだった)もあるが、ゲームに慣れない段階から活躍できないのは辛いので、まずは米ソのいずれかを選んでおくといい。

【アメリカ・ソ連ツリー】
アメリカは、TierIから中戦車が選択できる。実はこれはコンソール版の仕様で、中戦車、重戦車を目指す人は、最初から中戦車のT22 Protoを選択すると良いだろう
ソ連は軽戦車から中戦車、重戦車と進化していく。速度、装甲、火力とタイプ別にツリーが構成されているため、プレイスタイルに応じてツリーを進めやすい

 次に大事なのがプレミアム車輌、いわゆる課金戦車との向き合い方だ。「WoT」は基本プレイ無料のアイテム課金制のゲームであるため、Wargaming.netが収益を上げる方法の1つとして、定期的に新プレミアム車輌を販売したり、不定期で過去に販売したプレミアム車輌を再販でセールしたりしている。「WoT」をプレイすれば日常的に目にすることになるだろう。大事なのは、その向き合い方だ。プレミアム車輌は奥が深い要素で、向き合い方によって「WoT」ライフは大きく変わる。ビギナーを対象に、筆者がオススメするプレミアム車輌の傾向とその理由をレクチャーしたい。

【プレミアム車輌】
ショップでは常に様々なプレミアム車輌が販売されている。常にチェックしてお得なセールやレア車輌を逃さないようにしたい

 まず大前提としてプレミアム車輌は強くない。同型の通常車輌と比べると、各パーツの性能が劣る場合がほとんどで、むしろ弱いケースの方が多い。せっかく虎の子の現金を投入しても勝てるようになるわけではないのだ。

 では何が勝っているかというと、第1に見た目だ。特殊な塗装を施されたスペシャルバージョンやオリジナル車輌である場合が多く、4月に再販された「ガールズ&パンツァー」仕様のIV号戦車、6月に発売が予定されている「戦場のヴァルキュリア」コラボ車輌などはその最たるものだ。

【日本発のコラボ車輌】
Pz.Kpfw. IV Ausf. H GuP(アニメ「ガールズ&パンツァー」より)
エーデルワイス(「戦場のヴァルキュリア」より)
ネームレス(「戦場のヴァルキュリア3」より)

 第2に獲得シルバーや経験値にボーナスが設定されているため稼ぎやすい。これは言い換えれば、あらかじめ得られる収益を見越して課金弾(ゴールドで購入できる高性能の砲弾、1ゴールド:400シルバー換算でシルバーで購入することもできる)を使いやすい車輌という言い方もできる。課金弾は、通常のAP弾と比較して、貫通力の高いAPCRやHEATといった弾が選べるため、APより有利に戦いを進めることができる。

【プレミアム車輌ボーナス】
プレミアム車輌のボーナスは、車種、Tierによって異なる。ちなみにシルバーボーナスの最高額は、このTierVIII重戦車Loweの65%

 第3に、搭乗員の訓練レベルを最初から100%の状態で始めることができる。通常車輌で無料で雇用できる搭乗員は訓練レベルが50%だが、これは100%を基準に、各搭乗員(車長、砲手、操縦手、無線手)の能力が半分に落ちた状態となる。車長なら視界、砲手なら精度、操縦種なら旋回性能、無線手なら通信距離といった具合で、特にビギナーには結構痛い要素だ。ちなみに通常車輌で100%の搭乗員を雇用するとTierに応じてゴールドが掛かる。それが節約できるのは大きい。

 第4に、購入した時点から研究開発が完了済みとなっている。通常の車輌は、各パーツの開発を数段階に渡って研究する必要があるため、100%の性能を発揮できるようになるまで数十戦、場合によっては100戦以上乗る必要がある。課金戦車は最初から研究開発が完了して、その車輌の性能が100%発揮できる状態になっているため、すぐフルパワーで戦える。このとっつきやすさはまさにビギナー向きだ。

 これらを踏まえた上で、Tier帯別のオススメの向き合い方をレクチャーしたい。まず、低Tier帯(II~IV)は、おおむね1,000ゴールド以下と価格も安く、100%搭乗員が無料で付いてくることも含めると非常にお買い得なので、車種別に数輌購入してトレーニングに使うと良いと思う。

 筆者もアメリカTierIII軽戦車Locustや、ドイツTierIII軽戦車T15を始めたばかりの頃に購入し、今でも愛用している。AP弾の貫通力が劣るため全弾課金弾で運用しているが、それでもシルバーボーナスがあるため黒字になる。TierIIIからOps(ミッション)の対象となるためIII以上の車輌がオススメだ。

【低Tier帯オススメ車輌】
ドイツでまず手を出したいプレミアム車輌はズバリTierIII軽戦車T-15。視界が広く、偵察に向いている。T-15で活躍できるようになれば軽戦車乗りとして一人前だ
ソ連TierIV軽戦車VALENTINE II。重戦車並に装甲が厚い上、+0の優遇マッチング付きで、上位Tierとマッチングしない

 中Tier帯(V~VII)は、いきなり前言を翻すようだが、“強い課金戦車”が増えてくる。その“強さ”にはいくつかの種類があるが、ひとつは特定のプレミアム車輌に付与されたマッチング優遇、もうひとつは純粋に強いレア車輌だ。

 まず、マッチング優遇については、プレミアム車輌に与えられた大きな特典のひとつだ。「WoT」では、自車両から見て±2のTier範囲でマッチングが組まれる。自車両がTierVならTierIIIからVIIの範囲、VIIならTierVからIXまでの範囲でマッチングする可能性があるわけだ。

 どんなに優れた車輌でも上位Tierと比較すると劣ってしまうのが「WoT」の宿命だ。ティーガーIは間違いなく優れた重戦車だが、その上位TierのティーガーIIとは正面切って戦ってもまず勝てないし、さらにその上のE 75になると、自慢の88mm主砲を貫通させることすら難しくなる。ところが「WoT」のルール上、そういう戦いは日常的に発生する。そのTier差を+1、場合によっては+0まで優遇してくれるのがマッチング優遇だ。マッチング優遇により、車輌の性能は同Tier比でやや劣るとしても、上位Tierと当たる機会が減ることで、相対的に活躍しやすくなるというわけだ。マッチング優遇があるかどうかは車輌によって異なるため、購入する前に必ずチェックしておきたい。

 次に強い課金戦車については、筆者はドイツ戦車ファンのため、またしてもドイツを例にさせていただくが、V号戦車の車体に、IV号戦車の砲塔を搭載した「Pz.Kpfw. V/IV」は、TierVにしてTierVIを上回るHPと装甲を備えており、単純に強い。上級者が乗りこなすとまさに無双状態になる。それからソ連のKV-1を鹵獲して改造したという設定の「Captured KV-1」は、なぜか本家KV-1よりHPもエンジン出力も高い。それからドイツのE計画の一端を担う駆逐戦車E 25。TierVII最小ボディで、隠蔽率は軽戦車を上回るという忍者のような車輌だ。最後に筆者がもっともお気に入りなのがTiger 131。英国ボービントンにある戦車博物館に実在する、世界で唯一稼働可能なティーガーIをそのまま再現したものだ。主砲や迷彩も実物と同じ設定で、通常のTiger Iの最終状態より一世代古いものの、マッチング優遇でTierVIIIまでしか当たらないため活躍しやすく、シルバーボーナスも高いため稼ぎやすい。

 こうした“強い車輌”の多くはレア扱いとなっており、各種キャンペーンや記念日に期間限定で販売される。このTier帯になると価格も3,000~8,000ゴールドと一気に跳ね上がるため、ゲームに慣れてきたところで、高Tier帯を目指してジャンプアップを目的に1~2輌の購入が吉だ。

【中Tier帯オススメ車輌】
コンソール版ではおそらく最強の中戦車Pz.Kpfw. V/IV。パンターの車体に、IV号戦車の砲塔を搭載し、TierVなのに、IV並の性能を備える
コンソール版では都合3種類目のティーガーとなるTiger 131(TierVII重戦車)。主砲は最終段階のTiger Iより1つ手前だが、貫通が高く設定されており、マッチング優遇も持つ

 高Tier帯は(VIII~X)は、コンソール版ではまだTierVIIIまでしかプレミアム車輌が存在しないため、実質TierVIIIのみということになるが、もっとも要注意のTier帯だ。大前提として、高Tierは、TierXを揃えた上級者が集うヘビー級のマッチングになるため、ビギナーが参戦してもそうした猛者たちのエサになるだけだ。ビギナーが乗るTierVIIIでは、TierXマッチになったらまず活躍できないし、TierVIIIマッチでも、その役割は重くなるため、簡単に撃破されると味方が迷惑してしまう。だから、ビギナーはこのTier帯の戦車は買ってはいけない!

 と、偉そうなことを書いているが、何より筆者自身がそのミスを犯した人間だったのだ。Wargaming.netのイベントで、中国のTierVIII中戦車Type 59が獲得できるクーポンコードをゲットした。当時TierVIぐらいまでしか持っておらず、何よりType 59は、上記で取り上げたようなマッチング優遇のついたレア車輌だ。喜び勇んでType 59に乗り込んだのだが、これがもうまったく活躍できなかった。こちらの弾は貫通しないのに、敵はどんどん貫通してきてすぐやられてしまう。それは単純に自分が敗北したというだけでなく、チームメンバーに迷惑を掛けている行為だと知り、しばらくType 59は封印した。今ではそこそこ乗りこなせるようになっているが、初期の成績が酷すぎたため、今でも高Tier帯での戦績はもっとも悪い。ビギナーはTierVIIIのプレミアム車輌に乗ることだけは避けるべきだ。

【高Tier帯オススメ車輌】
Type 59は実は強い。だからキャンペーンの景品として採用されているわけだが、その強さを発揮するためには、硬い砲塔を活かしたハルダウン戦法の習得が必要不可欠だ
見た目はナイスだが、弱いことで有名なカノーネンヤークトパンツァー。使い方によってはしっかり稼げる知られざる名車だと思う

 筆者が考える高Tier帯プレミアム車輌の効能は強さよりも稼ぎだ。筆者お気に入りのTierVIII戦車は、これまたドイツになるが、Kanonenjagdpanzer(カノーネンヤークトパンツァー)だ。駆逐戦車なのに、ダメージ、貫通力、DPM(1分間当たりのダメージ量)が最低ランクで、この車輌が実装されてから2,000戦ぐらいは戦ってると思うが、自分以外使っている人を数回しか見かけたことがないというぐらい不人気車輌だ。

 しかし、稼ぎのベースとなるAP弾の貫通力は238と平均以上にあり、最高速70kmと信じられないほど高速で走行できるため、発見されても戦場の転換が容易に行なえ、場合によっては偵察行為もでき、駆逐戦車なのに支援ボーナスをガンガン取るという、駆逐戦車らしからぬ活躍ができる。筆者はこの車輌を素敵性能の高さのみを理由に、車庫で愛でる目的で購入したが、通常車輌で「トントンか1万シルバープラスぐらいかな?」という感じでバトルを終えても、10万シルバーぐらい稼げたりしていて、その稼ぎっぷりに驚いて、シルバーが足りなくなったらちょくちょく乗るようにしている。

【TierVIIIプレミアム車輌は稼げる!】
左は8,8cm Pak43 Jagdtiger(ドイツTierVIII駆逐戦車)、右はカノーネンヤークトパンツァー(ドイツTierVIII駆逐戦車)だが、共通点はしっかり活躍すれば稼げること。高Tierバトルは、課金弾が普通になるため、プレミアムアカウントでも赤字ということが増えてくる。稼げる車輌を持っておくことは重要だ

 まとめとしては、高Tier帯のプレミアム車輌は基本的に高額(7,200~15,000ゴールド)で、常時ハイレベルなバトルに投入されることになるため、イベントで獲得したものを乗ることはあっても、費用対効果から考えても買う必要はあまりないと思う。ただ、筆者のように、見た目から攻めたい戦車好きや、「高Tier帯のシルバー枯渇問題をどうにかしたいんだよねぇ」という方は、自身のバトルスタイルに合った1台を持っておくと、日々の戦車ライフがグッと楽に、より楽しくなると思う。ぜひプレミアム車輌を賢く活用して、脱ビギナーを目指して頑張って欲しい!

【最近のお気に入りはM41 Brazilian Bulldog】
5月に実施された獲得Ops「アメリカンドリームマシン」でゲットした「M41 Brazilian Bulldog」(アメリカTierVIII軽戦車)は、コンソール版オリジナル車輌のひとつ。アメリカTierVIII軽戦車で乗り心地は上々、稼ぎもなかなかだ