【名作発掘】「World of Tanks Console」レビュー

World of Tanks Console

あなたが知らない(かもしれない)もう1つの「WoT」
HD化、4K化、そして吹雪に砂嵐! 3年間の劇的な進化をレビュー

ジャンル:
  • ゲーム
発売元:
  • Wargaming.net
開発元:
  • Wargaming.net
プラットフォーム:
  • Xbox 360
  • Xbox One
  • PS4
価格:
基本プレイ無料(アイテム課金制)

発売日:
2014年2月13日

 オンラインタンクバトル「World of Tanks」の姉妹作コンソール版「World of Tanks Console」が正式サービス開始から早くも3年が経過した。2016年にはXbox 360版、Xbox One版に加えて、新たにPS4版も登場し、3つのゲームプラットフォームで展開されている。筆者はPS4版から本格的にプレイし始め、11月からはPS4の上位モデルであるPS4 Proに環境を移し、さらに輪を掛けてタンクバトルを楽しんでいる。筆者は、PC版を皮切りに、コンソール版、そしてモバイル版「World of Tanks Blitz」まで一通りプレイしていて、さらにWargaming.net League(WGL)の観戦者のひとりだが、遊ぶ方はすっかりコンソール版がメインになってしまった。

 「WoT Console」を丸1年みっちり遊び続けてきて、個人的にはそのポテンシャルをまだ十分に認知されていないタイトルだと感じている。その理由は、大規模な世界大会「The Grand Finals」が毎年開催され、ゴールドリーグに所属するプロゲーマー層を頂点に、世界中に凄まじいユーザーを持つPC版の存在感が良くも悪くも大きすぎること。それから手元のスマートフォンで場所を問わず手軽にタンクバトルが楽しめるモバイル版が「WoT」の本質だけを抜き出した優秀なタイトルであるがゆえに、その間に挟まれて今ひとつ影の薄い存在になっているためではないかと思う。

 個人的にはもっと「WoT Console」を多くのゲームファンに知って欲しいし、新しいユーザーと共にもっともっとゲームを盛り上げていきたい! そこでGAME Watchでは、「WoT Console」について、全3回に分けてその知られざる魅力、真のポテンシャルを明らかにしていきたい。

 第1回目は、まずは「『WoT Console』って何?」、「前にちょっとだけ遊んでPC/モバイル版に戻っちゃった」という方のために、最新情報をふんだんに交えながら「WoT Console」のレビューをお届けしたい。第2回は、「『WoT Console』はおもしろいんだけど、全然勝てないんだけど?」というビギナーのために勝つことより楽しむことを重視した“モノの考え方”をレクチャーし、第3回では、「WoT Console」が持つ独自の魅力、そのディープな楽しみ方をご紹介したい。

そもそも「World of Tanks Console」とは何なのか?

フランスのルノーFTからドイツのレオパルド1まで、150年以上の戦車史をカバーしている

 それではまずは「World of Tanks Console」とは何なのか、そこから紹介していきたい。「World of Tanks Console」は、ベラルーシのミンスクに本拠を置くWargaming.net(現在はキプロスのニコシアに移っている)が開発したPC向けオンラインタンクバトル「World of Tanks」のコンソール版だ。2010年のPC版からリリースから4年後の2014年にXbox 360版、2015年にXbox One版、2016年にプレイステーション 4版と次々に対応プラットフォームを増やしている。コンソール版の開発は、米国シカゴで行なわれており、PC版とは別々に開発が進められている。車輌データは共有しているものの、基本的にはフルスクラッチで開発された別バージョンだ。

 その「World of Tanks」は、初めて砲塔を備えた“現代戦車の元祖”と言われるルノーFTから、いわゆる“第2世代主力戦車”の代表格であるレオパルド1のような戦後車輌まで、年代にして1917年から1960年台まで、戦車がもっとも目まぐるしく進化を遂げた時代をモチーフに、それらを性能別に10のTierに分け、Tier別の対戦を実現したゲームだ。登場する国は、戦車大国であるドイツ、ソ連、アメリカの3カ国を筆頭に、戦車の母国であるイギリス、同様に古い歴史を持つフランス、そして戦車史的には後発となる日本、中国、チェコスロバキアの8カ国(PC版は先行してさらにスウェーデンも追加された)におよび、戦車の数は400以上に達する。

 主要3カ国の戦車ツリーを見ると、その枝葉の複雑さ、車輌の多さに衝撃を受けるはずだ。小さい頃にティーガーIのプラモデルを作ったり、戦車戦のボードゲームを遊び込んだり、「『アドバンスド大戦略』で100年戦争したもんだ」、というような往年の戦車ファンですら、まったく未知の戦車や、ドイツのEシリーズのような幻の戦車が幾らでもあり、その広大な戦車ユニバースに興奮を覚えるはずだ。少なくとも筆者はそうで、ドイツ TierIの軽戦車ライヒトトラクトーアから、TierXのレオパルド1まであれこれ寄り道しつつ1年掛けて到達できたときは、ゲーム人生において3本の指に入るぐらいの達成感があった。このペースで行くと、全国家のTierXを極めようと思ったらその前に人生が終わってしまいそうな気がするが、「World of Tanks」とはそれぐらい壮大なゲームなのである。

 コンソール版に話を戻すと、このコンソール版は、基本プレイ無料、15対15というゲームの基本構造はそのままに、ゲームコンソールで快適に遊べるように最適化が図られている。この点、モバイル版「World of Tanks Blitz」は、スマートデバイスの性能や、モバイル環境でのプレイといった点を考慮して、コンパクトなマップによる7対7の対戦で、バトルバランスを考慮して自走砲は登場しないなど基本構造が大きく変わっていることと比較すると、「WoT Console」はあくまで最適化であり、基本的には同じ内容のタンクバトルが楽しめるところが大きな特徴となっている。一部、「コンソール版はPC版のライト版」という誤解があるが、そうではなく、むしろ最適化の過程で、PC版より優れている部分も数多くあり、それがコンソール版独自の魅力になっている。

【戦車ツリー(ドイツ)】
TierI~III。軽戦車、中戦車、駆逐戦車、自走砲の4種から枝分かれしていく
TierIV~VI。重戦車が登場し、IV号戦車やヘッツァー、III号突撃砲など、有名な戦車が次々に出てくる
TierVII~IX。筆者が主戦場としているTier帯。ティーガーやティーガーII、ヤークトティーガーなど、戦争後期の戦車たちが登場する
TierVIII~X。伝説の重戦車マウスを筆頭に、計画のみ、あるいは戦後の車輌が登場する

魅力の詰まったコンソール版独自の“最適化”

 では、その“最適化”とは何なのか。基本的にはPCからゲームコンソールへの移行に伴う環境の変化に対応させたものが大部分を占め、PCモニターからTVモニター、マウス/キーボードからゲームコントローラーへの変化に合わせた改良がほどこされている。

 もっとも異なるのはUI周りだ。PC版では、マウスクリックひとつで、戦車を選び、弾薬、消耗品を補充し、パーソナルミッション(達成すると報酬が獲得できる個人用のミッション)や、パーソナルリザーブ(一定時間経験値ボーナスなどが得られる消費アイテム)をチョイスして戦いに挑む。バトルにおいても、W、A、S、Dキーで車輌を操作し、マウス操作で視点変更や照準、そして射撃まで行なう。このマウス操作は、非常に直感的でわかりやすく、PC版最大のアドバンテージといっても過言ではない。

 ところがコンソール版ではその肝心のマウスがない。車輌操作を行なうキーボードもない。このため、ゲームコントローラーだけでもまったく同じ操作が行なえるように、UIを大幅に変えている。結果として簡略化されている部分もあるため、「コンソール版はPC版のライト版」と一部で誤解されているのはそのためだ。

 メニュー周りの違いについては実際のスクリーンショットで見て貰うとして、ここでは機能的な部分について見ていきたい。ただ、その違いについて書き出すと膨大な量になるのでここでは代表的なところのみに留めたいが、まずメインメニュー周りでは、車輌のアップグレードパーツは、砲塔、手法、エンジンといった“パーツ単位”ではなく、それらをいくつか束ねた“パッケージ単位”になっている。

【パッケージ単位】
これがIV号戦車「Pz. IV H」のパッケージ。前モデルのD型がE型まで進化しているので、F2から始まり、G型を通ってH型に進化する
これはティーガーIIのパッケージリスト。初期型はポルシェ砲塔だが、ヘンシェル砲塔に進化することで、装甲が大幅に厚くなることがわかる

 この効能は、3つある。1つは何と言っても煩雑な操作を必要としないところだ。PC版ではアップグレードは、パーツ毎のツリー構造になっていて十字キーによる操作だと非常に煩雑になるが、コンソール版は基本的にパッケージ単位で1ラインがあるだけだ(場合によっては枝分かれすることもあり)。そのパッケージをすべて開発すれば、次のTierの戦車の開発が可能となり、コントローラー操作でも煩雑さは一切感じない。

 もう1つは、ビギナーにとってわかりやすいことだ。PC版はパーツ単位でアップグレードできるため、好きな順番で自分好みの改良が行なえる反面、初心者には非常に敷居が高いものになっている。たとえば、「戦車のアップグレードはまずは火力強化からだ!」と思っても、車輌によっては履帯の積載量制限に引っかかって、まずは履帯からアップグレードしなければならなかったりするが、そこがわかりにくい。これに対してコンソール版は、経験値とシルバーを貯めて次のパッケージを購入することで、誰でも迷わず車輌を強化することができる。

 そして最後の1つが重要で、パッケージ名がカッコイイのだ。戦車のみならず、戦艦、戦闘機、あらゆる兵器は複数の進化/改良型が存在するが、パッケージ名には、実際の型番が付けられているのだ。たとえば、有名はドイツのIV号戦車を例に採ると、IV号の名前を冠した車輌は、Tier別に「Pz.IV A」、「Pz.IV D」、「Pz. IV H」の3輌が用意されている。これはPC版、コンソール版も同一だ。しかし、実際にはIV号戦車はAからJまで型番が存在する。ゲームでは、すべてを車輌化していると数が膨大になりすぎるため、メジャーなバージョンを幾つかピックアップしているわけだが、コンソール版では、パッケージ名としてその“欠番”が採用されているわけだ。「よし、履帯を強化したぞ!」よりも、「G型からH型に進化したぞ!」という方が気分も違うというものだ。個人的にはすこぶるお気に入りの部分である。

 また、搭乗員も、“個人単位”から“チーム単位”に簡略化されている。これによって、車長や砲手などロール個別のスキル習得や、車輌を乗り換える際に定員が異なる場合の補充といった手間が必要なくなっている。PC版ユーザーからすると、とてもお手軽に感じられるはずだ。

【搭乗員】
搭乗員はチーム単位となる。ただし、戦場での負傷判定は個別に行なわれ、特定の搭乗員が負傷することで、対応したスキルが使えなくなる点は同じだ

 搭乗員に関しては、もうひとつ、コンソール版独自の「発見!」機能が付与されている。これは、車長必須のスキルである「第六感」の簡易版といったもので、自車両が敵から発見されたことを、第六感を持っていない状態でも認識することができるというものだ。個人的には、第六感は、標準装備にして欲しいと思うぐらいの有用なスキルで、むしろビギナーにこそ必須のスキルと思っているので、この機能はとてもいいと思う。PC版で、新しい車輌を新しい搭乗員で乗り出すと、いきなり一方的に撃たれて撃破されるという経験があるはずだ。「発見!」は、第六感より性能的に劣るものの、そのような新しい車輌で、敵が見えない状態からいきなり撃たれて撃破されるということが少なくなる。

【発見!】
コンソール版では、敵に見つかると左下に「発見」が表示される。第六感より性能は低く、第六感が反応してから3秒後に表示される。ただ、ビギナーにはありがたい機能だ

 最後に、PC版と比較して似て非なる部分としては、オートエイム機能の違いが挙げられる。「World of Tanks」にはエイミングをサポートするオートエイム機能が搭載されているが、PC版は敵車輌をレティクルで捉えてから右クリックする、つまり敵車両を右クリックすることで、その車輌に狙いを固定できるという機能だ。これに対してコンソール版は、ゲームコントローラーの左右アナログスティックで、車輌の操縦と視点(主砲の旋回)の変更を同時に行なうという構造上、機動戦を行ないながら敵に狙いを付け続けるという操作が非常に難しい。そこでそういった操作をサポートするためにオートエイムがより使いやすくなっている、具体的には敵を視界に納めた時点でボタン(PS4ならR1、XboxならRB)を押すことで、スッと照準が敵車両に移動してくれる。

 PC版同様、偏差射撃には対応していないため、高速で動く相手には効果がなく、狙う位置も敵戦車のど真ん中、つまり戦車がもっとも硬い傾斜装甲の位置になるため、戦車の装甲が厚くなる中位Tier以降では効果が薄くなるが、「戦車を操作してたら、狙いを付ける余裕がないんだけど?」、「PC版みたいに、逃げながら後ろに向けて撃つのはどうすればいいの?」といったビギナーは特に有用だ。ちなみに、スナイパーモード(1人称視点)でエイミング操作をサポートしてくれる「照準アシスト」という機能も搭載されているが、慣れてくるとメリットよりもデメリットの方が多く、エイミングの上達を阻害するため、ある程度慣れてきたオフにすることを強くオススメしたい。

 長々と書いてきたが、コンソール版は、UI周りが大幅に簡略化され、PC版と比較してわかりやすく遊びやすくなっているということを覚えておいていただければと思う。

【ユーザーインターフェイス】
ゲームコンソールに最適化されたUI
標準アシストはオフがオススメ

微妙に異なる各コンソールバージョン。特に課金周りの違いには注意!

 次に、Xbox版(Xbox One、Xbox 360)とPS4版の違いについて紹介しておきたい。まず大前提としてゲーム内容に違いはなく、基本的には同じだ。ただし、サーバーやアカウントは別扱いで、XboxのデータをPS4に移行する、あるいはPS4からXboxにデータを移行したりすることはできないし、XboxとPS4の間でのクロスプラットフォームプレイもできない。ゲームとしては同じものだが別々のサービスとして運営されている。

 余談だが、以前、Wargamingにクロスプラットフォームプレイの実現可能性について質問したところ、技術的な問題ではなく、Xbox側のレギュレーションの事情でできないという話だった。今後そのレギュレーションが変わり、PS4とXbox One(あるいはその次世代機であるProject Scorpio)とのクロスプラットフォームプレイが実現すれば、コンソール版がより盛り上がることは間違いないだろうし、対戦相手が増えることはすべてのコンソール版ユーザーが望んでいることだから、ぜひとも実現してもらいたいと願っている。

 話を戻そう。プラットフォームによって大きく異なるのはグラフィックス周りで、今や旧世代となってしまったXbox 360版を起点に、Xbox One版およびPS4版はHD化が図られており、PC版と同等のグラフィックスに引き上げられた。具体的にはテクスチャ解像度がPC版同等の8倍になり、ポリゴン数も増大し、光源・フォグ処理も行なわれている。そこからさらに強化を図ったのがPS4 Pro版で、フルHD(1,920×1,080)から4K水準(3,200×1,800)まで解像度が上がり、より細かいアンチエイリアス、そしてHDRライティングが適用されたことで、さらに美しいグラフィックスでゲームが楽しめる。

 コンソール版の大きな魅力は、ずばりPS4 Pro対応による4K化だ。筆者は、冒頭でも触れたようにPS4 Proでプレイしているが、グラフィックスについてはPC版よりも美しいと思う。単にグラフィックスが4K化されただけでなく、コンソール版にはもともと天候、昼夜、季節の概念が存在し、同じ戦場、同じ車輌構成でも、まったく異なるタンクバトルが繰り広げられる。そうした多様性がグラフィックスの美しさに拍車を掛けている。

【グラフィックスの違い(左 PS4、右 PS4 Pro)】
同じマップ、同じ天候で撮影したものだが、まったく同じではないので参考程度に留めて置いて貰いたいが、4K対応によって解像度が上がっただけでなく、ビジュアルにも変化があることがわかると思う

 夜戦になればフィールドが見えづらくなり、吹雪や砂嵐、台風が発生すると、視界や索敵範囲が狭まり、鉄の猛獣たちが超近距離で打撃戦を繰り広げるなど、多様性のあるバトルが繰り広げられる。ちなみにグラフィックスアップデートはPC版でも定期的に実施されており、今後、現状のPS4 Proを上回るグラフィックスになることは間違いないが、天候、昼夜、季節の概念はゲームデザインに組み込んだ要素として簡単に導入できるものではないため、コンソール版独自の要素として、今後も大きなアドバンテージとなり続けるはずだ。ぜひ美しいグラフィックスによる多様なシチュエーションの表現は、新規ユーザーのみならず、PC版のユーザーにも体験して貰いたいところだ。

【多様なシチュエーション】
夜+雨
砂嵐
吹雪

Xbox版は、オンラインプレイにXbox LIVEゴールドメンバーシップが必要になる

 もう1つ小さいが見逃せない違いが、サービス提供形態の違いだ。Xbox版は、オンラインマルチプレイを楽しむためには有料のXbox LIVEゴールドメンバーシップが必要なのに対して、PS4版はオンラインマルチプレイにPS Plusの加入は必須ではない。わかりやすくいえば、Xbox版はオンラインプレイは有料、PS4版は無料だ。その代わり、プレミアムアカウントやプレミアム車輌の購入に使用できる仮想通貨「ゴールド」や、現金で直接購入できる追加アイテム(戦車、消耗品、戦車ガレージ等)の価格は、Xbox版のほうが安い。実に2割以上価格設定が異なり、XboxからPS4に移行した人が最初に驚くのはゴールドの高さだ。ただ、PS4版はPC版同様、無料でオンラインプレイが楽しめる。これはこれで大きなアドバンテージだ。まずは試してみたい、あるいはそんなに頻繁に遊べないという場合はPS4版がオススメだし、ガッツリ課金して遊び込みたいんだよね、という場合はXbox版が安く上がるという寸法だ。

【ゴールドの価格の違いに注意】
左がXbox版で、右がPS4版。オンラインプレイが有料のXbox版だが、その代わりゴールドの価格が安い。最高額の25,000ゴールドは、PS4版が13,300円に対して、Xbox版は10346円と3,000円近く異なる

 マップについては基本的に違いはない。過去に、Xbox版リリースに合わせてオリジナルマップ「Pacific Island(太平洋の島)」が実装されたが、これはPS4版にも実装されており、逆にPS4オリジナルマップとして登場した「スコルピオーン山道」は後にXboxにも実装されるなど、プラットフォーム間での差異はなくなっている。

 むしろ、PC版では削除されたマップ(プロヴィンス、竜の峠、隠れ里、コマリン、ノースウェスト、珠江、サウスコースト、セヴェロゴルスクなどなど)などはコンソール版ではまだまだ現役で、コンソール版オリジナルマップや、天候/昼夜/季節のバリエーションも含めると、PC版よりも遙かにバリエーション豊かなマップが用意されていることになる。特にPC版で削除されたマップは、コンソール版ではかなり使用頻度が高いため、往年のPC版ユーザーはぜひコンソール版で当時を思い出しながら楽しんでほしいところだ。

【悲しみのスコルピオーン山道】
コンソール版オリジナルマップ「スコルピオーン山道」。右下のミニマップに注目。上下のスクリーンショットで、下の方が縮小化されているのがわかるはず。初期デザインは1,500×1,500mの超巨大マップでお気に入りだったのだが、その後1,000×1,000mに縮小化されてしまったのだ。元に戻してくれないかなあ

PC版とほぼ同様の内容+αが楽しめるコンソール版。ぜひ参加しよう!

「World of Tanks: Xbox 360 Edition」。コンソール版はここから始まった

 PC版から3年遅れでスタートしたコンソール版だが、3年前は選択できる国や車輌、ツリーが限られる、まさに“ライト版”的なスタートだったが、この3年で本当に劇的に進化した。その進化ぶりはひょっとしたらPC版以上かもしれず、「Xbox 360版の最初だけ遊んだんだよね」という方は、その進化に衝撃を受けるはずだ。

 具体的に紹介すると、国や車輌については、PC版同等まで拡充された。ただし、国やツリー、物理演算などシステム改編を含んだメジャーアップデートについては実装時期にまだズレがあり、現時点で1年ほど遅れての実装となっている。PC版のバージョンで言うと、バージョンの切り方が異なるため厳密には一緒ではないが、だいたい0.9.15(2016年5月実装)相当の内容が実装されている。まだそんなものかと思った人もいるかもしれないが、別々の開発体制で、国も車輌も揃わない状態から、PC版と同等の内容まで拡充され、同等のメジャーアップデートが実装されている時点で凄いことだし、実装のズレもどんどん短くなっている点は大いに評価すべきで、コンソール版の開発チームは、PC版に負けず劣らず良い仕事をしているなと思う。

【3年前と現在のグラフィックスの違い】
トレーニングモードを比較してみた。上はXbox 360版のβ版、下は現行のPS4 Pro版。同じ米国M4A3E8を使ったトレーニングモードの開始直後の風景をキャプチャしたものだが、まるで別のゲームといっていいぐらい進化していることがわかる

 PC版とコンソール版の実装のズレは、次のアップデートが事前にわかるという点で楽しみのひとつにもなっている。すなわち、次はパリマップ(0.9.16、2016年10月実装)が来るだろうし、その次はスウェーデンツリー(0.9.17、2016年12月実装)が来るわけで、PC版で5月に実装されたばかりのTierX軽戦車やマッチメイキングの改良、自走砲のシステム変更(0.9.18、2017年5月実装)も楽しみだなという具合で、弟分ならではの“待ち受ける楽しさ”がある。

【アップデート】
PC版とコンソール版ではアップデートの単位、サイクルが異なるが、だいたい1年ぐらいの時間差で実装されている

 この1年継続してプレイしてみて、コンソール版の不満らしい不満といえば、PC版と比較してユーザー数が少ないことぐらいだ。筆者がプレイしているのは主にアジアサーバーだが、コアタイムを外すとマッチングそのものに時間が掛かったり、10対10や7対7など少人数マッチングが多かったりする。

 ただ、コンソール版はそのことを事前に想定して、PC版のようにサーバーが固定ではなく、任意でサーバーが選べるようになっている。Xbox版は、NA EAST、NA WEST、ヨーロッパの3カ所、PS4版はNA、ヨーロッパ、アジアの3カ所で、少ない場合はコアタイムの時間帯のサーバーに切り替えて下さいというスタンスだ。

【サーバーは3カ所から選択できる】
コンソール版では3カ所からサーバーを選択し、自由に行き来できる。タイムゾーンに合わせて24時間たっぷり「WoT」を遊べるわけだ

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 たとえば、PS4版の場合、日本のコアタイムはアジアサーバーでプレイしつつ、深夜もプレイしたい時はヨーロッパサーバー、日中遊びたいときは北米サーバーに繋ぐことで、いつでも対戦相手を探すことができる。これはこれでフレキシブルなシステムで筆者もお気に入りだ。もし、マッチングに時間が掛かったり、少人数マッチングが多いという場合はサーバーを変えてみるのも良いと思う。Wargaming.net自身にももっとプロモーションやイベント、大会の開催等々、PC版同様に盛り上げるための施策をどしどし実施して貰いたいところだ。

 今回、「WoT Console」の企画を立ち上げたのは、ゲームメディアの人間として「こんなに良いゲームをもっと世の中のゲームファンに知ってもらいたい」という純粋な動機と、「自分の遊び相手を増やしたい!」というゲーマーとして不純な動機がベースになっている。このレビューと、この後掲載される2本の特別企画によって、少しでも多くの「WoT Console」ファンが増えてくれれば幸いである。ぜひ戦場でお会いしましょう!

【少人数マッチングが多め?】
コンソール版は、プラットフォーム毎のサービスで、PC版ほどユーザー数が多くないため、7対7や10対10といった少人数マッチングが心なしか多い。ただ、Grand Finalsを筆頭に、プロシーンでは7対7が採用されており、個人的にはまったく問題ない。戦車密度の低い状態でのびのびと戦車戦が堪能できる