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「セガハードストーリー」、第4回は「ゲームギア」
日本初のカラー液晶搭載ソフト交換式携帯ゲーム機
2017年12月13日 17:35
セガは、同社の特設サイト「セガハード大百科」内で行なっている連載企画「セガハードストーリー」の第4回「ゲームギア」を公開した。
「ゲームギア」は、“場所を選ばず手軽に楽しめる、日本初となるカラー液晶を搭載したソフト交換式携帯ゲーム機”として1990年10月に19,800円で発売され、1カ月で60万台を売り上げた。開発中の「ゲームギア」のコードネームは、「Project Mercury(水星)」と呼ばれ、惑星の名をコードネームとする風習はその後も受け継がれている。
日本での発売翌年から北米市場にもリリース、欧州や南米などでも販売され、最終的には「メガドライブ」に続いて1,000万台以上が世界で普及したが、後継機の発売は行なわれなかった。
「ゲームギア」について
最大のセールスポイントは、4,096色(当時はフルカラーと呼ばれていた)同時発色のカラー液晶パネル。1980年代中盤には、小型カラー液晶の持ち歩けるテレビ、通称「ポケットテレビ」が登場していたものの、カラー液晶パネルは当時まだとても高価で、ゲーム機への搭載はコスト的に不利だった。しかし、鮮やかなカラー表示はゲーム機として大きな魅力に繋がるという判断から、3.5インチカラー液晶パネルの採用が決定したという。当時のパンフレットには「色いっぱい、だからおもしろい」と謳われている。
本体形状は、縦型と横型が検討された結果、操作部分を画面左右に配置する横型となり、背面部には電池を左右に均等に配置することで重量バランスが配慮された。ケースや基板に使われる部材の厚みをこれまでの据え置き型ゲーム機より薄くしたり、基板への部品の配置を工夫するなどして小型化&強度を保てるギリギリまで軽量化した結果、企画当初からの目標である、電池を含めた総重量約500gをほぼ満たす形にパッケージングされた。
機能面では、「セガ・マークIII」、「マスターシステム」のハードウェア構成を小型化し、カラー液晶パネルと操作に対応するICを開発することで、省コストかつソフト開発資産を活かせるようまとまっていったが、電池を使用するゆえに求められた省電力化には苦労し、バックライト方式による消費電力の大きいカラー液晶の影響もあり、アルカリ乾電池6本を使用して連続3~4時間程度の動作時間となった。
それを補うため、カーアダプタやパワーバッテリー、充電式バッテリーパックといった周辺機器が発売当初から準備された。中でも充電式バッテリーパックはゲームをプレイしながら充電できるという優れモノだった。また、「セガ・マークIII」、「マスターシステム」、「メガドライブ」のACアダプタも使用できるよう配慮されていた。
TVチューナーパック
「ゲームギア」には、別売の「TVチューナーパック」をセットすることで、“テレビも場所を選ばず見ることができる”という付加価値があった。
当時はまだテレビは個人向けに普及していなかったため、「ゲームギア」を購入したユーザーの中には、個人でのテレビ視聴のため「TVチューナーパック」をセットで購入する人も多かったのではないだろうか。また、「TVチューナーパック」には、外部入力端子も装備されていたため、「メガドライブ」などを接続して映像を見ることもできた。
「ゲームギア」のソフトの開発について
「セガ・マークIII」、「マスターシステム」と同等のハードウェア機能を持つ「ゲームギア」のソフト開発にあたり、ROMカートリッジも小型軽量化されていたため、過去のゲームをそのまま「ゲームギア」用にして発売できるかどうか洗い直された。しかし、画面の大きさや表示特性の違いにより調整すべき点があることや、「ゲームギア」に特化した開発を行なう必要があると判断され、新たな開発が進められた。
そのため、本体同時発売タイトルは、同社からは「コラムス」、「スーパーモナコGP」、「ペンゴ」の3タイトル、年内に「ドラゴンクリスタル ツラニの迷宮」など4タイトルが発売され、ライセンシータイトルも3タイトルというラインナップに留まった。
開発が進むにつれ、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」や「ベア・ナックル 怒りの鉄拳」、「ぷよぷよ」、「モンスターワールドII ドラゴンの罠」といった「メガドライブ」をはじめとする過去のハード機で人気となったタイトルも「ゲームギア」向けにアレンジしてリリースされた。また「ソニックドリフト」や「ファンタシースター外伝」、「シャダム・クルセイダー 遙かなる王国」といった「ゲームギア」独自の作品も発売された。
カラーバリエーションと「キッズギア」の展開
「ゲームギア」でも、「メガドライブ」同様に、「ソニックドリフト」などのゲームソフトをセットにした「プラスワンパック」や、「魔法騎士レイアース」のプリントが施され、同名のソフトなどがセットになった「キャラクターパック」、レッド、ブルー、イエロー、ホワイト、スモークといったカラーバリエーションが登場した。カラーバリエーションに関しては、日本のみ、海外のみのものも存在している。
1996年3月、同社は「ゲームギア」のより低年齢層への普及を狙って、担当部署をTOY事業部へと変更し、商品名称を「キッズギア(KID'S GEAR)」に変更。操作部分をスリム化するなどのマイナーチェンジは行なわれたが、基本的機能は変わらないため「ゲームギア」向けのゲームソフトはそのまま動作した。
この展開は、1993年にTOY事業部より発売された幼児向け知育コンピュータ「キッズコンピュータ ピコ」から始まった低年齢層へのセガの挑戦の流れを汲むものだった。
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