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異常な流行ぶりに作者もたまげた! 超ヒット「PUBG」開発者インタビュー

クリエイティブ・ディレクターBrendan Greene氏&プロデューサー キム・チャンハン氏に聞く

9月21日~24日 開催

会場:幕張メッセ

DMM Gamesブースの「PUBG」コーナー

 「PUBG」こと「Playerunknown's Battleground」、通称“ドン勝”。今年3月にSteamで早期アクセスが開始されてからというもの、その人気は留まることを知らない。つい最近では同時プレイ人口がついにあの「Dota 2」を超えるという偉業も成し遂げており、FPSが比較的マイナーな日本国内でも人気はうなぎのぼり。PCゲーム業界のゲームチェンジャーと化している。

 そんな「PUBG」は今回、日本国内サービスを行なうことになったDMM Gamesのブース内で国内初出展を果たしており、開発元である韓国のゲームデベロッパーBlueholeのスタッフらも来日。そこで今回、本作のクリエイティブ・ディレクターを勤めるPlayerunknownことBrendan Greene氏と、エグゼクティブ・プロデューサーを勤めるキムチャンハン(金昌漢)氏にインタビューを行なうことができた。

 本作の冠にもなっているPlayerunknownことBrendan Greene氏は、もともとは「DayZ」などのMODで盛り上がっていたミリタリーシム「ARMA II」のMODとしてバトルロイヤルゲームを作っていた人物だ。もちろん当時はアマチュアだったが、そこから「H1Z1: King of Kill」の制作に携わると、今度はBlueholeと一緒になって「PUBG」を作り上げ、一介のMOD製作者からスタークリエイターへの階段を超スピードで駆けのぼった。

 そのBrendan氏自身にとっても、「PUBG」が現在進行系で続けている空前のヒットぶりは、「驚き(surprise)」どころか、「たまげた(mind blowing)」というレベルだという。もうひとり本作について語ってくれたのは、Brendan氏を見出し、ゲームデザインの全権を与えてヒット作を実現したBlueholeのチャンハン・キム氏。両氏を交えてのインタビュー内容をお伝えしよう。

驚異のアクティブ率に製作者もびっくり。世界中で楽しまれる「PUBG」

Bluehole、クリエイティブディレクターのBrendan Greene氏。
Bluehole、エグゼクティブ・プロデューサーのキム・チャンハン氏。コンピューターサイエンス博士
デイリーピーク150万人超えという前人未到の記録。さらに更新中

──先日、「PUBG」の販売本数が1,200万本を突破したとのことで、おめでとうございます。この成功をどのように感じていますか?

Brendan Greene氏: 正直、どう言っていいものか(笑)。あまりにうまくいっていて、まだショックを受けているところなんです。どうしてこうなったのかもわかりません。ですが、本当にたくさんの人たちが私達のゲームを楽しんでくれていることが本当に嬉しいです。

キム・チャン・ハン氏: 開発当初から、このようなゲームが新しいジャンルを切り開くことになるという確信はありました。ですが、このタイトルがここまで速い成長をみせるとは思っていもいませんでした。バトルロイヤルというゲームを理解していただき、楽しんでいただいているユーザーの皆さんに感謝感激です。

──先日はSteamで「Dota 2」のCCU(同時接続ユーザー数)を超えたというデータが出てきて、大変驚きました。永久に不動のものと思っていただけになおさらですよね。

Brendan Greene氏: 本当に、ここまでになるとは想像してませんでした。そもそも、当初意識していた競争相手というのは「H1Z1」だったわけです。それを超えて、ショックを受けて、今度は「Counter-Strike: GO」を超えてまたショックを受けて。そして今度は「Dota 2」ですって。Steamでは誰も彼もプレイしているようなゲームですよ。本当に驚きですし、プレイしている皆さんや、新たに参加してくれる皆さんのためにも、さらに情熱を注いでこのゲームを良くしていきたいと思っています。

──ユーザーのアクティブ率というのも、非常に高いのではないですか?

Brendan Greene氏: 76%台、77%に近い数字だったかと思います。それに、25%以上のユーザーは100時間以上プレイしているというデータもあるんですよ。本当にたまげましたよ。

──驚異的ですね。普通のゲームではありえない数字ばかりですね。

Brendan Greene氏: Wiki的な記録だと、毎月、毎週レベルで何かの記録を更新しているような状況です。それも、本当に精魂を注いで、常に最高のゲームを目指して開発をしてくれる、素晴らしいチームのおかげです。このような素晴らしいチームと一緒に働ける機会を得られて本当に幸せですし、彼らなしにはこのような成功はあり得なかったと思います。

──そもそも本作の開発はどのように始まったのでしょうか?

Brendan Greene氏: 私自身にとっては、4年くらい前かな。「ARMA II」のMODから始まりました。単純に、自分が遊びたいゲームを作ろうとしていたんです。「H1Z1」のバトルロイヤルモードも私のアイディアでしたし、Blueholeではそのビジョンを自分のゲームとして具現化することができました。自分たちとしては、特定の地域に向けたゲームを作るのではなく、世界中で同じように楽しまれるゲームを作ることを考えていました。

──「PUBG」についてはBrendanさんが企画を持ち込んだのでしょうか? それとも、Blueholeの方が口説いたのでしょうか?

Brendan Greene氏: ある日、私のメールボックスに一通のメッセージがあったんです。「バトルロイヤルのゲームを数年にわたって開発しているようですが、私達もバトルロイヤルのゲームが好きです。あなたのビジョンに非常に近いものを私達も作りたいと思いますので一緒にやりませんか?」という感じでした。早速話をしてみたところ、非常にフィットしそうだと確信しました。このような機会に恵まれて、非常にラッキーだったと思います。

──開発チームとはどのような構成になっているのでしょうか? かなり無国籍なゲームという印象はあるのですが(笑)。

キム・チャン・ハン氏: 開発チームの構成は非常にグローバルです。韓国人がメインではあるんですけども、日本の方も多いですし、ポーランドやスペインの開発者もいます。それから、アートアセットの制作についてはフランスとカナダの方が参加しています。皆さんは韓国に引っ越してきたわけではなくて、それぞれ現地にいて、リモートで開発をしている形です。このような感じでいろいろな国の人たちが集まって開発をしていますので、特定の地域に偏ることなく、グローバルな内容のゲームを作ることができたと考えています。

FPSファン以外も巻き込んだ日本でのヒット。その理由とは

Greene氏は、「自由にプレイできること」が大事だと繰り返し語った

──日本でも爆発的な人気です。その理由はなんだと思いますか?

Brendan Greene氏: 個人的には、日本でこのゲームが羽ばたくことができて、非常に嬉しく思っています。どうしてかというと、そもそも、高見広春さん原作の映画「バトルロワイヤル」にめちゃめちゃ影響を受けてバトルロイヤルのゲームを作ろうと思ったからです。ですので、日本の皆さんが楽しんでくださっている姿を見ると、ついついニコニコしてしまいます(笑)。

──Blueholeさんは以前から「TERA」などで日本市場を経験されていると思いますが、今回は何か違う感じがあるのではないですか?

Brendan Greene氏: 実は、当初開発しているときにはここまでアジア圏で盛り上がることになるとは思っていませんでした。あくまでもターゲットはグローバルで、という意識がありましたし、どちらかというと欧米のゲームファンを狙って開発した部分もありましたからね。ところがこのようにアジア圏、日本でも大きなヒットとなったことには非常に驚きまして。さらにサポートをしていく必要を感じて、DMM.comさんとパートナーシップを結ぶことにしました。それを通じて、ユーザーの皆さんに喜んでいただけるような施策を実施していけたらと思います。

長年の経験からも、「PUBG」のヒットは異例なパターンだというキム氏

──世界的に見て、特にこの地域で人気がある、という傾向はありますか?

キム・チャン・ハン氏: 単純な数字でいうと、中国が1番多いのですが、人口が多いですから特に人気があるともいいがたいですね。人口比での人気でいえば、やはり北米とヨーロッパ、そしてオーストラリアでも人気が高まっています。東ヨーロッパと南米、それから東南アジアのほうは、少し遅れて増えていっているような感じです。そのあたりの数字については、Steamの統計で公開されていますので、チェックしてみるといいかもしれません。

Brendan Greene氏: 例えばアメリカとドイツでは人口が違いますから、比率はどうだろうというのが気になりますね。個人的に計算してみたのですが、世界中の多くの国で、ほとんど同じような比率で本作をプレイしてもらえているようで、とても素晴らしいと思いました。

──FPS苦手勢の多い日本でも受け入れられたのは、これまでのグローバルなFPS系ゲームとは大きく異なる点ですね。

キム・チャン・ハン氏: ええ、これまで17年くらいゲームの開発をしてきたのですが、大抵は国によって傾向が違いました。ですが、このように欧米・韓国・日本・中国でここまで平等に成功したタイトルはいままで殆どなかったと思います。不思議ですし、驚いていますし、ある意味では狙い通りでもあって、嬉しいです。

Brendan Greene氏: このように世界中で受け入れられた理由を考えてみたのですが、ユーザーに完全な自由を与えたことが1つの理由ではないかと思っています。ルールがとにかくシンプルで、「生き残れ」というだけですからね。その上で、私にとっては、その体験は常に映画的でもあります。広大なフィールドで、爆発や、戦いがあったり。その中で、プレーヤーは何でも試すことができます。老若男女誰もが簡単に理解できて、どのようにプレイしても楽しめるということが大事なことだと思います。

Brendan Greene氏: 日本のプレーヤーの皆さんのプレイスタイルをチェックしてみたのですが、比較的に“おとなしく”プレイするという傾向があるようです。積極的に動いてどんどん相手を倒すわけではなくて、ある程度とどまりつつ、くつろぎながら、集中するところは集中するという感じです。このようなプレイができることが、日本の皆さんの好みに合ったのではないかなと思っています。

──日本のプレーヤーにとっては、不必要に敵を倒すことがないというのも大きなポイントなのでは?

Brendan Greene氏: もちろん、バロウロイヤルですから積極的に相手を出し抜いて倒すこともできますし、そうしないことも可能です。ゲーム側から「こうしろ」と強制することがなにひとつないというのが、成功の理由のひとつだと考えています。このゲームはどのようにでも、好きなようにプレイできるんです。

正式版とXbox One版リリースに向け注力。一方、他のプラットフォームも否定せず

開発チームの増員も進めているとのことだが、当面は「あれもこれも」とできる状態ではないとのこと

──ゲームの規模もコミュニティも、予想以上の拡大を続けているということで、今後のアップデートプランには何か影響がありましたか?

Brendan Greene氏: ご存知のとおり、本作では週毎、月毎の定期アップデートを提供してきました。このあたりはもともと、ローンチ前から計画していた形だったのですが、ローンチ直後の段階が過ぎて、いまではより品質に注力していくため、アップデートのペースを落としてきています。例としては、「Counter-Strike 1.6」が「Counter-Srike: GO」に進化していったように、長期的なサービスとして、ゲームをアップデートしていきたいと考えています。

キム・チャン・ハン氏: 現在のところフォーカスしているのは、正式サービスとコンソール版の準備です。すでに映像を少し紹介していますが、正式サービス開始の際には、砂漠のマップや、壁を登るなどのアクション、新しい車両なども入れます。特に日本はコンソールのユーザーさんが多いですので、皆さんに楽しんでいただけるよう開発を進めています。

Brendan Greene氏: 私達としては、Xbox OneとWindowsのプレーヤーが同じ世界で一緒に遊べるようにしたいと考えています。とはいえマウス・キーボードとゲームパッドというコントローラーの差がありますので、最善の方法を探っているところです。まだ最終的な決定は下していませんが、やはりコミュニティ全体が一緒に遊べることが大事だと思いますので、いい方法を見つけたいと思います。

──Xbox One Xもサポートしますか?

Brendan Greene氏: もちろんです。

──4Kで楽しめます?

Brendan Greene氏: そうしたいです(笑)。

──Microsoftが推進しているXbox Play Anywhereには対応するのでしょうか?

キム・チャン・ハン氏: 一方でゲームを購入すればどちらでも遊べるという部分については、本作のWindowsストア版を出すことによって可能になるかもしれません。ただ、実際どうするかについてはまだ決まっていません。

──プレイステーション 4についてはどうなっているのでしょうか?いろいろと否定的な噂もありましたが……。

Brendan Greene氏: 今のところはリソースに限りもありますし、まずはPCの正式サービスと、Xbox One版に注力しています。他のプラットフォームに広げるにしても、まずはそれらが完了してから考えることになると思います。現在では毎日のようにチームを拡大しているのですが、それでも開発リソースは充分とはいえず、新しいことを考える余裕はない状況です。

──今後のアップデート方針について伺います。正式版では追加マップの話もありますが、マップを増やすことでコミュニティが分断されるという懸念もあります。本作の場合はどのように考えていますか?

Brendan Greene氏: はい、正式版では、現在のマップと、砂漠のマップを提供しますが、その他複数のマップを計画していることも以前からお知らせしているとおりです。とはいえ内部的には、ユーザーコミュニティの動向や意見に基いて、どのような形で複数のマップを遊べるようにするのがよいのか、最善の道はどれかということを常に議論しています。

──最終的には、どれくらいのマップ数が良いと思いますか?

Brendan Greene氏: だいたい7つのマップでローテーションするくらいがいいんじゃないかとは思っています。バトルロイヤルというゲームは、生存するためのあらゆる知識や能力を試します。知り尽くしたマップにおいての戦略というのもありますし、全く知らないマップでどう生き残るかというのも面白い。そういった体験をうまく導入していきたいですし、一方で、新しいゲームモードなど、コンテンツ面の拡充も重要です。

「自分がやりたいから作った」と、MODクリエイター時代を振り返る

──「ARMA II」ではチェルナウスという1つのマップだけで、「DayZ」やBrendanさんの「Playerunknown's Battleroyale」などたくさんの経験をすることができましたね。

Brendan Greene氏: 私もチェルナウスは大好きです。リアルさと面白さでおそらく最良の地形のデザインがなされていて、「DayZ: Standalone」にも貢献しましたね。私も、「DayZ」のMODサーバーという形で自分のやりたいゲームを作ることをはじめましたので思い入れもあります。ちなみに競技エリアの縮小は、サークルが縮小していくという形になっていますが、映画「バトルロワイヤル」と同じようにするのはコーディングが難しかったというのが理由です。

──今後の展開としては、日本においてはDMM Gamesと提携したことで、何か特別な施策を実施していくことは考えていますか? 大会のようなイベントの開催など、期待されていると思いますが。

キム・チャン・ハン氏: 当初はアジア地域でここまで人気が出るとは思っていませんでしたが、その可能性に気づいて1番最初に連絡をしてくださったのがDMMさんでした。そこでDMMさんについて色々と調べたところ、非常に素晴らしい会社だと。今週末がスタートになるわけですが、ぜひ、現地のユーザーの皆さんが盛り上がっていけるよう頑張っていただきたいと考えています。

DMM Games: もちろんです。まだ詳しいことはお伝えできないのですが、イベント等についてもいろいろと企画しております。もう少しで具体的な発表ができるかと思いますので、いましばらくお待ちいただければと思います。

──PCゲーム全体の中でもかつてなく盛り上がっていることですし、今後の展開に期待しています。ありがとうございました。