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PC版「ファイナルファンタジーXV」は4K/8K/HDR10でプレイ可能に!!

NVIDIA単独イベントに新作AAAタイトルが勢ぞろい

8月21日開催

会場:Koelnmesse近郊(独ケルン)

 NVIDIAは、去る8月21日(現地時間)、devcom/gamescomの開催に合わせて、ドイツのケルンメッセ近郊で、PC版のAAAタイトルを集めたイベントを行なった。本イベントで披露されたタイトルは、すでにそれぞれのタイトルのニュースでお伝えしているとおり、NVIDIAが開発を強力にバックアップしている。4K/8K解像度、HDR10色空間をサポートする「Final Fantasy XV Windows Edition」(以下「FFXV WE」)、オープンベータ開始が29日と間近に迫る「DESTINY 2」、指輪世界のファンタジーアクション「MIDDLE-EARTH: SHADOW OF WAR」(以下「ME:SW」)、定番サッカーゲーム「Pro Evolution Soccer 2018」(以下「PES2018」。本タイトルは「ウイニングイレブン2018」のヨーロッパでの名称)、人気サバイバルシューター「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下「PUBG」)を始めとして、10タイトルあまりの新作タイトルが、すべてプレイアブルの状態で集結した。

NVIDIA製品の性能を引き出すAAAゲームタイトル

「Final Fantasy XV Windows Edition」

「FFXV WE」試遊台

 展示されていた大作のうち、日本のゲームファンにとって1番のビッグニュースは、やはりPC版の「FFXV WE」だろう。ゲームそのものは、PS4版と大きく変わることはないが、PC版にふさわしくグラフィックスに関して、すべて次世代のクオリティに引き上げられている。

 解像度は4Kまたは8Kをサポートするほか、HDR10(10bit深度ハイダイナミックレンジ)のITU Rec.2020カラースペースに対応する。4K、8Kといった解像度については、もちろん高精細で目を見張るものの、現在主流のHD解像度の縦横それぞれ2倍、4倍とリニアに密度が上がるもであるから、みたことがないとしても、なんとなく想像の範囲に入ってしまうだろう。

 ところが、HDR10の方は、明らかに見栄えが違う。特にゲームグラフィクスは、爆発や魔法といった輝度の高いエフェクトや、スペキュラによる反射を強調した絵作りがなされているため、ダイナミックレンジの拡大によって得られる満足度は高い。NVIDIAのゲーム用ライブラリ「GameWorks」に置き換えられているエフェクトや流体、ヘアやファーの表現もHDRでは、より活きてくるだろう。

 加えて、「GeForce Experience」では、プレイ動画の撮影や、OpenEXR形式でのHDRイメージの保存、360度イメージを通常と立体視の両方でキャプチャができるから、PS4版のフォトモードとシェア機能を置き換えて余りあるものだと言える。

PC版「FFXV」は4K/8K/HDR10で「GeForce Experience」の新機能にも対応する

「DESTINY 2」

「DESTINY 2」の試遊台

 いよいよオープンβの開始が29日に迫っているマルチプレーヤーシューター「DESTINY 2」は、10台ほどの試遊スペースを用意して先行公開されていた。

 本来なら、本イベントで1番プレイする価値のあるタイトルで、ぜひともプレイフィールを確かめてみたかったのだが、残念なことに試遊台の予約がいっぱいで、どうしてもプレイすることができなかった。Battle.netのサイトにてBlizzardアカウントを取得して、Blizzard Battle.netデスクトップアプリから「DESTINY 2」クライアントをダウンロードすれば、29日~31日の3日間行なわれるオープンβに参加できるため、ぜひ試してみたいと思う。

 なお、「DESTINY 2」のサイトを言語設定を英語にして、日本語版のPCパッケージを選択すると、プレオーダーはできないものの発売日は10月24日と表示される。ところが言語を日本語にすると発売日の表記が、近日発売に変化してしまう。同様に、パッケージ版の仕様が英語ではスタンダード、日本語では限定版と異なっていたりするので、本作のPCパッケージ版購入にあたっては、今後の情報に十分注意する必要があるだろう。

【DESTINY 2】
オープンβ開始が目前に迫って注目が高まっているせいかイベント終了時刻まで予約が目一杯詰まっていた

「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」

「PUBG」の試遊台

 アーリーアクセス版ながら、Steamでの同時接続数60万と、快進撃を続けるサバイバルシューター「PUBG」も、NVIDIA最適化を推し進めるようだ。と言っても、現時点で発表されているビジュアル最適化の内容は、光の届きにくい遮蔽部分に影をつけるアンビエントオクルージョン(AO)の手法に「GameWorks」のHBAO+が採用されることくらいだ。AOの有無によって物体の立体感が変化するのは間違いないものの、SSAOやSSAO+とHBAO+の差異は、該当箇所のピクセル数が多くないこともあり、直接見比べでもしない限りそう大きく変化するというほどのこともない。あまり遅くならないのに、少しばかり隅っこの影がやわらかくなる、くらいの認識で十分だ。

 「PUBG」にとって、むしろ大きいのは、「GeForce Experience」ShadowPlay Highlightsの方だろう。対戦プレイ中は余裕のないシューターの場合、自動的に重要な場面をキャプチャしてくれる機能は大いに役に立つ。どういうわけか(表記法の差異によるちょっとした誤記が原因なのだが)、日本においてある種“バカゲー”として認識されてしまった本作にとって、プレイシーンの共有はコミュニティを大いに盛り上げるはずだ。

【PUBG】
“ドン勝”の愛称で爆発的な人気に
【HBAO+による影品質の改善】
右がHBAO+有効、左が無効

「Skyworld」

「Skyworld」の試遊スペース

 VRゲームからは、「Arizona Sunshine」を開発したVertigo Gamesが、今秋のリリースを目指して開発中のVRストラテジーゲーム「Skyworld」を紹介しておきたい。2015年3月の発表から現在までめぼしい情報がなかったが、突如として本イベントにプレイアブル出展したタイトルだ。

 リソース獲得と加工施設を増強して、兵員を整え、敵地に攻め込んで領土を拡張するという基本的なストラテジーのお約束から大きく外れたものではないとはいえ、シューターのように説明なしで遊んでるうちに自然にゲームを理解する、というわけにはいかないため、Vertigo Gamesのスタッフと対戦しながらレクチャーを受けるというスタイルでプレイが進行した。

 本作が、よくできているなと感じたのは、UIを含めたゲームの操作性だ。VRゲームの開発経験を蓄積したスタッフが数多く在籍しているからか、「Arizona Sunshine」とは異なるジャンルでも、VRゲームのセオリーを完全に押さえた作りになっている。コントローラからのレイでポインティングしてトリガーで選択。カードやレバーといった、実際に腕を動かして選択したり決定したりするものには、しっかりとメタファーが効いたデザインが採用されている。

 唯一、操作に戸惑ったのは、領土を表現した丸い箱庭ボード全体の回転で、説明を受けても、つかむ、まわす、といった操作が理解できなかった。これには、ゲームの盤面は回転させることができないものだ、という筆者の固定観念と、箱庭の周囲に突起やつまみ、ギザギザといったデザインが施されていなかったからだろう。HTC ViveのルームスケールVRのおかげで、自分自信が回り込めてしまうのも一因だろうか。

 同一マス上に部隊を移動させて対戦相手にエンカウントしたときとのバトルは楽しく、マンガやアニメのカードバトルを具現化した雰囲気だ。局所的な戦闘はリアルタイムに同時並行で進行するため、適宜有効なカード切って介入しなけらばならない。この同時並行の忙しさを首尾よく切り抜けると喜びにつながるのは通常のストラテジーと同じ感覚で、なかなかに楽しい。

【Skyworld】
奇跡の復活を遂げたVRストラテジー
【ARKTIKA.1】
VRゲームでは、もう1タイトル、「Merto」シリーズで知られるウクライナの4A GamesのVRシューター「ARKTIKA.1」も展示されていた

「LAW BREAKERS」

「LAW BREAKERS」の試遊台

 最後に、まったくノーマークだったシューター「LAW BREAKERS」を紹介したい。それもそのはず、アメリカやヨーロッパなどの地域では、8月8日に正式リリースされたばかりの新作だが、ロシアとアジア地域では未発売で、日本での発売も未定となっている。

 ゲームは、SFとオリエンタルな雰囲気を融合した世界観のフィールドで、プレーヤー同士がデスマッチを繰り広げるというもの。基本的なゲームプレイは、オーソドックスなシューターを踏襲しているが、重力の影響が上空ほど弱まったフィールドとなっているため、接地している平面にとらわれず、常に3D座標系での移動や射線を意識しながらプレイしなければならない。

 筆者がプレイした試遊台では、死亡すると復活時に異なるスキル特性を持ったキャラクターに、自由に変更できるという仕様になっていたが、初プレイであったため、これが普通の仕様なのかどうかはわからない。やるやられるの展開が早くて興奮度は高い。

【LAW BREAKERS】
下層ではやや浮遊感を感じる程度
【SHIELD TV】
比較的ひっそりとした展示であったものの、「GeForce NOW」で2K解像度のストリームゲームプレイが可能になったばかりの「SHIELD TV」コンソールの展示も

ゲーム体験を補完するNVIDIAの新たな取り組み

「LAW BREAKERS」から名場面ムービーをシェア

 前述した通り、普段のイベントなら、同社のGPUのアピールが中心となるところ、ゲーミングに特化したイベントということもあって、本イベントでNVIDIAが自社の目玉にしていたのは、GPU搭載ビデオカード向けユーティリティ「GeForce Experience」に追加された新機能だ。

 従来から「GeForce Experience」に含まれるShadowPlayとAnselの機能拡張ではあるが、いずれもゲーマーからのフィードバックに基づくもので、NVIDIAがゲーミングコミュニティを大切にしていることが良くわかる。

「ME:SWから」出力した360度画像

 本イベントで展示された新作では、ゲームプレイの名場面のみを自動的にダイジェストしてくれるShadowPlay Highlightsの機能が、「FFXV WE」や「PUBG」、9月22日から無料配信されるシューター「Raiders of the Broken Planet」などに対応している。また、AIスタイルフィルタを搭載して進化したAnselは、以前から対応していた22タイトルに加えて、「FFXV WE」、「ME:SW」、「PES2018」などで楽しむことができる。さらに、Facebookグループでの共有に対応したソーシャル共有機能は、すべてのゲームで利用可能だ。

【ME:SWから出力した360度画像】
「Witcher 3」でAncelの機能をデモ

 誤解がないように対応ゲームについて補足しておくと、ただ単に動画やスクリーンショットを撮影して、それらを「GeForce Experience」のオーバーレイウィンドウから直接投稿するだけであれば、そもそも対応するゲームに特に制限はない。さらに言うなら、別途ブラウザを立ち上げて投稿するのであれば、それこそ対応ゲームを意識する必要すらない。

 一方で、ShadowPlayの自動的に名場面をチョイスしてくれる機能では、「GeForce Experience」側では、何がゲームの名場面なのかわからないから、ゲーム側からAPIを呼んでもらって、記録すべき名場面を教えてもらう必要がある。同様にAnselでは、ゲームの進行を一時停止して、カメラをプレーヤーの任意の位置に移動したり、画角を変更したりといったフレーミングと、適用するフィルタの即時プレビューを実現するために、どうしてもゲーム側とのAPIを通じた相互連携が必要になってくる。

「Witcher 3」でAncelの機能をデモ

 これらの「GeForce Experience」の新しい機能からは、PCゲームの楽しみ方が、ひとつの転換期にさしかかっていることがうかがえる。従来のPCゲームでは、ゲームワールド内での時間と場所をリアルタイムに共有する他のプレーヤーとのゲーム体験を、いかに盛り上げるかに主眼を置いて開発されてきた。そのため、ゲームソフトに内包される機能としては、ゲームプレイの副産物として得られるスクリーンショットやプレイ動画をファイルに保持することに止まり、その後に副産物をどう活用するかはエンドユーザー自身に委ねられてきた。

 一方で、PCゲームと競合する関係にあるスマートフォンの主要な楽しみ方には、モバイルゲームをプレイする以外にも、現実世界の出来事を記録して、SNSで体験の瞬間を共有するというものがある。他者からの承認欲求を満たすための体験の共有には、当然のことながら共有するための“ネタ”が必要になることから、ユーザーは強くモーティベートされることになり、ソースとなる体験をさらに強く求めるようになる。このサイクルをそっくりそのままPCゲームに持ち込むのが、「GeForce Experience」に課せられた新しい役割だと言える。プレイ体験の共有が加速すれば、それはゲームプレイへの傾倒が加速することを意味するからだ。

 このゲームのソーシャル化は、プレーヤーに新しい楽しみ方を提供するだけではなく、パブリッシャーやディベロッパーにもメリットが大きい。プロモーション効果は計り知れず、リリースサイクルの長い大作ゲームであったとしても、リリースの谷間にも新しい話題を提供し続けることができる。

【PES2018の画面にスタイル適用】
ウィンイングイレブン2018はサッカーゲームだけにヨーロッパでも人気作
「Witcher 3」でAncelの機能をデモ

 現状では、Anselには従来からの22タイトルに3タイトルが追加されただけと、まだまだ対応タイトル数が多いとは言えない。また出口側のSNSの方も拡充が望まれる。「GeForce Experience」のオーバーレイウィンドウからシームレスに共有できるのは、YouTubeとTwichに加え、FacebookをサポートするShadowPlayによる動画はともかく、静止画の方は、Google、imgur、 Facebookだけと、ソーシャルサポートを謳うには少々心もとない陣容だ。とは言え、大作が牽引する形でアプリケーション横断の共通プラットフォーム化がさらに進み、メジャーSNSのフルサポートが実現すれば、別アプリいらずのソーシャルゲートウェイとして大きな役割を果たしていくことになるだろう。

 競合するAMDもユーティリティの機能拡充には積極的で、同種の機能をいずれ拡充してくると考えられるが、現時点ではNVIDIAが一歩リードしている。GPU性能やAPI対応度では差別化が困難になりつつある現世代では、AIコンピューティングの研究成果を取り込みながら、GPUを取り巻く周辺環境を含めて、トータルなゲーム体験で差別化を図っていきたいというのがNVIDIAの考えなのだろう。

 いずれにしても、PCでのゲーム体験が、よりイージーでよりリッチなものになっていくことは、素直に喜ばしい。今後もGPUそのものの進化のみならず、ドライバ、APIの高速化、AIの応用、ユーティリティの拡充、そしてゲームディベロッパーの技術サポートと、幅広い領域でのNVIDIAの取り組みに期待したい。

PROJECT CARS 2
FORZA 7
MIDDLE-EARTH: SHADOW OF WAR
MIDDLE-EARTH: SHADOW OF WAR
MIDDLE-EARTH: SHADOW OF WAR
Pro Evolution Soccer 2018
RAIDERS OF THE BROKEN PLANET
NEED FOR SPEED PLAYBACK